SaaS営業組織の作り方|MA/SFA連携で部門間連携を機能させる設計法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1410分で読めます

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
御社を理解して書くから、刺さる。この記事はMediaSprintで作成しました。

MediaSprintについて詳しく見る →

「体制図だけ」のSaaS営業組織が機能しない理由

SaaS営業組織は、The Model型の分業体制だけでなく、MA/SFA連携によるリード引き渡しルールとKPI連動の仕組みまで設計することで、部門間連携が機能し成果につながります——本記事ではこの結論を詳しく解説します。

The Model型営業組織とは、SaaS企業で採用されるデータ駆動型・反復改善型の営業モデルです。マーケ・IS・FS・CSの分業体制とKPI管理が特徴ですが、多くの企業が「体制図」を参考に組織を作っただけで、部門間連携がうまくいかない課題を抱えています。

日本SaaS市場は成長を続けています。Research Nesterの報告によると、日本SaaS市場規模は2025年に122億米ドル、2026年に138億米ドル、2035年には381億米ドルに達し、2026年から2035年のCAGR(年平均成長率)は13.5%と予測されています。この成長市場で成果を出すには、単なる組織図の整備ではなく、データ連携まで含めた設計が求められます。

この記事で分かること

  • SaaS営業組織の基本構造とThe Model型の特徴
  • マーケ・IS・FS・CSの役割分担とKPI設計
  • 部門間連携を機能させるSLAと引き渡しルールの設計方法
  • MA/SFA連携によるファネル全体の可視化と改善サイクル
  • 企業規模・フェーズに応じた組織設計のポイント

SaaS営業組織の基本構造とThe Model型の特徴

SaaS営業組織の成功には、分業体制と各部門の連携設計が不可欠です。

高成長SaaS企業(2024年)の機能別配分を見ると、セールスが55%、ポストセールス(CS)が23%を占めています。ポストセールスとは、成約後の顧客対応を担う部門で、カスタマーサクセス(CS)やサポートを含み、解約防止・拡大に貢献します。

一方、日本企業のマーケティング組織は発展途上の段階にあります。HubSpotの調査によると、日本のマーケティング部門設置率は11.7%、CMO設置率は8-11%と報告されています(ただし、サンプル調査ベースのため全体傾向を示すものではありません)。SaaS企業においても、マーケティング機能の強化が課題となっているケースが多いといえます。

ARR(Annual Recurring Revenue) は、年次経常収益を意味し、MRR×12で算出されます。サブスクリプション型ビジネスの成長指標として重視され、SaaS営業組織のKPI設計においても中心的な役割を果たします。

マーケ・IS・FS・CSの役割分担

The Model型営業組織では、マーケティング(マーケ)、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)、カスタマーサクセス(CS)の4部門が分業して連携します。

MQL/SQLは、部門間のリード引き渡し基準として活用される指標です。MQL(Marketing Qualified Lead) はマーケ基準を通過したリード、SQL(Sales Qualified Lead) は営業基準を通過したリードを指します。

各部門の役割は以下のとおりです。

  • マーケティング: リード獲得・育成を担当。Webコンテンツ、広告、セミナー等を通じてMQLを創出
  • インサイドセールス: 電話・メール等でMQLを精査し、商談化可能なSQLへ昇格させる
  • フィールドセールス: 商談・提案・クロージングを担当し、受注を獲得
  • カスタマーサクセス: 成約後の顧客支援、オンボーディング、解約防止、アップセルを担当

部門間連携を機能させるKPI設計と引き渡しルール

部門間連携を機能させるには、各部門のKPIを明確にし、SLAで引き渡しルールを設計することが重要です。

The Model型の「体制図」を参考に組織を作るが、MA/SFAによるデータ連携やリード引き渡しルールを設計しないまま運用を始めると、「リードの質が悪い」「営業がフォローしない」という責任の押し付け合いが発生します。この考え方は誤りであり、避けるべき失敗パターンです。

SLA(Service Level Agreement) とは、部門間のリード引き渡し基準や対応期限を合意した取り決めです。マーケ・営業連携の要となり、責任範囲を明確にすることで、部門間の衝突を防ぎます。

【比較表】SaaS営業組織 役割・KPI対応表

部門 主な役割 代表的なKPI MA/SFAでの管理ポイント
マーケティング リード獲得・育成 MQL数、CPA、CVR MAでスコアリング、ナーチャリング管理
インサイドセールス リード精査・商談化 架電数、アポ獲得率、SQL数 SFAでコール履歴・次回アクション管理
フィールドセールス 商談・受注獲得 商談数、成約率、受注金額 SFAでパイプライン・商談進捗管理
カスタマーサクセス 継続支援・拡大 解約率、NPS、アップセル率 SFAで顧客利用状況・更新タイミング管理

MQL/SQLの定義とSLA設計のポイント

リード引き渡しを円滑に機能させるには、MQL/SAL/SQL/受注の定義を部門間で統一することが重要です。

SLA設計のポイントは以下のとおりです。

  • MQLの定義を明確化: どの条件を満たしたリードをMQLとするか(スコア閾値、行動条件等)
  • SQLへの昇格基準: BANT(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)等の基準を設定
  • 対応期限の設定: MQL引き渡し後、何時間以内にISがコールするか等を明文化
  • フィードバックループ: SQLが不適切だった場合の差し戻しルールを設計

