クラウドサービス営業とは|IS・FS・CS分業体制を機能させる方法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/910分で読めます

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クラウドサービス営業の分業体制が成果につながらない企業の共通点

SaaS営業の仕事内容を理解し、自社の分業体制を改善するために必要なのは、IS・FS・CSの役割分担を理解するだけでなく、部門間のデータ連携とKPI設計を整備し、分業体制を実際に機能させることです。

2023年時点で日本企業の約8割がクラウドサービスを利用しており(総務省「令和5年 通信利用動向調査」)、国内SaaS市場は2024年に約1.3兆円規模に達しています(IDC Japan、民間調査の推計)。市場の拡大に伴い、SaaS企業の多くがIS・FS・CSの分業体制を導入していますが、「分業体制を導入したのに成果が出ない」という課題を抱える企業も少なくありません。

この記事で分かること

  • クラウドサービス(SaaS)営業と一般営業の違い
  • IS・FS・CSの各役割と仕事内容
  • 分業体制を機能させるデータ連携とKPI設計のポイント
  • SaaS営業分業体制のチェックリスト
  • 段階的な導入アプローチ

クラウドサービス(SaaS)営業とは|一般営業との違い

クラウドサービス(SaaS)営業とは、サブスクリプション型のクラウドサービスを販売する営業活動を指します。一般的なパッケージ販売と異なり、顧客獲得後の継続率とLTV(顧客生涯価値)最大化が重視される点が大きな特徴です。

国内SaaS市場は年平均成長率(CAGR)10.9%で拡大し、2028年度には3兆円規模に迫ると予測されています(富士キメラ総研2023年調査、民間調査の推計)。この成長市場において、SaaS営業はIS・FS・CSの分業体制を取ることが一般的になっています。

MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動により一定スコア以上に達した見込み顧客を指し、営業へパスする対象となります。SQL(Sales Qualified Lead) は、営業が商談可能と判断した見込み顧客であり、MQLから営業へ引き渡された後の段階を指します。

SaaS営業が分業体制を取る理由

SaaS営業が分業体制を取る背景には、サブスクリプションモデル特有のビジネス構造があります。

従来の売り切り型ビジネスでは、一度の契約で売上が確定しました。しかし、サブスクリプションモデルでは月額・年額での継続課金となるため、顧客獲得だけでなく解約防止(チャーン抑制)とアップセル・クロスセルによる収益拡大が重要になります。

この構造から、各フェーズに専門特化したチームを設けることで効率と成果を高める分業体制が広がっています。

IS・FS・CSの役割と仕事内容|分業体制の基本構造

SaaS営業の分業体制は、主にインサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)、カスタマーサクセス(CS)の3つの役割で構成されます。

インサイドセールス(IS) とは、マーケティングが創出したリードに対する電話・メール・オンライン商談を行い、MQLをSQLに育成してFSへ案件をパスする役割です。

フィールドセールス(FS) とは、訪問またはオンラインでの本格商談、提案、見積、クロージングを担当し、受注後にCSへ引き継ぐ役割です。

カスタマーサクセス(CS) とは、オンボーディング、活用支援、アップセル・クロスセル機会の創出を行い、解約率低減とLTV最大化を担う役割です。

【比較表】IS・FS・CS役割比較表

役割 主な業務 引き渡し対象 主要KPI
インサイドセールス(IS) リード対応、商談化判定、アポイント獲得 SQLをFSへ MQL→SQL変換率、アポ獲得数、商談化率
フィールドセールス(FS) 本格商談、提案、見積、クロージング 受注案件をCSへ 受注率、受注金額、商談サイクル
カスタマーサクセス(CS) オンボーディング、活用支援、解約防止 - NRR、解約率、アップセル率

NRR(Net Revenue Retention) とは、既存顧客からの収益維持率を指します。解約・ダウングレードを差し引き、アップセル・クロスセルを含めた純収益比率で、SaaSビジネスの健全性を測る重要指標です。

MQLからSQL、そして受注へのプロセス

リードが受注に至るまでのプロセスは、マーケティング→IS→FS→CSという流れで進みます。

マーケティングがWebサイトやセミナーなどでリードを獲得し、一定のスコアに達したMQLをISに引き渡します。ISはMQLに対してヒアリングや情報提供を行い、商談可能と判断した案件をSQLとしてFSへパスします。FSが商談・提案を経て受注すると、CSが引き継いでオンボーディングと活用支援を行います。

このプロセスにおいて、各部門間の引き渡し基準が曖昧だと、案件の取りこぼしや重複対応が発生し、成果につながりにくくなります。

分業体制を機能させるデータ連携とKPI設計

分業体制を導入しても成果が出ない最大の原因は、部門間のデータ連携とKPI設計が不十分なまま運用していることにあります。

よくある失敗パターンとして、IS・FS・CSの分業体制を導入すれば自動的に営業効率が上がると考え、部門間のデータ連携やリード引き渡し基準を曖昧なまま運用してしまうというケースがあります。この考え方は誤りであり、このアプローチでは成果が出ません。

RevOps(Revenue Operations) とは、マーケティング・営業・CSの部門横断でKPIを統一し、収益最大化を目指す組織運営アプローチです。分業体制を機能させるには、このRevOpsの考え方に基づいたデータ連携とKPI設計が不可欠です。

BtoB企業のある事例では、CRMとSFAを連携させて営業行動を可視化することで受注率が20%向上したという報告があります(ただし、これは個別事例であり、効果は企業規模・業種・既存システムの状況により大きく異なります)。

