Salesforceのエディション選び、Enterpriseは自社に必要なのか...
Salesforce導入を検討する際、多くの企業が悩むのが「どのエディションを選ぶべきか」という問題です。特にProfessionalとEnterpriseの違いが分かりにくく、「高機能なEnterpriseにすべきか、コストを抑えてProfessionalにすべきか」で迷う声をよく聞きます。
Enterpriseエディションは月額19,800円/ユーザー(税別)で、Professionalの約2倍のコストがかかります。費用対効果を見極め、自社に本当に必要な機能を持つエディションを選ぶことが重要です。
この記事では、Salesforce Enterpriseエディションの特徴、他エディションとの違い、向いている企業・向いていない企業を解説します。
この記事のポイント:
- Enterprise Editionは月額19,800円/ユーザー(税別)で、Sales Cloudで最も人気のあるプラン
- 高度なカスタマイズ、API連携、詳細な権限管理が主な特徴
- 数十名以上の企業で、組織的な営業改革を目指す場合に適している
- Professionalとの違いはカスタマイズ自由度とシステム連携機能
- 年間契約が必須、複数製品利用時はエディション統一が必要
Salesforce Enterpriseエディションとは
まず、Enterpriseエディションの基本情報を解説します。
Enterprise Editionの概要と位置づけ
Salesforce Enterprise Editionは、Sales Cloud(営業支援ツール)の中で最も人気のあるエディションとされています(参考:Meets More「Salesforceの価格・料金プラン総まとめ」)。
エディションの位置づけ:
- Starter:小規模チーム向けの入門プラン
- Professional:中小企業向けの基本プラン
- Enterprise:中堅〜大企業向けの標準プラン(本記事の対象)
- Unlimited:大企業向けの最上位プラン
- Einstein 1:AI機能強化版の最新プラン
Enterpriseは「数十名を超える企業規模で、組織的な営業改革を目指す場合の事実上の標準」と位置づけられています。詳細なカスタマイズが可能で、CRMとして包括的なサービスを提供できます。
月額19,800円/ユーザーの価格設定と年間契約
Enterpriseエディションの価格と契約条件を確認しましょう。
価格:
- 月額19,800円/ユーザー(税別)
- Professional以上のエディションは年間契約が必須
(参考:Salesforce公式「Salesforce販売価格」)
コスト例(10ユーザーの場合):
- 月額:19,800円 × 10 = 198,000円
- 年額:198,000円 × 12 = 2,376,000円
初期導入費用はユーザー数、追加機能、サポートプラン、初期導入支援により変動します。詳細は営業担当者への問い合わせが必要です。
2024年の新機能(Agentforce・Salesforce Foundations)
2024年にはSalesforceに新機能が追加されました。
2024年の主な発表:
- Agentforce(2024年9月発表):自律型AIプラットフォーム。顧客サービス、マーケティングキャンペーン、営業コーチングに活用できる自律型エージェントを作成可能
- Salesforce Foundations:エンタープライズ向けの基盤機能を強化
(参考:IBM「State of Salesforce 2024-2025」)
これらの新機能により、エンタープライズ向けのAI活用がさらに進んでいます。
他エディションとの違いと価格比較
各エディションの違いを比較します。
Professional(9,600円)との機能・価格差
ProfessionalとEnterpriseの主な違いを整理します。
価格比較:
| エディション | 月額/ユーザー | 年間/10ユーザー |
|---|---|---|
| Professional | 9,600円 | 1,152,000円 |
| Enterprise | 19,800円 | 2,376,000円 |
主な機能差:
| 機能 | Professional | Enterprise |
|---|---|---|
| 基本的なCRM機能 | ○ | ○ |
| 契約・見積機能 | ○ | ○ |
| 高度なカスタマイズ | △(制限あり) | ○ |
| API連携 | △(制限あり) | ○ |
| ワークフロー自動化 | △(制限あり) | ○ |