MA/SFA連携によるデータ運用と成果計測

MA/SFA連携により、ファネル全体を可視化し、部門横断でPDCAを回すことが可能になります。

国内SaaS企業の成功事例を見ると、ラクスは2024年度売上高489億4,000万円、ARR 434億6,800万円(2025年3月)、成長率27.33%で国内SaaS売上1位を達成しています。また、Sansanは2024年度売上高432億2,000万円、ARR 332億7,000万円、成長率27%超で国内SaaS売上2位です。これらの高成長SaaS企業は、データドリブンな営業組織運営を実践しています。

MA/SFA未連携の状態では、MQL→SQL転換率の正確な計測が不可能になり、マーケ施策の貢献度が不明瞭になるリスクがあります。

ファネル全体のKPI連動と改善サイクル

部門横断でPDCAを回すためには、MQL→SQL転換率を一気通貫で計測することが重要です。

改善サイクルの具体的な進め方は以下のとおりです。

  1. データ統合: MA/SFAを連携し、リードのファネル進捗を一元管理
  2. KPI計測: 各ステージの転換率(MQL→SQL、SQL→商談、商談→受注)を計測
  3. ボトルネック特定: 転換率が低いステージを特定し、原因を分析
  4. 施策実行: 改善施策を実行し、効果を検証
  5. フィードバック: 結果を部門間で共有し、次のサイクルに反映

SaaS営業組織の立ち上げ・拡大期の体制設計

企業規模・フェーズに応じて、最適な組織設計は異なります。

前述のとおり、高成長SaaS企業(2024年)の機能別配分はセールス55%、ポストセールス(CS)23%が目安となります。ただし、立ち上げ期と拡大期では、優先すべき体制が異なります。

【チェックリスト】SaaS営業組織設計チェックリスト

  • The Model型の4部門(マーケ・IS・FS・CS)の役割を定義している
  • 各部門のKPIを設定している
  • MQLの定義と基準を明文化している
  • SQLの定義と基準を明文化している
  • MQL→SQLの引き渡しSLAを設計している
  • SQL→商談の引き渡しSLAを設計している
  • MA/SFAの連携設計を完了している
  • リードのスコアリング基準を設定している
  • ファネル全体の転換率を計測できる環境がある
  • 部門間の定例ミーティング(週次推奨)を設定している
  • リードのフィードバックループを設計している
  • ARR目標と各部門KPIの連動を設計している
  • CSの解約防止KPIを設定している
  • アップセル・クロスセルのKPIを設定している
  • 組織拡大のロードマップを策定している

段階的な組織拡大のロードマップ

立ち上げ期から成長期への組織拡大は、段階的に進めることが推奨されます。

企業規模によって最適な体制は異なりますが、一般的な進め方は以下のとおりです。

  • 立ち上げ期(〜50名規模): 少人数で複数役割を兼務。マーケとISを兼任、FSとCSを兼任するケースも多い
  • 成長期(50〜200名規模): 各部門の専任化を進める。特にISとCSの専任配置が成長のドライバーになる
  • 拡大期(200名〜): 各部門のマネージャー配置、チーム分割(業界別・規模別等)を進める

まとめ:成果につながるSaaS営業組織の設計ポイント

本記事では、SaaS営業組織の設計において押さえるべきポイントを解説しました。

要点のまとめ

  • The Model型営業組織は、マーケ・IS・FS・CSの分業体制とKPI管理が特徴
  • 高成長SaaS企業の機能別配分はセールス55%、ポストセールス(CS)23%が目安
  • 部門間連携を機能させるには、SLAでMQL/SQLの定義と引き渡しルールを明文化する
  • MA/SFA連携により、ファネル全体の転換率を計測しPDCAを回す
  • 企業規模・フェーズに応じて、段階的に組織を拡大する

本記事のチェックリストを活用し、自社のSaaS営業組織の現状を診断してください。不足している項目があれば、優先順位をつけて整備することで、部門間連携が機能する組織づくりを進められます。

SaaS営業組織は、The Model型の分業体制だけでなく、MA/SFA連携によるリード引き渡しルールとKPI連動の仕組みまで設計することで、部門間連携が機能し成果につながります。体制図の整備で終わらせず、データ連携まで含めた設計を進めてください。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
御社を理解して書くから、刺さる。この記事はMediaSprintで作成しました。

MediaSprintについて詳しく見る →

この記事の内容を自社で実践したい方へ

リード獲得〜商談化の課題を診断し、設計から実装まで支援します。
戦略だけで終わらず、作って納品。まずは30分の無料相談から。

よくある質問

Q1SaaS営業組織でThe Model型を導入するメリットは何ですか?

A1マーケ・IS・FS・CSの分業により専門性を高め、KPI管理で再現性のある成長が可能になります。ただし、体制図だけでなくMA/SFA連携によるリード引き渡しルールまで設計しないと、部門間で責任の押し付け合いが発生し形骸化するリスクがあります。

Q2SaaS営業組織の各部門の人員配分の目安は?

A2高成長SaaS企業(2024年)の機能別配分では、セールスが55%、ポストセールス(CS)が23%となっています。ただし、企業規模・フェーズにより最適な配分は異なるため、自社の状況に合わせた設計が必要です。

Q3マーケティング部門と営業部門の連携がうまくいかない原因は?

A3MQL/SQLの定義が曖昧なまま引き渡しを行うと「リードの質が悪い」「営業がフォローしない」と責任の押し付け合いになります。SLAで引き渡し基準を明文化し、フィードバックループを設計することが重要です。

Q4日本のBtoB企業のマーケティング組織の実態は?

A4HubSpotの調査によると、日本のマーケティング部門設置率は11.7%、CMO設置率は8-11%と報告されています。ただし、サンプル調査ベースのため全体傾向を示すものではなく、SaaS企業ではマーケティング機能の強化が課題となっているケースが多いといえます。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。