HubSpotとMarketo選定で失敗する理由
意外かもしれませんが、HubSpotとMarketoの選定は、ツールの機能・価格比較だけでなく、自社の営業プロセスへの適合性とSFA/CRM連携の実装設計を見据えて行うことで、導入後の活用率と成果向上につながります。これが本記事の結論です。
「HubSpotとMarketoのどちらが自社に合うかわからない」「機能比較だけでは判断できない」——こうした課題を抱えるマーケティング担当者は少なくありません。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。リード獲得・育成・スコアリングを支援し、営業部門へのリード引き渡しを効率化します。
しかし、多くの企業がMAツール選定で失敗しています。機能一覧や料金表を見比べるだけで「これが良さそうだ」と判断し、導入後に「思ったように使いこなせない」「営業との連携がうまくいかない」という状態に陥るケースが見られます。本記事では、導入後の活用まで見据えた選定ポイントを解説します。
この記事で分かること
- HubSpotとMarketoの基本情報と国内シェア
- 機能・価格・適合企業の詳細比較
- CRM/SFA連携の観点から見る選定ポイント
- 導入前に確認すべき選定チェックリスト
HubSpotとMarketoの基本情報と市場シェア
HubSpotとMarketoは、国内MAツール市場で高いシェアを持つ代表的なツールです。Mazrica調査によると、2026年時点で国内MAシェアはHubSpot Marketing Hubが20.3%で第2位、Marketo関連(Marketing Cloud Account Engagement含む)が13.4%で第3位となっています(調査方法・サンプル規模が非公開のため参考値として扱ってください)。
Marketing Cloud Account Engagementとは、旧Pardotの名称で、Salesforce傘下のBtoB向けMAツールです。Marketoと同様の位置づけとして市場で認知されています。
導入実績として、HubSpotは世界135カ国以上で258,000社以上に導入されています(2026年1月時点、HubSpot公式発表値であり第三者検証はされていません)。Marketoは国内1,600社以上に導入されています(2026年時点)。
HubSpot Marketing Hubの特徴
HubSpotは、無料プランからスモールスタート可能なMAツールです。特に中小BtoB企業での導入が進んでいます。
CRM連携とは、顧客管理システム(CRM)とMAを連携させ、マーケ・営業間でリード情報を共有する仕組みを指します。HubSpotは自社CRM(HubSpot CRM)との完全統合が強みであり、マーケティングから営業へのリード引き渡しがスムーズに行えます。
HubSpotの主な特徴は以下の通りです。
- 無料プランから段階的に機能拡張が可能
- 自社CRMとの完全統合
- 直感的なUIで学習コストが低い
- インバウンドマーケティングに強み
Marketoの特徴
Marketoは、高度なスコアリングとABM対応を強みとする大企業向けMAツールです。2018年にAdobeに買収され、現在はAdobe傘下で提供されています。
リードスコアリングとは、見込み顧客の属性・行動に基づき点数を付与し、購買可能性や優先順位を数値化する手法です。ABM(Account Based Marketing) とは、特定の企業アカウントをターゲットに、個別最適化されたマーケティング施策を展開する手法を指します。
Marketoの主な特徴は以下の通りです。
- 高度なリードスコアリング機能
- ABM対応による企業単位でのアプローチ
- Salesforceとの親和性が高い
- 大規模なキャンペーン管理に対応
機能・価格・適合企業の詳細比較
HubSpotとMarketoは、それぞれ異なる強みと価格帯を持っています。以下の比較表で両ツールの違いを整理します。
日本のBtoB MAツールの平均相場は初期費用10-30万円、月額4-15万円とされています(2026年1月時点)。HubSpotは無料プランから始められる一方、Marketoは年間約200万円〜(1万件リード規模)が相場となっています。価格情報は変動する可能性があるため、最新価格は公式サイトでご確認ください。
【比較表】HubSpot vs Marketo 機能・価格・適合企業比較表
| 項目 | HubSpot Marketing Hub | Marketo |
|---|---|---|
| 価格帯 | 無料〜月額96,000円〜 | 年間約200万円〜 |
| 初期費用 | 低〜中 | 中〜高 |
| 無料プラン | あり | なし |
| CRM連携 | 自社CRM完全統合 | Salesforce親和性高 |
| スコアリング | 標準機能あり | 高度な機能 |
| ABM対応 | 基本機能 | 高度な機能 |
| 適合企業規模 | 中小〜中堅(50-300名) | 中堅〜大企業(300名以上) |
| 学習コスト | 低い | 中〜高 |
