Salesforceを導入したけれど、どこから始めればいいか分からない...
B2B企業でSalesforceを導入したものの、「操作が複雑で分かりにくい」「何から学習を始めればいいか不明」「営業活動にどう活用すればいいか見えない」といった悩みを抱える営業担当者は少なくありません。
この記事では、Salesforceの基本操作、営業活動管理の使い方、学習方法、導入と定着化のポイントを解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceは顧客情報の一元管理、営業プロセスの可視化、リアルタイムデータ分析が可能なCRM・SFAツール
- 標準オブジェクト(リード・取引先・取引先責任者・商談)を理解することが基本操作の第一歩
- Trailhead(無料オンライン学習ツール)で初心者から体系的に学習できる
- 導入には平均2-6ヶ月、6つのステップ(目的設定・要件定義・実装・データ移行・トレーニング・定着化)が必要
- 日本のSFA定着率は12.7%(米国は41.3%)で、データ入力の習慣化と継続的な教育が重要
1. Salesforceとは?営業活動で何ができるのか
Salesforceは、世界で最も利用されているCRM・SFAツールで、営業活動の効率化と顧客関係の強化を実現します。
(1) Salesforceの定義とCRM・SFAの役割
Salesforceは、CRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援)を統合したクラウドベースのプラットフォームです。
CRMとSFAの役割:
- CRM: 顧客情報を一元管理し、全部門(営業・マーケティング・カスタマーサポート)で共有
- SFA: 営業活動を効率化し、商談管理・進捗確認・営業プロセスの可視化を実現
Salesforceはこれらを統合し、営業担当者が顧客との関係を深め、商談成約率を向上させることを支援します。
グローバルCRM市場の規模(2024年):
- グローバル市場規模: 1,014億ドル(約15兆円)
- 年平均成長率: 11.6%
日本国内のCRM市場(2024年):
- 市場規模: 約227.82億円(2025年には256.75億円に成長見込み)
- 年平均成長率: 5.3%(グローバル市場の半分以下)
グローバル市場と比較すると、日本国内の成長率はやや低いものの、着実に拡大しています。
(2) 主要機能(顧客情報の一元管理・営業プロセスの可視化・データ分析)
Salesforceの主要機能は以下の3つです。
1. 顧客情報の一元管理
- 連絡先・取引履歴・コミュニケーション履歴を一元管理
- 全部門が同じ顧客情報にアクセスし、情報共有の漏れを防ぐ
- 例: 営業担当者がカスタマーサポートの対応履歴を確認し、顧客の課題を把握
2. 営業プロセスの可視化
- リード管理(見込み客の追跡)
- 商談管理(営業案件のステージ管理・進捗確認)
- パイプライン可視化(商談全体の進捗を俯瞰)
3. リアルタイムデータ分析
- レポート・ダッシュボードで営業KPI(受注率・平均受注額・リードタイム等)を可視化
- 迅速な意思決定と営業戦略の最適化
(3) Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudの違い
Salesforceには用途別に複数の「Cloud」があります。
Sales Cloud(営業支援):
- リード・商談管理、営業活動の可視化
- 営業担当者向けの機能が中心
Service Cloud(顧客サポート):
- 問い合わせ対応、ケース管理、ナレッジベース構築
- カスタマーサポート部門向け
Marketing Cloud(マーケティング活動支援):
- メールキャンペーン管理、リード育成、カスタマージャーニー可視化
- マーケティング部門向け
多くのB2B企業では、営業活動の効率化を目的に「Sales Cloud」から導入を始めるケースが多いです。
2. Salesforceの基本操作(ログイン・画面構成・基本機能)
Salesforceの基本操作を理解することが、活用の第一歩です。
(1) ログインとホーム画面の構成
Salesforceにログインすると、ホーム画面が表示されます。
ホーム画面の主要要素:
- ナビゲーションバー: 上部に表示され、主要なオブジェクト(リード・取引先・商談等)に素早くアクセス
