Salesforceでカスタマーサクセスを実現|Service Cloud活用と顧客管理の実践

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

Salesforceを使って顧客の成功を支援したいと考えていませんか?

「顧客データはあるけれど、活用できていない」「解約を防ぎたいが、兆候をつかめない」──サブスクリプション型ビジネスを展開する企業の多くが、カスタマーサクセスの体制構築に課題を抱えています。

Salesforceは単なるCRMツールではなく、カスタマーサクセス活動を支える基盤としても活用できます。顧客データの一元管理から、ヘルススコアの可視化、解約防止施策まで、Salesforceエコシステム内でCS活動を最適化することが可能です。

この記事では、Salesforceを活用したカスタマーサクセスの実践方法について、機能・製品の紹介から、ヘルススコア管理、運用ポイント、専用CSツールとの比較まで解説します。

この記事のポイント:

  • カスタマーサクセスは「能動的」に顧客の成功を支援する活動、カスタマーサポートは「受動的」な対応
  • Salesforceでは Service Cloud、Sales Cloud、CRM Analytics を組み合わせてCS活動を実現
  • ヘルススコア設計により解約兆候を早期検知(事例:解約率4% → 2.62%への改善)
  • 主なKPIはLTV、チャーンレート(解約率)、NPS、ヘルススコア
  • 専用CSツール(Gainsight等)との連携で機能拡張も可能

1. Salesforceで実現するカスタマーサクセスとは

(1) カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、混同されがちですが異なる概念です。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの比較:

項目 カスタマーサクセス カスタマーサポート
アプローチ プロアクティブ(能動的) リアクティブ(受動的)
目的 顧客の成功・目標達成を支援 顧客の問題・疑問を解決
時間軸 長期的な関係構築 短期的な問題解決
指標 LTV、チャーンレート、NPS 応答時間、解決率

カスタマーサクセスは、顧客が製品・サービスを通じて目標達成や成功を実現するために、企業側から能動的にサポートする活動です。特にサブスクリプション型ビジネスモデルでは、顧客の継続利用が収益に直結するため、カスタマーサクセスの重要性が高まっています。

(参考:Salesforce公式「カスタマーサクセスとは?」2025年)

(2) Salesforce流カスタマーサクセスの定義

Salesforce社自身もカスタマーサクセスを実践しており、その定義は「Salesforceを使ってビジネスで成果をあげてもらうこと」とされています。

Salesforce流カスタマーサクセスのアプローチ:

  1. 顧客ごとのゴール確認: 顧客が達成したい目標を明確にする
  2. 事例・機能の紹介: 目標達成に役立つ事例や機能を提案
  3. 実装サポート: 機能を実際に使えるようにする支援
  4. 定着サポート: 継続的に活用してもらうための支援

単にツールを提供するだけでなく、顧客が成果を出せるようになるまでサポートするのがSalesforce流です。

(参考:Salesforceブログ「カスタマーサクセスとは何か?Vol.2 Salesforce流カスタマーサクセスの方法」)

(3) SaaSビジネスでの重要性

SaaS・サブスクリプション型ビジネスでは、カスタマーサクセスが収益に直結します。

カスタマーサクセスが重要な理由:

  • 新規顧客獲得コストは既存顧客維持の5〜25倍と言われている
  • 解約率を下げることで、LTV(顧客生涯価値)が向上
  • 満足した顧客がリファラル(紹介)を生む
  • アップセル・クロスセルの機会が増える

カスタマーサクセスツール市場は、2023年から2028年の間に年率10%以上の成長が見込まれており、企業のCS活動への投資は今後も拡大すると予測されています。

2. Salesforceのカスタマーサクセス向け機能と製品

Salesforceには、カスタマーサクセス活動を支援する複数の製品・機能があります。

(1) Service Cloud|顧客管理とコミュニケーション基盤

Service Cloud は、サービス部門担当者が顧客管理やコミュニケーションを行うための製品です。カスタマーサクセスの基盤として活用できます。

Service Cloudでできること:

  • 顧客情報の一元管理
  • 問い合わせ履歴の管理・可視化
  • ケース(問い合わせ)管理と対応フロー
  • ナレッジベース(FAQ)の構築
  • オムニチャネル対応(電話、メール、チャット等)

顧客が利用中のサービスや問い合わせ内容を一元管理することで、担当者は即座に必要な情報を把握し、パーソナライズされたコミュニケーションが可能になります。

(2) Sales Cloud|契約管理と更新プロセス

Sales Cloud は営業向けのCRM/SFAツールですが、カスタマーサクセスでも契約管理や更新プロセスの管理に活用できます。

Sales Cloudの活用シーン:

  • 契約情報の管理(開始日、終了日、金額など)
  • 更新予定の可視化とアラート設定
  • アップセル・クロスセルの商談管理
  • 顧客との関係者マッピング

Service Cloudと連携させることで、顧客サポートの履歴と契約情報を紐づけて管理できます。

(3) CRM Analytics|顧客分析と定着化施策

CRM Analytics(旧Tableau CRM / Einstein Analytics)は、Salesforce上のデータを分析・可視化するBIツールです。

CRM Analyticsでできること:

  • サービス利用状況の分析
  • 解約リスクの予測
  • 顧客セグメント別のダッシュボード作成
  • AI(Einstein)による予測分析

サービス活用が進んでいない顧客を特定し、定着化・解約防止の施策を実行するための分析基盤として活用できます。

3. ヘルススコア管理と解約防止|CRM Analyticsの活用

(1) ヘルススコアの設計|サービス利用状況の可視化

ヘルススコア とは、顧客の健全性を示す指標です。サービス利用状況、満足度、エンゲージメントなどから算出し、顧客の状態を数値で把握します。

ヘルススコアの構成要素(例):

要素 内容 重み
ログイン頻度 週あたりのログイン回数 25%
機能利用率 コア機能の利用状況 30%
サポート問い合わせ 問い合わせ数と解決率 20%
NPS/満足度 アンケート結果 15%
契約更新 更新予定までの期間 10%

ヘルススコアの設計は業種・サービスによって異なります。自社のサービス特性に合わせてカスタマイズすることが重要です。

(2) 解約兆候の早期検知|スコアリングによる管理

ヘルススコアを継続的にモニタリングすることで、解約兆候を早期に検知できます。

スコアリングによる管理のポイント:

  • スコア低下時のアラート設定
  • 低スコア顧客への優先的なフォロー
  • スコア変動のトレンド分析
  • 解約に至った顧客のパターン分析

SalesforceのワークフローやEinstein機能を活用することで、スコア低下時に自動でタスクを作成したり、担当者に通知を送ることも可能です。

(3) 成功事例|解約率4% → 2.62%への改善

スコアリングによるユーザー管理で解約兆候を事前にキャッチアップし、解約率を大幅に引き下げた事例が報告されています。

改善事例:

  • 解約率: 4% → 2.62%(約35%改善)
  • 施策: ヘルススコア低下時のプロアクティブなフォロー

※成果数値は企業規模・業種・運用体制により異なります。上記はあくまで参考値としてご覧ください。

4. Salesforceを活用したカスタマーサクセスの運用ポイント

(1) KPI設定|LTV、チャーンレート、NPS、ヘルススコア

カスタマーサクセスの成果を測定するために、適切なKPIを設定することが重要です。

カスタマーサクセスの主なKPI:

KPI 説明
LTV(顧客生涯価値) 1顧客が生涯にわたってもたらす利益の総額
チャーンレート(解約率) 一定期間内に解約した顧客の割合
NPS(ネット・プロモーター・スコア) 顧客ロイヤルティを測定する指標
ヘルススコア 顧客の健全性を示す複合指標
GRR(グロス・リテンション・レート) 既存顧客からの維持収益率
NRR(ネット・リテンション・レート) アップセル・クロスセルを含む収益維持率

