Marketoとカスタマーサクセスをつなぐ活用法|顧客育成と解約防止の実践ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/14

なぜMarketoをカスタマーサクセス領域で活用すべきか

BtoBカスタマーサクセス・マーケティング担当者の多くが、「Marketoを導入しているが新規獲得にしか使えていない」「既存顧客へのコミュニケーションがうまくいかない」「オンボーディングや解約防止に課題がある」といった悩みを抱えています。Marketoは新規獲得のMAツールとして広く知られていますが、カスタマーサクセス(CS)領域でも大きな価値を発揮します。

SaaS・サブスクリプションモデルでは、新規獲得だけでなく、既存顧客の継続率・LTV(顧客生涯価値)最大化が企業成長の鍵です。Marketoを活用することで、オンボーディング、顧客育成、解約防止のシナリオを自動化し、効率的なカスタマーサクセスを実現できます。

この記事では、Marketoをカスタマーサクセス領域で活用する具体的な手法から、カスタマーサクセスツールとの連携、効果測定まで実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • SaaS・サブスクリプションモデルではカスタマーサクセスが重視され、継続率・LTV最大化が企業成長の鍵
  • Marketoは新規獲得だけでなく、オンボーディング、顧客育成、解約防止のCS領域でも活用可能
  • Marketoの「カスタマーエンゲージメント」手法はユーザーコミュニティを活用した顧客との向き合い方
  • カスタマーサクセスツール(Gainsight、Service Cloud等)と連携し、ヘルススコアに基づく自動アプローチを実現
  • タッチモデル(ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ)で顧客を分類し、最適なアプローチを実践

(1) SaaS・サブスクリプションモデルにおけるカスタマーサクセスの重要性(継続率・LTV最大化)

SaaS・サブスクリプションモデルでは、カスタマーサクセスが企業成長の鍵になっています。

SaaS・サブスクリプションモデルの特徴:

  • 継続課金モデル(月額・年額)で収益が積み上がる
  • 顧客の継続利用が収益の基盤
  • 解約(チャーン)が発生すると、収益が減少

カスタマーサクセスの役割:

  • 顧客の成功と継続利用を支援
  • 解約防止(チャーンレート低減)
  • アップセル・クロスセル(利用拡大)の促進
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化

2024年のカスタマーサクセス実態調査では、企業従業員30,000人、SaaS関係者300人を対象に調査が実施され、カスタマーサクセスの重要性が改めて確認されています(出典: Growwwing「2024:カスタマーサクセス実態調査」)。

カスタマーサクセスは、SaaS・サブスクリプションモデルで企業が持続的に成長するための必須要素です。

(2) Marketoの新規獲得だけでなくCS領域での活用メリット(既存顧客のコミュニケーション・オンボーディング・解約防止)

Marketoは新規獲得のMAツールとして広く知られていますが、CS領域でも以下のメリットがあります。

Marketoの CS領域での活用メリット:

  • 既存顧客のコミュニケーション: 顧客の行動データに基づくパーソナライズされたメール配信
  • オンボーディング: ウェルカムメール、製品活用ガイド、初期設定サポートのシナリオを自動化
  • 解約防止: 低活用顧客への自動アプローチ、ヘルススコアに基づくリスク顧客の早期検出
  • 顧客育成: 機能活用促進、新機能の紹介、成功事例の共有
  • アップセル・クロスセル: 利用状況に応じた追加プランの提案

MarketoのCS領域での位置づけ:

  • MAツール(Marketo)とCSツール(Gainsight、Service Cloud等)を連携
  • Marketoで自動化されたコミュニケーション、CSツールで顧客のヘルススコア管理
  • 両者を組み合わせることで、効率的かつ効果的なカスタマーサクセスを実現

MarketoをCS領域で活用することで、既存顧客の継続率・LTV最大化が期待できます。

(3) Marketoの「カスタマーエンゲージメント」手法(ユーザーコミュニティを活用した顧客との向き合い方)

Marketoは「カスタマーサクセス」ではなく「カスタマーエンゲージメント」という用語を使い、ユーザーコミュニティを活用した顧客との向き合い方を重視しています。

Marketoの「カスタマーエンゲージメント」とは:

  • ユーザーコミュニティを通じて顧客と継続的な関係を構築
  • 顧客同士の情報交換、成功事例の共有を促進
  • Marketoのカスタマーサクセスチームがユーザーコミュニティを活用し、顧客の成功を支援

ユーザーコミュニティの役割:

  • 顧客が製品の活用方法を学ぶ場
  • 顧客同士が課題解決の方法を共有
  • Marketoのカスタマーサクセスチームが直接サポート

出典: ITreview Labo「カスタマーサクセスでなく"カスタマーエンゲージメント"。 マルケトの顧客との向き合い方と、人気のユーザーコミュニティーとは」

Marketoの「カスタマーエンゲージメント」手法は、他社(Salesforce、Gainsight等)とは異なる特徴があります。

カスタマーサクセスの基礎知識とMarketoの位置づけ

カスタマーサクセスの基本的な概念と、Marketoの位置づけを解説します。

(1) カスタマーサクセスとは(顧客の成功と継続利用を支援する活動)

