先行指標・遅行指標の営業活用|59%がKPI未設定の課題を解決

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1610分で読めます

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営業KPIが「設計だけで終わる」構造的な理由

先に答えを言うと、営業における先行指標は、設計するだけでは効果が出ず、MA/SFAと連携した自動計測と運用改善サイクルの構築によって初めて成果予測と改善アクションにつながります。

先行指標(Leading Indicator) とは、将来の成果を予測する活動量やインプットを示す指標です。改善が容易で軌道修正が可能という特徴があります。一方、遅行指標(Lagging Indicator) とは、過去の成果やアウトプットを表す指標で、計測は容易だが改善が困難という性質を持ちます。

多くの営業組織がKPIツリーを設計し、先行指標と遅行指標を整理しています。しかし、BtoB中小企業の新規開拓で「紹介」を主力とする企業の59.0%が「明確に設定された指標(KPI)はない」と回答しているという調査結果があります(2025年調査)。この数字が示すのは、先行指標・遅行指標の概念を理解していても、実務に落とし込めていない企業が多いという現実です。

この記事で分かること

  • 先行指標と遅行指標の定義とKPIツリーにおける位置づけ
  • 営業における先行指標・遅行指標の具体例と使い分け
  • 先行指標が形骸化する原因と解決策
  • 設計・実装・運用の3軸でチェックできるチェックリスト

よくある失敗パターンとして、先行指標と遅行指標の概念を理解し、KPIツリーを設計したものの、実際の営業活動でデータが取れず形骸化してしまうケースがあります。Excelで手動集計を続けた結果、更新が止まり「設計だけで終わる」状態に陥るのです。本記事では、この問題を解決するための具体的な方法を解説します。

先行指標と遅行指標とは:定義とKPIツリーにおける位置づけ

先行指標と遅行指標は、営業KPIを設計する上での基本概念です。この2つを正しく理解し、KPIツリーに適切に配置することで、営業活動のボトルネックを早期に発見できるようになります。

KPIツリーとは、KGI達成に向けてKPIを分解・構造化したものです。上流に遅行指標、下流に先行指標を配置するのが基本的な設計方法です。KGI(Key Goal Indicator) とは、最終目標を測定する指標で、売上や利益などの遅行指標が該当することが多いです。

先行指標・遅行指標という概念は、経済予測の分野でも活用されています。たとえば、内閣府の景気動向指数では先行指数(11系列)、一致指数(10系列)、遅行指数(9系列)の構成で景気予測に活用されています(令和7年/2025年まで維持)。ただし、この景気動向指数の指標構成を営業KPIにそのまま適用することには限界があり、営業組織ごとに適した先行指標・遅行指標を設計する必要があります。

先行指標と遅行指標の違い:改善しやすさと予測への活用

先行指標と遅行指標の最大の違いは、「改善のしやすさ」と「予測への活用しやすさ」です。

先行指標は、営業担当者の活動量に直結するため、改善アクションが取りやすいという特徴があります。たとえば、架電数が足りなければ架電時間を増やす、アポ率が低ければトークスクリプトを見直すといった具体的な改善が可能です。

一方、遅行指標は結果を示すため計測は容易ですが、数字が出てからでは改善が間に合わないという問題があります。売上(遅行指標)のみを追跡していると、変化の兆しを見逃し、対策が後手に回る失敗パターンに陥りやすいです。

営業における先行指標・遅行指標の具体例

営業活動における先行指標・遅行指標の具体例を理解することで、自社のKPI設計に活かすことができます。

先行指標の代表例としては、架電数、アポ獲得数、商談創出数、提案数、見積提出数などがあります。これらは営業担当者の活動量を直接反映し、日次・週次で改善アクションを取ることができます。

遅行指標の代表例としては、売上、受注数、契約数、受注率などがあります。これらは最終的な成果を表しますが、数字が確定してからでは対策が遅れるため、先行指標と組み合わせて活用することが重要です。

