営業ダッシュボード開発ガイド|要件定義からMA/SFA連携まで

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1410分で読めます

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営業ダッシュボードが形骸化する本当の原因

最も重要なのは、営業ダッシュボードで成果を出すには、CRMの標準機能に頼るだけでなく、自社の営業プロセスに合わせた要件定義と、MA/SFAとのデータ連携を含む実装まで一気通貫で対応できる専門家の支援を得ることです。

「CRMを導入したのに、ダッシュボードが使われていない」「せっかく作ったレポートが形骸化している」—このような声は、BtoB企業の営業部門で頻繁に聞かれます。2025年のBtoB営業実態調査によると、BtoB中小企業全体で39.0%が「明確なKPIなし」の状態であり、紹介依存企業ではこの割合が59.0%にまで上昇しています(出典:BtoB営業実態調査2025)。

この背景には、CRM標準ダッシュボード機能で何とかしようとして、自社の営業プロセスに合わないまま形骸化するパターンがあります。また、要件定義が曖昧なまま開発を進め、作り直しが発生して時間とコストを浪費するケースも少なくありません。

この記事で分かること

  • 営業ダッシュボードの定義と追うべきKPI・指標の選び方
  • CRM標準機能とフルスクラッチ開発の比較と判断基準
  • 営業ダッシュボード開発の具体的な進め方(要件定義からMA/SFA連携まで)
  • 成功事例に学ぶダッシュボード活用のポイント

営業ダッシュボードとは?設計前に押さえるべき基礎知識

営業ダッシュボードとは、営業活動のデータをリアルタイムで可視化し、売上進捗やボトルネックを一目で把握・即時意思決定を支援するツールです。単なるグラフや数値の表示ではなく、営業マネジメントの意思決定を支援する役割を担います。

営業ダッシュボードを設計する際には、KPIツリーの考え方が重要です。KPIツリーとは、最終目標(KGI)を達成するために必要なKPIを階層的に分解・可視化した図を指します。例えば、売上目標をKGIとした場合、商談数・受注率・平均単価などのKPIに分解し、それぞれをダッシュボード上で追跡できるようにします。

ダッシュボード設計において重要なのは、「何を見たいか」ではなく「どのような意思決定を支援するか」という視点です。データを可視化することが目的ではなく、営業活動のボトルネック特定と改善アクションにつなげることが本来の役割と言えます。

営業ダッシュボードで追うべきKPIと指標

営業ダッシュボードに組み込むべきKPIは、自社の営業プロセスに応じて選定する必要があります。BtoBマーケティングにおいては、CVR(コンバージョン率)CPA(リード獲得単価) が重要な指標として位置づけられています。

CVR(コンバージョン率) とは、Webサイト訪問者のうち、問い合わせ・資料請求等の目標行動に至った割合を指します。2025年のBtoBマーケター330名を対象とした調査によると、CVRを重視する企業は28.7%を占め、BtoB広告経由リードの商談化率ボリュームゾーンは11〜20%(目安として15%を設定)となっています(出典:広告運用レポート2025)。

CPA(リード獲得単価) は、1リード獲得にかかるコストを測定する指標です。BtoBマーケティング担当者326名を対象とした2025年の調査では、目標CPAは5,000〜10,000円未満が21.8%で最多、次いで10,000〜15,000円未満が15.3%となっています(出典:BtoBマーケティング調査)。

また、ROMI(マーケティング投資収益率) は、マーケティング施策への投資に対する収益性を測定する指標であり、BtoBでは商談から受注までの期間が長いため、追跡にはしばしば数ヶ月を要します。

重要KPIは5〜7個に絞り、前年同月比・前月比でモニタリングするのが推奨されています。指標が多すぎると、かえって何を見るべきかが分からなくなり、ダッシュボードが形骸化する原因になりがちです。

標準機能 vs フルスクラッチ開発|どちらを選ぶべきか

営業ダッシュボードを構築する際、CRMの標準ダッシュボード機能を活用するか、フルスクラッチで開発するかは重要な判断ポイントです。結論から言えば、自社の営業プロセスやKPI要件が標準機能で実現できるかどうかが判断基準となります。

