営業成果が伸びない原因が見えない理由
多くの方が悩む営業のボトルネック特定。結論は、営業のボトルネック特定は、営業部門内の分析だけでなく、MA/SFAデータ連携によるマーケ・営業横断の視点で行い、専門家の支援を活用することで、的確な改善優先順位が見えてきます。
この記事で分かること
- 営業プロセスにおけるボトルネックの定義と具体例
- KPIツリーとファネル分析によるボトルネック特定の手順
- 営業部門だけで分析しても根本原因が見えない理由
- MA/SFA連携によるマーケ・営業横断のボトルネック解消方法
グローバルの調査では、B2B営業担当者の84%が営業ノルマ未達であり、停滞の86%が営業プロセスで発生しているという報告があります(ただし、グローバルデータで日本市場特化ではなく、一次ソースは未明記)。また、BtoB中小企業を対象とした2025年の調査では、KPIを設定していない企業が59.0%に上ることが分かっています。
このような状況で、「商談力が足りない」「リードの質が悪い」と感覚的に結論づけ、データに基づく根本原因の特定ができないまま場当たり的な施策を繰り返してしまう——これがよくある失敗パターンです。本記事では、この問題を解決するための具体的なアプローチを解説します。
営業プロセスにおけるボトルネックの定義と具体例
ボトルネック(営業プロセス) とは、リード獲得から受注までの各フェーズで転換率が低く、全体の売上目標達成を阻害する課題箇所のことです。
BtoB企業全体の商談化率平均は20〜30%程度と言われています(インバウンドリードは35〜40%、アウトバウンドは10〜15%程度)。ただし、これはSaaSベンダーによる推計値であり、全BtoB企業を代表するものではなく、業種・企業規模により大きく変動する点に注意が必要です。
KPIツリーとは、売上目標を分解し、各指標の関連性を可視化したフレームワークです。ボトルネック特定に活用されます。また、ファネル分析は、認知→リード→商談→受注の各段階の転換率を分析し、離脱ポイントを特定する手法です。
ボトルネックが発生しやすい営業フェーズ
2025年のワンマーケティング調査(バイヤー600名対象)によると、BtoB購買者の85%が営業面談前に候補を絞り込んでいることが分かっています(「ほぼ決まっている」29%、「いくつか候補」56%)。また、高価格帯取引では平均関与人数が18.3人、検討から契約まで54%が半年以上かかるという結果も報告されています。
このデータが示すのは、営業面談時点ですでに勝負が決まっているケースが多いということです。早期フェーズでの接点不足がボトルネックになりうることを示唆しています。
ボトルネックを特定するための分析手順
ボトルネック特定の基本は、KPIツリーで売上目標を分解し、ギャップが最大の指標を特定することです。その上で、ファネル分析で各フェーズの転換率を計測し、離脱ポイントを可視化します。
前述の通り、BtoB中小企業の59.0%がKPIを設定していないという調査結果があります。ボトルネック特定の前提として、まずデータ取得体制の整備が重要です。
【比較表】営業フェーズ別ボトルネック分析表
| フェーズ | 主なKPI | ボトルネックの兆候 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|---|
| 認知・リード獲得 | リード数、流入チャネル別転換率 | リード数は十分だが質が低い | ターゲット定義とコンテンツの整合性 |
| リード育成(ナーチャリング) | 開封率、クリック率、MQL化率 | MQL基準を満たすリードが少ない | スコアリング基準とコンテンツ設計 |
| 商談化 | 商談化率(インバウンド/アウトバウンド別) | 商談数は出ているが質が低い | MQL→SQL引き渡し基準の妥当性 |
| 商談→提案 | 提案率、提案までのリードタイム | 商談から提案に進まない案件が多い | 初回ヒアリングの精度、意思決定者把握 |
| 提案→受注 | 受注率、失注理由分析 | 提案しても受注に至らない | 競合状況、価格設定、提案内容の妥当性 |
| 継続・アップセル | 継続率、追加発注率 | 単発で終わり継続しない | オンボーディング、カスタマーサクセス |
KPIツリーによる売上目標の分解
売上目標を分解する基本式は以下の通りです:
売上 = 商談数 × 商談化率 × 受注率 × 平均単価
この式を使い、年間売上目標と実績の間でギャップが最大の指標を特定します。例えば、商談数は十分だが受注率が低い場合、提案内容や競合対策がボトルネックの可能性があります。