| 詳細な権限管理 | △ | ○ |
Enterpriseを選ぶべきケース:
- 外部システムとのAPI連携が必要
- 複雑なワークフローや承認プロセスが必要
- 組織構造に応じた詳細な権限設定が必要
Unlimited(39,600円)・Einstein 1(60,000円)との比較
上位エディションとの違いも確認しましょう。
価格比較:
| エディション | 月額/ユーザー |
|---|---|
| Enterprise | 19,800円 |
| Unlimited | 39,600円 |
| Einstein 1 | 60,000円 |
Unlimitedの追加機能:
- 24時間365日のサポート
- 追加ストレージ
- より高度なカスタマイズ機能
Einstein 1の特徴:
- AI機能の強化(Einstein Copilot等)
- 高度な分析・予測機能
多くの企業にはEnterpriseで十分な機能が提供されています。ミッションクリティカルな用途や24時間サポートが必要な場合は、Unlimited以上を検討します。
企業規模別の適用エディション目安
企業規模に応じたエディション選定の目安です。
目安(あくまで参考):
| 企業規模 | ユーザー数 | 推奨エディション |
|---|---|---|
| スタートアップ | 1〜10名 | Starter |
| 中小企業 | 10〜50名 | Professional |
| 中堅企業 | 50〜200名 | Enterprise |
| 大企業 | 200名以上 | Enterprise/Unlimited |
※ユーザー数だけでなく、業務の複雑さやシステム連携要件も考慮が必要です。
Enterprise Edition特有の主要機能
Enterpriseエディションで利用できる主要機能を解説します。
高度なカスタマイズ・ワークフロー自動化機能
Enterpriseでは、高度なカスタマイズ機能を利用できます。
カスタマイズ機能:
- カスタムオブジェクト・項目の作成
- ページレイアウトの自由な設計
- カスタムアプリケーションの構築
ワークフロー自動化:
- 承認プロセスの設定
- 自動メール送信
- 項目の自動更新
- 複雑な条件分岐の設定
これにより、自社の営業プロセスに合わせた柔軟なシステム構築が可能になります。
API連携・外部システム統合の強化
Enterpriseエディション以上では、Salesforce APIへのアクセスが可能です。
API連携でできること:
- 基幹システム(ERP等)との連携
- MAツール(Marketo、HubSpot等)との連携
- 会計システムとの連携
- 自社開発システムとの連携
メリット:
- データの二重入力を削減
- リアルタイムでのデータ同期
- 業務プロセスの自動化
システム連携が多い企業では、API機能は必須と言えます。
詳細な権限管理・承認プロセス設定
大規模組織では、詳細な権限管理が重要になります。
権限管理機能:
- ロールベースのアクセス制御
- プロファイル・権限セットの設定
- 共有ルールによるデータアクセス制御
承認プロセス:
- 多段階の承認フロー設定
- 承認者の自動決定
- 承認履歴の管理
組織構造が複雑な場合や、データアクセス制御が厳密に求められる場合に重要な機能です。
向いている企業・向いていない企業
Enterpriseエディションが向いている企業と、そうでない企業を整理します。
Enterprise推奨:数十名以上・複雑な営業プロセス
Enterpriseが向いている企業:
- ユーザー数が数十名以上
- 営業プロセスが複雑で、カスタマイズが必要
- 外部システムとの連携(API連携)が必要
- 組織構造に応じた詳細な権限管理が必要
- ワークフロー自動化で業務効率を上げたい
業種・業態の例:
- 複数部門で顧客情報を共有する企業
- 承認プロセスが複雑な企業(金融、製造等)
- 基幹システムとの連携が必要な企業
Professional推奨:小規模・シンプルなプロセス
Professionalが向いている企業:
- ユーザー数が50名未満
- 営業プロセスがシンプル
- 標準機能で十分な要件を満たせる
- コストを抑えたい
- 外部システム連携の必要性が低い
注意点:
- 「今は小規模だが将来拡大予定」の場合は、Enterpriseを最初から導入することも選択肢
- 後からエディションをアップグレードすることも可能(追加コスト発生)
業界・業種別の適用パターン
業界・業種によるパターン例です(参考情報)。
製造業:
- 複雑な見積プロセス、代理店管理が必要な場合はEnterprise
