マーケと営業の責任対立を解消するために確認すべきこと
マーケと営業の責任のなすりつけ合いを解決したいなら、マーケと営業の責任のなすりつけ合いは、コミュニケーション不足ではなく、MQL/SQLの定義合意とデータ連携基盤が未整備であることが根本原因であり、この土台を整備することで両部門が納得できる責任分担を実現できます。
「マーケが渡したリードの質が悪い」「営業がリードをフォローしない」——こうした責任のなすりつけ合いは、多くのBtoB企業で発生しています。2024年のSalesZine調査によると、営業サイドの74%(課題32.3%、やや課題41.6%)、マーケティングサイドの64.6%(課題20.1%、やや課題44.5%)が連携に課題を感じているという結果があります(民間調査ベース、BtoB企業中心のサンプルのため業界別詳細は限定的)。
この記事で分かること
- マーケと営業が責任をなすりつけ合う構造的な原因
- コミュニケーション改善だけでは解決しない理由
- MQL/SQL定義の合意形成プロセスと具体的な合意項目
- データ連携基盤の整備方法と責任分担のチェックリスト
マーケと営業が責任をなすりつけ合う原因を整理する
責任のなすりつけ合いが発生する根本原因は、MQL/SQLの定義が曖昧でリードの質に関する共通基準がないことです。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が認定した見込み顧客です。行動スコアや属性で判定し、営業に引き渡す基準を満たしたリードを指します。SQL(Sales Qualified Lead) とは、営業部門が認定した商談化可能な見込み顧客です。BANT等のヒアリングで確認後に昇格します。
2024年の調査によると、リード放置率25.2%、マーケティング受注コミット不足20%がBtoB企業で発生しています。また、SFA/MA連携による数値評価を実施している企業はわずか5.8%にとどまっています。データに基づいた連携ができていない企業が大半であり、これが責任の曖昧化を招いています。
リードの質に関する認識のずれ
マーケと営業でリードの質に対する認識が異なることが、対立の火種になります。
マーケティング部門は「一定の基準を満たしたリードを渡している」と考えますが、営業部門は「商談につながるリードが来ない」と感じています。この認識ギャップは、MQL/SQLの定義が数値化されていないことに起因します。
数値基準がない状態では、「リードの質が良い・悪い」の議論が主観に依存してしまい、「言った・言わない」の水掛け論に発展しやすくなります。
責任の境界線が曖昧になる構造
MQL→SQL移行の定義が曖昧な場合、どこまでがマーケの責任でどこからが営業の責任かが不明確になります。
「誰がいつ何をすべきか」が明文化されていないと、リードが放置されたり、フォローの責任が押し付け合いになったりします。責任の境界線が明確でないことが、対立の根本的な原因です。
「コミュニケーションを改善すれば解決する」という誤解
「定例ミーティングを増やす」「相互理解を深める」といったコミュニケーション施策だけでは責任の所在が曖昧なままになり、対立は解消しません。この考え方は誤りです。
データに基づく判断基準がなければ、会議が増えても結論が出ません。「話し合いで解決しよう」としても、MQL/SQLの定義や数値基準がなければ、お互いが納得できる結論には至りにくいです。
定例ミーティングを増やしても解決しない理由
2024年の調査によると、BtoB企業の定期連携実施率は、目的的情報交換(メール/チャット)21%、月1回以上合同会議15.2%となっています。会議を実施している企業でも、SFA/MA連携による数値評価を行っているのは5.8%のみです。
会議があっても、判断基準となるデータがなければ、感情論・印象論の応酬になりやすいです。「マーケはこう思う」「営業はこう思う」という主張の対立は、数値基準を設けない限り解消しません。
MQL/SQL定義の合意が責任を明確にする
MQL/SQL定義を両部門で合意し、文書化することが責任を明確にする第一歩です。
2024年のHubSpot調査によると、日本企業全体のCRM導入率は37.2%(前年36.2%から1.0pt増)で、連携ツールのデジタルシフトが進行中です。ツール導入の前に、まず「何をもってMQL/SQLとするか」の基準を両部門で合意することが重要です。
