スタートアップ営業組織の立ち上げ|標準化できている企業は7.6%

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/169分で読めます

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スタートアップの営業組織構築が難しい理由と本記事の目的

多くの人が見落としがちですが、スタートアップの営業組織立ち上げは、営業手法の選定だけでなくSFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携の仕組みまで含めて設計することで、属人営業から脱却しスケール可能な組織が構築できます。

2025年上半期のスタートアップ資金調達総額は3,399億円に達し、成長企業の市場環境は活況を呈しています。しかし、営業組織の標準化(プロセス・ルールの文書化)ができている企業は7.6%にとどまるという調査結果があり、多くのスタートアップが営業組織の構築に苦戦しています。

営業組織の仕組み化とは、属人的な営業活動をプロセス・ルールとして標準化し、再現性のある組織を構築することです。創業者や一部のエース営業に依存した状態から脱却するためには、この仕組み化が不可欠です。

本記事では、シリーズA〜B段階のスタートアップ経営者やセールスマネージャー向けに、フェーズ別の営業組織設計と標準化の進め方を解説します。

この記事で分かること

  • スタートアップと大企業の営業組織の根本的な違い
  • PMF前後からシリーズB以降までのフェーズ別設計指針
  • 属人営業から脱却するためのプロセス標準化の進め方
  • SFA/MAを活用した部門間連携の仕組み構築

スタートアップと大企業の営業組織の根本的な違い

スタートアップと大企業の営業組織は、組織規模・意思決定速度・リソース制約など多くの点で異なるため、大企業の手法をそのまま適用しても機能しないケースが多いです。

PMF(Product Market Fit) とは、製品やサービスが市場のニーズに合致している状態を指します。スタートアップの成長フェーズを判断する重要指標であり、PMF前後で営業組織の最適解は大きく異なります。

The Model(ザ・モデル) とは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに機能分化する分業型営業モデルです。大企業ではこのモデルが一般的ですが、スタートアップが早期に導入すると逆効果になる場合があります。

日本国内のCRM導入率は37.2%(2024年度)という調査結果があり、ツール導入自体もまだ発展途上にあります。

【比較表】スタートアップと大企業の営業組織比較表

項目 スタートアップ 大企業
組織規模 1〜数名からスタート 数十名〜数百名の専門チーム
営業プロセス 創業者が全工程を担当 分業型(The Model等)が一般的
意思決定速度 即日〜数日 承認フローにより長期化
リソース 限定的、兼務が多い 専任チームと予算
ツール活用 最小限から段階的に導入 CRM/SFA/MAフル活用
KPI設計 シンプル、売上重視 多層的なファネルKPI
顧客理解 創業者が直接把握 データと専門チームで分析

フェーズごとに最適解が変わる理由

PMF前後で営業組織の最適解が異なる理由は、事業の不確実性と組織のスケーラビリティのバランスにあります。

シリーズA/Bとは、スタートアップの資金調達ラウンドを指します。シリーズAはPMF後の成長資金、シリーズBは事業拡大・組織強化の資金として位置づけられます。

PMF前は創業者自身が営業を担当して顧客の声を直接収集し、PMF達成後に初めて組織化を検討するのが一般的な流れです。フェーズに合わない組織化は、リソースの無駄遣いや組織の硬直化を招く可能性があります。

フェーズ別の営業組織設計:PMF前後からシリーズB以降まで

各成長フェーズにおける営業組織設計は、事業の成熟度とリソース制約に応じて段階的に進化させることが重要です。以下では、PMF前・シリーズA・シリーズB以降の3つのフェーズに分けて解説します。

PMF前:創業者営業で顧客理解を深める

PMF前の段階では、創業者自身が営業を担当し、顧客の声を直接収集することが最優先事項です。

「スタートアップは営業不要でプロダクトで勝てる」という考え方は誤りです。PMF検証には創業者営業が必須であり、顧客との対話を通じて製品改善と市場理解を同時に進める必要があります。

この段階で営業担当を採用して任せてしまうと、顧客の声が創業者に届かなくなり、PMF達成が遅れるリスクがあります。

シリーズA:勝ちパターンの再現性を検証する

シリーズA段階では、1〜2名の営業担当を採用し、創業者の営業を再現できるか検証することが主目的です。

この段階で重要なのは、創業者が持っている暗黙知を言語化し、他者でも再現できる形にすることです。営業プロセスの可視化を始め、どのような顧客にどのようなアプローチが有効かを検証します。

勝ちパターンの再現性が確認できれば、次のフェーズで組織を拡大する根拠となります。再現できない場合は、プロセスの見直しか、採用した人材とのミスマッチを疑う必要があります。

シリーズB以降:分業体制への移行を検討する

シリーズB以降で本格的な営業組織の分業化を検討します。The Modelのような分業型モデルは、ある程度の組織規模とリード量がある前提で機能するためです。

フェーズに合わない早すぎる分業化は逆効果になる可能性があります。リード量が少ない段階でインサイドセールスとフィールドセールスを分けても、それぞれの担当者の稼働率が低下するだけです。

分業化のタイミングは、リード量・商談数・チーム規模を総合的に判断して決定します。

属人営業から脱却するためのプロセス標準化

属人営業から脱却するためには、プロセスの可視化・標準化を段階的に進めることが不可欠です。営業組織の標準化ができている企業は7.6%にとどまり、「仕組み化のリソース不足」を課題に挙げる企業は32.6%に上ります。

