IT企業マーケティング実践ガイド|7割が成果未達の原因と対策

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/910分で読めます

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IT企業のマーケティングが成果につながらない理由

IT企業のマーケティング成功の鍵は、施策を増やすことではなく、MA/SFA活用と部門連携の体制を先に整えることにあります。

JIPDEC×ITRの「企業IT利活用動向調査2025」によると、「顧客体験・顧客接点のデジタル化」で成果が出ている企業は30.9%、「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」は29.4%にとどまります。つまり、7割以上の企業がマーケティングのデジタル化で成果を出せていない状況です。

IT企業やSaaS企業は先進的なイメージがありますが、自社のマーケティング運用は未整備なケースが少なくありません。施策を増やしてもリードが商談につながらない原因は、施策そのものではなく、その前提となる体制にあることが多いのです。

この記事で分かること

  • IT業界特有のマーケティング課題と成功の前提条件
  • 効果が出やすいマーケティング施策と選定マトリクス
  • MA/SFA活用で成果を出すための運用設計
  • マーケティング部門とインサイドセールスの連携設計
  • 自社のマーケティング体制を点検するチェックリスト

IT業界特有のマーケティング課題と成功の前提条件

外向きDXとは、顧客接点・営業・マーケティングなど収益に直結する領域のデジタル化を指します。対義語は社内業務効率化の「内向きDX」です。IT企業が外向きDXで成果を出すには、施策実行の前に整えるべき体制を理解することが重要です。

グローバル調査(Adobe「AI and Digital Trends 2025」)によると、マーケティング責任者の78%が「データとAIを活用して成長を実現することを期待されている」と回答しています。一方で、カスタマーサポートの76%、リテンションの80%、休眠顧客再活性化の83%が自動化されていないという実態もあります(グローバル調査のため日本固有の数値ではありません)。

期待と実態のギャップは大きく、IT企業自身もマーケティング運用の整備が追いついていないケースが多いといえます。

IT企業が直面するマーケティングの構造的課題

リードが商談につながらない原因は、マーケティング部門と営業部門の分断、データ連携の不足にあることが多いです。

スコアリングとは、リードの行動(サイト閲覧、資料DL等)や属性に点数を付け、商談化可能性を定量評価する手法です。スコアリングが設定されていない、あるいは設定されていてもMQL定義が曖昧なために、どのリードを営業に渡すべきか判断できないという課題が生じます。

また、マーケティング部門がリードを獲得しても、営業がフォローしない、フォローしても商談化率が低い、というフィードバックがマーケに戻ってこないケースも珍しくありません。

施策実行の前に整えるべき体制とは

施策を始める前に必要な体制は、MA/SFAのデータ連携と部門間SLA(Service Level Agreement)の整備です。

施策の種類を増やせば成果が出ると考え、MA/SFA導入やコンテンツ制作を始めるものの、リードが商談につながらず投資が無駄になるという失敗パターンは非常に多いです。この考え方は誤りであり、施策の前に体制を整えることが成功の前提条件です。

IT企業で効果が出やすいマーケティング施策と選び方

BtoBマーケティングで効果が出やすい施策を選ぶには、リード獲得力と商談化しやすさの両軸で評価することが重要です。

「BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査2025」によると、昨年実施した施策は展示会52.3%、メールマーケティング37.1%、オンラインセミナー36.7%という結果でした。展示会実施企業の49.1%が「高い効果」を実感し、メディア主催オンラインセミナーは51.9%が「効果が高い」と評価しています。

また、2025年に広告・マーケティング予算を「増加予定」とする企業は32.3%、「昨年同程度」は59.8%であり、前年の増加予定42.0%から減速しています。これはROI重視の傾向を示しており、施策の選択と集中がより重要になっています。

【比較表】IT企業マーケティング施策の選定マトリクス

施策 リード獲得力 商談化しやすさ 予算規模 推奨シーン
展示会 新規リード大量獲得、対面での関係構築
メディア主催セミナー 第三者信頼性の活用、業界認知拡大
自社主催オンラインセミナー 既存リードの育成、専門性アピール
メールマーケティング 休眠顧客再活性化、検討タイミング検知
ホワイトペーパー/資料DL リード獲得、検討度合いの可視化
オウンドメディア/SEO 長期的なリード獲得基盤構築

展示会・セミナーの活用ポイント

展示会は古い施策と思われがちですが、IT製品の購買プロセスでは今も約半数の企業が実施し、効果を実感しています。展示会実施企業の49.1%が「高い効果」を実感しているというデータがこれを裏付けています。

オンラインセミナーは、メディア主催の方が自社主催より効果実感が高い傾向があります。51.9%が「効果が高い」と評価しているメディア主催セミナーは、集客力と第三者信頼性の観点で優位性があります。

コンテンツマーケティングとオウンドメディアの位置づけ

ホワイトペーパーとは、課題解決のノウハウや調査レポートをまとめた資料であり、リード獲得のダウンロードコンテンツとして活用されます。

ホワイトペーパーDL、セミナー申込、サービス資料請求など複数のCVポイントを用意することで、リードの検討度合いを可視化できます。2025年に注力したい施策として「オウンドメディア充実」「コンテンツマーケティング強化」が上位に挙がっており、長期的なリード獲得基盤として重視されています。

MA/SFA活用で成果を出すための運用設計

MAを導入しても成果が出ない主な原因は、スコアリング設定の不在、MQL定義の曖昧さ、営業との連携不足の3点です。MA単体で運用してもリードは自動的には育成されません。

日本のデジタルマーケティングソフトウェア市場は2024年に4.4億USD(約440億円)規模であり、2025〜2035年にCAGR 11.45%で成長し、2035年には14.5億USDに達すると予測されています。市場は拡大していますが、ツールを導入するだけでは成果につながりません。コンテンツ設計・スコアリング設定・営業連携の運用設計が不可欠です。