- グローバル検索: 画面上部の検索バーで、Salesforce内の全データを横断的に検索
- ダッシュボード: 営業KPIや進捗状況をグラフで表示
- ToDo・予定: 今日のタスクや商談予定を一覧表示
初めてログインした際は、ホーム画面の構成を把握することから始めましょう。
(2) 標準オブジェクト(リード・取引先・取引先責任者・商談)の理解
Salesforceでは、データを「オブジェクト」という単位で管理します。営業活動に関わる主要な標準オブジェクトは以下の4つです。
リード(Lead):
- 見込み客の情報を管理
- 例: 展示会で名刺交換した企業担当者、Webサイトから資料請求した見込み客
- リードを追跡し、商談化の可能性が高まったら「取引先」「取引先責任者」「商談」に変換
取引先(Account):
- 顧客企業の情報を管理
- 例: 株式会社〇〇、業種、従業員数、本社所在地
取引先責任者(Contact):
- 顧客企業の担当者情報を管理
- 例: 〇〇さん、役職、メールアドレス、電話番号
- 取引先に紐付けて管理(1つの取引先に複数の取引先責任者を登録可能)
商談(Opportunity):
- 営業案件の情報を管理
- 例: 案件名、予想金額、成約予定日、ステージ(提案中・見積提示・交渉中等)
- 取引先に紐付けて管理(1つの取引先に複数の商談を登録可能)
これら4つのオブジェクトが連携して、顧客との関係を一元管理します。
(3) グローバル検索機能の活用
グローバル検索機能を活用することで、Salesforceに保存された全データから必要な情報を素早く見つけられます。
検索方法:
- 画面上部の検索バーに、キーワード(企業名・担当者名・商談名等)を入力
- 検索結果がオブジェクト別に表示される(リード・取引先・取引先責任者・商談等)
- 該当するレコードをクリックして詳細を確認
例えば、「株式会社〇〇」と検索すると、その企業の取引先情報、担当者一覧、進行中の商談、過去の対応履歴が一度に表示されます。
(4) Lightning ExperienceとClassicの違い
Salesforceには、「Lightning Experience」と「Classic」の2つのインターフェースがあります。
Lightning Experience(現在の標準):
- 2015年にリリースされた新しいインターフェース
- 直感的な操作性、ドラッグ&ドロップでのカスタマイズが可能
- モバイル対応が強化されている
Classic(旧版):
- 従来のインターフェース
- 一部の古いカスタマイズ機能は引き続きClassicでのみ利用可能
現在は、Lightning Experienceが推奨されており、新規導入企業は基本的にLightning Experienceを使用します。
3. 営業活動管理の使い方(リード・商談・レポート活用)
Salesforceを営業活動に活用する具体的な方法を解説します。
(1) リード管理(見込み客の登録・追跡)
リード管理は、見込み客を追跡し、商談化につなげるプロセスです。
リード登録の手順:
- ナビゲーションバーから「リード」を選択
- 「新規」ボタンをクリック
- リード情報(企業名、担当者名、役職、メールアドレス、電話番号等)を入力
- 「保存」ボタンをクリック
リード追跡の方法:
- リードのステータス(新規・アプローチ中・商談化・失注)を更新
- 活動履歴(メール送信・架電・訪問等)を記録
- リードスコアリング(見込み客の関心度を数値化)で優先順位を付ける
商談化の可能性が高まったリードは、「取引先」「取引先責任者」「商談」に変換します。
(2) 商談管理(営業案件のステージ管理・進捗確認)
商談管理は、営業案件の進捗を可視化し、成約率を高めるプロセスです。
商談登録の手順:
- ナビゲーションバーから「商談」を選択
- 「新規」ボタンをクリック
- 商談情報(案件名、取引先、予想金額、成約予定日、ステージ等)を入力
- 「保存」ボタンをクリック
商談ステージの管理:
- ステージ(ヒアリング→提案→見積提示→交渉→成約)を更新し、進捗を可視化
- 各ステージでの滞在期間を確認し、ボトルネックを特定
- 商談金額・成約確度を定期的に見直し
パイプライン可視化:
- 「商談」タブの「カンバンビュー」で、ステージ別の商談一覧を俯瞰
- 成約見込み金額の合計を確認し、目標達成に向けた戦略を立てる
