営業ダッシュボードが注目される背景と本記事の目的
営業ダッシュボードの構築で成功するには、作り方を学ぶだけでなく、SFA/CRMのデータ整備から設計・実装・運用定着まで一気通貫で支援を受けることで、使われるダッシュボードを短期間で構築できます。
営業ダッシュボードとは、営業活動のKPI(リード数、商談数、受注率など)をリアルタイムで可視化するツールです。データに基づく意思決定を実現するために、多くの企業で導入が進んでいます。
CRM/SFA導入率は32.1%(2022年6-10月、矢野経済研究所調査)から37.2%(2024年度、HubSpot調査)へ上昇しています。また、クラウド型CRM市場規模は4,932億円(2022年度、前年比120.5%)から5,728億円(2023年度予測)へ拡大しています。
しかし、CRM/SFAを導入しても、ダッシュボードを活用できている企業は限定的です。「ダッシュボードを作りたいがデータが整備されていない」「何を可視化すべきかわからない」「作っても使われない」という課題を抱える企業が多いのが現状です。
この記事で分かること
- 営業ダッシュボードの基本とKPI設計の考え方
- 設定すべきKPIと優先順位の決め方
- ダッシュボード作成の手順と自力構築の限界
- 使われるダッシュボードを実現するためのポイント
営業ダッシュボードの基本とKPI設計の考え方
営業ダッシュボードを効果的に活用するためには、KPI設計の基本フレームワークを理解することが重要です。闇雲に指標を並べても、意思決定に活かせるダッシュボードにはなりません。
営業ダッシュボードとは
営業ダッシュボードは、営業活動のKPI(リード数、商談数、受注率など)をリアルタイムで可視化するツールです。Excelでの手動集計やレポート作成の手間を省き、常に最新の状況を把握できるようになります。
主な役割として、以下が挙げられます。
- 営業チーム全体の進捗状況の可視化
- 個人別・チーム別のパフォーマンス比較
- 商談パイプラインの管理
- 目標達成率のリアルタイム把握
KPIツリーを使った指標設計
KPIツリーとは、KGI(最終目標)から逆算してKPIを階層的に分解した指標設計の枠組みです。例えば、年間売上目標(KGI)を達成するために、受注件数、商談化率、リード獲得数などのKPIを逆算して設定します。
商談化率は、リードから商談に進展した割合を指し、MQL→SQL転換の指標として使用されます。KPIツリーを使うことで、どの指標を改善すれば目標達成につながるかが明確になります。
営業ダッシュボードに設定すべきKPIと優先順位
営業ダッシュボードでは、ファネル全体をカバーする指標設計が重要です。リード数だけを追うのではなく、商談化率や受注率など複数の指標をバランスよく設定する必要があります。
【比較表】営業ダッシュボードKPI設計例
| KPI | 定義 | 優先度 | 測定タイミング |
|---|---|---|---|
| 新規リード獲得数 | マーケティング施策で獲得したリード数 | 高 | 日次/週次 |
| MQL数 | 一定基準を満たした見込み客数 | 高 | 週次 |
| 商談化率 | リードから商談に進展した割合 | 高 | 週次/月次 |
| 商談数 | 営業が対応中の案件数 | 中 | 週次 |
| 受注率 | 商談から受注に至った割合 | 高 | 月次 |
| 平均商談期間 | 商談開始から受注までの期間 | 中 | 月次 |
| 売上進捗率 | 目標に対する達成率 | 高 | 日次/週次 |
リード獲得から商談化までのファネル指標
BtoB企業が最優先するKPIは「新規リード獲得数」が32.1%で1位、「受注率」が11.1%で2位という調査結果があります(n=190のアンケート調査、業種・規模による偏りがある可能性あり)。
新規リード獲得数を最重要KPIとする理由として「マーケティング施策でコントロールできるから」が58%で最多となっています(n=69の追加質問)。コントロールしやすい指標から着手することは合理的なアプローチですが、リード数だけに偏ると課題が生じます。
リード数偏重の落とし穴
新規リード獲得優先企業の課題として「頭打ち化」46.4%、「コスト集中」46.4%、「リード温度感低さ指摘」40.6%が報告されています(n=69の追加質問、定性的な課題傾向)。
リード数だけを追い続けると、いずれ頭打ちになります。また、営業部門から「リードの質が低い」「商談につながらない」という指摘が出やすくなります。商談化率や受注率など、ファネル下流の指標も合わせて可視化することが重要です。
営業ダッシュボード作成の手順と自力構築の限界
