ユニットエコノミクスとは?LTV・CAC計算から自動計測の仕組みまで

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1610分で読めます

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ユニットエコノミクスが「計算して終わり」になる理由

スプレッドシートでの手動計算が続かず、定期的な計測・改善ができていないという課題を解決したいなら、ユニットエコノミクスは、単に計算するだけでなく、MA/SFAでLTV/CACを自動計測する仕組みを整備することで、継続的な改善サイクルを回し、データ駆動型の意思決定が可能になります。

この記事で分かること

  • LTV(顧客生涯価値)・CAC(顧客獲得コスト)の計算方法と適正値の判断基準
  • 手動計算が形骸化する構造的要因と自動計測の必要性
  • MA/SFAを活用したLTV/CAC自動計測の仕組み構築方法
  • 継続改善サイクルを回すための運用設計のポイント

多くのBtoB企業では、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理)を導入しています。しかし、ユニットエコノミクス(Unit Economics) とは、ビジネスの最小単位(1顧客・1契約)あたりの収益性を測る指標であり、主にLTV÷CACで算出されますが、この数値を継続的に計測・改善できている企業は少ないのが実情です。

よくある失敗パターンは、ユニットエコノミクスの重要性を理解してスプレッドシートで手動計算を始めるが、データ収集の手間と更新負荷で計測が形骸化し、結局「月次で見る」「四半期で見る」が実現できず改善サイクルが回らないというものです。ツール選定だけに注力し、運用体制の整備を後回しにすると、導入後に「使いこなせない」状態に陥ります。

この記事では、LTV/CACの基礎知識から適正値の判断基準、手動計算の問題点と自動計測の仕組み構築まで、実践的なガイドを提供します。

ユニットエコノミクスの基礎知識:LTV・CACの定義と計算式

ユニットエコノミクスを正しく理解するには、LTV、CAC、チャーンレートなどの基本指標と計算式を押さえることが出発点です。

LTV(顧客生涯価値) とは、1顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額を指します。基本的にはARPU÷チャーンレートで計算されます。

CAC(顧客獲得コスト) とは、新規顧客1人を獲得するために要したマーケティング・営業コストの総額です。

チャーンレート(解約率) とは、一定期間における顧客の解約率であり、月次・年次で測定されLTV計算の分母となります。

ARPU(Average Revenue Per User) とは、1ユーザー(1顧客)あたりの平均売上高であり、月次・年次で測定されます。

ユニットエコノミクスの計算例を見てみましょう。LTV 150万円 ÷ CAC 50万円 = 3(3倍収益で健全)、一方でLTV 10万円 ÷ CAC 10万円 = 1(回収均衡、不健全)となります(Sprocket)。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法

LTVは「ARPU÷チャーンレート」が基本式ですが、より精度を高める場合は粗利ベースで算出します。

(例)BtoB SaaSのLTV計算

  • 月次粗利:30万円
  • 平均継続期間:6ヶ月
  • LTV = 30万円 × 6 = 180万円

(Sprocket、2022年)

粗利率を考慮しないと収益性を過大評価するリスクがあるため、単純なARPU × 継続月数ではなく、粗利ベースでの計算を推奨します。

CAC(顧客獲得コスト)の計算方法

CACは「(マーケティングコスト + 営業コスト)÷ 新規顧客獲得数」で算出します。

(例)CACの計算

  • 広告費:100万円
  • 営業コスト:50万円
  • 新規顧客獲得数:15人
  • CAC = (100万円 + 50万円)÷ 15人 = 10万円

(EBIS)

Blended CACとは、有料・無料を含むすべてのマーケティング・営業コストを合算したCACです。Paid CAC(有料チャネルのみ)と分解して分析することで、どのチャネルが効率的かを把握できます。

ユニットエコノミクスの適正値と判断基準

LTV/CAC比率と CAC回収期間には、健全な事業運営の目安となる基準値があります。自社の数値と比較して現状を評価することが重要です。

LTV/CAC比率の目安

LTV/CAC比率は3以上が健全な水準とされています(HubSpot・Decisense、2023年頃)。日本BtoB(SaaS含む)では、以下が目安とされています(楽天モバイル)。

