HubSpotを導入したのに活用できていない課題
HubSpot活用で成功するには、機能を理解するだけでなく、マーケ・IS・FSの部門連携を前提とした運用設計と、活用度を測定するKPIの設定が不可欠です。
「HubSpotを導入したが、思うように活用できていない」「機能が多すぎて使いこなせない」「導入したのに成果が見えない」といった課題を抱える企業は少なくありません。
HubSpotは2025年10月時点で135カ国以上、約268,000社に導入されている世界的なプラットフォームです(HubSpot公式発表)。日本でも導入企業は増加しており、多くの企業がマーケティング・営業活動の効率化を目指してHubSpotを選んでいます。
しかし、導入しただけでは成果は出ません。本記事では、HubSpot活用が進まない原因を分析し、成功に導くための運用設計のポイントを解説します。
この記事で分かること
- HubSpotの基本機能と製品構成
- HubSpot活用の成功パターン
- 活用が進まない原因と対策
- 部門連携を前提とした運用設計の方法
HubSpotの基本機能と製品構成
HubSpotは複数の「Hub」で構成されており、マーケティングから営業、カスタマーサポートまで一貫した顧客管理を実現できるプラットフォームです。
国内MAシェアでHubSpot Marketing Hubは20.3%を占め第2位となっています(Mazrica推定値。調査方法・サンプル規模は非公開)。多くの企業がマーケティングオートメーションの選択肢としてHubSpotを検討しています。
【比較表】HubSpot製品別・活用シーン比較表
| 製品名 | 主な機能 | 活用シーン |
|---|---|---|
| Marketing Hub | リード管理、メールマーケティング、LP作成、アナリティクス | 見込み客の獲得・育成 |
| Sales Hub | パイプライン管理、Eメールトラッキング、見積もり作成 | 商談管理・営業活動支援 |
| Service Hub | チケット管理、ナレッジベース、顧客フィードバック | カスタマーサポート |
| Operations Hub | データ同期、業務自動化、データ品質管理 | システム連携・業務効率化 |
| CMS Hub | ウェブサイト構築、コンテンツ管理 | コーポレートサイト・ブログ運営 |
Marketing Hub・Sales Hubの主要機能
Marketing Hubとは、HubSpotのMAツールです。リード管理、メールマーケティング、LP作成、アナリティクスを統合した機能を提供しています。
Sales Hubとは、HubSpotのSFAツールです。パイプライン管理、Eメールトラッキング、見積もり作成を支援し、営業活動を効率化します。
リードスコアリングとは、見込み客の行動や属性に基づきスコアを付与し、優先度を判定する手法です。Marketing Hubでスコアリングしたリードを、Sales Hubに引き渡すことで、営業が優先すべきリードを明確にできます。
Operations Hubとは、HubSpotのデータ同期・業務効率化ツールで、2021年4月に日本展開されました。他システムとのデータ連携を自動化し、データ品質を維持する機能を提供しています。
HubSpot活用の成功パターン
HubSpot活用で成果を上げている企業には、共通する成功パターンがあります。
2024年の調査によると、年間経常収益500万ドル(約7.5億円)未満の企業ではHubSpotがCRM世界シェアトップとなっています。中小企業にとって使いやすいツールとして評価されていることがわかります。
成功パターンは以下の3点に集約されます。
1. CRMを軸にした顧客情報の一元化
無料CRMからスタートし、顧客情報を一箇所に集約することが第一歩です。情報がバラバラに管理されている状態では、活用が進みません。
2. メールマーケティングの自動化
Marketing Hubを活用し、リードの行動に応じた自動メール配信を設定することで、手動作業を削減しながら継続的なコミュニケーションが可能になります。
3. 営業・マーケ連携の強化
Marketing HubとSales Hubを連携させ、リードから商談への流れを一元管理することで、部門間の情報共有がスムーズになります。
マーケ・営業連携を強化する活用法
Marketing HubのリードデータをSales Hubに自動共有する連携設計が、成約率向上に効果的とされています。