(3) レポート・ダッシュボードでのデータ可視化
レポート・ダッシュボードを活用することで、営業KPIをリアルタイムで監視できます。
レポート作成の手順:
- 「レポート」タブから「新規レポート」を選択
- レポートタイプ(商談・リード等)を選択
- 表示項目・フィルター条件・グループ化を設定
- 「実行」ボタンでレポートを生成
ダッシュボード作成の手順:
- 「ダッシュボード」タブから「新規ダッシュボード」を選択
- レポートを選択し、グラフ形式(棒グラフ・円グラフ・折れ線グラフ等)で表示
- 複数のレポートを組み合わせて、営業KPIを一覧化
営業KPIの例:
- 月間商談獲得数
- 成約率(成約件数 ÷ 商談件数)
- 平均受注額
- 商談リードタイム(初回接触から成約までの平均日数)
ダッシュボードを定期的に確認することで、営業活動の改善点を素早く把握できます。
(4) モバイルアプリでの営業活動記録
Salesforceのモバイルアプリを活用することで、外出先でも営業活動を記録できます。
モバイルアプリの主要機能:
- 顧客訪問後、その場で商談記録を入力
- 次回訪問のToDoを作成
- 顧客情報をモバイルで確認
- オフラインでもデータにアクセス可能(一部機能)
モバイルアプリを活用することで、営業担当者のデータ入力の手間が削減され、リアルタイムでの情報共有が実現します。
4. Salesforceの学習方法(Trailhead・はじめてガイド)
Salesforceを効率的に学習する方法を解説します。
(1) Trailheadの活用(無料オンライン学習ツール)
Trailheadは、Salesforceが提供する無料オンライン学習プラットフォームです。
Trailheadの特徴:
- 初心者から上級者まで体系的なカリキュラム
- 実践的な演習付き(Salesforceのデモ環境で実際に操作)
- バッジやポイントを獲得し、学習の進捗を可視化
- 日本語コンテンツも充実
初心者向けおすすめモジュール:
- 「Introduction to the Salesforce Customer Success Platform」(Salesforceの概要)
- 「Salesforce の使用開始」(基本操作)
- 「リード & 商談の管理」(営業活動の基本)
TrailheadのURL: https://trailhead.salesforce.com/
(2) 公式「はじめてガイド」の学習ステップ
Salesforce公式の「はじめてガイド」では、基本設定から標準オブジェクトまで、ステップバイステップで学習できます。
はじめてガイドの内容:
- 基本設定(ユーザー登録・組織管理)
- 標準オブジェクト(リード・取引先・取引先責任者・商談)の解説
- 業務効率化ツール(自動化・レポート等)の紹介
はじめてガイドのURL: https://successjp.salesforce.com/salescloud/learn-how-to-use
(3) 初心者向けおすすめモジュール
初心者がSalesforceを学習する際の推奨ステップは以下の通りです。
学習ステップ:
- Trailheadで基本操作を学ぶ(1-2週間)
- 「Salesforce の使用開始」モジュールを完了
- 公式「はじめてガイド」で標準オブジェクトを理解(1週間)
- リード・取引先・取引先責任者・商談の関係性を把握
- 実際に自社のSalesforce環境で操作してみる(2-4週間)
- リード登録・商談作成・レポート作成を実践
- Trailheadで応用モジュールに進む(継続的に)
- 自動化・カスタマイズ・データ分析等の高度な機能を学習
学習期間の目安は、1日1-2時間の学習で1-2ヶ月程度です。
5. 導入と定着化のポイント(6つのステップと注意点)
Salesforceを企業に導入し、定着させるためのポイントを解説します。
(1) 導入の6ステップ(目的設定・要件定義・実装・データ移行・トレーニング・定着化)
Salesforce導入には、以下の6つのステップがあります。
ステップ1: 目的設定
- 何のためにSalesforceを導入するのか(営業効率化・顧客満足度向上・売上拡大等)を明確化
- 全社で目的を共有し、導入の意義を浸透させる
ステップ2: 要件定義
- 必要な機能(リード管理・商談管理・レポート等)を洗い出し
- 既存の営業プロセスを整理し、Salesforceでどう実現するかを設計