LTV/CAC比率 判定
1未満 新規獲得が赤字化、早急な改善が必要
1.5未満 改善が必要
1.5〜3 成長可能だが改善余地あり
3〜5 健全な水準
5超 機会損失リスク(投資余地あり)

「LTV/CAC比率が高ければ高いほど良い」は誤解です。5を超える場合は、成長への投資機会を逃している可能性があります。これらの目安は2023年頃の記事ベースであり、市場環境(インフレ、競争激化等)により変動する可能性があるため、自社データでの検証が不可欠です。

CAC回収期間とチャーンレートの基準

CAC回収期間とは、顧客獲得コスト(CAC)を回収するまでに要する期間です。SaaS・サブスクリプション型ビジネスでは、CAC回収期間は12ヶ月以内が健全基準とされています(Scalebase、2024年推定)。

月間チャーンレート(解約率)は3%未満が推奨されます(Scalebase)。チャーンレートはLTV計算の分母となるため、この数値が高いとLTVが低下し、ユニットエコノミクス全体に悪影響を与えます。

サブスクリプション型では初期赤字は前提ですが、回収に時間がかかりすぎるとキャッシュフローに問題が生じるため、業界や事業モデルに応じた基準設定が必要です。

手動計算が形骸化する原因と自動計測の必要性

スプレッドシートでの手動計算は、多くの場合、継続できません。ツール導入だけでは解決せず、計測→分析→施策→効果測定のループ構築が本質です。

手動計算が続かない構造的要因

手動計算が形骸化する主な原因は以下の通りです。

  • データ収集の手間: 複数システムから手作業でデータを集める必要があり、毎月の負荷が高い
  • 更新忘れ・入力ミス: 担当者の異動や繁忙期に更新が滞り、データの信頼性が低下
  • 部門間のデータ分断: マーケティングと営業でデータがバラバラで、統合に工数がかかる
  • 分析スキルの属人化: 特定の担当者しか計算ロジックを理解しておらず、引き継ぎが困難

これらの構造的要因により、「月次で見る」「四半期で見る」という計画が実現できず、改善サイクルが回らないケースが多いのが実情です。

自動計測に向けたデータ整備チェックリスト

MA/SFAでの自動計測を始める前に、以下のデータ整備が必要です。

【チェックリスト】ユニットエコノミクス自動計測前の準備チェックリスト(データ整備15項目)

  • 顧客IDが全システムで統一されている
  • 契約開始日・終了日が正確に記録されている
  • 月次売上データが顧客単位で取得可能
  • 粗利率の算出ロジックが定義されている
  • マーケティングコストが施策別に集計されている
  • 営業コスト(人件費含む)が算出可能
  • リード獲得チャネルがトラッキングされている
  • 商談から受注への転換が追跡可能
  • 解約日・解約理由が記録されている
  • アップセル・クロスセルの売上が分離可能
  • データ更新の頻度と担当者が決まっている
  • MA/SFA間のデータ連携方法が確立されている
  • レポート出力の形式が統一されている
  • 計算ロジックがドキュメント化されている
  • 関係部門(マーケ・営業・経理)の合意がある

上記のうち、最低でも10項目以上がクリアできていないと、自動計測の仕組みを構築しても正確なデータが得られません。

MA/SFAを活用したLTV/CAC自動計測の実装方法

MA/SFAを活用してLTV/CACを自動計測する仕組みを構築することで、継続的な改善サイクルが実現可能になります。ツールは手段であり、計測→分析→施策→効果測定のループ構築が本質です。

LTV/CAC自動計測シートの設計

自動計測に必要なデータ項目と計算ロジックを整理したシート仕様を以下に示します。

【管理シート】LTV/CAC自動計測シート仕様(CSV形式)

