マーケと営業の連携強化が求められる背景
マーケと営業の連携強化の答えは明確で、MQL/SQLの定義やSLAの策定だけでなく、MA/SFAへの実装と運用ルールの定着まで一気通貫で対応することで、持続的な成果向上につながります。
MA導入企業でマーケティング施策の投資対効果として受注金額まで追っている企業は、全体の30.2%に留まるという調査結果があります。また、SFA/MA連携で高度連携(数値評価可能なレベル)を実現している企業は5.8%と低い水準です。多くの企業で、ツールは導入したものの連携が不十分なまま運用されている現状がうかがえます。
「MQL/SQLの定義やリード引き渡しルールが曖昧で、施策を打っても定着しない」「マーケが獲得したリードが営業で活用されていない」といった課題を抱える企業は少なくありません。
この記事で分かること
- マーケと営業の連携に必要なMQL/SQL/SLAの基本概念
- 連携がうまくいかない原因と失敗パターン
- MQL/SQL定義とリード引き渡しルールの設計方法
- MA/SFA実装と運用定着のためのチェックポイント
マーケと営業の連携に必要な基本概念
マーケと営業の連携を強化するためには、MQL、SQL、SLAの概念を正しく理解し、両部門で定義を合意することが出発点です。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が行動履歴や属性に基づき、購買意欲が高いと判断した見込み客を指します。Webサイトの閲覧履歴、資料ダウンロード、セミナー参加などの行動をスコアリングし、一定の基準を満たしたリードをMQLとして認定します。
SQL(Sales Qualified Lead) とは、MQLをインサイドセールスがBANT基準で精査し、商談化可能性が高いと認定したリードです。MQLからSQLへの転換が、マーケと営業の連携における重要なポイントとなります。
SLA(Service Level Agreement) は、マーケ・営業間でMQL発生から初回接触までの時間目標等を合意した取り決めです。このSLAがないと、MQLが発生しても営業のフォローが遅れ、商談機会を逃すリスクが高まります。
インサイドセールスは、電話やWeb会議で見込み客と接触し、MQLからSQLへの選別・育成を担う内勤営業です。マーケと営業の橋渡し役として、連携の要となるポジションです。
SaaS業界ではMQL→SQL転換率(商談化率)は30-40%が壁とされています。ただし、MQL/SQLの定義は企業により異なるため、業界比較は困難な点に留意が必要です。
MQLとSQLの違いと引き渡しの重要性
MQLとSQLの違いを明確にし、適切な引き渡しプロセスを設計することが連携の土台となります。
BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Need(課題)、Timeline(導入時期)の4条件でリードを評価する基準です。インサイドセールスはこのBANT基準を用いてMQLを精査し、商談化可能性が高いリードをSQLとして営業に引き渡します。
MQL/SQLの定義は企業により異なり、自社の商材や営業プロセスに合わせて設計する必要があります。重要なのは、マーケと営業の両部門で定義を合意し、運用ルールを明確にすることです。
マーケと営業の連携がうまくいかない原因
連携がうまくいかない主な原因は、定義の策定だけで終わり、MA/SFAへの実装や運用ルールの徹底が後回しになることです。
ある調査によると、連携課題として営業側は「意見反映不足」40.9%、マーケティング側は「システム連携不足」48.2%を認識しています(ただし、調査のサンプル数・年度の詳細は明記されていません)。また、連携ツールの利用状況も低い水準にとどまっており、メール/チャットでの連携が21%、定期会議が15.2%という結果が報告されています。
よくある失敗パターンとして、MQL/SQLを定義しSLAを策定したものの、MA/SFAへの実装や運用ルールの徹底が後回しになり、結局元の属人的な運用に戻ってしまうケースがあります。この考え方は誤りであり、定義の策定だけでは連携は改善しません。MA/SFAへの実装と運用ルールの徹底まで一気通貫で対応することが不可欠です。
「MQL/SQLを定義すれば連携が自動的に改善する」という誤解も多く見られます。実際には、スコアリングロジックのMA設定、リード引き渡しの自動化、フィードバックループの構築など、システム実装と運用の徹底があって初めて成果につながります。
MQL/SQL定義とリード引き渡しルールの設計方法
MQL/SQL定義とリード引き渡しルールは、自社の商材や営業プロセスに合わせて設計し、両部門で合意することが重要です。