ファネル分析による離脱ポイントの特定
ファネル分析では、認知→リード→商談→受注の各段階の転換率を計測し、どこで離脱が多いかを可視化します。
案件ボードとは、営業案件をフェーズ別にカード化し、一覧で可視化するSFA機能です。停滞案件を発見しやすくなります。案件ボードで特定フェーズに長期間留まっている案件を洗い出し、その原因を分析することで、ボトルネックを特定できます。
営業部門だけで分析しても根本原因が見えない問題
営業部門だけでボトルネックを探し、「商談力が足りない」「リードの質が悪い」と感覚的に結論づけてしまうのは、データに基づく根本原因の特定ができないまま場当たり的な施策を繰り返すことにつながります。これでは成果が出ません。
前述の通り、BtoB購買者の85%が営業面談前に候補を絞り込んでいます。つまり、営業以前のマーケティング施策がすでに勝敗を左右しているケースが多いのです。グローバルの調査でも84%が営業ノルマ未達という厳しい結果が報告されています(日本市場では異なる可能性がある点に留意)。
この問題を解決するには、営業部門の分析だけでなく、マーケティング部門と連携し、MA/SFAデータを横断的に分析する視点が不可欠です。
MA/SFA連携によるマーケ・営業横断のボトルネック解消
MA/SFAデータ連携により、マーケティングから営業までの一貫したファネルを可視化できます。これにより、ボトルネックが「マーケ施策の問題なのか」「営業プロセスの問題なのか」を切り分けることが可能になります。
ある製造業企業では、MAツールを刷新したことで商談数が約8倍に増加したという事例が報告されています(TOPPAN事例。自社報告ベースであり、第三者検証はされていません。また、再現性は企業規模・業界・運用体制により異なります)。
【チェックリスト】営業ボトルネック特定チェックリスト
- 年間売上目標と実績のギャップを数値で把握している
- KPIツリーで売上を構成要素に分解している
- 各フェーズの転換率(リード→商談→受注)を計測している
- インバウンド/アウトバウンド別に商談化率を把握している
- 失注理由を分類して記録している
- 案件ボードで停滞案件を可視化している
- 停滞案件の共通パターンを分析している
- MQL(マーケ基準リード)の定義をマーケ・営業で共有している
- SQL(営業基準リード)の定義をマーケ・営業で共有している
- MA/SFAが連携され、リード行動履歴が営業に共有されている
- マーケ・営業で定期的なすり合わせミーティングを実施している
- リードの引き渡し基準と対応期限が明確になっている
- 営業からマーケへのフィードバック(リード品質)を行っている
- ボトルネック分析を定期的に実施するサイクルがある
- 改善施策の効果測定を行っている
マーケ・営業間のリード定義の共有
「質の高いリード」の定義がマーケティング部門と営業部門で異なっていると、せっかくのリードが活用されないまま放置されることになります。
MQL(Marketing Qualified Lead)からSQL(Sales Qualified Lead)への引き渡し基準を明確にし、両部門で合意することが重要です。具体的には、以下の項目を共有します:
- どのような行動をしたリードを営業に引き渡すか(スコアリング基準)
- 引き渡し後の対応期限はどのくらいか
- 営業からマーケへのフィードバック方法
この連携設計により、「リードの質が悪い」という感覚的な議論から、データに基づく改善議論へとシフトできます。
まとめ:データに基づくボトルネック特定で改善優先順位を明確に
営業成果が伸び悩む原因を特定するには、営業部門内だけの分析では不十分です。BtoB中小企業の59.0%がKPIを設定していないという調査結果が示すように、まずデータ取得体制を整備し、KPIツリーとファネル分析でボトルネックを可視化することが第一歩です。
しかし、購買者の85%が営業面談前に候補を絞り込んでいる現状を踏まえると、営業プロセス単体の改善には限界があります。MA/SFAデータ連携によるマーケ・営業横断の視点でボトルネックを特定し、改善優先順位を明確にすることが求められます。
本記事で紹介したチェックリストを活用し、自社のボトルネック特定に取り組んでみてください。営業のボトルネック特定は、営業部門内の分析だけでなく、MA/SFAデータ連携によるマーケ・営業横断の視点で行い、専門家の支援を活用することで、的確な改善優先順位が見えてきます。