- シンプルな直販モデルならProfessional
IT・サービス業:
- サブスクリプションビジネスで契約管理が複雑ならEnterprise
- シンプルな商談管理ならProfessional
金融業:
- コンプライアンス要件、詳細な権限管理が必要な場合はEnterprise以上
導入時の検討ポイントと注意事項
導入時に確認すべきポイントを解説します。
初期費用・導入支援費用の見積り方法
初期費用はライセンス費用だけではありません。
初期費用の構成要素:
- ライセンス費用(年間一括払いが多い)
- 初期設定・カスタマイズ費用
- データ移行費用
- ユーザー研修費用
- 導入支援パートナー費用(外部委託の場合)
見積り取得のポイント:
- Salesforce公式だけでなく、導入パートナーからも見積りを取得
- ユーザー数、カスタマイズ範囲、データ移行量を明確にして依頼
- 導入後の運用コスト(保守、追加ライセンス等)も確認
複数製品利用時のエディション統一ルール
複数のSalesforce製品を利用する場合、重要なルールがあります。
エディション統一ルール:
- Sales Cloud、Service Cloud等の複数製品を使う場合、組織全体でエディションを統一する必要がある
- 例:Sales CloudをEnterpriseにした場合、Service CloudもEnterprise以上が必要
注意点:
- 後からエディション変更すると追加コストが発生
- 最初から将来の製品拡張を見据えてエディションを選定することが重要
年間契約・解約条件の確認事項
Professional以上のエディションは年間契約が必須です。
確認すべき点:
- 契約期間(1年、複数年等)
- 途中解約の可否と条件
- 自動更新の有無
- ユーザー数変更の条件
契約前に必ず詳細条件を確認し、書面で合意することをお勧めします。
まとめ:Enterpriseエディション選定の判断基準
Salesforce Enterpriseエディションについて解説しました。
Enterpriseエディションの特徴:
- 月額19,800円/ユーザー(税別)で、Sales Cloud最も人気のプラン
- 高度なカスタマイズ、API連携、詳細な権限管理が可能
- 数十名以上の企業で組織的な営業改革に適している
エディション選定の判断基準:
| 判断ポイント | Professional | Enterprise |
|---|---|---|
| ユーザー数 | 50名未満 | 50名以上 |
| 営業プロセス | シンプル | 複雑 |
| システム連携 | 不要/少ない | 必要 |
| カスタマイズ | 標準機能で十分 | 高度に必要 |
| 予算 | コスト重視 | 機能重視 |
注意点:
- 年間契約が必須
- 複数製品利用時はエディション統一が必要
- 初期費用はライセンス以外にも発生
次のアクション:
- 自社の要件(ユーザー数、機能要件、連携要件)を整理する
- Salesforce公式サイトで最新の価格・機能を確認する
- 導入パートナーから見積りを取得する
- デモやトライアルで実際に操作感を確認する
※Salesforceの価格・機能は変更される可能性があります。導入検討時は公式サイトで最新情報をご確認ください。
よくある質問:
Q: ProfessionalとEnterpriseエディションの決定的な違いは何ですか? A: カスタマイズの自由度、API連携機能、詳細な権限管理設定が大きな違いです。Enterpriseは大規模組織の複雑な営業プロセスに対応できる高度な機能を備えています。
Q: UnlimitedとEnterpriseの違いは?Enterpriseで十分ですか? A: Unlimitedは24時間365日サポート、追加ストレージ、より高度なカスタマイズ機能が付帯します。多くの企業にはEnterpriseで十分ですが、ミッションクリティカルな用途や24時間サポートが必要な場合はUnlimitedを検討してください。
Q: ProfessionalからEnterpriseへ移行は可能ですか? A: 移行は可能ですが、追加費用が発生します。データ移行、設定変更、ユーザー研修等を含めた計画的な移行が必要です。最初から将来の拡張を見据えてエディションを選定することをお勧めします。
Q: Enterprise Editionでどの程度のカスタマイズができますか? A: ワークフロー自動化、承認プロセス設定、カスタム項目・オブジェクト作成、外部システムとのAPI連携等が可能です。Unlimitedほどではありませんが、多くの企業の要件に対応できます。