RevOps(Revenue Operations) とは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを統合し、収益最大化を目指す運用体制です。部門横断の連携体制を構築することで、リード獲得から成約までの効率を高めることができます。
参考事例として、ある製造業系企業ではマーケティング目標として売上の10%貢献を設定し、そこからMQL/SQL数を逆算してKPI化した取り組みが報告されています(ただし、これは個別企業の事例であり、企業PRベースの情報のため一般化には注意が必要です)。
【比較表】MQL/SQL定義・引き渡しルール設計例
| 項目 | MQL | SQL |
|---|---|---|
| 定義 | マーケが行動履歴・属性で認定 | ISがBANT基準で商談化可能と認定 |
| 主な条件 | スコア一定以上、特定行動あり | BANT条件充足、商談意欲確認済み |
| 担当部門 | マーケティング部門 | インサイドセールス |
| 引き渡し先 | インサイドセールス | フィールドセールス |
| SLA目安 | MQL発生から24時間以内に初回接触 | SQL認定から48時間以内に商談設定 |
| フィードバック | SQLへの転換可否を報告 | 商談結果・受注可否を報告 |
| 評価指標 | MQL数、MQL→SQL転換率 | SQL数、商談化率、受注率 |
※SLAの時間目安は業種・商材により異なります。自社の状況に合わせて設定してください。
SLAの設計と運用ポイント
SLAは、MQL発生から初回接触までの時間目標を設定し、マーケ・営業間で合意することがポイントです。
SLA設計のポイント:
- 時間目標の設定: MQL発生から初回接触までの目標時間を定める
- 対応責任者の明確化: 誰がどのタイミングで対応するかを決める
- フィードバックループ: 営業からマーケへのリード品質フィードバックを仕組み化する
- 定期レビュー: SLAの達成状況を定期的にモニタリングし、改善につなげる
SLAを形骸化させないためには、MA/SFAでの自動通知やダッシュボードでの可視化など、システム実装と運用の徹底が重要です。
MA/SFA実装と運用定着のためのチェックポイント
MA/SFA実装と運用定着を成功させるためには、定義やルールをシステムに落とし込み、継続的に改善サイクルを回すことが重要です。
海外の統計データでは、MA導入により営業生産性14.5%向上、有望リード大幅増加、リード獲得・コンバージョン率向上といった効果が報告されています(ただし、これは海外統計ベースで一次ソースが不明瞭なため、参考値として捉えてください)。
実装のポイント:
- スコアリングロジックのMA設定: 行動履歴や属性に基づくスコアリングを自動化
- リード引き渡しの自動化: MQL発生時にインサイドセールスへ自動通知
- 案件化以降のトラッキング: 受注・LTVまでの追跡でリード品質を評価
- フィードバックループ: 営業からの情報をマーケ施策に反映する仕組み
【チェックリスト】マーケ×営業連携 課題診断チェックリスト
- MQLの定義がマーケ・営業間で合意されている
- SQLの定義がマーケ・営業間で合意されている
- MQL→SQLの引き渡しルールが明文化されている
- SLA(初回接触までの時間目標)が設定されている
- スコアリングロジックがMAに実装されている
- MQL発生時の自動通知が設定されている
- インサイドセールスの対応フローが標準化されている
- 営業からマーケへのフィードバックルートがある
- MQL→SQL転換率を定期的にモニタリングしている
- SQL→商談化率を定期的にモニタリングしている
- 商談結果(受注/失注)のフィードバックが仕組み化されている
- リード品質の改善サイクルが回っている
- マーケ・営業の定例ミーティングが実施されている
- 連携に関するKPIダッシュボードがある
- 定義・ルールの定期見直しが行われている
まとめ:マーケ×営業連携は実装と運用定着が成功の鍵
マーケと営業の連携強化において最も重要なのは、定義やルールの策定で終わらせないことです。
本記事で紹介したチェックリストを活用し、自社の連携状況を診断してみてください。課題が見つかった項目から優先的に改善に取り組むことで、段階的に連携を強化できます。
社内リソースだけでは対応が難しい場合は、設計から実装まで支援できる専門家の活用も選択肢の一つです。
マーケティングと営業の連携強化は、MQL/SQLの定義やSLAの策定だけでなく、MA/SFAへの実装と運用ルールの定着まで一気通貫で対応することで、持続的な成果向上につながります。