【比較表】標準機能 vs フルスクラッチ開発 比較表

比較項目 CRM標準機能 フルスクラッチ開発
初期コスト 低い(ライセンス費用内) 高い(開発費用が必要)
カスタマイズ性 限定的(設定範囲内) 高い(自由に設計可能)
導入期間 短い(設定のみ) 長い(要件定義〜開発〜テスト)
外部システム連携 制限あり 柔軟に対応可能
独自集計ロジック 対応困難 自由に実装可能
運用保守 ベンダー依存 自社または委託先で対応
適したケース 汎用的な営業管理 独自プロセス・複数システム連携

標準機能で十分なケースは、一般的な営業パイプライン管理や売上進捗の可視化など、CRMが想定する標準的な営業プロセスに沿った運用を行う場合です。一方、自社独自の営業プロセスや集計ロジック、複数システムからのデータ統合が必要な場合は、フルスクラッチ開発を検討することになります。

標準機能で対応できる要件・できない要件

CRM標準ダッシュボード機能には、以下のような限界があります。

標準機能で対応できる要件

  • 商談数・受注金額・パイプライン状況の可視化
  • 営業担当者別・チーム別の実績比較
  • 期間比較(前月比・前年比)レポート
  • 基本的なフィルタリング・ドリルダウン

標準機能では対応が難しい要件

  • 複数システム(MA・基幹システム等)からのデータ統合
  • 自社独自の集計ロジック(複雑な按分計算、独自のステージ定義等)
  • リアルタイム性が求められる大量データ処理
  • 基幹システムや外部データとの突合・整合性チェック

よくある失敗パターンとして、標準機能で無理に対応しようとして、本来必要な情報が見られない・使いにくいダッシュボードになってしまうケースがあります。「標準機能でできること」に合わせて運用を変えるのではなく、「自社に必要なこと」を明確にした上で、標準機能で対応可能かを判断することが重要です。

営業ダッシュボード開発の進め方(要件定義から実装まで)

営業ダッシュボード開発を成功させるには、「とりあえず導入」を避け、目的とKPIを明確化してから構築を開始することが重要です。以下のチェックリストを活用して、要件定義から実装までの各フェーズで必要なタスクを漏れなく実施してください。

【チェックリスト】営業ダッシュボード開発要件定義チェックリスト

  • ダッシュボードの目的(解決したい課題)を明文化した
  • 主要なKPI・指標を5〜7個に絞り込んだ
  • ダッシュボードのユーザー(経営層・営業マネージャー・営業担当者等)を定義した
  • ユーザー別に必要な情報・画面を整理した
  • データソース(CRM・MA・基幹システム等)を特定した
  • データ取得頻度(リアルタイム・日次・週次等)を決定した
  • 必要な集計ロジック・計算式を定義した
  • 標準機能で対応可能か、フルスクラッチが必要かを判断した
  • 外部システムとの連携要件を整理した
  • データの整合性・品質に関するルールを定めた
  • ダッシュボード運用後のPDCAサイクルを設計した
  • 運用担当者・保守体制を決定した
  • 導入後の効果測定方法を定義した
  • 予算・スケジュールの概算を作成した
  • プロジェクト体制(社内担当者・外部パートナー)を決定した

要件定義フェーズでやるべきこと

要件定義フェーズでは、ダッシュボードを使うユーザー別に必要な情報を整理することが重要です。マーケティング向けダッシュボードでは広告・リード獲得関連の指標が中心となり、営業向けダッシュボードでは商談・受注関連の指標が中心となります。

全員が同じダッシュボードを使えば十分という考え方は誤りです。役割別にカスタマイズされたダッシュボードを用意することで、各ユーザーが自分に必要な情報にすぐにアクセスでき、意思決定のスピードが向上します。

要件定義で特に注意すべきは、「何を見たいか」だけでなく「そのデータを見て何を判断するか」まで明確にすることです。データを見ても次のアクションが見えない状態では、ダッシュボードが形骸化する原因になります。

MA/SFAとのデータ連携設計

リアルタイムのデータ収集とパイプライン管理を実現するには、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)とのデータ連携が重要です。MAツールとの連携によって、リード獲得からの一貫したデータ管理体制を構築する傾向が強まっています。

