広告効果がわからない状態を放置するリスク
「広告効果がわからない」という課題の答えは明確で、適切な指標設定と測定ツールの活用で解決できます。特にBtoB企業ではSFA/CRMとの連携で広告から商談・受注までを追跡する設計が重要です。
多くのBtoB企業が広告を出稿しているにもかかわらず、その効果を正確に把握できていません。2025年の調査によると、広告予算の配分基準を設けていない企業のうち51.2%がROIを測定していないことがわかっています。さらに深刻な問題として、広告経由リードの商談化率を測定していない企業が60.5%にも上ります。
この状態を放置すると、どの広告チャネルが有効かわからないまま予算を投下し続けることになり、本来得られるはずの成果を逃してしまいます。
この記事で分かること
- 広告効果測定に必要な主要指標と、フェーズ別のKPI設定方法
- 効果がわからない原因と、よくある失敗パターン
- 効果測定の具体的な手順と、BtoB企業向けのSFA/CRM連携による可視化方法
- 広告から商談・受注までを一気通貫で追跡する設計のポイント
広告効果測定で押さえるべき主要指標
広告効果測定の基本は、自社の目的に合った指標を理解し、正しく計測することです。ここでは、BtoBマーケターが実際に重視している指標と、その定義を解説します。
CVR(コンバージョン率) とは、広告クリックやサイト訪問から、問い合わせ・資料ダウンロードなど成果に至った割合です。BtoBマーケターが最も重視する指標はこのCVR(28.7%)で、CPA(21.9%)を上回っています。
CPA(顧客獲得単価) とは、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費用です。リード獲得の効率性を測る指標として広く使われています。
ROAS(広告費用対効果) とは、広告費に対する売上の比率です。ROAS=売上÷広告費×100%で算出します。2025年度Web広告で最も重視する指標として、費用対効果(ROAS)が57.0%で最多となっています。
CTR(クリック率) とは、広告が表示された回数に対してクリックされた割合です。広告クリエイティブやターゲティングの効果を測る指標です。
【比較表】広告目的別の主要KPI一覧
| 広告目的 | フェーズ | 主要KPI | 補助KPI | 測定ツール例 |
|---|---|---|---|---|
| ブランド認知向上 | 認知 | インプレッション数 | リーチ、フリークエンシー | 広告管理画面 |
| サービス理解促進 | 認知 | 動画視聴完了率 | 滞在時間、直帰率 | GA4、広告管理画面 |
| リード獲得 | 獲得 | CVR | CPA、フォーム完了率 | 広告管理画面、MA |
| 資料ダウンロード | 獲得 | ダウンロード数 | CPA、ページ滞在時間 | GA4、MA |
| 商談創出 | 育成 | 商談化率 | MQL→SQL転換率 | SFA/CRM |
| 受注貢献 | 育成 | 受注率、ROAS | LTV、受注単価 | SFA/CRM |
認知・獲得・育成フェーズ別のKPI設定
広告の目的によって見るべき指標は大きく異なります。フェーズ別に適切なKPIを設定することが重要です。
認知フェーズでは、インプレッション数やリーチを重視します。どれだけ多くのターゲットに広告が届いたかを測定し、ブランド認知の広がりを把握します。
獲得フェーズでは、CVRとCPAが中心となります。リード獲得の効率性と質を測定し、広告投資に対するリターンを評価します。
育成フェーズでは、商談化率と受注率が重要です。BtoBでは獲得したリードがどれだけ商談・受注に繋がったかを追跡することで、真の広告効果が見えてきます。
広告効果がわからない主な原因
広告効果がわからない背景には、構造的な問題が存在します。よくある失敗パターンとして、広告管理画面のCPA・CVRだけを見て効果を判断し、実際の商談化率や受注への貢献を把握しないまま広告予算を増減してしまうケースが挙げられます。この考え方では、BtoBマーケティングの真の成果は測れません。
