顧客・パートナーとの関係構築に悩むB2B企業へ
B2B企業の情報システム部門やカスタマーサクセス担当者にとって、顧客やパートナーとの効率的なコミュニケーション基盤の構築は重要な課題です。「顧客からの問い合わせ対応に時間がかかりすぎる」「パートナーへの情報共有が煩雑」「セルフサービスで解決できるFAQサイトを作りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
Salesforce Community Cloud(現Experience Cloud)は、顧客・パートナー・社員向けのオンラインコミュニティを構築できるプラットフォームです。Salesforceライセンスを持たない外部ユーザーにもデータの一部を共有でき、ドラッグ&ドロップで簡単にサイトを構築できます。
この記事では、Community Cloudの概要、主要機能、導入メリット、料金プランまで、実務担当者が知っておくべきポイントを解説します。
この記事のポイント:
- Community Cloudは2021年春にExperience Cloudに名称変更され、現在も顧客関係管理の最前線で活用されている
- パートナー向けサイト、認証ありのカスタマー向けサイト、認証なしの公開FAQサイトの3種類を構築可能
- Community Builderのドラッグ&ドロップで10分程度でWebサイトを構築できる
- セルフサービス推進により、問い合わせ対応工数を削減し、顧客満足度を向上できる
- 料金はプロダクト・エディション・ライセンス費用の組み合わせで構成され、数百万円かかる場合もある
Community Cloud(Experience Cloud)が求められる背景
B2B企業では、顧客やパートナーとの情報共有が複雑化しています。従来のメール・電話による問い合わせ対応では、以下のような課題があります。
従来の課題:
- 問い合わせ対応の工数増加: 同じ質問が繰り返され、担当者の負担が大きい
- 情報の分散: 顧客・パートナー向けの情報が複数のツールに分散し、管理が煩雑
- セルフサービスの不足: 顧客が自分で解決できる手段が限られ、問い合わせが増える
- パートナー連携の非効率: 販売代理店やパートナーへの情報共有が遅れ、売上機会を逃す
Community Cloud(Experience Cloud)は、これらの課題を解決するためのプラットフォームとして、B2B企業で広く活用されています。
Community Cloudの基礎知識とExperience Cloudへの名称変更
(1) Community Cloudとは
Community Cloud(コミュニティクラウド)は、Salesforceが提供するオンラインコミュニティソフトウェアです。顧客、パートナー、社員それぞれに最適化されたコミュニティサイトを構築でき、情報共有・問い合わせ対応・売上拡大を支援します。
Community Cloudの主な特徴:
- Salesforceとの連携: Salesforce CRMのデータを活用し、顧客情報に基づいたコミュニティを構築
- 外部ユーザー対応: Salesforceライセンスを持たない外部ユーザーにもデータの一部を共有可能
- ノーコード構築: ドラッグ&ドロップでサイトを構築でき、プログラミング不要
- モバイル対応: スマートフォン・タブレットからも快適にアクセス可能
(2) 2021年春にExperience Cloudに名称変更
2021年春、Community CloudはExperience Cloud(エクスペリエンスクラウド)に名称変更されました。機能は従来と同じで、名称のみが変更されています。
名称変更の背景:
- Salesforceのプロダクト体系の整理
- 顧客体験(Customer Experience)の向上を強調するブランディング
現在は「Experience Cloud」が正式名称ですが、「Community Cloud」の呼称も広く使われています。この記事では両方の名称を併記します。
※この記事は2024年11月時点の情報を基に執筆しています。最新の仕様・料金はSalesforce公式サイトをご確認ください。
(3) Experience Cloudの位置づけ
Experience Cloudは、Salesforceの主要プロダクト群の一つです。以下の3つの主要プロダクトと連携します。
Salesforceの主要プロダクト:
- Sales Cloud: 営業支援(SFA)
- Service Cloud: カスタマーサービス・サポート
- Marketing Cloud: マーケティングオートメーション
- Experience Cloud: 顧客・パートナー・社員向けコミュニティ