連携設計においては、以下の点を検討する必要があります。

  • データ項目の定義: どのデータをどのシステムから取得するか
  • データ更新頻度: リアルタイム連携か、バッチ処理か
  • データの名寄せ・重複排除: 複数システム間でのデータ整合性確保
  • エラー時のハンドリング: 連携失敗時の通知・リトライ処理

MA/SFA連携を含むフルスクラッチ開発では、要件定義から実装まで一気通貫で対応できる専門家の支援を得ることで、手戻りを最小限に抑えられます。

営業ダッシュボード活用の成功事例

営業ダッシュボード活用の具体的な成功事例として、GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)の取り組みが参考になります。同社ではTableauを活用して顧客データをダッシュボード化し、施策前後で来場分布の差を可視化することに成功しました(出典:GDO Tableau活用事例)。

特筆すべきは、キャリアの浅い営業担当者へ「レシピ形式」でデータ活用を指南し、商談の幅を拡大した点です。ダッシュボードを導入するだけでなく、「どのように使うか」まで含めた運用設計が成果につながっています。

ダッシュボード活用を定着させるためには、週次会議でダッシュボードを活用し、データに基づいた意思決定を習慣化することが効果的です。単にダッシュボードを用意するだけでは成果は出ません。運用定着の設計が不可欠です。

営業ダッシュボード開発で成果を出すために

営業ダッシュボード開発において、CRM標準機能依存や要件定義不足では形骸化するリスクが高いことを本記事で解説してきました。

成果を出すためのアクションは、以下の順序で進めることを推奨します。

  1. 要件定義チェックリストで自社要件を整理する: まず目的・KPI・ユーザー・データソースを明確化
  2. 標準機能 or フルスクラッチの判断: 比較表を参考に、自社要件に合った選択を
  3. 実装と運用定着: 週次会議でのダッシュボード活用など、運用設計まで含めて計画

繰り返しになりますが、営業ダッシュボードで成果を出すには、CRMの標準機能に頼るだけでなく、自社の営業プロセスに合わせた要件定義と、MA/SFAとのデータ連携を含む実装まで一気通貫で対応できる専門家の支援を得ることが重要です。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
御社を理解して書くから、刺さる。この記事はMediaSprintで作成しました。

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よくある質問

Q1営業ダッシュボードで追うべきKPIは何ですか?

A1商談化率、CVR、CPA、受注率、パイプライン金額などが代表的です。2025年の調査では、BtoB広告経由リードの商談化率ボリュームゾーンは11〜20%、目標CPAは5,000〜10,000円未満が最多となっています。重要KPIは5〜7個に絞り、前年同月比・前月比でモニタリングすることが推奨されます。

Q2CRMの標準ダッシュボードとフルスクラッチ開発のどちらを選ぶべきですか?

A2自社の営業プロセスやKPI要件が標準機能で実現できるかが判断基準です。一般的な営業パイプライン管理であれば標準機能で対応可能ですが、自社独自の集計ロジックや複数システム連携が必要な場合はフルスクラッチ開発を検討します。

Q3営業ダッシュボード開発の要件定義で重要なポイントは?

A3目的とKPIを明確化することが最重要です。また、ユーザー別(経営層・営業マネージャー・営業担当者)に必要な情報を整理し、それぞれに最適化したダッシュボード設計を行います。「何を見たいか」だけでなく「そのデータを見て何を判断するか」まで定義することが形骸化防止につながります。

Q4営業ダッシュボードを導入しても成果が出ないのはなぜですか?

A4ダッシュボード導入だけでは成果は出ません。2025年の調査ではBtoB中小企業の39.0%が明確なKPIを設定しておらず、紹介依存企業では59.0%に上昇します。週次会議での活用など、データ駆動意思決定を定着させる運用設計が不可欠です。

Q5MA/SFAとの連携は必要ですか?

A5リアルタイムのデータ収集とパイプライン管理を実現するには、MA/SFAとのデータ連携が重要です。リード獲得から商談・受注までの一貫したデータ管理により、マーケティングと営業の連携が強化され、ダッシュボードの有効性が高まります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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