マーケティング投資対効果の測定法|ROI計算から継続的な改善まで

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/911分で読めます

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マーケティング投資対効果(ROI)とは|本記事の目的

意外かもしれませんが、マーケティングROIは計算式を知るだけでは意味がなく、MA/SFAを活用した継続的な測定・改善の仕組みを構築することで、施策ごとの効果検証と予算配分の最適化が可能になります。

ROI(Return On Investment) とは、投資利益率のことです。投資額に対してどれだけの利益が上がったかを示す指標で、利益÷投資額×100で算出します。マーケティングROI(MROI) は、マーケティング投資額に対する利益率を指し、(粗利−販管費−マーケ投資額)÷マーケ投資額×100で算出します。

ある調査によると、64%の企業が過去のROI実績に基づいて将来のマーケティング予算を設定しているとされています(グローバル調査のため、日本企業の実態とは異なる可能性があります)。ROI測定の重要性は広く認識されていますが、「計算式は分かっているのに、継続的な測定・改善ができない」という課題を抱えている企業は少なくありません。

この記事で分かること

  • マーケティングROIの計算式とROAS・ROMIとの違い
  • ROI測定がうまくいかない原因と課題
  • MA/SFAを活用したROI測定の仕組み構築方法
  • 施策別ROI測定と予算配分の最適化
  • コピペで使えるROI測定シート

マーケティングROIの基本|計算式とROAS・ROMIとの違い

マーケティングROIを正しく活用するには、計算式を理解するだけでなく、類似指標との違いを把握しておくことが重要です。

マーケティング効果を測定する指標には、ROI以外にもROASやROMIがあります。これらは似ているようで計算方法や用途が異なるため、混同せずに使い分ける必要があります。

ROAS(Return On Advertising Spend) とは、広告費用対効果のことです。広告費に対する売上を示す指標で、売上÷広告費×100で算出します。ROMI(Return On Marketing Investment) は、マーケティング投資収益率を指し、マーケティングに使った費用に対してどれだけの収益が生まれたかを示します。

マーケティングROIの計算式

マーケティングROIの計算式は以下の通りです。

マーケティングROI(%)=(粗利 − 販管費 − マーケティング投資額)÷ マーケティング投資額 × 100

この計算式のポイントは、売上ではなく「利益」ベースで計算することです。売上がいくら増えても、それ以上にコストがかかっていれば投資対効果としてはマイナスになります。

(例)年間マーケティング投資額300万円で運用した場合

  • 粗利: 1,500万円
  • 販管費(マーケ以外): 1,000万円
  • ROI: (1,500万円 − 1,000万円 − 300万円)÷ 300万円 × 100 = 66.7% ※実際の成果は業種・商材・市場環境により大きく変動します

ROASとの違い

ROIとROASの最大の違いは、「利益ベース」か「売上ベース」かという点です。

  • ROAS: 売上 ÷ 広告費 × 100(売上ベース)
  • ROI: 利益 ÷ 投資額 × 100(利益ベース)

ROASは広告施策単体の効果を測定するのに適しています。一方、ROIはマーケティング全体の投資対効果を測定するのに適しています。広告運用の現場ではROASを日々モニタリングし、経営層への報告や予算策定にはROIを使用する、といった使い分けが一般的です。

ROI測定がうまくいかない原因と課題

ROI測定の重要性は理解していても、継続的な測定・改善ができている企業は少数派です。その背景には、測定基盤の整備不足という構造的な課題があります。

ある調査によると、MA導入率は約62.6万社中9,444社(1.5%)に留まり、上場企業3,850社でも562社(14.6%)にとどまっています(2023年調査)。つまり、多くの企業ではROI測定に必要なデータ基盤がそもそも整っていないのです。

ROIの計算式を理解しても、手作業での集計に頼ってPDCAが回らない、または単発の計算で終わってしまう——これがROI測定における典型的な失敗パターンです。計算式を知っているだけでは、継続的な測定と改善は実現できません。

手作業集計ではPDCAが回らない

「スプレッドシートで毎月ROIを計算している」という企業は多いですが、手作業での集計には限界があります。

手作業集計の問題点は以下の通りです。

  • データの鮮度: 集計に時間がかかり、意思決定に使える状態になるのが遅い
  • 正確性: 手入力によるミスが発生しやすい
  • 継続性: 担当者の異動や繁忙期に集計が止まる
  • 粒度: 施策単位・チャネル単位での詳細な分析が困難