営業ダッシュボードの作成には基本的な手順がありますが、ExcelやBIツールで自力構築しようとすると、データ整備や設計の段階でつまずくケースが多いです。
作成の基本ステップ
ダッシュボード作成の基本的な流れは以下のとおりです。
- 目的設定: 何を可視化し、どのような意思決定に活用するか明確にする
- データ整備: SFA/CRMのデータを一元化し、入力ルールを標準化する
- KPI選定: KPIツリーを基に、可視化すべき指標を選定する
- ツール選定: 自社の要件に合ったツールを選ぶ
- 構築: ダッシュボードを設計・実装する
- 運用: 継続的に活用し、改善を重ねる
自力構築でつまずきやすいポイント
よくある失敗パターンとして、ExcelやBIツールで自力でダッシュボードを作ろうとして、データ整備や設計の段階でつまずき、結局使われないダッシュボードになってしまうケースがあります。このようなアプローチでは成果が出ません。
自力構築でつまずきやすいポイントは以下のとおりです。
- データ整備の不足: SFA/CRMにデータが正しく入力されていない、重複や欠損がある
- 入力ルールの未整備: 担当者ごとに入力方法がバラバラで、集計できない
- 設計の属人化: 特定の担当者しかダッシュボードをメンテナンスできない
- KPI設計の迷走: 何を可視化すべきかわからず、指標が乱立する
「ダッシュボードを作れば自動的にデータ活用が進む」という考えは誤りです。データ整備と入力ルールの標準化が先決です。
使われるダッシュボードを実現するためのポイント
使われるダッシュボードを実現するためには、データ整備から運用定着まで一気通貫で取り組むことが重要です。ツールを導入しただけでは成果につながりません。
CRM/SFA導入率は37.2%(2024年度)に達していますが、導入と活用の間には大きな乖離があります。成功事例として、デジタルマーケティング導入企業でCV数232%向上(268→622件/年)、セッション数206%アップという報告がありますが、これはベンダー提供の参考値であり、すべての企業で同様の効果が得られるとは限りません。
【チェックリスト】ダッシュボード構築前準備チェックリスト
- ダッシュボードの目的と利用シーンを明確にしている
- 可視化したいKPIを洗い出している
- KGIからKPIを逆算したKPIツリーを設計している
- SFA/CRMにデータが正しく入力されている
- データの入力ルールが標準化されている
- 重複・欠損データのクレンジングを実施している
- ダッシュボードの利用者(営業部長、営業担当者等)を特定している
- 更新頻度(日次、週次、月次)を決めている
- ダッシュボードの運用担当者をアサインしている
- 定期的なレビュー・改善の仕組みを設けている
- 営業会議等でダッシュボードを活用する場面を設定している
- 専門家支援が必要な範囲を特定している
データ整備と入力ルールの標準化
ダッシュボード活用の前提として、SFA/CRMのデータ整備が不可欠です。データの一元管理と入力ルールの標準化を先に整備しないと、ダッシュボードを作っても正確な情報が表示されません。
具体的には、以下の取り組みが必要です。
- 商談ステージの定義と統一
- 必須入力項目の設定と徹底
- 重複データの名寄せ・クレンジング
- 更新頻度のルール化
専門家支援による構築・運用定着
データ整備から設計・実装・運用定着まで一気通貫で支援を受けることで、使われるダッシュボードを短期間で構築できます。自社だけで進めようとすると、データ整備や設計の段階で時間がかかり、結局活用されないまま終わるケースが多いです。
専門家支援のメリットとして、以下が挙げられます。
- SFA/CRM活用のベストプラクティスに基づいた設計
- データ整備・クレンジングのノウハウ
- KPI設計の客観的なアドバイス
- 運用定着に向けた伴走支援
まとめ:データ整備から運用定着まで一気通貫で取り組む
本記事では、営業ダッシュボードの基本から、KPI設計、作成手順、運用定着のポイントまでを解説しました。
記事の要点
- 営業ダッシュボードはKPIツリーを基に指標を設計する
- 新規リード獲得数が最優先KPIとされるが、リード数偏重には課題がある
- 自力構築はデータ整備や設計でつまずきやすい
- データ整備と入力ルールの標準化が活用の前提条件
- 専門家支援で構築から運用定着まで一気通貫で進められる
営業ダッシュボードは作り方を学ぶだけでなく、SFA/CRMのデータ整備から設計・実装・運用定着まで一気通貫で支援を受けることで、使われるダッシュボードを短期間で構築できます。まずは本記事のチェックリストを活用して、自社の構築準備状況を確認してみてください。