(参考:Salesforce公式「カスタマーサクセスで重要なKPI13選」2024年、Fullstar「カスタマーサクセスのKPIとは?重要14指標」2024年)

KPIを適切に設定すれば、担当者が変わっても一貫性のある支援を行え、定量的な数値を元に業務改善を図りやすくなります。

(2) 顧客ごとのゴール確認と実装・定着サポート

ツール導入だけでは成果は出ません。顧客ごとに異なるゴールを確認し、実装から定着までをサポートすることが重要です。

運用のステップ:

  1. オンボーディング: 新規顧客への導入支援、初期設定のサポート
  2. ゴール設定: 顧客が達成したい目標を明確化
  3. 活用支援: 機能説明、ベストプラクティスの共有
  4. 定着確認: 利用状況のモニタリング、追加サポート
  5. 成果確認: 目標達成度の振り返り、次のステップ提案

(3) 成功事例|SmartHR(継続率99.5%)、オイシックスの施策

カスタマーサクセスに成功している企業の事例を紹介します。

SmartHR:

  • 継続利用率: 99.5%という高水準を維持
  • 専任のカスタマーサクセスチームによるプロアクティブなサポート

オイシックス:

  • Salesforce Marketing Cloud導入により、注文未変更者を63%削減
  • データに基づいたパーソナライズされたコミュニケーション

(参考:Techtouch「カスタマーサクセスの事例15選」2024年)

※成果数値は企業規模・業種・運用体制により異なります。

5. 専用CSツールとの比較・連携|拡張オプションの検討

(1) Salesforce単体での限界と拡張性

Salesforceは強力なCRM基盤ですが、カスタマーサクセスに特化した機能は限定的です。

Salesforce単体でできること:

  • 顧客情報の一元管理
  • 問い合わせ・サポート履歴の管理
  • 基本的なレポート・ダッシュボード
  • ワークフローによる自動化

専用CSツールが得意なこと:

  • 高度なヘルススコア設計・自動計算
  • オンボーディングの進捗管理
  • チャーンリスク予測(AI活用)
  • カスタマージャーニーの可視化

SalesforceはAppExchangeを通じて多くの連携アプリを追加できるため、必要に応じて機能拡張が可能です。

(2) 専用CSツール(Gainsight等)との連携

高度なカスタマーサクセス機能が必要な場合、Gainsight、ChurnZero、Totangoなどの専用CSツールとSalesforceを連携させる選択肢があります。

連携のメリット:

  • Salesforceの顧客データを基盤としつつ、高度なCS機能を追加
  • ヘルススコアの自動計算・アラート
  • プレイブック(対応シナリオ)の自動実行
  • チャーンリスクのAI予測

検討のポイント:

  • 導入・運用コスト(専用ツールは月額数十万円〜)
  • 社内のCS成熟度(まずはSalesforce単体で運用してから検討も)
  • Salesforceとの連携実績

(3) 4つのツールタイプ|コミュニティ構築、顧客状態把握、利用方法ガイド、問い合わせ対応

カスタマーサクセスツールは、大きく4つのタイプに分類されます。

カスタマーサクセスツールの4タイプ:

タイプ 目的
コミュニティ構築型 顧客同士の交流促進 Salesforce Experience Cloud
顧客状態把握型 ヘルススコア・解約予測 Gainsight、ChurnZero
利用方法ガイド型 オンボーディング・チュートリアル WalkMe、Pendo
問い合わせ対応効率化型 サポート業務の効率化 Salesforce Service Cloud

(参考:ASPIC Japan「カスタマーサクセスツールおすすめ15選」2024年)

自社の課題に応じて、適切なタイプのツールを選定することが重要です。

6. まとめ:Salesforceでカスタマーサクセスを体系化する

Salesforceは、カスタマーサクセス活動の基盤として活用できる強力なプラットフォームです。顧客データの一元管理、ヘルススコアの可視化、解約防止施策まで、Salesforceエコシステム内でCS活動を体系化できます。

