インテントデータが営業効率を変える背景
営業リストの精度が低くアポ率・商談化率が上がらない課題を解決したいなら、インテントデータの種類と特性を理解するだけでなく、MA/SFAとの連携による運用設計と、商談化データに基づく継続的な改善運用が重要です。
インテントデータとは、ユーザーや企業が特定の製品・サービスに対して示す興味・購買意欲を表すWeb上の行動データを指します。検索クエリ、サイト閲覧履歴、資料ダウンロードなどが該当します。
セールスインテリジェンス市場のグローバル規模は2024年時点で約33億〜44億ドル、年平均成長率(CAGR)は10〜11%台とされています(MarketsandMarkets調査、グローバル市場の推定値であり、日本単独の市場規模データは確立されていません)。さらに、インテントデータ市場はアジア太平洋地域が最も高い成長率で、約14〜15%のCAGRが予測されており、日本市場でも注目度が高まっています。
しかし、インテントデータツールを導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。既存のSFA/MAとのデータ連携や営業プロセスへの組み込みを設計しないまま運用すると、データが活用されず成果につながらないケースが多いです。
この記事で分かること
- インテントデータの定義と1st/2nd/3rdパーティの違い
- インテントセールスの手法と活用フロー
- MA/SFA連携によるインテントデータ活用の運用設計
- 導入後のPDCA運用と継続的改善の進め方
インテントデータの定義と種類|1st/2nd/3rdパーティの違い
インテントデータには収集方法や提供元によって複数の種類があり、それぞれ特徴と適した活用シーンが異なります。自社に合ったデータの組み合わせを選ぶことが、営業効率向上の第一歩です。
インテントデータとは何か
インテントデータは、従来のデモグラフィックデータ(企業規模、業種、所在地など)とは異なり、「現在の意図」を検知する行動データです。過去の属性情報ではなく、今まさに特定のソリューションに関心を持っている企業を特定できる点が特徴です。
セールスシグナルとは、インテントデータから検知される購買意欲の兆候を指します。サイト内滞在時間、クリック位置、スクロールスピード等から測定されます。
データ種類別の特徴と活用シーン
1stパーティーデータとは、自社サイトの閲覧履歴・購買履歴など、自社が直接収集した顧客の行動データです。
3rdパーティーデータとは、外部の検索エンジンやSNS等から取得した、自社サイト外でのユーザー行動データです。
【比較表】インテントデータ種類別比較表
| 種類 | 定義 | 取得方法 | 特徴 | 活用シーン |
|---|---|---|---|---|
| 1stパーティーデータ | 自社が直接収集した行動データ | 自社サイトのアクセス解析、MA/CRM | 精度が高く、自社に最も関連性がある | 既存リードの優先順位付け、リードスコアリング |
| 2ndパーティーデータ | 提携先から共有されたデータ | パートナー企業との連携、メディア共有 | 自社で取得できない領域をカバー | 新規市場開拓、業界特化の見込み客発掘 |
| 3rdパーティーデータ | 外部ベンダーから購入したデータ | データプロバイダー、インテントデータ専門ベンダー | 広範囲のカバレッジ、市場全体の動向把握 | 競合検討企業の特定、市場トレンド分析 |
1stパーティーデータと3rdパーティーデータを組み合わせることで、購買全体像の把握精度が高まります。自社サイトでの行動と、自社サイト外での検索・比較行動の両方を捉えることで、より精度の高いターゲティングが可能になります。
インテントセールスの手法と活用フロー
インテントセールスとは、インテントデータを活用して見込み客のニーズに即した営業アプローチを行い、商談機会を最大化する営業手法を指します。データ収集からシグナル検知、営業アプローチまでの一連のフローを設計することが重要です。
インテントデータを活用した事例では、エン転職(エンSXセールス)で商談アポイント獲得率2.5倍、商談成約率2倍、必要架電数60%削減を達成したケースが報告されています。また、DMM.comではアポ獲得率309%向上(従来比)を達成した事例もあります。ただし、これらは個社事例であり、同様の成果を保証するものではありません。成果を出すにはMA/SFA連携と継続的な改善運用が不可欠です。
セールスシグナルの検知と営業アプローチ
セールスシグナルの検知から営業アプローチまでの基本フローは以下の通りです。
- データ収集: 1stパーティーデータ(自社サイト行動)と3rdパーティーデータ(外部検索行動)を収集
- シグナル検知: 特定キーワードの検索、競合比較ページの閲覧、資料ダウンロードなどの行動を検知
- 優先順位付け: シグナル強度に基づいてリードをスコアリング