興味深いことに、5つ以上のITツールを導入している企業でも70%以上がエクセルやスプレッドシートで投資対効果を計測しているという調査結果があります。ツールを導入していることと、効果を正しく測定できていることは別問題なのです。
さらに、マーケティング施策の投資対効果として受注金額まで追っている企業は30.2%にとどまります。約7割の企業がリード獲得後の成果を追跡できていない状態です。
指標設計が曖昧なまま広告を出稿している
広告予算の配分基準を設けていない企業のうち51.2%がROIを測定していません。「なんとなく広告を出している」状態では、効果がわからないのは当然の結果といえます。
広告を出稿する前に、何をKGI(最終目標)とし、そこに至るまでのKPIをどう設定するか、測定方法をどうするかを設計しておく必要があります。指標設計なしに広告を開始すると、後から「効果があったのかわからない」という事態に陥ります。
広告データと営業データが繋がっていない
広告経由リードの商談化率を測定していない企業が60.5%です。広告管理画面でリード獲得数やCPAは把握できても、そのリードがその後どうなったかを追跡できていない企業が過半数を占めています。
BtoBでは広告クリックから受注まで数ヶ月かかることも珍しくありません。広告データと営業データ(SFA/CRM)が連携されていなければ、広告投資がどれだけ売上に貢献したかを正確に把握することは困難です。
広告効果を正しく測定する方法
広告効果を正しく測定するには、適切な設計と運用の両方が必要です。2025年度Web広告運用の課題として、費用対効果の向上が47.2%、質の高いリード獲得が46.2%と上位に挙げられています。これらの課題を解決するための具体的な方法を紹介します。
【チェックリスト】広告効果測定の準備チェックリスト
- KGI(受注数・売上など最終目標)を明確に定義した
- KGIから逆算してチャネル別KPIを設定した
- 広告管理画面のコンバージョン計測タグを正しく設置した
- GA4のイベント計測を設定し、コンバージョンを定義した
- UTMパラメータの命名規則を決め、運用ルールを文書化した
- MAツールでリードソースを記録する仕組みを整えた
- SFA/CRMにリードソース項目を追加した
- 広告経由リードをSFA/CRMで識別できるようにした
- 商談化率・受注率を算出するレポートを作成した
- 月次でチャネル別KPIを確認するMTGを設定した
- 四半期でROI評価を行うサイクルを設計した
- 担当者間でデータ入力ルールを統一した
- レポートの共有先と報告フォーマットを決定した
- 異常値が出た際のアラート基準を設定した
- テスト計測を実施し、データが正しく取れることを確認した
測定設計の基本ステップ
効果測定は事後ではなく、広告出稿前に設計することが重要です。
ステップ1:KGIの設定
まず、最終的に何を達成したいのかを明確にします。受注数、売上、ROASなど、ビジネス成果に直結する指標をKGIとして設定します。
ステップ2:KPIへの分解
KGIから逆算してチャネル別のKPIを設定します。例えば、月間受注5件を目指す場合、受注率10%なら商談50件、商談化率15%ならリード約330件が必要という計算になります。
ステップ3:計測環境の整備
広告管理画面のコンバージョンタグ、GA4のイベント計測、UTMパラメータの設定など、データを取得するための環境を整備します。
ステップ4:レポート設計
週次・月次・四半期でどの指標を見るか、誰に報告するかを事前に設計します。データを取るだけでなく、活用する仕組みまで作ることが重要です。
効果測定ツールの選び方
効果測定には複数のツールを組み合わせて使うのが一般的です。それぞれの特徴を理解し、自社に合った構成を選びましょう。
広告管理画面は、各広告プラットフォームが提供する基本的な計測機能です。インプレッション、クリック、コンバージョンなどをリアルタイムで確認できます。ただし、ラストクリック計測が中心で、複数チャネルの貢献度を正確に把握するのは難しい場合があります。