顧客ID,契約開始日,契約終了日,月次売上,粗利率,粗利額,継続月数,LTV,獲得チャネル,マーケコスト,営業コスト,CAC,LTV/CAC比率
C001,2025-01-01,,100000,0.7,70000,12,840000,Web広告,50000,30000,80000,10.5
C002,2025-03-01,2025-09-30,80000,0.65,52000,6,312000,展示会,100000,50000,150000,2.08
C003,2025-06-01,,120000,0.75,90000,7,630000,紹介,10000,20000,30000,21.0

計算列の定義:

  • 粗利額 = 月次売上 × 粗利率
  • LTV = 粗利額 × 継続月数
  • CAC = マーケコスト + 営業コスト
  • LTV/CAC比率 = LTV ÷ CAC

上記の形式でデータを整備し、MA/SFAからの自動エクスポートを設定することで、手動計算から脱却できます。

継続改善サイクルの構築

自動計測の仕組みを構築した後は、計測→分析→施策→効果測定のサイクルを回すことが重要です。

計測: MA/SFAから自動でデータを取得し、LTV/CACを算出 分析: チャネル別・顧客セグメント別に数値を比較し、改善ポイントを特定 施策: LTV向上(チャーンレート低減、アップセル)またはCAC削減(チャネル最適化)を実行 効果測定: 施策実施後のLTV/CAC変化を追跡し、次の施策に反映

KPIダッシュボード化することで、マーケティング・営業部門が共通指標で意思決定できる体制が整います。

まとめ:ユニットエコノミクスを継続的に改善する仕組みを作る

ユニットエコノミクスは、サブスクリプション型ビジネスの健全性を測る重要な指標です。

適正値の目安:

  • LTV/CAC比率:3以上が健全(HubSpot・Decisense、2023年頃)
  • CAC回収期間:12ヶ月以内が健全基準(Scalebase、2024年推定)
  • 月間チャーンレート:3%未満が推奨

重要なポイント:

  • 手動計算は形骸化しやすく、自動計測の仕組み構築が不可欠
  • ツール導入だけでなく、計測→分析→施策→効果測定のループ構築が本質
  • マーケティング・営業部門が共通指標で意思決定できる体制を整備する

ユニットエコノミクスは、単に計算するだけでなく、MA/SFAでLTV/CACを自動計測する仕組みを整備することで、継続的な改善サイクルを回し、データ駆動型の意思決定が可能になります。まずは本記事のチェックリストを活用して、自社のデータ整備状況を確認することから始めてください。

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よくある質問

Q1ユニットエコノミクスとは何ですか?簡単に教えてください

A1ユニットエコノミクスとは、ビジネスの最小単位(1顧客・1契約)あたりの収益性を測る指標です。主にLTV(顧客生涯価値)÷CAC(顧客獲得コスト)で算出し、この値が3以上であれば健全な事業運営ができているとされます(HubSpot・Decisense、2023年頃)。

Q2LTV/CAC比率の適正値はいくつですか?

A2一般的にLTV/CAC比率は3以上が健全な水準とされています。1.5〜3は成長可能だが改善余地あり、1.5未満は改善が必要です。ただし、5を超える場合は成長への投資機会を逃している可能性があり、3〜5が推奨範囲とされます(楽天モバイル、HubSpot・Decisense)。

Q3CAC回収期間の目安は何ヶ月ですか?

A3SaaS・サブスクリプション型ビジネスでは、CAC回収期間は12ヶ月以内が健全基準とされています(Scalebase、2024年推定)。サブスクリプション型では初期赤字は前提ですが、回収に時間がかかりすぎるとキャッシュフローに問題が生じます。

Q4チャーンレート(解約率)の目安は何%ですか?

A4月間チャーンレートは3%未満が推奨されています(Scalebase)。チャーンレートはLTV計算の分母となるため、この数値が高いとLTVが低下し、ユニットエコノミクス全体に悪影響を与えます。

Q5LTVの計算式を教えてください

A5基本式はARPU(平均単価)÷チャーンレート(解約率)です。より精度を高める場合は、ARPU × 粗利率 ÷ チャーンレートで粗利ベースのLTVを算出します。例として、月次粗利30万円、平均継続6ヶ月の場合、LTV = 30万円 × 6 = 180万円となります(Sprocket、2022年)。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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