参考として、BtoB SaaSにおける一例では、Tier1(高単価1,000万円案件)の受注率5%、商談期間6ヶ月に対し、Tier2(単価500万円)の受注率25%、商談期間2ヶ月という事例があります(2023年頃の推定値)。ただし、受注率や商談期間は業界・商材・企業規模により大きく異なるため、自社の実績データに基づいて検証することを推奨します。

【比較表】営業における先行指標・遅行指標の具体例一覧

カテゴリ 指標タイプ 指標名 計測方法 改善アクション例
リード獲得 先行指標 架電数 SFA/電話ログ 架電時間の確保、リスト精査
リード獲得 先行指標 アポ獲得数 SFA入力 トークスクリプト改善、ターゲット見直し
リード獲得 遅行指標 リード総数 MA/CRM集計 施策の効果検証、予算配分見直し
商談 先行指標 商談創出数 SFA入力 アポからの移行率分析、提案内容改善
商談 先行指標 提案数 SFA入力 ニーズヒアリング強化、提案資料改善
商談 先行指標 見積提出数 SFA入力 見積タイミングの最適化
商談 遅行指標 商談化率 SFA集計 失注分析、競合対策
受注 遅行指標 受注数 SFA/基幹システム 勝因・敗因分析
受注 遅行指標 受注率 SFA集計 クロージング手法の見直し
受注 遅行指標 売上金額 基幹システム 単価向上施策、アップセル

先行指標が形骸化する原因とMA/SFA連携による解決策

先行指標を設計しても、多くの企業で形骸化してしまうという問題があります。前述のとおり、BtoB中小企業の59%がKPI未設定という調査結果がありますが、これは「設計すらしていない」企業だけでなく、「設計しても運用できていない」企業も含まれていると考えられます。

よくある誤解として、「先行指標を設計すれば成果が出る」という考え方は誤りです。KPIツリーを設計しても、Excelで手動集計を続けた場合、月末や繁忙期に更新が止まり、形骸化するケースが非常に多いです。

形骸化パターン:手動集計とレポート更新の停止

先行指標が形骸化する典型的なパターンは、Excel管理のまま運用を開始してしまうことです。

具体的には、以下のような流れで形骸化が進行します。

  1. KPIツリーを設計し、先行指標を定義
  2. Excelで集計シートを作成
  3. 最初の1-2週間は更新を継続
  4. 月末の繁忙期で更新が遅れ始める
  5. 数週間の未更新が続き、レポートの信頼性が低下
  6. 「どうせ見ても意味がない」と判断され、完全に更新停止

このパターンでは、せっかく設計した先行指標が活用されないまま放置されてしまいます。

解決策:SFA/CRMでの自動計測と可視化

形骸化を防ぐ解決策は、SFA/CRMと連携した自動計測の仕組みを構築することです。

営業担当者が日々の活動をSFAに入力するだけで、先行指標が自動的に集計され、ダッシュボードでリアルタイムに可視化される状態を作ることが重要です。これにより、手動集計の手間がなくなり、データの鮮度と信頼性が担保されます。

運用のポイントとしては、先行指標を70-80%重視し、遅行指標で結果を検証するというバランスが効果的とされています。先行指標のみに偏ると成果との連動性が見えにくくなり、遅行指標のみだと改善アクションが取りにくくなるため、両者を組み合わせて運用改善サイクルを回すことが重要です。

先行指標設計・運用チェックリストと運用定着のポイント

先行指標を「設計して終わり」にしないためには、設計・実装・運用の3つのフェーズを一体的に進める必要があります。以下のチェックリストを活用して、自社の現状を確認してください。

