SaaS商談化率30〜40%の壁|計測・可視化の仕組み構築が出発点

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/910分で読めます

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SaaS企業の商談化率が改善しない本当の理由

先に答えを言うと、SaaS企業の商談化率改善は、施策の前にまずMA/SFAで商談化率を正確に計測・可視化できる仕組みを構築することが出発点であり、計測環境が整って初めてデータに基づく改善PDCAが回せるようになります。

商談化率とは、獲得したリードのうち、営業商談(アポ獲得)に進んだ割合を指します。計算式は「商談件数÷リード数×100」です。

日本のBtoB向けSaaS企業の商談化率は平均30〜40%とされており、多くの企業がこの水準に到達できず苦戦しています(業界調査ベースの相場感であり、公的統計ではありません)。また、CRM導入企業の平均商談化率は30〜40%であるのに対し、非導入企業では15〜20%程度にとどまるというデータもあります。この差が示すのは、計測・可視化の環境が整っていることが改善の前提条件であるということです。

この記事で分かること

  • 商談化率の正確な定義とMQL・SQLの違い
  • SaaS業界の商談化率ベンチマークとターゲット規模別の目安
  • MA/SFAで商談化率を計測・可視化する仕組みの構築方法
  • 計測環境が整った後に取り組むべき改善PDCAのアプローチ
  • 自社の計測環境を確認するためのチェックリスト

商談化率の定義と計算方法|SaaSで押さえるべき基本

商談化率を正確に把握するには、計算式だけでなくMQL・SQLの定義を明確にすることが前提条件です。定義が曖昧なままでは、他社比較も自社の改善効果検証もできません。

商談化率の計算式は以下のとおりです。

商談化率(%)= 商談件数 ÷ リード数 × 100

しかし、この計算式を使う前に「リード」と「商談」の定義を明確にする必要があります。同じ「商談化率30%」でも、リードの定義が異なれば意味が大きく変わります。

MQL・SQLの定義が商談化率を左右する

MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得し、一定の条件を満たした見込み客を指します。営業へ引き渡す前段階のリードです。

SQL(Sales Qualified Lead) とは、営業が商談対象として認定したリードを指します。MQLから精査・ヒアリングを経て昇格します。

MQLとSQLの違いを理解することは重要です。MQL→SQLの転換率を「商談化率」と呼ぶ場合もあれば、問い合わせ全体から商談に至った割合を指す場合もあります。この定義が社内で統一されていないと、数値の信頼性が担保できず、改善施策の効果検証もできません。

マーケティング部門とインサイドセールスで「どの条件を満たしたらMQLとするか」「どの段階でSQLに昇格させるか」を共同で策定することが、商談化率計測の第一歩です。

SaaS業界の商談化率ベンチマーク|ターゲット規模別の目安

SaaS業界の商談化率は、ターゲットとする顧客規模によって異なります。自社の商談化率を評価する際は、同じターゲット層のベンチマークと比較することが重要です。

【比較表】SaaS業界商談化率ベンチマーク比較表

区分 商談化率の目安 備考
SaaS全体(日本BtoB) 30〜40% 多くの企業がこの水準に到達できず苦戦
エンタープライズ向けSaaS 25〜35% 決裁プロセスが長く、商談化に時間を要する
SMB向けSaaS 35〜45% 意思決定スピードが速く、商談化しやすい
SaaS・IT業界全般 20〜40% 商材やターゲットにより幅がある
広告・マーケティング業界 10〜25% SaaSと比較すると低めの傾向
製造・BtoB卸業界 5〜15% 商談化に時間を要するケースが多い

※これらの数値は業界調査ベースの相場感であり、公的統計ではありません。企業規模・ターゲット・商材によって大きく異なります。

ターゲット規模による商談化率の違い

SaaS企業の商談化率はターゲット規模で異なり、エンタープライズ向けは25〜35%、SMB向けは35〜45%程度とされています。

この差が生まれる背景には、決裁プロセスの違いがあります。エンタープライズ向けでは、複数の意思決定者が関与し、社内稟議や予算承認のプロセスが必要なため、商談化までに時間がかかります。一方、SMB向けでは意思決定者が少なく、決裁スピードが速いため、商談化率が高くなる傾向があります。

自社の商談化率を評価する際は、ターゲット層が似ている企業のベンチマークと比較することで、より正確な立ち位置が把握できます。

商談化率を正確に計測・可視化する仕組みの構築

商談化率の改善施策に着手する前に、まず計測・可視化の仕組みを整えることが不可欠です。 商談化率を正確に計測・可視化できる仕組みがないまま、コンテンツ強化やナーチャリング改善などの施策に着手しても、効果検証ができず場当たり的な改善を繰り返してしまうという失敗パターンは非常に多いです。

リードナーチャリングとは、見込み客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動を指します。メール配信やコンテンツ提供などで実施します。

CRM導入企業の平均商談化率は30〜40%であるのに対し、非導入企業では15〜20%程度にとどまるというデータがあります。この差は、ツール導入による自動化効果だけでなく、計測・可視化の仕組みが整っていることで改善PDCAが回せるようになることを示しています。