ステップ3: 実装
- Salesforceの初期設定(ユーザー登録・権限設定・カスタマイズ等)
- テスト環境で動作確認し、設定とレビューを繰り返す
ステップ4: データ移行
- 既存の顧客情報・営業案件情報をSalesforceにインポート
- データクレンジング(重複排除・誤字修正等)を実施
ステップ5: トレーニング
- 営業担当者向けに操作研修を実施
- Trailheadや公式ガイドを活用した自己学習を推奨
ステップ6: 定着化
- データ入力の習慣化(日報・商談記録の徹底)
- 定期的な改善活動(レポート分析・カスタマイズ見直し)
(2) 導入期間の目安(平均2-6ヶ月)
Salesforce導入の期間は、企業規模や要件により異なります。
導入期間の目安:
- 小規模企業(従業員50人未満): 1-2ヶ月
- 中堅企業(従業員50-500人): 2-4ヶ月
- 大企業(従業員500人以上): 4-6ヶ月以上
導入期間には、目的設定から定着化までのすべてのステップを含みます。
(3) 定着化の工夫(データ入力の習慣化・継続的な教育)
Salesforce導入後の最大の課題は「定着化」です。
日本のSFA定着率の現状(2024年):
- 日本では12.7%の営業担当者のみが正確にデータ入力可能
- 米国では41.3%が正確にデータ入力可能
- 日本のSFA定着率の低さが課題
定着化のための工夫:
- データ入力の習慣化: 日報や商談記録をSalesforceに入力する習慣を定着させる
- 継続的な教育: 定期的にTrailheadでの学習やワークショップを実施
- 経営層のコミットメント: 経営層が率先してSalesforceを活用し、データ駆動の意思決定を促す
- 成功事例の共有: Salesforce活用で成果を上げた営業担当者の事例を社内で共有
定着化には、導入後3-6ヶ月の継続的な支援が重要です。
(4) よくある失敗パターン(目的不明確・カスタマイズ過多)
Salesforce導入でよくある失敗パターンは以下の通りです。
失敗パターン1: 目的が不明確
- 「とりあえず導入してみた」という状態では、営業担当者が活用の意義を理解できず、データ入力が進まない
- 対策: 導入前に明確な目的を設定し、全社で共有する
失敗パターン2: カスタマイズ過多
- 既存の営業プロセスをすべてSalesforceに反映しようとすると、複雑化しメンテナンスコストが増大
- 対策: 必要最小限のカスタマイズから始め、段階的に拡張する
失敗パターン3: トレーニング不足
- 操作研修が不十分だと、営業担当者が使いこなせず、定着しない
- 対策: Trailheadや公式ガイドを活用し、継続的な教育を実施
失敗パターン4: データ移行の失敗
- 既存データの移行時に重複や誤字があると、後々の業務に支障をきたす
- 対策: データクレンジングを事前に実施し、テスト環境で動作確認
これらの失敗パターンを避けることで、Salesforce導入の成功率が高まります。
6. まとめ:Salesforce活用の次のステップ
Salesforceは、顧客情報の一元管理、営業プロセスの可視化、リアルタイムデータ分析が可能な強力なCRM・SFAツールです。基本操作を理解し、営業活動に活用することで、商談成約率の向上と営業効率化が実現します。
Salesforce活用のポイント:
- 標準オブジェクト(リード・取引先・取引先責任者・商談)を理解することが第一歩
- Trailheadや公式「はじめてガイド」で体系的に学習する
- 導入には平均2-6ヶ月、6つのステップ(目的設定・要件定義・実装・データ移行・トレーニング・定着化)が必要
- 定着化にはデータ入力の習慣化と継続的な教育が重要(日本の定着率は12.7%で改善の余地あり)
次のアクション:
- Trailheadで「Salesforce の使用開始」モジュールを完了する
- 公式「はじめてガイド」で標準オブジェクトを理解する
- 自社のSalesforce環境でリード登録・商談作成を実践する
- レポート・ダッシュボードを作成し、営業KPIを可視化する
- 定期的にTrailheadで学習を継続し、応用機能(自動化・カスタマイズ等)を習得する
Salesforceは、継続的な学習と改善により、営業活動の強力な武器となります。まずは基本操作から始め、段階的に活用範囲を広げていきましょう。
