営業ステージ管理の基本|定義・設計・運用のベストプラクティス

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/11

営業案件の進捗が見えず、売上予測も立てられない...

営業組織で「案件の進捗状況が分からない」「誰がどの案件をどこまで進めているのか把握できない」「売上予測の精度が低い」という悩みを抱えている企業は少なくありません。営業ステージ(商談ステージ)を適切に設計・管理することで、これらの課題を解決し、営業活動の可視化と効率化が実現できます。

この記事では、営業ステージ管理の基本から、設計方法(定義・段階数・移行条件)、SFAツールを活用した運用、よくある失敗パターンまでを実務の視点で解説します。

この記事のポイント:

  • 営業ステージ管理は営業プロセスの可視化・標準化、ボトルネック発見、売上予測精度向上に効果的
  • ステージ定義を明確にし、人による解釈の違いを防ぐことが最重要
  • 一般的には5〜7段階、商材・販売先により最適な数は異なる
  • 次ステージへの移行条件は「顧客の合意や行動」を起点に決める(自社タスクではない)
  • SFAツールでリアルタイム共有・分析を効率化、継続的な見直しとPDCA運用が成功の鍵

営業ステージ管理が重要な理由

(1) 営業プロセスの可視化・標準化

営業ステージ管理の最大のメリットは、営業プロセスを可視化し、標準化できることです。

可視化のメリット:

  • マネージャーがチーム全体の案件進捗をリアルタイムで把握できる
  • 各営業担当者が抱えている案件数・フェーズを一覧で確認できる
  • 「どの案件が今どのステージにあるのか」が誰から見ても明確

標準化のメリット:

  • 属人的な営業活動から組織的な営業活動への転換
  • 成功パターンをプロセス化し、再現可能な仕組みを構築
  • 新人営業でもステージ定義を見ながら商談を進められる

営業ステージを設定することで、「誰が・どの案件を・どこまで進めているか」が可視化され、営業組織全体の透明性が高まります。

(2) ボトルネック発見と売上予測の精度向上

営業ステージ管理により、パイプライン内のボトルネック(案件が滞留しているステージ)を特定できます。

ボトルネック発見:

  • どのステージで案件が滞留しているかが明確になる
  • 例:「提案ステージで滞留する案件が多い」→ 提案力強化が課題
  • 例:「交渉ステージで失注が多い」→ 条件調整・価格戦略の見直しが必要

ボトルネックを特定することで、営業戦略の改善ポイントが明確になり、PDCAサイクルを効果的に回せます。

売上予測の精度向上:

  • ステージごとに確度(パーセンテージ)を設定することで、売上予測が可能
  • 例:提案ステージ(確度30%)の案件が10件×平均単価100万円 = 期待売上300万円
  • 実績データに基づいてステージごとの確度を調整することで、予測精度が向上

営業ステージ管理は、営業活動の改善と経営判断の両方に役立つ重要な仕組みです。

営業ステージとパイプライン管理の基礎知識

(1) 営業ステージ(商談ステージ/フェーズ)とは何か

営業ステージ(商談ステージ/商談フェーズ)とは、営業活動の進捗段階を表す区分です。一般的には、コンタクト→ニーズ把握→提案→交渉→成約のように段階を設定します。

営業ステージの例:

  1. コンタクト(初回接触): リードに初回アプローチ、興味を確認
  2. ニーズ把握: 顧客の課題・ニーズをヒアリング
  3. 提案: 解決策を提案、プレゼンテーション実施
  4. 交渉: 見積もり提示、条件調整
  5. 成約: 契約締結

営業ステージは業種・商材・販売先により異なります。自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることが重要です。

(2) パイプライン管理とは何か(一連のフローを可視化・分析)

パイプライン管理とは、営業活動の一連のフローをパイプに見立てて可視化し、分析・改善を行うマネジメント手法です。

パイプライン管理の特徴:

  • 営業プロセス全体を一つの「流れ」として捉える
  • ステージごとの案件数・金額・確度を把握
  • ボトルネック(滞留箇所)を特定し、営業戦略を改善

営業ステージを設定した上で、パイプライン管理を行うという関係です。ステージが「区分」、パイプライン管理が「全体フローの可視化・分析手法」と理解すると分かりやすいでしょう。

(4) SFAツールによる管理のメリット(リアルタイム共有・分析効率化)

