営業プロセスKPI完全ガイド|設定方法・主要指標・改善のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/26

営業プロセスのKPI、何を設定すればいい?

営業チームの成果を可視化・改善したいと考えているものの、「どのKPIを設定すべきか分からない」「数字を追っているだけで改善につながっていない」という悩みを抱えている営業責任者やマネージャーは少なくありません。

営業管理ツールの利用状況調査によると、現在もエクセル・スプレッドシートが第1位となっており、一方でSFA/CRMの次回導入予定率は36.7%と高く、データドリブンな営業管理への移行が進んでいます。

この記事では、営業プロセスKPIの設定方法、主要指標の一覧、改善のポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • 営業プロセスは「集客→フォロー→販売→ファン化」の4段階で捉える
  • KPI設定前にKGI(最終目標)を明確化し、3〜5個の指標に絞り込む
  • 各プロセスのKPIを設定し、ボトルネック(課題)を発見・改善する
  • 設定して放置せず、定期的なモニタリングとPDCAサイクルが不可欠
  • SFA/CRMを活用するとデータ一元化・リアルタイム更新で分析効率が向上

営業プロセスKPIの基礎知識

KGI・KFS・KPIの違いと関係性

営業のパフォーマンス管理において、KGI・KFS・KPIは密接に関連しています。

用語 意味
KGI Key Goal Indicator(重要目標達成指標) 年間売上10億円
KFS Key Factor for Success(重要成功要因) 商談数の増加、受注率の向上
KPI Key Performance Indicator(重要業績評価指標) 月間商談数50件、受注率25%

設計フロー

  1. KGI(最終目標)を設定: 達成したいビジネス目標を定量化
  2. KFS(成功要因)を特定: KGI達成に最も影響を与える要素を分析
  3. KPI(中間指標)を設定: KFSを達成するための測定可能な指標を設定

営業プロセスの4段階

営業プロセスは、一般的に以下の4つの段階で捉えられます:

1. 集客

  • 見込み客(リード)の獲得
  • マーケティング活動との連携

2. 見込み客フォロー

  • リードの育成(ナーチャリング)
  • 商談化へ向けたアプローチ

3. 販売・見極め

  • 提案・商談
  • クロージング・受注

4. ファン化

  • 顧客維持・フォローアップ
  • アップセル・クロスセル

各段階にKPIを設定することで、営業プロセス全体を可視化し、どこにボトルネック(課題)があるかを特定しやすくなります。

営業プロセス4段階別の主要KPI

各営業プロセスで設定すべき主要KPIを解説します。

集客段階のKPI

主要指標

KPI 計算方法・説明
新規リード数 期間内に獲得した見込み客の総数
MQL数 Marketing Qualified Lead。マーケティング活動で獲得した有望リード
SQL数 Sales Qualified Lead。営業がアプローチ対象と判断したリード
リード獲得単価(CPL) 広告費等÷リード数

設定のポイント

  • マーケティング部門との連携が重要
  • MQL→SQLへの移行率も合わせて追跡することで、リードの質を評価

フォロー段階のKPI

主要指標

KPI 計算方法・説明
商談獲得数 リードから商談化した件数
初回面談数 新規顧客との初回面談件数
商談化率 商談獲得数÷リード数×100
アポイント獲得率 アポイント成功数÷架電数×100

設定のポイント

  • 商談化率が低い場合、リードの質かアプローチ方法に課題がある可能性
  • フォローのタイミング・頻度も影響するため、行動量と合わせて分析

販売段階のKPI

主要指標

KPI 計算方法・説明
提案件数 正式な提案書を提出した件数
受注率(成約率) 受注件数÷商談件数×100
平均受注額 総受注金額÷受注件数
受注サイクル(リードタイム) リード獲得から受注までの平均日数

設定のポイント

  • 受注率が低い場合、提案内容や価格設定、競合状況を分析
  • 受注サイクルが長い場合、商談プロセスのどこで停滞しているかを特定

ファン化段階のKPI

主要指標

KPI 計算方法・説明
LTV(顧客生涯価値) 顧客が生涯で支払う金額の予測値
チャーンレート(解約率) 解約顧客数÷期首顧客数×100
NPS(推奨者スコア) 顧客が他者に推奨する度合いを示すスコア
アップセル率 既存顧客への追加販売成功率

設定のポイント

  • 新規獲得だけでなく、既存顧客の維持・拡大も重要な営業活動
  • LTVとCPL(獲得単価)を比較することで、顧客獲得の費用対効果を評価

KPI設定の実践的手順

ステップ1: KGIを明確化する

まず、営業チームが達成すべき最終目標(KGI)を明確にします。

KGIの例

  • 年間売上高:10億円
  • 新規顧客獲得数:年間50社
  • 営業利益率:15%

KGIは経営目標と整合させ、達成可能かつ測定可能な数値で設定します。

ステップ2: 営業プロセスを分析する

自社の営業プロセスを4段階で整理し、各段階の現状を把握します。

分析のポイント

  • 各段階の件数・転換率を把握
  • どの段階で案件が滞留・離脱しているかを特定
  • 成功している営業担当者のプロセスを分析

ステップ3: 受注に結び付く要素を3〜5個選ぶ

営業プロセスの中から、受注(KGI達成)に最も影響を与える要素を3〜5個選び、KPIとして設定します。

選定の基準

  • 受注との相関が高い指標
  • 測定可能で定期的に追跡できる指標
  • 営業担当者がコントロールできる指標

KPI数の目安

  • 3〜5個が推奨
  • 多すぎると管理が煩雑になり、本質的な改善に集中できなくなる

ステップ4: 達成可能な目標値を設定する

各KPIに対して、達成可能で挑戦的な目標値を設定します。

目標設定のポイント

  • 過去の実績をベースに現実的な数値を設定
  • 業界ベンチマークがあれば参考にする
  • 高すぎる目標は逆効果(達成不可能と感じるとモチベーション低下)