部門間の引き渡し基準を明確にする

分業体制の成否を分けるのは、IS→FS、FS→CSの引き渡し基準の明確さです。

ISからFSへの引き渡しには、BANT(Budget, Authority, Need, Timeline)やMEDDIC(Metrics, Economic Buyer, Decision Criteria, Decision Process, Identify Pain, Champion)などの商談化基準を設定することが有効です。これにより、MQLからSQLへの精査・育成が適切に行われ、FSが受け取る案件の質が向上します。

引き渡し基準が曖昧なまま運用すると、各部門でKPIの解釈がずれ、「ISが渡したリードの質が低い」「FSがフォローしない」といった部門間の摩擦が生じやすくなります。

SaaS営業分業体制のチェックリストと導入ステップ

分業体制を構築・改善するにあたり、現状の体制を確認することが重要です。

中堅企業では10〜49種類のSaaSを導入している企業が3割以上、50種類以上導入している企業も1割を超えるという調査結果があります(2025年利用実態調査、従業員1,243名対象)。複数のツールを連携させてデータを統合することが、分業体制を機能させる基盤となります。

ある製造業の営業チームでは、顧客管理・案件進捗・訪問記録アプリを連携させることで、受注率が前年同月比で約15%向上したという事例があります(ただし、これは個別事例であり、効果は企業により異なります)。

【チェックリスト】SaaS営業分業体制チェックリスト

  • IS・FS・CSの役割と責任範囲が明確に定義されている
  • MQLの定義とスコアリング基準が設定されている
  • MQL→SQL変換の判定基準(BANT/MEDDIC等)が明文化されている
  • ISからFSへの引き渡しプロセスがルール化されている
  • FSからCSへの引き渡しプロセスがルール化されている
  • 各部門のKPIが設定され、定期的にレビューされている
  • 部門横断でKPIを共有する会議体が設定されている
  • CRM/SFAでリード情報が一元管理されている
  • 案件のステータス変更がリアルタイムで共有される仕組みがある
  • マーケティングからCSまでの顧客データが連携されている
  • 解約理由・失注理由がデータとして蓄積されている
  • NRR(収益維持率)が計測・管理されている
  • アップセル・クロスセルの実績が追跡されている
  • 部門間の引き渡し品質についてフィードバックする仕組みがある
  • 分業体制の改善PDCAが回る体制がある

段階的な導入アプローチ

リソースが限られた企業でも実践できる段階的な導入方法を紹介します。

Phase1: 役割定義と引き渡し基準の明確化

まずはIS・FS・CSの役割と責任範囲を明確にし、各部門間の引き渡し基準を文書化します。この段階ではツール導入よりも、運用ルールの合意形成が重要です。

Phase2: CRM/SFAツールでのデータ連携

CRM/SFAツールを導入または整備し、リード情報と案件情報を一元管理します。各部門が同じデータを見て判断できる状態を構築します。

Phase3: 部門横断KPIの設計とレビュー体制構築

MQL→SQL変換率、受注率、NRRなどの指標を部門横断で共有し、定期的なレビュー会議を設定します。データに基づいた改善PDCAを回す体制を整えます。

まとめ|クラウドサービス営業は分業体制の設計と運用で成果が決まる

本記事では、クラウドサービス(SaaS)営業の分業体制について、実装視点から解説しました。

ポイントの整理

  • SaaS営業はサブスクリプションモデルのため、顧客獲得だけでなく継続率とLTV最大化が重要
  • IS・FS・CSの分業体制は、各フェーズの専門性を高めて効率と成果を向上させる構造
  • 分業体制を導入しただけでは成果は出ない。部門間のデータ連携とKPI設計が不可欠
  • 引き渡し基準が曖昧だと部門間の摩擦が生じ、成果につながりにくい
  • 段階的に導入を進め、PDCAを回す体制を構築することが重要

転職を検討している方にとっては、SaaS営業の分業体制と各役割の違いを理解することがキャリア選択の参考になります。営業責任者にとっては、本記事のチェックリストを活用して自社の分業体制を点検し、改善ポイントを特定することが次のアクションとなります。

SaaS・クラウドサービス営業で成果を出すには、IS・FS・CSの役割分担を理解するだけでなく、部門間のデータ連携とKPI設計を整備し、分業体制を実際に機能させることが重要です。

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よくある質問

Q1クラウドサービス(SaaS)営業と一般営業の違いは何ですか?

A1SaaS営業はサブスクリプションモデルのため、顧客獲得だけでなく継続率(解約防止)とLTV最大化が重視されます。そのため、IS・FS・CSの分業体制を取り、各フェーズに専門特化することで効率と成果を高める構造が一般的です。

Q2IS・FS・CSはどのような役割分担になっていますか?

A2IS(インサイドセールス)はマーケティングからのリードを育成してFSへ案件をパスする役割、FS(フィールドセールス)は商談・提案・クロージングを担当、CS(カスタマーサクセス)は受注後のオンボーディングと解約防止・アップセルを担う役割です。

Q3日本企業のクラウドサービス利用率はどのくらいですか?

A3総務省の調査によると、2023年時点で日本企業の約8割がクラウドサービスを利用しています。また、SaaS導入率は31.8%で、関東では約5割が利用しているという調査結果もあります。

Q4国内SaaS市場の規模と成長性はどのくらいですか?

A4国内SaaS市場は2024年に約1.3兆円規模で、2028年には2〜3兆円規模に拡大すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は10.9%程度とされています。ただし、これらは民間調査の推計であり、調査機関により数値は異なります。

Q5分業体制を導入しても成果が出ない原因は何ですか?

A5IS・FS・CSの分業体制を導入しても、部門間のデータ連携やリード引き渡し基準が曖昧なまま運用すると成果につながりません。CRM/SFAツールの連携と、部門横断でのKPI設計・レビュー体制の構築が成功の鍵です。ある事例ではCRMとSFA連携により受注率が20%向上したという報告もあります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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