これらのプロダクトを組み合わせることで、包括的な顧客関係管理が実現できます。
主要機能と3種類のコミュニティサイト
(1) パートナー向けサイト(Partner Community)
Partner Community(パートナーコミュニティ)は、リセラー、販売代理店、パートナー向けのコミュニティサイトです。売上拡大を支援する情報共有・商談管理・トレーニング機能を提供します。
活用シーン:
- 商談情報の共有: Salesforceの商談データをパートナーと共有し、営業活動を支援
- 製品情報の配信: 新製品・価格改定・キャンペーン情報をリアルタイムで配信
- トレーニング資料の提供: 製品説明資料・営業ツール・FAQ資料を一元管理
- パートナー専用ダッシュボード: 売上実績・達成率・インセンティブをリアルタイムで可視化
(2) 認証ありのカスタマー向けサイト(Customer Community)
Customer Community(カスタマーコミュニティ)は、顧客向けの認証ありコミュニティサイトです。会員制サイトとして、顧客ごとにパーソナライズされた情報を提供できます。
活用シーン:
- 問い合わせのセルフサービス化: FAQやナレッジベースを検索して自己解決を促進
- 製品購入・契約管理: 顧客が自分で製品を購入したり、契約内容を確認できる
- コミュニティフォーラム: 顧客同士が質問・回答を投稿し合うコミュニティ機能
- ケース管理: 顧客が問い合わせケースを作成・追跡できる
(3) 認証なしの公開FAQサイト
認証なしの公開FAQサイトは、誰でもアクセスできるナレッジベース・FAQ公開サイトです。会員登録不要で、Googleなどの検索エンジンからの流入も期待できます。
活用シーン:
- 製品FAQの公開: よくある質問と回答を公開し、問い合わせを減らす
- サポート記事の配信: トラブルシューティング、使い方ガイドを公開
- 製品カタログの公開: 製品スペック・価格情報を公開
(4) Community Builderによるドラッグ&ドロップ構築
Community Builder(コミュニティビルダー)は、ドラッグ&ドロップでサイトを構築できるノーコードツールです。プログラミング不要で、10分程度で簡単にWebサイトを構築できます。
構築手順:
- コミュニティテンプレートを選択(パートナー、カスタマー、社員向け等)
- ページレイアウトをドラッグ&ドロップで配置
- コンポーネント(検索バー、FAQ、フォーラム等)を追加
- デザイン(色、フォント、ロゴ等)をカスタマイズ
- 公開設定(認証あり/なし、アクセス権限等)を設定
- サイトを公開
ビジネスの成長に合わせて、後から簡単にカスタマイズできる点も特徴です。
(5) セキュリティ機能(データ暗号化、認証)
Experience Cloudは、企業向けに高度なセキュリティ機能を提供しています。
主なセキュリティ機能:
- データ暗号化: 通信データ・保存データを暗号化し、情報漏洩を防止
- サイトユーザー認証: ログイン認証により、許可されたユーザーのみアクセス可能
- クリックジャック保護: 悪意あるサイトによるクリックジャック攻撃を防止
- アクセス権限管理: ユーザーごとに閲覧・編集権限を細かく設定可能
- IP制限: 特定のIPアドレスからのみアクセスを許可
これにより、B2B企業の重要な顧客情報・パートナー情報を安全に管理できます。
導入メリットと活用事例
(1) セルフサービス推進による業務効率化
Experience Cloudを導入することで、顧客が自分で問題を解決できるセルフサービス環境を構築できます。
業務効率化の例:
- 問い合わせ対応工数削減: FAQやナレッジベースで自己解決が促進され、問い合わせが30-50%削減される事例もある
- 24時間365日対応: 顧客がいつでもアクセスできるため、営業時間外の問い合わせにも対応
- 情報の一元管理: 顧客向け情報を一箇所に集約し、管理コストを削減
※これらは一般的な目安であり、実際の効果は環境・運用により異なります。
(2) 10分程度で簡単にWebサイトを構築
開発者の実践事例によると、Community Builderを使って10分程度でカスタマーサポートサイトを構築できたとされています。
構築の容易さ:
- テンプレート活用: あらかじめ用意されたテンプレートを選ぶだけで基本構造が完成
- ドラッグ&ドロップ: プログラミング不要で直感的にページを作成
- プレビュー機能: 公開前にサイトの見た目を確認できる
これにより、開発リソースが限られている企業でも、迅速にコミュニティサイトを立ち上げられます。
(3) Einstein AI統合による予測インサイトとタスク自動化