GA4(Google Analytics 4) は、Webサイト全体のユーザー行動を把握できる無料ツールです。複数チャネルからの流入を一元管理し、コンバージョンまでの経路分析が可能です。
広告効果測定ツールは、複数の広告チャネルを横断的に計測し、アトリビューション分析を行うことができます。導入コストはかかりますが、広告投資の最適化に役立ちます。
MA(マーケティングオートメーション) は、リード獲得後のナーチャリングを管理するツールです。広告経由で獲得したリードがどのコンテンツに反応したかを追跡できます。
BtoB企業向け:SFA/CRM連携による効果の可視化
BtoB企業にとって、広告効果測定の本質は「広告が商談・受注にどれだけ貢献したか」を把握することです。これを実現するには、広告データとSFA/CRMのデータを連携させる必要があります。
BtoB広告経由リードの商談化率(獲得したリードのうち営業商談に進んだ割合)は、ボリュームゾーンが11〜20%で、15%前後が目標水準とされています。この数値を自社で測定し、継続的に改善していくことが重要です。
一方で、マーケティング施策の投資対効果として受注金額まで追っている企業は30.2%にとどまります。この追跡ができている企業とできていない企業では、広告投資の精度に大きな差が生まれます。
広告→リード→商談の一気通貫データ設計
データ連携の設計では、以下のポイントを押さえることが重要です。
リードソースの記録
MA/CRMでリードを登録する際に、流入元チャネル(Google広告、Facebook広告など)を必ず記録します。UTMパラメータを活用し、キャンペーン単位で追跡できるようにしておくと、後の分析が容易になります。
SFAへの引き継ぎ
マーケティングで獲得したリードを営業に引き渡す際、リードソース情報も一緒に引き継ぎます。商談レコードにもリードソースを紐付けることで、どの広告経由の商談かを追跡できます。
データ入力ルールの統一
マーケティング部門と営業部門でデータ入力ルールを統一し、分析に必要な情報が漏れなく記録される仕組みを作ります。
商談化率・受注率まで追跡する仕組みづくり
BtoB広告経由リードの商談化率は、ボリュームゾーンが11〜20%で、15%前後が目標水準です。自社の商談化率がこの水準を下回っている場合は、以下の観点で見直しを検討しましょう。
商談化率が低い場合の見直しポイント
- ターゲティング: 広告で狙っているターゲットと、商談に進みやすい顧客像にズレがないか
- LP訴求: ランディングページの訴求内容が、質の高いリードを引きつける内容になっているか
- 営業フォロー体制: 獲得したリードに対して、適切なタイミング・内容でフォローできているか
運用サイクルの設計
月次でチャネル別KPIを確認し、四半期で商談・受注まで含めたROI評価を行うサイクルを回すことで、継続的な改善が可能になります。広告効果測定は一度設計して終わりではなく、運用しながら精度を高めていくものです。
まとめ:広告効果測定は仕組みで解決できる
広告効果がわからないという課題は、多くのBtoB企業が抱えています。しかし、適切な指標設定と測定ツールの活用によって解決することができます。
本記事で紹介した内容を整理すると、以下のポイントが重要です。
- 広告の目的に応じた指標(認知:インプレッション、獲得:CVR・CPA、育成:商談化率・受注率)を設定する
- 広告管理画面のCPA・CVRだけで判断せず、商談・受注までの貢献を追跡する
- MA/CRM/SFAを連携させ、広告→リード→商談→受注の一気通貫データを取れる体制を構築する
- 月次でKPI確認、四半期でROI評価のサイクルを回す
特にBtoB企業では、SFA/CRMとの連携で広告から商談・受注までを追跡する設計が成功の鍵です。まずは本記事で紹介したチェックリストを活用して、自社の測定体制を診断することから始めてみてください。
※本記事で紹介した調査データはBtoBマーケ担当者向けのWebアンケートが中心であり、サンプルに偏りがある可能性があります。自社の状況に合わせて参考にしてください。