BtoBマーケティングでは、リード獲得から受注まで数ヶ月かかることも珍しくありません。この間のデータを手作業で追跡し続けるのは現実的ではなく、結果として「単発の計算で終わってしまう」ケースが多発します。

ROI算出ルールが統一されていない

社内でROI算出ルールが統一されていないことも、測定がうまくいかない大きな原因です。

例えば、以下のような点が部門や担当者によってバラバラだと、施策間の比較ができません。

  • 利益の定義: 粗利で計算するのか、営業利益で計算するのか
  • 含めるコスト: 人件費は含めるのか、外注費のみか
  • 評価期間: 施策実施後3ヶ月で評価するのか、6ヶ月か、1年か

ROI測定を始める前に、まず社内でこれらのルールを統一しておく必要があります。ルールが曖昧なままでは、「広告のROIは高いのにコンテンツのROIは低い」といった比較をしても意味がありません。

ROI測定の仕組みを構築する方法|MA/SFA連携の設計

継続的なROI測定を実現するには、MA/SFAを活用したデータ収集の自動化が不可欠です。手作業集計の限界を超えるためには、仕組みで解決する必要があります。

国内BtoB MA市場規模は2023年時点で約753億円(事業者売上高ベース)、前年比約11.2%成長と推計されています。MAを導入する企業が増えている背景には、ROI測定を含むマーケティング活動の可視化ニーズの高まりがあります。

マーケティングミックスモデリング(MMM) とは、各マーケティング施策の売上への貢献度を統計的に分析し、ROIを精緻に測定する手法です。高度なMMMを実現するには相応のデータ基盤が必要ですが、まずは基本的なMA/SFA連携から始めることをおすすめします。

ROI測定の仕組み構築で重要なのは、広告キャンペーンIDをリードに紐づけ、商談化率・受注率まで追跡できる状態を作ることです。これにより、「どの施策から獲得したリードが、どれだけ売上に貢献したか」を可視化できます。

【フロー図】MA/SFA連携によるROI測定フロー

以下のフローに沿って、ROI測定の仕組みを設計してください。

flowchart TD
    A[流入元を記録] --> B[リード獲得]
    B --> C[MA: リード情報を蓄積]
    C --> D[ナーチャリング・スコアリング]
    D --> E[MQL判定]
    E --> F[SFA: 商談登録]
    F --> G[商談進捗管理]
    G --> H[受注・失注記録]
    H --> I[ROI算出]
    
    A --> A1["UTMパラメータ/広告ID"]
    C --> C1["流入元・施策を紐づけ"]
    F --> F1["MAからリード情報を連携"]
    I --> I1["施策別の売上・コストを集計"]
    I --> I2["ROI = (売上貢献 - コスト) ÷ コスト × 100"]

このフローのポイントは、流入元(どの広告・施策から来たか)を最初の段階で記録し、その情報を商談・受注まで引き継ぐことです。MA/SFAが連携していれば、この追跡を自動化できます。

施策別ROI測定と予算配分の最適化

ROI測定の仕組みができたら、施策別のROIを可視化し、予算配分の最適化に活用します。高ROI施策への投資を増やし、低ROI施策を見直すことで、マーケティング全体の効率を高められます。

ある調査によると、B2Bマーケターの73%がコンテンツマーケティングはリードと売上を増やすための最良の戦略と報告しています(グローバル調査のため、日本市場特有の傾向とは異なる可能性があります)。また、BtoB企業の広告年間予算相場は「500万円以上」が主流となっています(330社調査、2025年)。

施策別ROI測定で注意すべきは、評価期間の設定です。短期施策(Web広告など)と中長期施策(SEO・コンテンツなど)では、成果が出るまでの期間が異なります。短期間のROIだけでコンテンツ施策を評価すると過小評価になるリスクがあります。

また、ある調査では、約8割のBtoB企業がマーケティングコンサル導入により「一定以上の効果」を実感しており、21.9%が「ROIが非常に高い」と評価しています。ROI測定の仕組み構築から運用まで、自社リソースだけで難しい場合は専門家と組むことも選択肢です。