カスタマーサクセスとは、顧客の成功と継続利用を支援する活動です。

カスタマーサクセスの定義:

  • 顧客が製品・サービスを活用し、目標を達成することを支援
  • 継続的な利用と満足度の向上を目指す
  • プロアクティブ(能動的)な活動

カスタマーサクセスの主な業務:

  • オンボーディング(導入初期の支援)
  • 顧客育成(製品活用度の向上)
  • 解約防止(リスク顧客の早期検出と対応)
  • アップセル・クロスセル(利用拡大の提案)
  • 顧客満足度の測定と改善

カスタマーサクセスは、SaaS・サブスクリプションモデルで企業が持続的に成長するための必須要素です。

(2) カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い(成功支援 vs 問題解決)

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、目的が異なります。

カスタマーサクセス:

  • 顧客の成功と継続利用を支援
  • プロアクティブ(能動的)な活動
  • 解約防止、アップセル・クロスセルを促進
  • LTV最大化が目標

カスタマーサポート:

  • 顧客からの問い合わせ対応と問題解決
  • リアクティブ(受動的)な活動
  • トラブルシューティング、技術サポート
  • 顧客満足度の維持が目標

出典: Mazrica「カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違いや求められる背景・具体的な業務」

カスタマーサクセスは成功支援、カスタマーサポートは問題解決と、明確に役割が異なります。

(3) カスタマーサクセスツールの4タイプ(コミュニティ構築、顧客状態把握、利用ガイド、問い合わせ対応)

カスタマーサクセスツールは、主に4タイプに分類されます。

1. コミュニティ構築ツール

  • ユーザーコミュニティを構築し、顧客同士の情報交換を促進
  • 例: ユーザーフォーラム、Slack等のコミュニケーションツール

2. 顧客状態把握ツール

  • 顧客の利用状況や満足度を可視化し、ヘルススコアを自動算出
  • 例: Gainsight、Totango等のCSプラットフォーム

3. 利用ガイドツール

  • 製品の使い方を案内し、顧客の活用度を向上
  • 例: Pendo、WalkMe等のプロダクトアナリティクス・オンボーディングツール

4. 問い合わせ対応ツール

  • 顧客からの問い合わせに効率的に対応
  • 例: Zendesk、Freshdesk等のサポートツール

出典: ASPIC Japan「カスタマーサクセスツールおすすめ15選。タイプ別の機能や効果も」

カスタマーサクセスツールは、目的に応じて選択することが重要です。

(4) MarketoのCS領域での役割(MAツールとCSツールの連携)

MarketoはMAツールですが、CSツールと連携することでCS領域でも大きな価値を発揮します。

MarketoのCS領域での役割:

  • 既存顧客へのパーソナライズされたコミュニケーション(メール配信、シナリオ自動化)
  • 顧客の行動データ(製品利用状況、Webサイト閲覧等)の記録と分析
  • オンボーディング、顧客育成、解約防止のシナリオ自動化

CSツール(Gainsight、Service Cloud等)の役割:

  • 顧客のヘルススコア管理(利用頻度、機能活用度、サポート問い合わせ頻度等)
  • リスク顧客の早期検出と対応優先度の可視化
  • カスタマーサクセスチームの業務管理

MarketoとCSツールの連携パターン:

  • Marketoが顧客の行動データをCSツールに送信
  • CSツールがヘルススコアを算出し、リスク顧客を検出
  • Marketoが自動的にリスク顧客にアプローチ(解約防止シナリオ実行)

MarketoとCSツールを連携することで、効率的かつ効果的なカスタマーサクセスが実現します。

Marketoを活用したカスタマーサクセスの実践手法

MarketoをCS領域で活用する具体的な手法を解説します。

(1) オンボーディング期のシナリオ設計(ウェルカムメール、製品活用ガイド、初期設定サポート)

オンボーディング期は、顧客が製品・サービスを導入してから初期の成功体験を得るまでの重要なフェーズです。

オンボーディング期のシナリオ設計:

  • ウェルカムメール: 契約後すぐに送信、製品の概要と次のステップを案内
  • 製品活用ガイド: 主要機能の使い方を段階的に紹介(動画、記事、ウェビナー等)
  • 初期設定サポート: 初期設定のチェックリスト、設定完了までのリマインダー
  • マイルストーン達成の祝福: 初回ログイン、初回データ登録等の達成をメールで祝福

Marketoでの実装方法:

  • Engagement Programでオンボーディングシナリオを設計
  • トリガー(契約完了、初回ログイン等)に応じて自動的にメール配信
  • スマートキャンペーンで顧客の進捗状況を追跡

オンボーディング期のシナリオを自動化することで、顧客の初期成功体験を効率的に支援できます。

(2) サクセス期の顧客育成(行動データに基づくコミュニケーション、機能活用促進)

サクセス期は、顧客が製品・サービスを継続的に活用し、成果を出すフェーズです。

サクセス期の顧客育成:

  • 行動データに基づくコミュニケーション: 顧客の利用状況に応じたパーソナライズされたメール配信
  • 機能活用促進: 使われていない機能を紹介し、活用度を向上
  • 成功事例の共有: 同業種の成功事例を紹介し、活用イメージを提供
  • 新機能の紹介: 新機能のリリース情報を配信
  • ベストプラクティスの提供: 製品活用のベストプラクティスを定期的に配信

Marketoでの実装方法:

  • 顧客の行動データ(製品利用状況、Webサイト閲覧等)をMarketoに連携
  • スコアリングモデルで活用度を数値化
  • 低活用顧客には機能活用促進メール、高活用顧客にはアップセル提案メールを自動配信

サクセス期の顧客育成により、顧客の活用度と満足度が向上します。

(3) 解約防止のシナリオ設計(ヘルススコア連携、低活用顧客への自動アプローチ)

解約防止は、カスタマーサクセスの最も重要な目標の一つです。

解約防止のシナリオ設計:

  • ヘルススコア連携: CSツール(Gainsight等)のヘルススコアをMarketoに連携
  • 低活用顧客への自動アプローチ: ヘルススコアが低い顧客に自動的にメール配信
  • リスク顧客の早期検出: 利用頻度の低下、サポート問い合わせの増加等のシグナルを検出
  • 個別対応の促進: リスクの高い顧客にはカスタマーサクセスチームが個別対応

Marketoでの実装方法:

  • CSツールからヘルススコアをMarketoに連携(API連携、Zapier/Make経由等)
  • スマートキャンペーンでヘルススコアが一定以下の顧客を自動抽出
  • 解約防止メール(製品活用の再案内、サポート情報の提供、個別相談の案内等)を自動配信
  • ヘルススコアが著しく低い顧客はカスタマーサクセスチームに通知

解約防止のシナリオを自動化することで、リスク顧客の早期検出と対応が可能になります。

(4) 顧客ライフサイクル管理(Marketoでのステージ管理とCSツールとの連携)

顧客ライフサイクル管理は、顧客をステージごとに分類し、各段階に適した支援を提供する手法です。

顧客ライフサイクルのステージ:

  • オンボーディング期: 製品導入〜初期成功体験まで
  • サクセス期: 継続的な活用と成果創出
  • 拡大期: アップセル・クロスセルの検討
  • リスク期: 解約リスクが高まっている状態

Marketoでのステージ管理:

  • カスタムフィールドで顧客のライフサイクルステージを管理
  • スマートキャンペーンでステージ遷移を自動化
  • ステージごとに適したコミュニケーションを自動配信

CSツールとの連携:

  • CSツールで顧客のヘルススコアと利用状況を管理
  • Marketoで行動データとコミュニケーション履歴を管理
  • 両者を連携し、総合的な顧客ライフサイクル管理を実現

顧客ライフサイクル管理により、各ステージに適した支援を効率的に提供できます。

よくある質問

Q1カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いは?

A1カスタマーサクセスは顧客の成功と継続利用を支援するプロアクティブ(能動的)な活動で、解約防止・アップセル・クロスセルを促進します。カスタマーサポートは顧客からの問い合わせ対応と問題解決に特化したリアクティブ(受動的)な活動です。SaaS・サブスクリプションモデルではカスタマーサクセスが重視され、LTV最大化が目標となります。

Q2Marketoのカスタマーサクセス手法は?

A2Marketoは「カスタマーエンゲージメント」という用語を使い、ユーザーコミュニティを活用して顧客と向き合います。新規獲得だけでなくCS領域(オンボーディング、顧客育成、解約防止)でも活用可能です。カスタマーサクセスツール(Gainsight、Service Cloud等)と連携し、ヘルススコアに基づく自動アプローチを実現できます。

Q3カスタマーサクセスツールの種類は?

A3コミュニティ構築(ユーザーフォーラム等)、顧客状態把握(Gainsight、Totango等のヘルススコア管理)、利用ガイド(Pendo、WalkMe等のオンボーディング)、問い合わせ対応(Zendesk、Freshdesk等のサポート)の4タイプに分類されます。Marketo(MA)とCSツールを連携して活用することで、効率的なカスタマーサクセスを実現します。

Q4タッチモデルとは?

A4顧客を「ハイタッチ(大口顧客に1:1個別対応)」「ロータッチ(セミナー・ウェビナーで集団対応)」「テックタッチ(ツール・自動化で効率的にアプローチ)」の3つに分類し、最適なアプローチを実践する手法です。分類基準は顧客規模、契約金額、LTV、利用状況等で、リソースを効率的に配分できます。

Q5カスタマーサクセスツールの料金相場は?

A5月額従量課金は1ユーザー3,000〜9,800円、月額固定費用は12,800〜100,000円が相場です。ツールによって大きく異なるため、機能・サポート内容を比較して選定することが重要です。執筆時点(2025年11月)の情報であり、公式サイトで最新の料金体系を確認してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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