営業ステージ管理はExcelでも可能ですが、SFA(営業支援システム)を使うとリアルタイム共有・分析・レポート作成が効率化されます。

SFAツールのメリット:

  • リアルタイム共有: チーム全体で最新の案件進捗を即座に確認できる
  • カンバン形式: ドラッグ&ドロップで直感的にステータス変更
  • 自動レポート: ステージごとの案件数・金額をグラフで可視化
  • AIによる売上予測: 過去データをもとに成約確度を自動算出
  • ボトルネック分析: 滞留しているステージを自動で検知

マネージャーと営業担当者の双方でSFAツールを活用することで、効果が最大化します。

営業ステージの設計方法(定義・段階数・移行条件)

(1) ステージ定義の明確化(人による解釈の違いを防ぐ)

営業ステージ管理で最も重要なのは、ステージ定義を明確にすることです。「受注」「提案」といったステージ名だけでは、人によって解釈が異なり、正確なデータが取得できません。

曖昧な定義の例:

  • 「提案」ステージ → 人によって「提案書を送った時点」「プレゼンを実施した時点」など解釈が異なる
  • 「交渉」ステージ → 「見積もりを提示した時点」「条件調整を始めた時点」など曖昧

明確な定義の例:

  • 「提案」ステージ: 顧客にプレゼンテーションを実施し、具体的な解決策を提示した状態
  • 「交渉」ステージ: 見積もりを提示し、顧客から金額・条件についてフィードバックを受けた状態

ステージごとに「どの状態になったら次のステージに進むか」を具体的に定義し、社内で周知することが必須です。

(2) 段階数の設定(一般的には5〜7段階、商材・販売先により調整)

商談ステージは一般的には5〜7段階に分けるのが適切です。段階数が多すぎると管理が煩雑になり、少なすぎると進捗が見えにくくなります。

段階数の目安:

  • 5段階: シンプルな商材、短期商談向け(例:SaaS低価格帯)
  • 6〜7段階: 複雑な商材、長期商談向け(例:SaaS高価格帯、大企業向け)
  • 8段階以上: 非常に複雑な商談プロセス(例:大型システム導入、カスタマイズが多い商材)

段階数は、運用しながら調整します。滞留するステージは細分化、滞留しないステージは統合するなど、継続的に見直すのが推奨されます。

(3) BtoBの典型的なステージ例(コンタクト→ニーズ把握→提案→交渉→成約)

BtoB企業で一般的な営業ステージの例を紹介します。

7段階の例:

  1. リード獲得
    展示会・セミナー・Webサイトなどでリード(見込み客)を獲得した状態

  2. 初回コンタクト
    電話・メールで初回アプローチし、興味を確認した状態

  3. ニーズヒアリング
    顧客の課題・ニーズを丁寧にヒアリングし、真の課題を把握した状態

  4. 提案・プレゼンテーション
    解決策を提案し、プレゼンテーションを実施した状態

  5. 見積もり提示
    具体的な見積もりを提示し、顧客から金額・条件についてフィードバックを受けた状態

  6. 交渉・条件調整
    条件調整を行い、契約内容がほぼ固まった状態

  7. 成約・契約締結
    契約書にサインし、正式に契約が成立した状態

この7段階はあくまで一例です。自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズしてください。

(4) 次ステージへの移行条件・基準の設定

次のステージに進むための条件・基準を明確に作ることで、各営業担当者が自分自身で商談を進められるようになります。

移行条件の例:

  • 初回コンタクト → ニーズヒアリング
    顧客が「話を聞きたい」と興味を示し、ヒアリングのアポイントが確定した時点

  • ニーズヒアリング → 提案・プレゼンテーション
    顧客の課題・ニーズが明確になり、「具体的な解決策を提案してほしい」と依頼された時点

  • 提案・プレゼンテーション → 見積もり提示
    プレゼンテーション後、顧客から「見積もりがほしい」と要望があった時点

  • 見積もり提示 → 交渉・条件調整
    見積もりに対して顧客から具体的なフィードバック(金額交渉、条件調整の依頼)があった時点

  • 交渉・条件調整 → 成約・契約締結
    条件がすべて合意に至り、契約書の準備が整った時点

移行条件を明確にすることで、営業担当者が「今どこまで進んでいるか」「次に何をすべきか」を自己判断できるようになります。

(5) 顧客の合意や行動を起点にステージを決める(自社タスクではない)