【管理シート】マーケティングROI測定シート

以下のシートをコピペして、自社のROI測定にご活用ください。

施策名,投資額,売上貢献額,粗利,販管費按分,純利益,ROI(%)
Web広告(リスティング),,,,,, 
Web広告(ディスプレイ),,,,,, 
SEO施策,,,,,, 
コンテンツマーケティング,,,,,, 
セミナー・ウェビナー,,,,,, 
展示会,,,,,, 
メールマーケティング,,,,,, 
SNS広告,,,,,, 
合計,,,,,, 

計算列の定義:

  • 純利益 = 粗利 − 販管費按分 − 投資額
  • ROI(%) = 純利益 ÷ 投資額 × 100

入力例:

施策名,投資額,売上貢献額,粗利,販管費按分,純利益,ROI(%)
Web広告(リスティング),1000000,5000000,2500000,500000,1000000,100
コンテンツマーケティング,500000,3000000,1500000,300000,700000,140

使い方のポイント:

  • 投資額には外注費、広告費、ツール費用など施策にかかった全コストを含める
  • 売上貢献額はMA/SFAから抽出した施策別の受注金額を入力
  • 粗利率は自社の平均値を適用(業種により異なります)
  • 販管費按分は全社販管費を施策の工数比率などで按分
  • 評価期間を明記し、施策間で統一する

まとめ:マーケティング投資対効果を継続的に改善するために

マーケティングROIを継続的に改善するためには、計算式を知るだけでなく、測定の仕組みを構築することが重要です。

本記事で解説した通り、ROI測定がうまくいかない原因は以下の3つに集約されます。

  1. 手作業集計の限界: データの鮮度・正確性・継続性に問題がある
  2. ROI算出ルールの不統一: 施策間の比較ができない
  3. データ基盤の未整備: MA/SFA連携ができておらず、流入元から受注までの追跡ができない

これらの課題を解決するには、MA/SFAを活用した自動データ収集の仕組みを構築する必要があります。本記事で紹介したROI測定シートとMA/SFA連携フローを参考に、自社の測定体制を見直してみてください。

仕組み構築には一定の専門知識とリソースが必要です。自社だけで進めることが難しい場合は、専門家と組むことも有効な選択肢です。

マーケティングROIは計算式を知るだけでは意味がなく、MA/SFAを活用した継続的な測定・改善の仕組みを構築することで、施策ごとの効果検証と予算配分の最適化が可能になります。

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よくある質問

Q1マーケティングROIの計算式は?

A1マーケティングROIは(粗利−販管費−マーケティング投資額)÷マーケティング投資額×100で算出します。売上ではなく利益ベースで計算する点がポイントです。例えば、投資額300万円で純利益200万円なら、ROIは66.7%となります。

Q2ROIとROASの違いは何ですか?

A2ROASは広告費に対する売上(売上÷広告費×100)、ROIは投資に対する利益(利益÷投資額×100)を示します。ROASは売上ベース、ROIは利益ベースという違いがあり、広告単体の評価にはROAS、マーケティング全体の評価にはROIを使い分けるのが一般的です。

Q3マーケティングROIはどれくらいあれば良いですか?

A3日本BtoB市場のROI平均値に関する公的統計は存在しません。海外の数値をそのまま適用することは避け、自社の過去実績との比較で改善度合いを測定することが推奨されます。ある調査では、64%の企業が過去のROI実績に基づいて予算を設定しているとされています(グローバル調査)。

Q4ROI測定の仕組みを構築するには何が必要ですか?

A4MA/SFAの連携による自動データ収集が基盤となります。広告キャンペーンIDをリードに紐づけ、リード獲得→商談化→受注まで追跡できる仕組みを構築します。国内のMA導入率は約1.5%、上場企業でも14.6%にとどまっており(2023年調査)、測定基盤が整っていない企業が多いのが実態です。

Q5外部の専門家にROI測定を依頼する効果はありますか?

A5ある調査では、約8割のBtoB企業がマーケティングコンサル導入により一定以上の効果を実感しており、21.9%がROIが非常に高いと評価しています。測定基盤の構築から運用まで専門家と組むことで、自社リソースの限界を補い、継続的なPDCAを回せる体制を作れます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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