リード獲得の課題と本記事の目的
多くの方が悩むBtoBリード獲得方法。結論は、リード獲得は施策を実行するだけでなく、MA/SFAでの管理・育成・商談化までの一気通貫設計があって初めて成果につながるということです。
この記事で分かること
- リード獲得施策を実行しても商談化につながらない理由と解決策
- 主要なリード獲得施策の一覧と選定基準
- MA/SFA連携を前提としたリード獲得前の準備チェックリスト
- リード獲得から商談化までの一気通貫フロー設計
- 実際の成功事例とコンバージョン率の現実
2025年BtoB企業経営者調査によると、リード獲得施策でSNSが36.4%で最多となり、効果実感でも1位を獲得しています。しかし同時に、リード数の理想未達が41.1%、質の理想未達が48.6%に達しているのが現状です。
さらに、リード獲得課題の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」が40.9%で、課題解決のため約4割の企業がターゲット見直しを実施している状況です。
本記事では、リード獲得施策の一覧だけでなく、MA/SFA連携を前提とした準備から商談化までの一気通貫設計を中心に解説します。
リード獲得の基礎知識と現状の課題
リード獲得の成功には、施策選定の前に基本概念と現実的なコンバージョン率の理解が不可欠です。このセクションでは、リード獲得の定義、BtoBファネルの実態、そしてなぜリード獲得だけでは商談化しないのかを解説します。
リード獲得とは
リード獲得とは、自社の製品・サービスに関心を持つ見込み顧客(会社名、担当者名、部署、役職、連絡先などの情報)を収集するプロセスです。
BtoBビジネスにおけるリード獲得は、単なる名刺交換や問い合わせフォームの送信だけでなく、後続のマーケティング施策や営業活動に活用できる「質の高い情報」を取得することが重要とされています。具体的には、企業規模、業種、予算感、導入時期、意思決定者の情報などが含まれます。
BtoBファネルのコンバージョン率と成約までの道のり
BtoBファネルのコンバージョン率は、リード→MQL(Marketing Qualified Lead)が15-20%、MQL→SQL(Sales Qualified Lead)が40-60%、BtoBリード成約率は1-2%、営業平均成約率は20%と言われています。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動により一定の基準を満たしたリードです。スコアリングやグレーディングで定義され、営業に引き渡される見込み顧客を指します。
SQL(Sales Qualified Lead) は、営業部門が商談可能と判断したリードです。MQLから営業の評価を経て、商談フェーズに進むリードとなります。
このファネル構造を見ると、100件のリードを獲得しても、MQLになるのは15-20件、SQLになるのはそのうちの40-60%(6-12件)、最終的に成約するのは1-2件という厳しい現実が見えてきます。
リード獲得だけでは商談化しない理由
リード獲得施策を実行しても、MA/SFAでの管理体制が整っていないため、獲得したリードが放置され商談化率が低いまま終わるという失敗パターンがあります。
この失敗の主な原因は以下の通りです:
- リード獲得後のフォローアップ体制が未整備で、獲得したリードが営業に引き渡されずに放置される
- MQL定義が不明確で、営業とマーケティングの間でリードの質に関する認識がずれる
- スコアリング基準が設定されておらず、優先順位の高いリードを見極められない
- MA/SFA連携が不十分で、リードの行動データが営業に共有されない
リードナーチャリング(獲得したリードを育成し、購買意欲を高めて商談化につなげる活動)が機能していない場合、どれだけリードを獲得しても商談化には至りません。リード獲得はゴールではなく、あくまでコミュニケーションのスタート地点であることを認識する必要があります。
主要なリード獲得施策一覧
主要なリード獲得施策は、オンラインとオフラインに大別されます。2025年の調査では、SNSが36.4%で最多となり、効果実感でも1位を獲得していますが、施策選定は自社のターゲット・ペルソナに合わせることが重要です。
オンライン施策
オンライン施策は、デジタルチャネルを活用したリード獲得方法です。主な施策は以下の通りです:
SEO・オウンドメディア マイナビTECH+では、オウンドメディア8ヶ月運営でPV645%増、再訪500%増、リード獲得575%増を達成した事例があります。検索エンジン経由の流入は、能動的に情報を探している質の高いリードを獲得しやすい傾向があります。
SNS(LinkedIn中心) 2025年BtoB企業経営者調査によると、SNSが36.4%で最多のリード獲得施策となり、効果実感でも1位を獲得しています。特にBtoBでは、LinkedIn Sales Navigatorを活用した事例でリード獲得率200%増を実現した報告もあり、BtoBリードの80%がLinkedIn経由で生成されているというデータもあります。
ホワイトペーパー GIG LeadGrid BLOGでは、ホワイトペーパー活用により月間セッション6.6倍、リード獲得2.4倍を実現しています。導入決定企業の71%がホワイトペーパーを参照しており、育成初期段階で有効とされています。
