MAツール選びで多くの企業が陥る失敗とその原因
ずばり、MAツール選びは、機能や価格だけでなく、自社の業務プロセスとの適合性と運用体制を見据えて判断することが成功の鍵です。
MAツール(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するソフトウェアです。リード管理・育成・スコアリング・メール配信を一元化し、マーケティング活動の生産性を向上させます。
「MAツールの種類が多すぎて選べない」「導入しても使いこなせるか不安」——こうした課題を抱える企業は少なくありません。日本市場のMAツールシェアを見ると、BowNow(23.0%)、HubSpot Marketing Hub(20.3%)、Marketing Cloud Account Engagement(13.4%)、Adobe Marketo Engage(7.5%)と多様なツールが存在しています(2026年Mazrica調査。民間調査のため、サンプルバイアスの可能性があります)。
この記事で分かること
- MAツールの基本機能と導入メリット
- MAツール選定時に確認すべきポイント
- 主要MAツールのタイプ別比較表
- 選定チェックリストと導入前の準備事項
MAツールとは|基本機能と導入で得られるメリット
MAツールは、リード獲得から育成、営業への引き渡しまでを自動化・効率化するシステムです。主な機能は、リード管理、リードスコアリング、メール配信自動化、フォーム作成、分析レポートなどがあります。
導入で得られるメリットとしては、以下が挙げられます。
- リード育成の自動化による工数削減
- 見込み客の優先順位付けによる営業効率化
- マーケティング施策の効果測定と改善
- 営業とマーケティングのデータ連携
リードスコアリングとMQLの考え方
リードスコアリングとは、見込み客の行動や属性に基づいて購買意欲を数値化し、営業への引き渡し優先度を判断する手法です。
具体的には、以下のような行動や属性にスコアを付与します。
- Webサイトの訪問回数・閲覧ページ
- 資料ダウンロードやセミナー参加
- メール開封・クリック
- 企業規模や業種などの属性情報
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で一定の条件を満たし、営業に引き渡す準備ができた見込み客を指します。リードスコアリングにより、一定スコア以上のリードをMQLとして営業に引き渡すルールを設定することで、営業効率を高めることができます。
MAツール選定で確認すべきポイント
MAツール選定では、予算・操作性・自社課題適合機能・データ連携・サポート体制の観点から評価することが重要です。
よくある失敗パターンとして、「機能が多い」「導入実績が多い」という理由だけでMAを選び、導入後に業務プロセスと合わず使いこなせないケースがあります。この考え方は誤りです。ツール導入前に自社の業務フローを整理し、運用できる体制を確認することが先決です。
日本市場のMAツール価格相場は月額10-20万円が主流とされています。中小企業向けの低価格帯では月額5-15万円程度から利用可能なツールもあります(2026年時点の情報であり、プラン改定や為替変動により変動する可能性があります)。
SFA/CRM連携とは、MAツールと営業支援システム・顧客管理システムをデータ連携し、リードから商談・受注まで一元管理する仕組みです。BtoB企業の場合、この連携は非常に重要な選定基準となります。
SFA/CRM連携と運用体制の確認
MAで育成したリードを営業に引き渡し、商談から受注まで一元的に追跡できることが、MAツール活用のゴールの一つです。
ある導入事例では、MAとSFAを連携させることで、リード育成によるホットリード自動抽出と営業効率化を実現しています。SFA同期によりリードから受注まで一元分析できる体制を構築した事例もあります(ベンダー提供事例のため、成功バイアスがある可能性があります。効果は企業の状況により異なります)。
選定時には、以下の点を確認してください。
- 自社で利用しているSFA/CRMとの連携可否
- 連携方法(API連携、ネイティブ連携、手動インポート)
- 連携できるデータ項目と同期頻度
- 運用を担当する人員の確保と教育体制
主要MAツールのタイプ別比較
MAツールは、ターゲット企業規模や機能の特徴によって複数のタイプに分類できます。自社の状況に合ったタイプを選ぶことが、導入後の活用につながります。
日本市場でシェアを持つツールの特徴を紹介します。SATORIは日本BtoB特化のMAツールで、匿名リード追跡(Webサイト訪問者のうち、まだ個人情報を取得していない匿名ユーザーの行動を追跡する機能)やパーソナライズ配信機能を提供しています。Kairos3 Marketingは月額15,000円から利用可能な国産MAツールで、スコアリング・セミナー管理・SFA同期機能を備えています。HubSpot Marketing Hubは月額1,800円から利用可能(無料プランあり)で、BtoB/BtoC両対応のオールインワンツールです。
