Salesforce Einsteinとは?AI機能でCRM・営業・マーケティングを高度化するツールの全体像

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/7

営業・マーケティングのAI活用、どこから始めるべきか?

「AIで営業効率を上げたい」「顧客データを活かして成約率を高めたい」——こうした課題を抱えるB2B企業の中で、SalesforceのAI機能「Einstein(アインシュタイン)」への関心が高まっています。

しかし、「Einsteinは何ができるのか」「追加費用はいくらか」「自社のエディションで使えるのか」といった基本的な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Salesforce Einsteinの概要・主要機能・料金体系を解説し、他CRMのAI機能との比較や導入事例を通じて、AI活用の判断材料を提供します。

この記事のポイント:

  • Salesforce Einsteinは予測AIと生成AIを組み合わせたCRM向けAI機能群
  • 主要機能はリードスコアリング、Einstein Copilot、Service Repliesなど
  • 料金はEinstein for Salesが月額9,000円/ユーザー〜
  • 利用にはEnterprise Edition以上が必要(Professional以下は利用不可)
  • 導入事例ではアポ獲得率向上やACW50%削減の実績あり

Salesforce Einsteinとは?AI機能の概要と注目される背景

Salesforce Einsteinについて、歴史と位置づけ、AIの種類を解説します。

Einsteinの歴史と位置づけ(2016年発表からの進化)

Salesforce Einsteinは、2016年にSalesforceが発表したAI機能群です。世界No.1シェアを持つCRMに組み込まれたAIとして、営業・マーケティング・カスタマーサービスの各領域でデータ活用を支援します。

発表当初は予測AI(機械学習)が中心でしたが、2023年にはEinstein GPT、2024年にはEinstein Copilot Studioと進化を続け、生成AI機能が大幅に強化されています。

2024年3月には日本市場でEinstein 1 StudioおよびData Cloudの新機能が提供開始され、国内企業でも活用が進んでいます。

予測AIと生成AIの違い

Salesforce Einsteinは、予測AIと生成AIの両方を搭載しています。

予測AI(Predictive AI):

  • 過去データから将来の結果を予測する
  • リードスコアリング(成約確率の予測)
  • 商談のクローズ予測
  • 売上フォーキャスト

生成AI(Generative AI):

  • 新しいコンテンツを自動生成する
  • メール文面の自動作成
  • カスタマーサポート返信の生成
  • レポートのサマリー作成

目的に応じて予測AI・生成AIを使い分けることで、営業・マーケティング業務の効率化が可能です。

Salesforce Einsteinの主要機能と対応エディション

Einsteinが提供する主要機能と、利用に必要なエディションを解説します。

リードスコアリングで優先案件を自動特定

Einsteinのリードスコアリング機能は、見込み客の成約確率を数値化し、優先順位付けを自動化します。

主な特徴:

  • CRM内の過去データ(商談履歴、行動履歴)から学習
  • リードごとにスコアを付与し、優先度を可視化
  • 営業リソースを高確度案件に集中配分可能
  • スコアの根拠(どの要因がスコアに影響しているか)を表示

営業担当者が「どのリードに注力すべきか」を判断する際の客観的指標として活用できます。

Einstein Copilotによる自然言語CRM操作

Einstein Copilotは、自然言語でCRM操作を指示できる対話型AIアシスタントです。

できること:

  • 「このリードを商談ステージに進めて」などの操作指示
  • 「今週の商談サマリーを教えて」などの情報照会
  • CRMデータに基づく回答生成(企業固有のコンテキストを反映)

ChatGPTのような汎用AIとの違いは、Salesforce CRM内のデータでグラウンディング(根拠付け)するため、企業固有のビジネスコンテキストに最適化されている点です。

Service Repliesでカスタマーサポート返信を自動生成

Service Repliesは、カスタマーサポートの返信文を自動生成する機能です。

主な特徴:

  • 顧客からの問い合わせ内容を分析し、適切な返信を生成
  • ワンクリックで送信可能(確認後に修正も可能)
  • ナレッジベースや過去の対応履歴を参照して回答を生成

イーデザイン損保の事例では、Service Repliesの導入によりACW(平均後処理時間)を50%削減した実績が報告されています。

Enterprise Edition以上が必要な理由

Sales Cloud Einsteinを利用するには、Enterprise Edition以上のSalesforceライセンスが必要です。

エディション別の対応状況:

エディション Sales Cloud Einstein
Essentials 利用不可
Professional 利用不可
Enterprise 利用可能
Unlimited 利用可能

Professional以下のエディションを利用している企業は、Einsteinを使うためにエディションアップグレードが必要になります。アップグレードコストを含めた総費用を検討することが重要です。

Salesforce Einsteinの料金体系と導入コスト

Einsteinの料金プランと、導入時に考慮すべきコストを解説します。

Einstein for Sales(月額9,000円/ユーザー)の内容

Einstein for Salesは、Sales Cloudのアドオンとして提供されるAI機能パッケージです(2024年時点の情報)。

含まれる機能:

  • リードスコアリング
  • 商談インサイト
  • 活動キャプチャ
  • フォーキャスト(売上予測)

月額9,000円/ユーザー(税抜)で、Enterprise Edition以上に追加できます。

Einstein 1 Sales(月額60,000円)の上位プラン

Einstein 1 Salesは、Sales CloudとEinstein機能が統合された上位プランです。

含まれる機能:

  • Einstein for Salesの全機能
  • Einstein Copilot(対話型AIアシスタント)
  • 高度なAI分析機能
  • Data Cloud連携

月額60,000円/ユーザー(税抜)で、Einstein Copilotをフル活用したい企業向けです。

従量課金(Agentforce:1会話240円)の注意点

Agentforce(旧Einstein Service Agent)は、自律型AIエージェントとして従量課金で提供されます。

料金モデル:

  • 1会話あたり240円(2024年時点)
  • チャットボット対応を自動化する際に利用
  • 利用量に応じてコストが変動

従量課金のため、利用量が多い場合はコストが想定以上になる可能性があります。導入前に月間の会話数を見積もり、予算を確保することが推奨されます。

※料金は変更される可能性があります。最新情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。

導入メリット・デメリットと他CRM AIツールとの比較

Einstein導入のメリット・デメリットと、競合CRMのAI機能との違いを解説します。

Salesforce既存ユーザーにとっての統合性メリット

主なメリット:

  • シームレスな統合: 既存のSalesforceデータをそのまま活用
  • 追加構築不要: API連携や外部ツール導入なしでAI機能を利用
  • データのグラウンディング: 企業固有のCRMデータに基づく回答生成
  • 継続的な進化: Salesforceのアップデートに合わせて機能が拡張

すでにSalesforceを導入している企業にとっては、新たなAIツールを別途導入するよりも、統合性のメリットが大きいケースが多いです。

データ品質・量に依存するデメリット

主なデメリット:

  • データ品質への依存: AIの精度はCRM内のデータ品質に左右される
  • 導入初期の学習期間: 十分なデータが蓄積されるまで精度が安定しない
  • エディション制約: Enterprise Edition以上が必要
  • 追加コスト: アドオン費用が月額9,000円/ユーザー〜発生

特にデータ品質については、導入前にCRM内のデータクレンジング(重複排除、不備の修正)を行うことが成功の鍵です。

HubSpot AI・Dynamics 365 AIとの機能比較

他の主要CRMが提供するAI機能との比較です。

比較項目 Salesforce Einstein HubSpot AI Dynamics 365 AI
予測AI リードスコアリング、商談予測 リードスコアリング リードスコアリング、需要予測
生成AI Einstein Copilot、Service Replies AI Content Assistant Copilot for Dynamics 365
対応エディション Enterprise以上 Professional以上 上位エディション
特徴 CRM統合の深さ 使いやすさ Microsoft製品連携

選定のポイント:

  • Salesforce既存ユーザー: Einsteinが統合性で有利
  • HubSpot既存ユーザー: HubSpot AIがシームレス
  • Microsoft製品を多用する企業: Dynamics 365 AIがOffice連携で有利

CRMのAI機能は、どのCRMを主軸にしているかで最適解が変わります。AIツール単体で比較するよりも、既存のCRM環境との統合性を重視することが推奨されます。

導入事例と効果測定のポイント

実際のEinstein導入事例と、ROI評価の考え方を解説します。

サンレディース社:3週間導入でアポ獲得率5.1%→6.5%

サンレディース社は、Einstein導入を3週間で完了し、営業効率の向上を実現しました。

導入のポイント:

  • 「たった一人の先駆者」が推進役として導入をリード
  • まずは特定業務(リードスコアリング)に絞って導入
  • 小さく始めて、効果を確認しながら拡大

成果:

  • アポイント獲得率が5.1%から6.5%に向上(+1.4pt)
  • 営業担当者が優先度の高いリードに集中できるように

イーデザイン損保:ACW(平均後処理時間)50%削減

イーデザイン損保は、コンタクトセンターでEinsteinを活用し、顧客対応効率を大幅に改善しました。

導入のポイント:

  • Service Repliesで返信文を自動生成
  • オペレーターの後処理作業を効率化

成果:

  • ACW(平均後処理時間)を50%削減
  • オペレーターがより多くの顧客対応に注力可能に

ROI評価の考え方と効果測定指標

Einstein導入のROIを評価する際は、以下の指標が参考になります。

営業領域の指標:

  • リードの成約率変化
  • 商談サイクルの短縮
  • 営業担当者あたりの商談数

カスタマーサービス領域の指標:

  • ACW(平均後処理時間)の削減
  • 初回解決率の向上
  • 顧客満足度(CSAT)の変化

共通の考慮事項:

  • 導入初期(3〜6ヶ月)はデータ蓄積・学習期間
  • 効果測定は6ヶ月〜1年のスパンで評価
  • 導入前のベースライン数値を記録しておく

まとめ:Einstein導入に向いている企業と次のステップ

Salesforce Einsteinは、予測AIと生成AIを組み合わせたCRM向けAI機能群として、営業・マーケティング・カスタマーサービスの効率化を支援します。

Einstein導入に向いている企業:

  • すでにSalesforceを導入しており、Enterprise Edition以上を利用している
  • CRM内に一定量のデータ(商談履歴、リード情報)が蓄積されている
  • 営業効率やカスタマーサービス品質の向上を目指している
  • AI活用に月額9,000円/ユーザー〜の追加投資が可能

次のステップ:

  • Salesforce公式サイトで自社エディションの対応状況を確認
  • 導入前にCRMデータのクレンジング(重複排除、不備修正)を実施
  • まずは特定業務(リードスコアリングなど)に絞って小さく始める
  • 6ヶ月〜1年のスパンで効果を測定し、拡大を検討

※この記事は2025年12月時点の情報に基づいています。料金・機能の最新情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q: Salesforce Einsteinの導入にどのくらいの期間がかかりますか?

A: 最短3週間から導入可能です。まずは特定業務(リードスコアリングなど)に絞って小さく始めることが成功の鍵です。全社展開には3〜6ヶ月程度かかるケースが一般的です。

Q: Salesforce Einsteinの追加費用はいくらですか?

A: Einstein for Salesは月額9,000円/ユーザー(税抜)、上位プランのEinstein 1 Salesは月額60,000円/ユーザーです。従量課金のAgentforceは1会話240円です。料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。

Q: Salesforce EinsteinとChatGPTの違いは何ですか?

A: EinsteinはSalesforce CRM内のデータでグラウンディング(根拠付け)するため、企業固有のビジネスコンテキストに最適化されています。ChatGPTは汎用的な知識ベースに基づく回答を生成します。企業のCRMデータを活用した回答が必要な場合はEinsteinが適しています。

Q: Professional EditionでもSalesforce Einsteinは使えますか?

A: Sales Cloud EinsteinはEnterprise Edition以上が必要です。Professional以下のエディションを利用している場合は、エディションアップグレードが必要になります。アップグレードコストを含めた総費用を検討してください。

よくある質問

Q1Salesforce Einsteinの導入にどのくらいの期間がかかりますか?

A1最短3週間から導入可能です。まずは特定業務(リードスコアリングなど)に絞って小さく始めることが成功の鍵です。

Q2Salesforce Einsteinの追加費用はいくらですか?

A2Einstein for Salesは月額9,000円/ユーザー(税抜)、Einstein 1 Salesは月額60,000円/ユーザーです。従量課金のAgentforceは1会話240円です。

Q3Salesforce EinsteinとChatGPTの違いは何ですか?

A3EinsteinはSalesforce CRM内のデータでグラウンディングするため、企業固有のビジネスコンテキストに最適化されています。

Q4Professional EditionでもSalesforce Einsteinは使えますか?

A4Sales Cloud EinsteinはEnterprise Edition以上が必要です。Professional以下はエディションアップグレードが必要です。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。