2024年時点のExperience Cloudは、Einstein AI(Salesforceの人工知能機能)と統合されています。
Einstein AI活用例:
- 予測インサイト: 顧客の行動履歴から次に必要な情報を予測し、レコメンド表示
- タスク自動化: 問い合わせ内容を自動分類し、適切な担当者にルーティング
- ユーザー体験向上: 顧客ごとにパーソナライズされたコンテンツを自動表示
これにより、顧客満足度の向上とオペレーション効率化を同時に実現できます。
料金プランとライセンス体系
(1) プロダクト・エディション・ライセンス費用の構成
Experience Cloudの料金は、以下の3つの要素で構成されます。
料金構成:
- プロダクト: Customer Community、Partner Community、Employee Apps & Communityの3種類
- エディション: Starter、Plus、Growthなどのエディション(機能レベル)
- ライセンス費用: ユーザー数に応じたライセンス費用
これらの組み合わせにより、料金は大きく変動します。数百万円かかる場合もあるため、事前に見積もりを取得することが推奨されます。
※料金詳細は公式サイトで最新情報をご確認ください。
(2) Customer CommunityとCustomer Community Plusの違い
Customer Communityには、通常版とPlus版の2種類があります。
主な違い:
| 項目 | Customer Community | Customer Community Plus |
|---|---|---|
| レポート/ダッシュボード | 使用不可 | 使用可能 |
| 価格 | 低価格 | 高価格 |
| 用途 | 基本的な情報共有 | 高度な分析が必要な場合 |
選定ポイント:
- 外部ユーザーにレポート/ダッシュボード機能が必要な場合は、Customer Community Plusを選択
- 基本的な情報共有のみであれば、通常版で十分
(3) コスト目安と導入判断
Experience Cloudの導入コストは、企業規模・ユーザー数・必要機能により大きく変動します。
コスト目安:
- 小規模企業(外部ユーザー100人未満): 年間数十万円〜数百万円
- 中堅企業(外部ユーザー100〜1,000人): 年間数百万円〜1,000万円程度
- 大企業(外部ユーザー1,000人以上): 年間1,000万円以上
導入判断のポイント:
- 現在の問い合わせ対応コスト(人件費)と比較
- セルフサービス化による工数削減効果を試算
- 顧客満足度向上による長期的なROIを評価
※これらは一般的な目安であり、実際のコストは環境により異なります。公式サイトで見積もりを取得してください。
まとめ:Community Cloud(Experience Cloud)の選択ポイント
Community Cloud(現Experience Cloud)を活用することで、顧客・パートナー・社員向けのオンラインコミュニティを構築し、セルフサービス推進による業務効率化と顧客満足度向上が期待できます。
重要なポイント:
- Community Cloudは2021年春にExperience Cloudに名称変更され、現在も顧客関係管理の最前線で活用されている
- パートナー向けサイト、認証ありのカスタマー向けサイト、認証なしの公開FAQサイトの3種類を構築可能
- Community Builderのドラッグ&ドロップで10分程度でWebサイトを構築できる
- セルフサービス推進により、問い合わせ対応工数を30-50%削減できる可能性がある
- 料金はプロダクト・エディション・ライセンス費用の組み合わせで構成され、数百万円かかる場合もある
次のアクション:
- 自社の顧客・パートナーとのコミュニケーション課題を整理する
- Salesforce公式サイトでExperience Cloudの詳細を確認する
- 現在の問い合わせ対応コストを算出し、導入効果を試算する
- Salesforce担当者に見積もりを依頼し、具体的な導入プランを検討する
- パイロット導入(小規模テスト)から開始し、効果を検証する
Experience Cloudにより、顧客・パートナーとの関係構築を強化し、ビジネスの成長を加速させましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。Salesforce Experience Cloudの仕様・料金は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