【比較表】MAツールタイプ別比較表
| タイプ | 特徴 | 価格帯 | 向いている企業 | 代表的なツール |
|---|---|---|---|---|
| 中小BtoB向け | シンプル操作、低価格 | 月額1-5万円 | 初めてMA導入する中小企業 | Kairos3、HubSpot(無料~) |
| 中堅BtoB向け | 高機能、SFA連携重視 | 月額10-20万円 | マーケ組織がある中堅企業 | SATORI、BowNow |
| エンタープライズ向け | カスタマイズ性、グローバル対応 | 月額20万円以上 | 大企業、グローバル展開企業 | Marketo、Salesforce Marketing Cloud |
| BtoC兼用 | BtoB/BtoC両対応、EC連携 | 価格幅広い | 複数事業を持つ企業 | HubSpot、Marketing Cloud |
※価格は公開情報に基づく目安です。詳細は各ベンダーにお問い合わせください。シェアデータは民間調査であり、公的統計ではありません。
比較表の見方と自社に合ったタイプの選び方
比較表を参照する際は、自社の状況に合わせて読み解くことが重要です。
BtoB中小企業の場合
- 高機能なツールよりも、操作がシンプルで低価格なツールを選ぶと定着しやすい
- 無料プランやトライアル期間を活用し、操作性を確認してから決定する
- CRM連携の可否を必ず確認する
BtoB中堅以上の企業の場合
- マーケティング組織の規模と運用体制に合った機能を選ぶ
- SFA連携の容易さと連携実績を重視する
- サポート体制と導入支援の充実度を確認する
BtoC事業も持つ企業の場合
- BtoB/BtoC両対応のツールを検討する
- EC連携やBtoC向け配信機能の有無を確認する
MAツール選定チェックリストと導入前の準備
MAツール選定を成功させるには、導入前の準備が重要です。自社の業務プロセスを整理し、Must/Want機能を明確にしてから選定することで、導入後の活用不全を防げます。
【チェックリスト】MAツール選定チェックリスト
- 自社のリード獲得経路を整理している
- 現在のリード育成プロセスを可視化している
- MQL判定の基準(営業への引き渡し条件)を定義している
- MAで実現したいMust機能を明確にしている
- あれば嬉しいWant機能を整理している
- 月額予算の上限を設定している
- 利用しているSFA/CRMとの連携要件を確認している
- MAを運用する担当者をアサインしている
- 運用担当者の教育計画を立てている
- 導入後の効果測定KPIを設定している
- 無料トライアルで操作性を確認する予定がある
- 複数のツールを比較検討する予定がある
- ベンダーのサポート体制を確認している
- 導入スケジュールの概要を策定している
- 経営層の理解・承認を得ている
導入前に整理すべき業務プロセス
MAツールを活用するためには、導入前に自社の業務プロセスを整理しておくことが不可欠です。
整理すべき項目
- リード獲得経路:Webフォーム、展示会、セミナー、広告など、どの経路からリードを獲得しているか
- リード育成シナリオ:獲得したリードをどのようなステップで育成するか
- MQL判定基準:どの条件を満たしたら営業に引き渡すか
- 営業への引き渡しルール:誰が、いつ、どのように営業に引き渡すか
- 効果測定指標:何をもってMAの効果とするか
これらを整理せずにツールを導入すると、「機能はあるのに使いこなせない」状態に陥りやすくなります。
まとめ|MAツール選びは業務プロセスとの適合性が鍵
本記事では、MAツールの選び方について、基本機能から選定ポイント、タイプ別比較、チェックリストまで解説しました。
本記事の要点
- MAツールは機能や価格だけで選ばない——自社の業務プロセスとの適合性が重要
- 「機能が多い」「導入実績が多い」だけで選ぶと使いこなせず形骸化するリスクがある
- SFA/CRM連携の可否と運用体制の確認は必須
- 導入前に業務プロセスを整理し、Must/Want機能を明確にする
- チェックリストで自社の準備状況を確認してから選定する
次のステップとして、まず自社のリード獲得経路と育成プロセスを整理し、MAで実現したいことを明確にすることをおすすめします。その上で、チェックリストを活用して選定準備を進め、無料トライアルで操作性を確認してから最終決定してください。
改めて強調すると、MAツール選びは、機能や価格だけでなく、自社の業務プロセスとの適合性と運用体制を見据えて判断することが成功の鍵です。