事例: 専門商社のKPI見直し成功例

ある専門商社では、当初「訪問数」をKPIとして設定していましたが、成果が伸び悩んでいました。

分析の結果、トップ営業担当者は「量産品の生産スケジュールや発注時期」を追跡し、適切なタイミングで提案していることが判明。KPIを「訪問数」から「生産スケジュール把握件数」「タイミング提案数」に変更したところ、受注率が向上したという事例が報告されています。

この事例が示すように、他社の事例をそのまま適用するのではなく、自社の営業プロセスを分析し、実際に成果につながる要素をKPIに設定することが重要です。

KPI測定・管理ツールの活用

エクセルからSFA/CRMへの移行

営業管理ツールの利用状況調査によると、エクセル・スプレッドシートが最も多く利用されています。一方で、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)の導入が進んでおり、次回SaaS導入予定率は36.7%と高い傾向にあります。

エクセルのメリット・デメリット

  • メリット: 導入コストが低い、操作に慣れている
  • デメリット: データ入力が手動、リアルタイム更新が難しい、情報共有に手間がかかる

SFA/CRMのメリット

  • 顧客情報・営業活動履歴の一元管理
  • リアルタイムでのデータ更新・共有
  • ダッシュボードによる可視化
  • レポート・分析機能

企業規模や予算に応じて、最適なツールを選定することが推奨されます。

ダッシュボード設計のポイント

KPIを効果的に追跡するためには、ダッシュボードの設計が重要です。

設計のポイント

  • 3〜5個の主要KPIを一画面で確認できるようにする
  • 目標値と実績の比較を表示
  • 時系列での推移が分かるグラフ
  • 営業担当者別・チーム別の内訳

PDCAサイクルによる継続的改善

KPIは設定して終わりではなく、定期的なモニタリングと改善が不可欠です。

P(Plan): 計画

  • KGI・KPIを設定
  • 目標値と達成期限を決定

D(Do): 実行

  • 営業活動を実施
  • データを記録

C(Check): 評価

  • 月次・週次でKPI達成状況を確認
  • 目標と実績のギャップを分析
  • ボトルネックを特定

A(Act): 改善

  • 課題に対する改善策を実行
  • 必要に応じてKPI・目標値を調整

まとめ:継続的改善のためのKPI運用

営業プロセスKPIの設定方法と主要指標について解説しました。

KPI設定の手順

  1. KGI(最終目標)を明確化
  2. 営業プロセス4段階を分析
  3. 受注に結び付く要素を3〜5個選定
  4. 達成可能な目標値を設定
  5. 定期的にモニタリング・改善

主要KPIの例

  • 集客段階: 新規リード数、MQL/SQL数、リード獲得単価
  • フォロー段階: 商談獲得数、商談化率
  • 販売段階: 受注率、平均受注額、受注サイクル
  • ファン化段階: LTV、チャーンレート

成功のポイント

  • 設定して放置せず、PDCAサイクルで継続改善
  • 他社事例の盲目的適用ではなく、自社プロセスを分析
  • SFA/CRMの活用でデータ一元化・分析効率向上

次のアクション

  • 自社のKGI(最終目標)を確認する
  • 現在の営業プロセスを4段階で整理する
  • 各段階のKPIを3〜5個設定する
  • 月次でのモニタリング体制を構築する

※KPI設定方法やツール選定は組織のビジネスモデル・規模によって異なります。自社の状況に合わせてカスタマイズすることが重要です。

よくある質問:

Q: 営業で最も重要なKPIは何? A: 最終目標(KGI)によって異なります。売上重視なら受注率・平均受注額、効率重視なら商談化率・受注サイクルが重要になります。自社の営業プロセスを分析し、受注に結び付く要素を3〜5個選定することが推奨されます。

Q: KPI測定にはどんなツールが必要? A: エクセルでも可能ですが、SFA/CRMツールを活用すると顧客情報・営業活動履歴の一元化とリアルタイム更新が可能になり、分析効率が向上します。企業規模や予算に応じて、最適なツールを選定してください。

Q: KPI設定でよくある失敗は? A: 主な失敗パターンとして、①設定して放置(定期モニタリングが必須)②非現実的な目標設定③KPI数が多すぎる(3〜5個推奨)④他社事例の盲目的適用、が挙げられます。

Q: KPIの見直し頻度は? A: 月次での進捗確認が基本です。四半期ごとにKPIの妥当性を検証し、必要に応じて指標や目標値を調整します。ビジネスモデルの変更時は全面的な見直しが必要です。

よくある質問

Q1営業で最も重要なKPIは何?

A1最終目標(KGI)によって異なります。売上重視なら受注率・平均受注額、効率重視なら商談化率・受注サイクルが重要です。自社の営業プロセスを分析し、受注に結び付く要素を3〜5個選定することが推奨されます。

Q2KPI測定にはどんなツールが必要?

A2エクセルでも可能ですが、SFA/CRMツールを活用すると顧客情報・営業活動履歴の一元化とリアルタイム更新が可能になり、分析効率が向上します。企業規模や予算に応じて最適なツールを選定してください。

Q3KPI設定でよくある失敗は?

A3主な失敗パターンは①設定して放置②非現実的な目標設定③KPI数が多すぎる(3〜5個推奨)④他社事例の盲目的適用、です。定期モニタリングと自社に合ったKPI設定が重要です。

Q4KPIの見直し頻度は?

A4月次での進捗確認が基本です。四半期ごとにKPIの妥当性を検証し、必要に応じて指標や目標値を調整します。ビジネスモデルの変更時は全面的な見直しが必要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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