- 営業アプローチ: 高スコアリードに対してタイムリーに連絡
シグナル検知の具体例としては、自社製品カテゴリのキーワード検索、競合製品の比較サイト閲覧、業界課題に関する記事の閲覧などがあります。これらの行動を検知した企業に対して、課題に即した提案を行うことで、商談化率の向上が期待できます。
MA/SFA連携によるインテントデータ活用の運用設計
インテントデータで成果を出すには、MA/SFAとの連携設計が不可欠です。よくある失敗パターンとして、インテントデータツールを導入すれば自動的に商談につながると考え、既存のSFA/MAとのデータ連携や営業プロセスへの組み込みを設計しないまま運用してしまうケースがあります。この考え方は誤りであり、ツール導入だけでは成果が出ません。
BLAM社はインテントセールス導入から約2年間で営業生産性約2倍、アポ率2.5倍を達成しています。重要なのは、3ヶ月、半年、1年と段階的に最適化を実施した点です(個社事例のため、同様の成果を保証するものではありません)。
参考情報として、電通はMerkuryプラットフォームを活用し、米国市場で9000万人規模のIDデータを保有しており、インテントデータベースの高精度ターゲティングを展開しています。大手企業でもインテントデータ活用の取り組みが進んでいます。
連携設計のポイントとデータフロー
MA/SFA連携の基本的なデータフロー設計は以下の通りです。
- MAでのデータ収集: インテントデータプロバイダーからデータを取得し、MAツールに連携
- スコアリング: インテントシグナルを含むリードスコアリングルールを設定
- SFAへの連携: 一定スコア以上のリードをSFAに自動連携
- 自動アラート: 営業担当へプッシュ通知でホットリードを知らせる
- フィードバック: 商談結果をMAに戻してスコアリングルールを改善
シグナル検知から営業担当への通知までの時間を短縮することで、見込み客の関心が高いタイミングでアプローチできます。
インテントデータ導入後のPDCA運用と継続的改善
インテントデータ導入後は、KPI測定と改善サイクルの仕組み化が成果を左右します。導入して終わりではなく、継続的な運用改善が必要です。
アイリスチトセ株式会社はインテントデータ活用で商談化率3倍、1000万円超の受注獲得を達成した事例があります(個社事例のため、同様の成果を保証するものではありません)。
【チェックリスト】インテントデータ活用チェックリスト
- インテントデータ導入の目的とKPIを明確に定義している
- 1stパーティーデータと3rdパーティーデータの使い分けを決めている
- MAツールとの連携設定が完了している
- SFAへのデータ連携フローが構築されている
- リードスコアリングルールにインテントシグナルを組み込んでいる
- 営業担当へのアラート通知の仕組みを設定している
- 高スコアリードへの対応ルールを営業チームに共有している
- 商談結果のフィードバックループを構築している
- アポ率・商談化率・成約率の計測体制がある
- 週次または月次のレビュー会議を設定している
- スコアリングルールの見直し頻度を決めている
- 3ヶ月、半年、1年の改善マイルストーンを設定している
KPI設定と改善サイクルの設計
インテントデータ活用で計測すべき主なKPIは以下の通りです。
- アポ率: インテントシグナル検知企業へのアプローチからアポ獲得までの割合
- 商談化率: アポ獲得から商談化(具体的な提案段階)までの割合
- 成約率: 商談から受注までの割合
- リードタイム: シグナル検知から商談化までの期間
導入初期は3ヶ月、半年、1年と段階的に最適化を進め、KPIを継続的に測定・改善する運用が成果につながります。定期的なレビューでスコアリングルールの精度を検証し、商談化しやすいシグナルパターンを特定していくことが重要です。
まとめ|インテントデータ活用で営業成果を出すために必要なこと
本記事では、インテントデータを営業で活用する方法について、基本概念からMA/SFA連携、運用設計まで解説しました。
要点を整理します。
- インテントデータの理解: 1st/2nd/3rdパーティーデータの違いを把握し、自社に合った組み合わせを選ぶ
- インテントセールスの実践: データ収集→シグナル検知→営業アプローチの一連フローを設計する
- MA/SFA連携の設計: ツール導入だけでなく、データ連携と自動アラートの仕組みを構築する
- 継続的な改善運用: KPI測定とスコアリングルールの見直しを定期的に行う
本記事で紹介したチェックリストを活用して、自社のインテントデータ活用状況を診断してみてください。
改めて強調すると、インテントデータを営業成果につなげるには、インテントデータの種類と特性を理解するだけでなく、MA/SFAとの連携による運用設計と、商談化データに基づく継続的な改善運用が重要です。