スコアリングとMQL定義の設計方法

MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動によって一定の購買意欲が確認された見込み顧客であり、インサイドセールスへの引き渡し対象となります。

スコアリングでは、行動スコア(ページ閲覧、資料DL、セミナー参加など)と属性スコア(企業規模、業種、役職など)を組み合わせます。閾値を超えたリードをMQLとして定義し、インサイドセールスに引き渡すルールを明確にすることが重要です。

MA・SFA・CRMの連携ポイント

MAで獲得・育成したリードをSFAに連携し、営業活動の履歴をCRMで管理する一連のデータフローを設計する必要があります。データ連携が不十分だと、MQLが営業に引き渡されても放置されたり、商談化後のフィードバックがマーケに戻らなかったりする問題が発生します。

連携設計のポイントは、リードステータスの定義統一、データ同期のタイミング設定、重複レコードの処理ルール策定です。

マーケティング部門とインサイドセールスの連携設計

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を継続的なコミュニケーションで育成し、商談・購買意欲を高めるマーケティング活動です。リードナーチャリングの効果を最大化するには、マーケティング部門とインサイドセールスの連携体制が不可欠です。

メールマーケティングは「休眠顧客の再活性化」「検討タイミングの検知」で商談化率向上に直結しやすい施策です。適切なタイミングでインサイドセールスにリードを引き渡すことで、商談化率が大きく向上します。

【チェックリスト】マーケティング体制整備チェックリスト

  • MQL(Marketing Qualified Lead)の定義が明文化されている
  • スコアリングルールが設定され、閾値が決まっている
  • MQL発生から営業対応までの期限(SLA)が決まっている
  • MA→SFA→CRMのデータ連携フローが設計されている
  • リードステータスの定義がマーケ・営業で統一されている
  • 週次または月次の連携MTGが設定されている
  • 商談化率・失注理由のフィードバックルールがある
  • 休眠顧客の再活性化シナリオが設計されている
  • ナーチャリング用コンテンツ(メール・資料)が準備されている
  • 各施策のKPI(リード数、MQL数、商談化率)が設定されている
  • 施策ごとのROIを計測する仕組みがある
  • マーケと営業の責任範囲が明確になっている

SLA策定とリード対応ルールの明文化

SLA(Service Level Agreement)では、MQL発生から営業対応までの期限、フォロー方法、フィードバック期限を明文化します。例えば「MQL発生から24時間以内に初回アプローチ」「1週間以内に商談化可否を報告」といったルールを設定します。

SLAがないと、リードが放置されたり、マーケがリード品質を改善するためのフィードバックを得られなかったりする問題が発生します。

定例MTGとフィードバックループの構築

継続的な改善のためには、週次・月次での振り返りMTGが重要です。週次では直近のMQL状況と対応状況を確認し、月次では商談化率、失注理由、リード品質の傾向を分析します。

フィードバックループが機能することで、マーケは施策の効果を正確に把握でき、ターゲティングやコンテンツの改善につなげられます。

まとめ:IT企業マーケティング成功の鍵は部門連携の体制整備にある

本記事では、IT企業のマーケティングで成果を出すための体制整備と施策選定について解説しました。

ポイントの整理

  • JIPDEC×ITR調査で7割以上の企業がマーケティングのデジタル化で成果未達
  • 施策を増やすだけでは成果は出ない。MA/SFA活用と部門連携の体制整備が先
  • 展示会は52.3%の企業が実施し、49.1%が高い効果を実感
  • スコアリング・MQL定義・SLAの明文化が成果を左右する

IT企業のマーケティング成功の鍵は、施策を増やすことではなく、MA/SFA活用と部門連携の体制を先に整えることにあります。本記事のチェックリストを活用し、自社のマーケティング体制を点検することから始めてみてください。

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よくある質問

Q1IT企業のマーケティングで最も効果が高い施策は何ですか?

A1BtoB IT製品の購買プロセスでは展示会が52.3%の企業で実施され、49.1%が高い効果を実感しています。メディア主催オンラインセミナーも51.9%が効果が高いと評価しています。ただし施策単体の効果よりも、リードを商談につなげる体制が整っているかが成果を左右します。

Q2MAを導入しましたが成果が出ません。何が問題でしょうか?

A2MAを導入しても成果が出ない主な原因は、スコアリング設定の不在、MQL定義の曖昧さ、営業との連携不足の3点です。MA単体で運用してもリードは育成されず、SFAとのデータ連携、営業へのリード引き渡しルール(SLA)を整備することが必要です。グローバル調査ではカスタマーサポートの76%、リテンションの80%が自動化されていないという実態もあります。

Q3マーケティング予算を増やせば成果は上がりますか?

A32025年の調査では予算増加を予定する企業は32.3%にとどまり、前年の42.0%から減速しています。これはROI重視の傾向を示しています。予算を増やすだけでなく、リードを商談につなげる体制整備と施策の選択と集中が重要です。

Q4IT企業でマーケティングのデジタル化はどの程度進んでいますか?

A4JIPDEC×ITR調査によると、「顧客体験・顧客接点のデジタル化」で成果が出ている企業は30.9%、「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」は29.4%です。7割以上の企業が成果未達の状態であり、IT・SaaS企業であっても自社のマーケ運用は未整備なケースが多いといえます。

Q5マーケティング責任者に今求められていることは何ですか?

A5グローバル調査(Adobe)ではマーケティング責任者の78%が「データとAIを活用して成長を実現することを期待されている」と回答しています。一方でカスタマーサポートの76%、リテンションの80%が自動化されておらず、期待と実態にギャップがあります。AI活用の前にまず基盤となる体制整備が必要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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