【チェックリスト】SaaS商談化率計測・可視化チェックリスト

  • MQL(Marketing Qualified Lead)の定義が社内で明文化されている
  • SQL(Sales Qualified Lead)の定義が社内で明文化されている
  • MQL→SQLの判定基準がマーケとセールスで合意されている
  • リードの流入経路(チャネル)がトラッキングできている
  • リードの行動履歴(ページ閲覧、資料DL等)が記録されている
  • MA(マーケティングオートメーション)でリードスコアリングを実施している
  • MAとSFA/CRMのデータ連携が設定されている
  • リードステータスの更新ルールが決まっている
  • 商談化率をダッシュボードで可視化できている
  • チャネル別・施策別の商談化率を比較できる
  • 月次・週次での商談化率推移を確認できる
  • MQL→SQL→商談→受注のファネル分析ができる
  • マーケとインサイドセールスの定例MTGで数値を共有している
  • 商談化率の目標値(KPI)が設定されている
  • 商談化に至らなかったリードの失注理由を分析できる

MA/SFAでの計測環境構築のポイント

計測環境を構築する際のポイントは、以下の流れで進めることです。

  1. リード定義の明確化: MQL・SQLの定義をマーケとセールスで共同策定する
  2. データ連携の設計: MAで獲得したリードデータをSFA/CRMに連携する仕組みを構築する
  3. ステータス管理の設計: リードの状態遷移(新規→MQL→SQL→商談→受注/失注)を管理できるようにする
  4. ダッシュボード設計: 商談化率をリアルタイムで可視化できるダッシュボードを構築する

ツールの選定よりも、まず「何を計測するか」「どう定義するか」を決めることが重要です。

商談化率改善のPDCAを回す実践アプローチ

計測環境が整った後に取り組むべきは、データに基づいた改善PDCAです。商談化率50%以上のBtoB企業に共通する特徴から、改善のヒントを得ることができます。

インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン商談などで非対面で営業活動を行う手法を指します。リード育成から商談化を担当します。

高商談化率企業に共通する初回接触のスピード

商談化率50%以上のBtoB企業の約半数が、リードに対して当日中〜2日以内に初回接触しているというデータがあります(調査対象は限定的なサンプルです)。

また、高商談化率企業ではアポイント獲得に必要な平均接触回数は2〜3回が最多とされています。

これらのデータが示唆するのは、初回接触のスピードが商談化率に影響するという点です。リードが興味を持っているタイミングを逃さずにアプローチすることで、商談化の可能性が高まります。

マーケとインサイドセールスの連携強化

商談化率改善には、マーケティング部門とインサイドセールスの連携が不可欠です。具体的には以下の取り組みが有効です。

  • MQL・SQLの定義共有: 両部門で定義を共同策定し、認識を合わせる
  • 引き渡し基準のSLA化: MQL発生から初回接触までの時間目標を設定する
  • フィードバックループの構築: 商談化しなかったリードの理由をマーケにフィードバックし、リード品質の改善に活かす
  • 定例MTGの実施: 週次・月次で商談化率の推移を確認し、課題を共有する

計測環境が整っていることで、これらの取り組みの効果を数値で検証できるようになります。

まとめ:商談化率改善は計測・可視化の仕組み構築から

本記事では、SaaS企業の商談化率改善における計測・可視化の重要性を解説しました。

ポイントの整理

  • 日本のBtoB向けSaaS企業の商談化率は平均30〜40%とされているが、多くの企業が到達できていない(業界調査ベースの相場感)
  • CRM導入企業と非導入企業では商談化率に15〜20ポイントの差がある
  • 商談化率改善の出発点は、施策の実行ではなく計測・可視化の仕組み構築
  • MQL・SQLの定義を明確化し、MAとSFA/CRMのデータ連携を整備することが第一歩
  • 計測環境が整った後、初回接触のスピードや部門間連携の改善に取り組む

商談化率の改善施策に着手する前に、まず自社の計測環境を確認してください。本記事のチェックリストを活用し、MQL・SQLの定義が明確か、商談化率がダッシュボードで可視化できているかを点検することから始めることをおすすめします。

SaaS企業の商談化率改善は、施策の前にまずMA/SFAで商談化率を正確に計測・可視化できる仕組みを構築することが出発点であり、計測環境が整って初めてデータに基づく改善PDCAが回せるようになります。

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よくある質問

Q1SaaS企業の商談化率の平均はどれくらいですか?

A1日本のBtoB向けSaaS企業では平均30〜40%とされています。ただしこれは業界調査ベースの相場感であり、公的統計ではありません。ターゲット規模によっても異なり、エンタープライズ向けは25〜35%、SMB向けは35〜45%程度とされています。

Q2商談化率の計算方法を教えてください

A2商談化率=商談件数÷リード数×100で計算します。ただし「リード」「商談」の定義(MQL/SQLの基準など)を明確にしないと数値が大きくブレるため、定義の明確化が前提となります。

Q3CRMを導入すれば商談化率は上がりますか?

A3CRM導入企業の平均商談化率は30〜40%、非導入企業は15〜20%程度というデータがあります。ただしツール導入だけでなく、リード定義の明確化や運用体制の整備が必須です。導入しただけでは自動的に上がるわけではありません。

Q4商談化率を上げるために最初に何をすべきですか?

A4まず商談化率を正確に計測・可視化できる仕組みを構築することです。MQL/SQLの定義を明確化し、MA/SFAでデータを一元管理します。計測環境が整って初めて、施策の効果検証ができるようになります。

Q5高商談化率の企業に共通する特徴は何ですか?

A5商談化率50%以上のBtoB企業の調査では、約半数がリードに対して当日〜2日以内に初回接触しています。また、アポイント獲得に必要な接触回数は2〜3回が最多とされています。初回接触のスピードが重要な要素です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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