営業ステージを決める際の重要なポイントは、「自社のタスクではなく、顧客の合意や行動によって決める」ことです。

NG例(自社タスク起点):

  • 「提案書を作成した」→ 提案ステージ
  • 「見積もりを送信した」→ 交渉ステージ

OK例(顧客の合意・行動起点):

  • 「顧客が提案内容に興味を示し、具体的な質問をしてきた」→ 提案ステージ
  • 「顧客が見積もりを確認し、金額について具体的な交渉を始めた」→ 交渉ステージ

商談は顧客の意思決定を起点に進みます。自社の行動だけでステージを進めると、実態と乖離し、正確な売上予測ができなくなります。

(6) ステージごとの確度設定(実績データに基づく)

ステージごとの確度(成約に至る可能性のパーセンテージ)は、実績データに基づいて設定します。

確度設定の手順:

  1. 過去データの分析
    過去の案件データから、各ステージから成約に至った割合を算出

    • 例:提案ステージの案件100件のうち、成約したのは30件 → 確度30%
  2. 初期設定
    過去データがない場合は、業界標準や他社事例を参考に仮設定

    • 例:コンタクト10% → ニーズ把握20% → 提案30% → 交渉60% → 成約100%
  3. 定期的な見直し
    実績データが蓄積されたら、四半期または半期ごとに確度を見直す

確度を正確に設定することで、売上予測の精度が向上し、経営判断の質が高まります。

SFAツールを活用した運用と効果測定

(1) Salesforce等のSFAでのステージ設定手順

SalesforceなどのSFAツールでは、営業ステージを簡単に設定できます。

Salesforceでの設定手順:

  1. 設定画面から商談設定を開く
    [設定] → [オブジェクトマネージャー] → [商談] → [フィールドとリレーション] → [フェーズ]

  2. ステージ(フェーズ)を追加・編集
    自社の営業プロセスに合わせて、ステージ名・確度・説明を設定

  3. セールスパスの設定
    各ステージで営業担当者がやるべきことをガイダンスとして設定

  4. カンバン表示の有効化
    案件をカンバン形式で表示し、ドラッグ&ドロップでステータス変更できるようにする

Salesforce以外のSFAツール(HubSpot、Zoho CRM、Mazrica等)でも同様に設定できます。

(3) マネージャーと営業担当者の双方での活用

パイプライン管理は、マネージャーと営業担当者の双方で活用することで効果が最大化します。

マネージャーの活用:

  • チーム全体の案件進捗をリアルタイムで把握
  • ボトルネックを特定し、営業戦略を改善
  • 売上予測を経営層に報告
  • 特定のステージで滞留している営業担当者をサポート

営業担当者の活用:

  • 自分の抱えている案件の進捗を可視化
  • 次のアクションを明確にし、商談を効率的に進める
  • 案件の優先順位を判断(確度の高い案件に集中)

リアルタイムの状況をチーム内で共有することで、営業組織全体の透明性と効率が向上します。

(4) リアルタイムの状況共有と分析(滞留ステージの特定)

SFAツールを活用すると、リアルタイムで案件の状況を共有・分析できます。

分析のポイント:

  • 滞留ステージの特定
    どのステージで案件が滞留しているかを確認し、ボトルネックを特定

    • 例:「提案ステージの平均滞留期間が30日→60日に延びている」→ 提案力の課題
  • ステージごとの成約率
    各ステージから次のステージに進む割合を追跡

    • 例:「ニーズヒアリング→提案への移行率が50%→30%に低下」→ ヒアリングの質が低下している可能性
  • 案件の滞留期間
    各ステージでの平均滞留期間を把握し、異常値を検知

    • 例:「交渉ステージで90日滞留している案件」→ 失注リスクが高い、営業担当者へのサポートが必要

ステージを設定して運用すると、よく滞留するステージとそうでないステージが明確になります。滞留するステージは細分化、滞留しないステージは統合を検討します。

よくある失敗パターンと改善のポイント

(1) ステージ定義が曖昧で担当者ごとに解釈が異なる(明文化と社内周知が必須)

営業ステージ管理で最も多い失敗パターンは、ステージ定義が曖昧なまま運用を開始してしまうことです。

失敗例:

  • 「提案」ステージの定義が曖昧で、営業担当者Aは「提案書を送った時点」、営業担当者Bは「プレゼンを実施した時点」と解釈
  • 結果、データがバラバラで正確な分析ができない

改善策:

  • ステージごとの定義を明文化し、社内ドキュメントに記載
  • 営業担当者全員に周知し、定義の解釈を統一
  • 定期的に確認し、曖昧な点があれば都度修正

ステージ定義の明確化は、営業ステージ管理の成否を分ける最重要ポイントです。

(2) 一度作って終わり(商品変更・販売先変化に応じた継続的な見直しが必要)

ステージ設計は一度作って終わりではありません。商品変更や販売先の変化に応じて、継続的に見直すことが必要です。

失敗例:

  • 新商品をリリースしたが、営業ステージは旧商品のまま
  • 大企業向けの営業プロセスで設計したステージを、中小企業向けにもそのまま使用
  • 結果、実態と乖離し、営業担当者がステージ管理を形骸化させる

改善策:

  • 四半期または半期ごとに営業ステージを見直す
  • 商品・サービスの変更、販売先の変化に応じてステージを調整
  • 営業担当者からフィードバックを収集し、実態に合わせて改善

ステージ設計は、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくものです。

(3) 情報共有が不利になる文化(明文化でリスク回避)

ツール導入時に、情報共有により営業担当者が不利になる文化があると、正確な情報が入力されなくなるリスクがあります。

失敗例:

  • 案件情報を共有すると、他の営業担当者に案件を取られる文化
  • 売上予測が外れると、マネージャーから詰められる文化
  • 結果、営業担当者が正確な情報を入力せず、データの信頼性が低下

改善策:

  • 情報共有による不利がないことを明文化し、社内ルールとして周知
  • 売上予測は「外れることもある」という前提で運用
  • 情報共有により営業担当者が得をする仕組みを構築(例:チーム全体での目標達成ボーナス)

情報共有の文化を醸成することが、営業ステージ管理の成功には不可欠です。

(4) 滞留するステージとそうでないステージの対応(細分化・統合の判断)

営業ステージを運用すると、よく滞留するステージとそうでないステージが明確になります。

滞留するステージへの対応:

  • ステージを細分化し、進捗をより細かく把握
  • 例:「交渉ステージ」を「見積もり提示」「条件調整」「最終確認」の3つに分割

滞留しないステージへの対応:

  • ステージを統合し、管理を簡素化
  • 例:「初回コンタクト」と「ニーズヒアリング」を「初期商談」に統合

運用しながら柔軟に調整することで、実態に即したステージ管理が実現します。

まとめ:営業ステージ管理成功の要点

営業ステージ管理は、営業プロセスの可視化・標準化、ボトルネック発見、売上予測精度向上を実現します。ステージ定義の明確化、適切な段階数設定、顧客起点の移行条件、SFAツール活用、継続的な見直しが成功の鍵です。

※この記事は2024年12月時点の情報です。

よくある質問

Q1営業ステージとパイプライン管理の違いは何ですか?

A1営業ステージは案件の進捗段階(コンタクト→提案→成約など)を表す区分で、パイプライン管理は全体のフローを可視化・分析するマネジメント手法です。営業ステージを設定した上でパイプライン管理を行うという関係で、ステージが「区分」、パイプライン管理が「全体フローの可視化・分析手法」と理解するとわかりやすいでしょう。

Q2商談ステージは何段階に分けるべきですか?

A2一般的には5〜7段階が適切です。商材や販売先により最適な数は異なります。シンプルな商材は5段階、複雑な商材は6〜7段階、非常に複雑な商談プロセスは8段階以上が目安です。運用しながら滞留するステージは細分化、滞留しないステージは統合するなど、継続的に見直すのが推奨されます。

Q3ステージ管理にSFAツールは必要ですか?

A3Excelでも可能ですが、SFAを使うとリアルタイム共有・分析・レポート作成が効率化されます。カンバン形式のドラッグ&ドロップUIで直感的に操作でき、AIによる売上予測も活用可能です。マネージャーと営業担当者双方でSFAツールを活用することで、効果が最大化します。チーム全体で最新の案件進捗を即座に確認でき、ボトルネック分析も自動化されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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