よくある失敗パターンとして、営業手法(テレアポ、メール等)の選定や人員採用だけに注力し、プロセスの可視化・標準化や部門間連携の仕組み整備を後回しにするケースがあります。この考え方は誤りです。プロセスが標準化されていない状態で人員を増やしても、属人営業が複数人に分散するだけで、組織拡大時に破綻するリスクが高まります。

標準化は「プロセスの可視化→標準化→自動化」の順で段階的に進めることが重要です。

プロセス可視化から始める標準化の進め方

標準化の第一歩は、現状の営業活動を可視化することです。以下のステップで進めます。

  1. 現状把握: 創業者やエース営業がどのような流れで商談を進めているかを記録する
  2. プロセス定義: 商談の各ステージを定義し、次のステージに進む条件を明確にする
  3. ルール化: 定義したプロセスをチーム全体のルールとして共有する
  4. ツール導入: プロセスが定着した段階でSFA/CRMを導入し、運用を自動化する

「CRMを入れれば営業組織が回る」という考え方は誤りです。運用ルールの策定とデータ入力習慣の定着が先であり、ツール導入はプロセス定義と組織への浸透ができてから検討すべきです。

SFA/MAを活用した部門間連携の仕組み構築

SFA/MAを活用することで、営業プロセスの可視化と部門間連携を効率的に実現できます。日本国内のCRM導入率は37.2%(2024年度)、営業組織における生成AI活用率は28.9%という調査結果があり、ツール活用はまだ発展途上にあります。

部門間連携の仕組みを構築する際は、まずマーケティングから営業へのリード引き渡し基準を明確にし、次に営業からカスタマーサクセスへの情報共有フローを整備します。

特定のSFA/CRMツールを選定する際は、自社のフェーズと予算に合ったものを選ぶことが重要です。高機能なツールを導入しても、運用体制が整っていなければ活用されません。

【チェックリスト】スタートアップ営業組織立ち上げチェックリスト

  • 自社の成長フェーズ(PMF前/シリーズA/シリーズB以降)を明確にしている
  • 現在の営業プロセスを可視化・文書化している
  • 商談ステージの定義と遷移条件を設定している
  • リード獲得からクロージングまでのKPIを設定している
  • 営業担当者の役割と責任範囲を明確にしている
  • SFA/CRMのデータ入力ルールを策定している
  • マーケティングからのリード引き渡し基準を定義している
  • 営業からカスタマーサクセスへの情報共有フローを整備している
  • 定期的な営業会議の運用ルールを設定している
  • 営業資料・提案書のテンプレートを整備している
  • 勝ちパターン・失敗パターンを記録・共有する仕組みがある
  • 新規営業担当者のオンボーディングプログラムを用意している
  • 営業活動の振り返りと改善サイクルを設定している
  • 分業化のタイミングと条件を検討している
  • 外部パートナー(営業代行等)活用の検討をしている

まとめ:スケール可能な営業組織を構築するために

本記事では、スタートアップにおける営業組織の立ち上げについて、フェーズ別の設計指針と標準化の進め方を解説しました。

重要なポイントを整理します。

  • PMF前は創業者営業で顧客理解を深め、シリーズAで勝ちパターンの再現性を検証する
  • シリーズB以降で本格的な分業化を検討する。フェーズに合わない早すぎる分業化は逆効果
  • 営業組織の標準化ができている企業は7.6%にとどまり、多くの企業の課題となっている
  • 「CRMを入れれば営業組織が回る」は誤り。運用ルールと入力習慣の定着が先
  • 標準化は「プロセスの可視化→標準化→自動化」の順で段階的に進める

スタートアップの営業組織立ち上げは、営業手法の選定だけでなくSFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携の仕組みまで含めて設計することで、属人営業から脱却しスケール可能な組織が構築できます。本記事のチェックリストを活用し、自社のフェーズに合った営業組織構築を進めてください。

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よくある質問

Q1スタートアップはいつから営業組織を立ち上げるべきですか?

A1PMF前は創業者自身が営業を担当して顧客理解を深め、PMF達成後のシリーズA段階で1-2名の営業担当を採用して勝ちパターンの再現性を検証する流れが一般的です。本格的な分業化はシリーズB以降で検討します。

Q2営業プロセスの標準化はどのように進めればよいですか?

A2「プロセスの可視化→標準化→自動化」の順で段階的に進めます。まずは現状の営業活動を可視化し、次にルールとして標準化、その後ツールによる自動化を検討します。営業組織の標準化ができている企業は7.6%にとどまるという調査もあり、多くの企業の課題となっています。

Q3CRMを導入すれば営業組織は回りますか?

A3CRM導入だけでは不十分です。運用ルールの策定とデータ入力習慣の定着が先に必要です。ツール導入よりもプロセス定義と組織内への浸透が重要で、仕組み化のリソース不足を課題に挙げる企業は32.6%に上ります。

Q4大企業の営業組織モデルをスタートアップに適用できますか?

A4フェーズに合わない大企業型の分業化は逆効果になる可能性があります。The Modelのような分業型モデルは、ある程度の組織規模とリード量がある前提で機能するため、シリーズB以降で段階的に導入を検討するのが適切です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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