| カスタマイズ性 | 中程度 | 高い |
| サポート体制 | 日本語対応あり | 日本語対応あり |
企業規模・リソース別の適合性
企業規模や運用リソースによって、適合するツールは異なります。「高機能なツールほど良い」という考え方は誤りです。自社の運用体制・リソースに合ったツール選定が重要です。
中小BtoB企業(従業員50-300名規模)では、HubSpotが適している傾向があります。無料プランから始められ、学習コストが低く、自社CRMとの統合が容易なためです。
一方、大企業(従業員300名以上)で高度なカスタマイズが必要な場合は、Marketoが選ばれることが多いです。高度なスコアリングやABM対応が可能で、Salesforceとの連携も強みとなります。
CRM/SFA連携の観点から見る選定ポイント
導入後の活用率を高めるためには、CRM/SFA連携設計の観点が重要です。機能一覧や料金表を見比べるだけで選定し、導入後のSFA/CRM連携設計や営業・マーケ横断での運用体制構築を後回しにして、結局使いこなせずROIが出ないケースは失敗パターンの典型です。
HubSpotは自社CRM(HubSpot CRM)との完全統合が強みです。マーケティングから営業へのリード引き渡しが同一プラットフォーム内で完結するため、データの一貫性が保たれます。
MarketoはSalesforceとの親和性が高いことが特徴です。既にSalesforceを導入している企業であれば、連携がスムーズに行えます。一方、他のCRM/SFAを利用している場合は、連携設計に追加の工数がかかる可能性があります。
営業プロセスとの適合性を確認する方法
自社の営業プロセスに適合するツールを選定するためには、以下のポイントを事前に確認することが重要です。
- 既存CRM/SFAとの連携要件: 現在利用しているツールとの連携が可能か、どの程度の工数が必要かを確認
- リード引き渡しフロー: マーケティングから営業へのリード引き渡し基準を明確にし、ツールで実現可能かを検証
- データ統合の要件: 顧客データをどの程度統合する必要があるかを整理
- 営業部門の利用可能性: 営業部門がツールを日常的に利用できるUIか、学習コストは許容範囲か
導入前に確認すべき選定チェックリスト
導入後の活用を見据えた選定のために、以下のチェックリストを活用してください。
【チェックリスト】MAツール選定チェックリスト
- 自社のマーケティング目標を明確に定義している
- 現在のリード数・今後の増加見込みを把握している
- 既存CRM/SFAとの連携要件を整理している
- 予算(初期費用・月額費用)の上限を設定している
- 運用担当者をアサインしている
- 営業部門との連携体制を検討している
- リード引き渡し基準(MQL/SQL定義)を合意している
- 必要な機能(スコアリング、ABMなど)を優先順位付けしている
- 学習コスト・トレーニング期間を見込んでいる
- 導入後のサポート体制を確認している
- 契約期間・解約条件を確認している
- 他ツールとの連携(メール配信、Web解析など)要件を整理している
- セキュリティ要件を確認している
- トライアル・デモを実施する計画がある
導入後の運用体制構築のポイント
「MAを導入すれば自動的にリードが育成される」という誤解は避けるべきです。MAはあくまでツールであり、運用設計と継続的な改善が不可欠です。
導入後の運用体制構築では、以下のポイントが重要です。
- 運用責任者の明確化: MAの運用責任者を明確にし、継続的な改善を担当
- マーケ・営業間の定例会議: リードの質に関するフィードバックを定期的に共有
- KPIの設定とモニタリング: MQL数、商談化率、ROIなどの指標を定期的に確認
- コンテンツ制作体制: メール配信やランディングページに必要なコンテンツを継続的に制作
まとめ|自社に最適なMAツールを選定するために
本記事では、HubSpotとMarketoの違いから選定ポイントまでを解説しました。要点を整理します。
- 国内MAシェアはHubSpot Marketing Hubが20.3%(第2位)、Marketo関連が13.4%(第3位)(2026年、Mazrica調査)
- HubSpotは無料プランから始められ、自社CRM完全統合が強み。中小BtoB企業に適している傾向
- Marketoは高度なスコアリング・ABM対応が強み。Salesforceとの親和性が高く、大企業に適している傾向
- 価格帯はHubSpotが無料〜月額96,000円〜、Marketoが年間約200万円〜(1万件リード規模)
- 機能・価格比較だけでなく、CRM/SFA連携の実装設計と運用体制構築を見据えた選定が重要
まずは本記事のチェックリストを活用して、自社の要件を整理してみてください。既存CRM/SFAとの連携要件、予算、運用体制を明確にした上で、トライアルやデモを通じて両ツールを比較検討することをおすすめします。
HubSpotとMarketoの選定は、ツールの機能・価格比較だけでなく、自社の営業プロセスへの適合性とSFA/CRM連携の実装設計を見据えて行うことで、導入後の活用率と成果向上につながります。