BANTとは、予算(Budget)、決裁権(Authority)、課題(Need)、時期(Timeline)の4項目で商談見込みを判定するフレームワークです。SQL昇格の条件として活用されることが多いです。
【比較表】MQL/SQL定義合意項目表
| 合意項目 | MQL定義 | SQL定義 |
|---|---|---|
| スコア閾値 | 行動スコア80点以上など | BANT確認2項目以上など |
| 必須行動 | 資料DL、セミナー参加など | 個別相談申込、見積依頼など |
| 属性条件 | ターゲット業種、企業規模 | 決裁者アクセス有無 |
| 引き渡しタイミング | 条件達成後24時間以内 | BANT確認完了後 |
| フォロー期限 | ISが3営業日以内に初回接触 | FSが5営業日以内に商談設定 |
| 見直しサイクル | 四半期ごと | 四半期ごと |
| 責任部門 | マーケティング部門 | 営業部門 |
※上記は参考例です。自社の状況に応じて項目・基準を調整してください。
スコアリング基準の設定方法
リードスコアリングとは、見込み顧客の行動や属性に点数を付け、商談化可能性を数値化する手法です。
スコアリングは、行動スコア(資料DL、セミナー参加、ページ閲覧等)と属性スコア(企業規模、役職、業種等)を組み合わせて設計します。MQL認定の閾値(例:80点以上)を設定し、その基準を両部門で合意することが重要です。
閾値の設定は、過去の商談化実績を分析し、商談につながったリードの共通スコアを参考にすることが効果的です。
データ連携基盤の整備と責任分担のチェックリスト
MQL/SQL定義を合意したら、MA/SFA連携によるデータ基盤を整備し、責任分担を可視化する仕組みを構築します。
MOps(Marketing Operations) とは、マーケティング活動を効率化・標準化するための運用体制です。データ分析、ツール管理、プロセス設計を担当します。
旭化成グループでは、MOps体制を構築し、マーケティング・営業合同会議を定期実施した結果、商談数が20%増加したという事例があります(2025年、企業公表値のため参考事例として)。ツール導入だけでなく、運用体制の整備が成果につながることを示しています。
【チェックリスト】マーケ・営業責任分担チェックリスト
- MQL定義が両部門で合意・文書化されている
- SQL定義が両部門で合意・文書化されている
- リードスコアリングの基準が設定されている
- MQL→ISへの引き渡しルール(期限・方法)が決まっている
- IS→FSへの引き渡しルール(期限・方法)が決まっている
- リード放置を検知する仕組みがある
- 共通KPI(MQL数、MQL→SQL転換率等)が設定されている
- MA/SFAでリード状況が可視化されている
- 定期レビュー(月次・四半期)の仕組みがある
- MQL/SQL定義の見直しサイクルが決まっている
- 責任範囲が関係者全員に共有されている
- フィードバックループ(営業→マーケへの情報還元)がある
MA/SFA連携で実現する共通KPI
データ連携により、以下のKPIを可視化できます。
- MQL数:マーケティング部門の成果指標
- MQL→SQL転換率:リードの質とISの対応力を示す指標
- SQL→商談化率:営業部門の対応力を示す指標
- 商談→受注率:営業部門の成約力を示す指標
どの数値がどちらの責任に紐づくかを明確にすることで、感情論ではなくデータに基づいた議論が可能になります。
まとめ:マーケと営業の責任分担を明確にするために必要な視点
本記事では、マーケと営業の責任対立を解消するためのアプローチを解説しました。
ポイントを整理すると以下の通りです。
- 責任のなすりつけ合いの根本原因は、MQL/SQLの定義が曖昧でデータ連携基盤が未整備であること
- コミュニケーション改善だけでは解決しない。数値基準がなければ議論が主観に依存する
- MQL/SQL定義を両部門で合意し、文書化することが責任明確化の第一歩
- MA/SFA連携でリード状況を可視化し、共通KPIで責任範囲を明確にする
- 定期レビューとフィードバックループで継続的に改善する
マーケと営業の責任のなすりつけ合いは、コミュニケーション不足ではなく、MQL/SQLの定義合意とデータ連携基盤が未整備であることが根本原因であり、この土台を整備することで両部門が納得できる責任分担を実現できます。本記事のチェックリストで自社の状況を確認し、MQL/SQL定義の合意から着手してみてください。