Web広告(リスティング・ディスプレイ・SNS広告) 2025年Web広告運用調査によると、課題トップは「費用対効果向上」が47.2%、「質の高いリード獲得」が46.2%となっています。予算増額予定は約6割で、引き続き重要な施策として位置づけられています。
ウェビナー オンラインで開催可能なウェビナーは、地理的制約なく多数の参加者を集められる施策です。参加登録時に詳細な情報を取得でき、参加者の関心度も高い傾向があります。
その他のオンライン施策
- メールマーケティング(既存リストへのナーチャリング)
- プレスリリース配信
- ポッドキャスト・動画コンテンツ
- オンラインコミュニティ運営
オフライン施策
オフライン施策は、対面でのエンゲージメントと信頼構築が強みです。主な施策は以下の通りです:
展示会・カンファレンス ブース出展により、短期間で大量のリード獲得が可能です。ただし、展示会で獲得したリードは温度感にばらつきがあるため、獲得後の迅速なフォローアップとスコアリングが重要となります。
セミナー・勉強会 自社主催のセミナーや業界勉強会は、特定のテーマに関心を持つ質の高いリードを集めやすい施策です。参加者との対話を通じて、課題や予算感を直接ヒアリングできる利点があります。
その他のオフライン施策
- テレアポ(アウトバウンド営業)
- ダイレクトメール(DM)送付
- ネットワーキングイベント
- 業界団体での講演
LAC(Lead Acquisition Cost) とは、リード獲得単価、つまり1件のリードを獲得するためにかかったコストです。施策選定では、LACだけでなくMQL転換率や商談化率を含めて評価することが推奨されます。
リード獲得前の準備:MA/SFA連携設計
リード獲得施策を実行する前に、MA/SFAでの管理体制を整えることが成功の鍵です。このセクションでは、準備すべき3つの要素(ターゲット・ペルソナ設定、MQL定義、MA/SFA連携設定)と、具体的なチェックリストを提供します。
【チェックリスト】リード獲得前準備チェックリスト
- ターゲット企業の規模・業種・地域を定義済み
- ペルソナ(役職・部署・課題)を文書化済み
- MQL定義をマーケティング・営業間で合意済み
- スコアリング基準(行動スコア・属性スコア)を設定済み
- グレーディング基準(企業規模・業種等)を設定済み
- 営業引き渡しフロー(MQL→SQL判定プロセス)を文書化済み
- MA/SFA連携設定(Salesforce等)を完了済み
- リードソース別トラッキング設定(UTMパラメータ等)を完了済み
- リード受付フォームの入力項目を最適化済み
- ナーチャリングシナリオ(ステップメール等)を設計済み
- リードスコアが一定値を超えた際の通知設定を完了済み
- 営業担当者へのリードアサインルールを設定済み
- リード対応SLA(Service Level Agreement)を営業と合意済み
- ダッシュボードでリード状況を可視化済み
- リードデータのクレンジングルールを設定済み
ターゲット・ペルソナ設定
リード獲得施策の効果を高めるには、ターゲット企業とペルソナの明確化が不可欠です。リード獲得課題の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」が40.9%で、課題解決のため約4割の企業がターゲット見直しを実施しています。
ターゲット設定では、以下の要素を定義します:
- 企業規模(従業員数・売上規模)
- 業種・業界
- 地域
- 企業の成長フェーズ(スタートアップ・成長期・成熟期)
ペルソナ設計では、意思決定者や影響者の具体的な人物像を描きます:
- 役職・部署
- 抱えている課題
- 情報収集の方法(検索・SNS・業界メディア等)
- 意思決定プロセス(稟議の有無・決裁者)
MQL定義とスコアリング基準
MQL定義とスコアリング基準を営業部門と合意することで、質の高いリードを優先的に営業に引き渡せます。
MQL(Marketing Qualified Lead) は、マーケティング活動により一定の基準を満たしたリードです。スコアリングやグレーディングで定義され、営業に引き渡される見込み顧客となります。
スコアリング基準の例:
- 行動スコア:メール開封+1点、資料ダウンロード+15点、料金ページ閲覧+10点、ウェビナー参加+20点
- 属性スコア:役職がマネージャー以上+10点、従業員数100名以上+5点
- MQL判定ライン:合計スコア50点以上
グレーディング基準の例:
- グレードA:ターゲット業種かつ従業員数100名以上
- グレードB:ターゲット業種だが従業員数100名未満
- グレードC:ターゲット外業種
営業部門との合意形成では、「どのスコア・グレードのリードを引き渡すか」「引き渡し後の対応SLA(初回コンタクトまでの時間)」を明確にすることが重要です。
MA/SFA連携設定
MA/SFA連携の具体的設定は、リード情報の一元管理と営業へのスムーズな引き渡しに不可欠です。
主な設定項目:
- Salesforce等のSFA連携設定(API連携・データ同期頻度)
- リードソース別トラッキング設定(Google Analytics・UTMパラメータ)
- フォーム入力項目の最適化(必須項目の絞り込みでフォーム離脱率を下げる)