具体的には、リードスコアが一定以上になったタイミングで自動的にSales Hubにリードを引き渡し、営業担当者にタスクを割り当てる設定が有効です。これにより、マーケティングと営業の間でリードが滞留することを防げます。
HubSpot活用が進まない原因と対策
多くの企業がHubSpot活用に苦戦する原因は、ツールの機能ではなく運用設計の不備にあります。
よくある失敗パターンとして、HubSpotを導入して機能を設定しただけで満足し、運用設計や部門間の連携ルールがないまま放置されてしまい、結局誰も使わないツールになるケースがあります。
このパターンに陥ると、データが入力されない、入力されても活用されない、という悪循環が生まれます。ツールに投資しただけで成果が出るわけではありません。
また、ツール分散・連携不足が活用の障壁となるケースも多く見られます。複数のツールを別々に使っていると、データの重複や不整合が発生し、どのツールを見れば正しい情報が得られるのか分からなくなります。HubSpotをオールインワンで活用することで、この問題を解消できます。
運用設計がない状態の問題点
HubSpotを導入すれば自動的に成果が出るわけではなく、社内体制整備と運用設計が不可欠です。
運用設計がない状態で起こる問題は以下の通りです。
- 誰がどのタイミングでデータを入力するか不明確
- リードの引き渡し基準が曖昧で、マーケと営業で認識がズレる
- レポートを見ても、次に何をすればいいか分からない
- 結局、以前のやり方(スプレッドシート等)に戻ってしまう
これらの問題を解決するには、導入前に運用ルールを明文化し、関係者で合意しておくことが重要です。
部門連携を前提としたHubSpot運用設計
HubSpot活用を成功させるには、マーケ・IS・FSの部門連携を前提とした運用設計が必要です。
特に重要なのは、活用度を測定するKPIを設定することです。「どの程度HubSpotが使われているか」「どの機能が活用されていないか」を可視化することで、改善の方向性が見えてきます。
【チェックリスト】HubSpot活用度チェックリスト
- CRMに顧客・リード情報が一元管理されているか
- 新規リードが発生した際のワークフローが設定されているか
- リードスコアリングの基準が明文化されているか
- マーケから営業へのリード引き渡しルールが決まっているか
- 営業担当者が商談情報をSales Hubに入力しているか
- メールマーケティングの自動化ワークフローが稼働しているか
- ダッシュボードでKPIを定期的に確認しているか
- リードの引き渡し後、商談化率を計測しているか
- 未対応リードのアラート設定がされているか
- 月次でHubSpot活用状況をレビューする場があるか
- 営業・マーケ間で定期的に情報共有する会議があるか
- 運用ルールが文書化されているか
- 新メンバー向けのトレーニング資料があるか
- データ入力のルール(必須項目等)が統一されているか
活用度を測定するKPIの設定
HubSpot活用の進捗を可視化するために、以下のようなKPIを設定することが効果的です。
- データ入力率(商談のうちHubSpotに登録されている割合)
- リード対応率(新規リードのうち、一定期間内に対応されたリードの割合)
- メール開封率・クリック率(Marketing Hubのメールパフォーマンス)
- 商談化率(マーケから引き渡されたリードのうち商談になった割合)
近年は、内製運用によるコスト削減・スピード向上がトレンドとなっています。外部に依頼せず、社内でHubSpotを運用できる体制を構築することで、迅速なPDCAが可能になります。
まとめ:運用設計と部門連携でHubSpot活用を成功させる
本記事では、HubSpot活用が進まない原因と、成功に導くための運用設計のポイントを解説しました。
ポイントの整理
- HubSpotは複数のHub(Marketing、Sales、Operations等)で構成され、一貫した顧客管理を実現できる
- 成功パターンは「CRM一元化」「メールマーケティング自動化」「営業・マーケ連携強化」の3点
- 活用が進まない原因は、機能ではなく運用設計の不備にあることが多い
- 部門連携を前提とした運用ルールの明文化が重要
- 活用度を測定するKPIを設定し、定期的にレビューする
明日から取り組めるアクション
- 本記事のチェックリストで現状の活用度を確認する
- 運用ルール(リード引き渡し基準、データ入力ルール等)を明文化する
- 営業・マーケ間でリード引き渡しルールを合意する
HubSpot活用を成功させるためには、機能を理解するだけでなく、マーケ・IS・FSの部門連携を前提とした運用設計と、活用度を測定するKPIの設定が不可欠です。