Salesforceでカスタマーサクセスを実現するポイント:

  • Service Cloud で顧客管理・コミュニケーション基盤を構築
  • CRM Analytics でヘルススコア・解約リスクを可視化
  • KPI(LTV、チャーンレート、NPS)を設定し、定量的に管理
  • 顧客ごとのゴールを確認し、実装・定着までサポート

次のアクション:

  • 自社のカスタマーサクセス活動の現状を棚卸しする
  • SalesforceのService Cloudで顧客情報の一元管理を開始
  • ヘルススコアの設計を検討し、解約兆候の可視化に着手
  • 必要に応じて専用CSツールとの連携を検討

カスタマーサクセスは長期的な取り組みです。まずは顧客データの一元管理から始め、段階的に高度なCS活動へと進化させていくことをお勧めします。

※この記事は2025年12月時点の情報です。Salesforce製品の機能や料金は変更される可能性があるため、最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: Service CloudとSales Cloudの使い分けは? A: Service Cloudはサービス部門向けで、顧客管理・コミュニケーション・サポートに特化しています。Sales Cloudは営業部門向けで、契約管理・更新プロセス・商談管理に特化しています。カスタマーサクセスではService Cloudをベースに、Sales Cloudで契約情報を連携して活用するケースが一般的です。

Q: 専用CSツールとSalesforceの違いは? A: 専用CSツール(Gainsight等)はヘルススコア・オンボーディング・チャーンリスク予測に特化し、高度な自動化機能を持っています。SalesforceはCRM基盤として顧客データを一元管理でき、拡張性が高いのが特徴です。両者を連携して活用するケースも多く見られます。

Q: Salesforceをカスタマーサクセスに活用する際、カスタマイズは必要? A: 基本的な顧客管理・問い合わせ対応は標準機能で可能です。ヘルススコア設計や自動化シナリオは、業種・サービスに応じてカスタマイズが必要になります。Salesforceのトレイルブレイザーコミュニティ(全世界約1,500万人)の事例を参考に設定することもできます。

Q: 小規模CSチームでも活用できる? A: Service Cloud Starter(月額3,000円/ユーザー程度〜)なら、小規模チームでも導入可能です。まずは顧客情報の一元管理と基本的なサポート業務の効率化から始め、成長に合わせて機能を拡張するのが現実的なアプローチです。

よくある質問

Q1Service CloudとSales Cloudの使い分けは?

A1Service Cloudはサービス部門向けで、顧客管理・コミュニケーション・サポートに特化しています。Sales Cloudは営業部門向けで、契約管理・更新プロセス・商談管理に特化しています。カスタマーサクセスではService Cloudをベースに、Sales Cloudで契約情報を連携して活用するケースが一般的です。

Q2専用CSツールとSalesforceの違いは?

A2専用CSツール(Gainsight等)はヘルススコア・オンボーディング・チャーンリスク予測に特化し、高度な自動化機能を持っています。SalesforceはCRM基盤として顧客データを一元管理でき、拡張性が高いのが特徴です。両者を連携して活用するケースも多く見られます。

Q3Salesforceをカスタマーサクセスに活用する際、カスタマイズは必要?

A3基本的な顧客管理・問い合わせ対応は標準機能で可能です。ヘルススコア設計や自動化シナリオは、業種・サービスに応じてカスタマイズが必要になります。Salesforceのトレイルブレイザーコミュニティ(全世界約1,500万人)の事例を参考に設定することもできます。

Q4小規模CSチームでも活用できる?

A4Service Cloud Starter(月額3,000円/ユーザー程度〜)なら、小規模チームでも導入可能です。まずは顧客情報の一元管理と基本的なサポート業務の効率化から始め、成長に合わせて機能を拡張するのが現実的なアプローチです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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