【チェックリスト】先行指標の設計・実装・運用チェック

  • KGI(最終目標)が明確に定義されている
  • KPIツリーで先行指標と遅行指標が構造化されている
  • 各先行指標の定義(計算式・対象範囲)が明文化されている
  • 先行指標と遅行指標の因果関係が仮説として整理されている
  • 各指標の目標値(ベンチマーク)が設定されている
  • SFA/CRMで先行指標を自動計測できる設定になっている
  • ダッシュボードで先行指標・遅行指標が一覧できる
  • 営業担当者の入力ルール(何を・いつ・どう入力するか)が明文化されている
  • データ入力の遵守状況をモニタリングする仕組みがある
  • 週次で先行指標を確認するレビュー会議が設定されている
  • 先行指標の異常値を検知したらアラートが上がる仕組みがある
  • 先行指標から改善アクションに繋げるプロセスが決まっている
  • 定期的にKPIツリーと先行指標の妥当性を見直している

すべての項目にチェックが入る必要はありませんが、設計・実装・運用の各フェーズで最低2-3項目はクリアしていることが、運用定着の目安となります。

まとめ:先行指標は「設計」と「運用定着」で成果につながる

本記事では、営業における先行指標と遅行指標の違い、具体例、形骸化の原因と解決策について解説しました。

本記事の要点

  1. 先行指標は将来の成果を予測する活動量指標、遅行指標は過去の成果を表す結果指標
  2. KPIツリーでは上流に遅行指標、下流に先行指標を配置するのが基本
  3. BtoB中小企業の59%がKPI未設定という調査結果があり、設計・運用の両面で課題がある
  4. Excel手動集計では形骸化しやすく、SFA/CRM連携による自動計測が解決策
  5. 設計・実装・運用の3軸でチェックし、運用改善サイクルを回すことが重要

営業における先行指標は、設計するだけでは効果が出ず、MA/SFAと連携した自動計測と運用改善サイクルの構築によって初めて成果予測と改善アクションにつながります。

次のアクションとして、本記事のチェックリストを活用して自社の現状を確認し、不足している領域(設計・実装・運用)を特定してみてください。先行指標を活用した成果予測・改善サイクルの構築が、営業組織の成果向上につながります。

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よくある質問

Q1先行指標と遅行指標の違いは何ですか?

A1先行指標は将来の成果を予測する活動量やインプットを示す指標で、改善が容易です。遅行指標は過去の成果やアウトプットを表す指標で、計測は容易だが改善が困難です。営業では、先行指標(訪問数、商談創出数)と遅行指標(売上、受注数)を組み合わせてボトルネック特定に活用します。

Q2営業における先行指標の具体例は?

A2営業の先行指標には、架電数、アポ獲得数、商談創出数、提案数、見積提出数などがあります。これらは営業担当者の活動量を示し、改善アクションが取りやすいです。受注率や商談期間は商材の単価や複雑性により異なり、高単価案件では受注率5%・商談期間6ヶ月、中単価案件では受注率25%・商談期間2ヶ月という事例もあります。

Q3先行指標を設定しても形骸化するのはなぜ?

A3先行指標を設定してもExcelで手動集計を続けると、月末や繁忙期に更新が止まり形骸化しやすいです。調査によるとBtoB中小企業の59%がKPI未設定という現状があり、設計しても運用定着できていない企業が多いです。解決策はSFA/CRMと連携した自動計測の仕組みを構築することです。

Q4KPIツリーでの先行指標・遅行指標の配置は?

A4KPIツリーでは、上流(KGI近傍)に遅行指標(売上、利益)、下流(行動レベル)に先行指標(訪問数、架電数)を配置します。この構造により、KGI達成に向けたボトルネックを早期に発見し、先行指標レベルで軌道修正が可能になります。

Q5先行指標と遅行指標の適切なバランスは?

A5実務では先行指標を70-80%重視し、遅行指標で結果を検証する運用が効果的とされています。先行指標のみに偏ると成果との連動性が見えにくくなり、遅行指標のみだと改善アクションが取りにくくなります。両者を組み合わせて運用改善サイクルを回すことが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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