- リードスコアが閾値を超えた際の営業への自動通知設定
- リードアサインルール(地域別・業種別の担当者振り分け)
MA/SFA導入済みだが活用不全の企業では、以下の改善策が有効とされています:
- スコアリング設定の見直し(営業が実際にアプローチしやすいスコア設計)
- ダッシュボードの整備(リード状況を営業・マーケティング双方が可視化)
- データクレンジングの定期実行(重複リード・無効リードの削除)
リード獲得から商談化までの一気通貫フロー
リード獲得後の管理・育成・商談化までの一気通貫フローを設計することで、獲得したリードを確実に商談につなげられます。このセクションでは、スコアリングからナーチャリング、営業引き渡しまでの具体的なフローを解説します。
【フロー図】リード獲得から商談化までの一気通貫フロー
flowchart TD
A[リード獲得] --> B[リードデータ登録・クレンジング]
B --> C[スコアリング・グレーディング]
C --> D{MQL基準を満たす?}
D -->|No| E[リードナーチャリング]
E --> F[スコア蓄積]
F --> C
D -->|Yes| G[営業へ引き渡し]
G --> H[営業によるSQL判定]
H --> I{商談可能?}
I -->|No| J[マーケティングへ戻す]
J --> E
I -->|Yes| K[商談開始]
K --> L[提案・見積]
L --> M{成約?}
M -->|Yes| N[受注]
M -->|No| O[失注分析]
O --> E
このフローは、リード獲得をスタート地点として、MA/SFAでの管理・育成・商談化までを一気通貫で設計したものです。各段階での具体的なアクションを次に解説します。
リード獲得後のスコアリング
リード獲得後、まずリードデータをMAに登録し、スコアリング・グレーディングを実施します。
スコアリングの仕組み:
- リードの行動(メール開封、Webページ閲覧、資料ダウンロード、ウェビナー参加等)に応じてスコアを加算
- 属性情報(役職、企業規模、業種等)に応じてスコアまたはグレードを設定
- 合計スコアが閾値(例:50点)を超えたリードをMQLと判定
スコアリング運用のポイント:
- スコアの減衰ルールを設定(一定期間活動がないリードはスコアを減算)
- 営業フィードバックに基づきスコアリング基準を定期的に見直す
- 異常に高いスコアを持つリード(ボットや競合調査)を検出・除外
リードナーチャリングと営業引き渡し
MQL基準を満たさないリードは、リードナーチャリングにより育成します。リードナーチャリングとは、獲得したリードを育成し、購買意欲を高めて商談化につなげる活動です。
ナーチャリング施策の例:
- ステップメール配信(課題解決ノウハウ、導入事例、製品情報を段階的に提供)
- リターゲティング広告配信
- ウェビナー・セミナーへの招待
- パーソナライズされたコンテンツ提供(閲覧履歴に基づく推奨記事)
スコアが蓄積されMQL基準を満たしたリードは、営業部門に引き渡されます。営業部門では、SQL(Sales Qualified Lead) 判定を行います。SQLは、営業部門が商談可能と判断したリードで、MQLから営業の評価を経て、商談フェーズに進みます。
営業引き渡しのポイント:
- MQL発生時に営業へ自動通知(SLA:初回コンタクトまで24時間以内等)
- リードの行動履歴・スコア詳細を営業と共有
- SQL判定で「商談不可」となったリードは、マーケティングに戻してナーチャリング継続
BtoBファネルコンバージョン率(リード→MQL 15-20%、MQL→SQL 40-60%、成約率1-2%)を踏まえると、一気通貫フローの各段階で離脱を最小化する設計が重要です。
まとめ:リード獲得成功のポイント
リード獲得は、施策を実行するだけでなく、MA/SFAでの管理・育成・商談化までの一気通貫設計があって初めて成果につながります。
本記事で解説した要点を整理します:
1. リード獲得施策の選定 2025年の調査では、SNS(特にLinkedIn)が36.4%で最多となり効果実感も1位ですが、自社のターゲット・ペルソナに合わせた施策選定が重要です。オンライン施策(SEO、ホワイトペーパー、ウェビナー、Web広告等)とオフライン施策(展示会、セミナー等)を組み合わせ、LACだけでなくMQL転換率で評価します。
2. MA/SFA連携準備の徹底 リード獲得施策を実行する前に、ターゲット・ペルソナ設定、MQL定義とスコアリング基準の営業合意、MA/SFA連携設定を完了させます。準備チェックリストを活用し、獲得したリードが放置されない体制を整えます。
3. 一気通貫フローの構築 リード獲得→スコアリング→ナーチャリング→MQL→営業引き渡し→SQL→商談→成約の流れを設計し、各段階での離脱を最小化します。BtoBファネルコンバージョン率の現実(成約率1-2%)を踏まえ、ナーチャリングによる育成と営業との連携を強化します。
次のアクション まずMA/SFA連携設計を整備してから、リード獲得施策を実行してください。準備が整っていない状態で施策を実行しても、獲得したリードが放置され商談化率が低いまま終わるという失敗パターンに陥ります。本記事のチェックリストとフロー図を活用し、一気通貫設計を実現しましょう。
