KPI目標の設定方法|達成可能で効果的な指標設計のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/18

目標を立てたものの、達成度を測る指標が曖昧で困っていませんか?

BtoB企業の経営やマーケティング、営業の現場では、「売上を伸ばす」「顧客満足度を向上させる」といった目標を掲げることがあります。しかし、「どこまで進んでいるのか」「何を改善すればいいのか」が分かりにくいと、目標達成は遠のいてしまいます。

この記事では、目標達成の進捗を測定するための指標「KPI」の設定方法を、SMARTの法則や部門別の具体例を交えて実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • KPIは目標達成の過程を評価する中間的な指標、KGIは最終的な結果を評価する目標指標
  • SMART原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)に基づいて設定する
  • 設定期間は1ヵ月や3ヵ月など月単位が一般的、KGIよりも短く設定する
  • シンプルで誰が見ても理解できるKPIが形骸化を防ぐ
  • マーケ・営業・CS・開発など部門ごとに適したKPIがある

1. KPI目標の重要性と効果的な設定が求められる理由

(1) 目標達成の進捗を可視化する

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、最終目標達成の進捗を測定するための中間的な指標です。

KPIがない場合の問題:

  • 目標達成までの距離が分からない
  • どの施策が効果的か判断できない
  • チーム内で進捗の認識がずれる

KPIがある場合のメリット:

  • 目標までの進捗が数値で把握できる
  • 改善すべきポイントが明確になる
  • チーム全体で共通の進捗認識を持てる

(2) チーム全体の方向性を揃える

KPIを設定することで、チームメンバー全員が「何を目指すべきか」を共有できます。

例:営業チームの場合

  • KGI(最終目標):四半期売上3,000万円
  • KPI(中間指標):月間商談数50件、受注率20%

このように具体的な数値目標を設定することで、営業担当者一人ひとりが「月間何件の商談を獲得すればいいか」が明確になります。

(3) 適切なKPI設定が組織の成果を左右する

KPIの設定が不適切だと、逆効果になる場合があります。

不適切なKPI設定の例:

  • 測定が難しい指標:「顧客の喜び」など数値化しにくい
  • 達成困難な目標:非現実的な数値で従業員の意欲低下につながる
  • KGIとの整合性がない:KPI達成してもKGI達成につながらない

※出典:NTTドコモビジネス「KPI管理とは?概要や基本手順、成功のポイントなど紹介

2. KPIとKGIの違い・相互関係を理解する

(1) KPIとKGIの定義

KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標 最終目標達成の進捗を測定するための中間的な指標です。

KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標 企業やチームが掲げる最終的なゴールを数値化した指標です。

※出典:freee「KPIとは?目標管理を効果的にする重要指標をわかりやすく解説

(2) KPIは過程、KGIは結果

KPIとKGIの違いは、「過程を評価するか、結果を評価するか」です。

KPI:過程を評価

  • 例:月間リード数100件、商談数50件、受注率20%
  • 目的:最終目標達成に向けた進捗を測定

KGI:結果を評価

  • 例:四半期売上3,000万円、年間売上1億円
  • 目的:最終的なゴールの達成を測定

※出典:ジンジャー「KGIとKPIの違いは?それぞれの意味をわかりやすく解説

(3) KPIツリーでKGIとKPIを整理する

KPIツリーは、KGIから始まり、それを達成するための複数のKPIを階層的に整理した図です。

例:Webマーケティングの場合

KGI: 四半期売上3,000万円
├─ KPI1: 月間リード数100件
│  ├─ KPI1-1: Webサイト訪問者数10,000人
│  └─ KPI1-2: コンバージョン率1%
└─ KPI2: 受注率20%
   ├─ KPI2-1: 商談化率50%
   └─ KPI2-2: 商談成約率40%

このように階層的に整理することで、KGI達成に必要なKPIが明確になります。

(4) KSF/CSF(重要成功要因)との関係

KSF/CSF(Key Success Factor/Critical Success Factor:重要成功要因)は、目標達成のために重要な要因です。

KSFとKPIの関係:

  1. KGI(最終目標)を設定
  2. KSF(成功要因)を特定:「何をすればKGI達成できるか」
  3. KPI(測定指標)を設定:「KSFの進捗をどう測るか」

例:

  • KGI:四半期売上3,000万円
  • KSF:新規リードの獲得、商談化率の向上
  • KPI:月間リード数100件、商談化率50%

3. KPI目標の設定手順(SMARTの法則)

KPI設定には、SMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)を活用すると効果的です。

※出典:mtame「【わかりやすく解説】KPIとKGIとは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など

(1) Specific:具体的な指標を選ぶ

KPIは、誰が見ても一目で理解できる具体的な指標を選びます。

悪い例(曖昧):

  • 「顧客満足度を向上させる」
  • 「営業活動を強化する」

良い例(具体的):

  • 「顧客満足度(NPS)を50→60に向上させる」
  • 「月間商談数を30件→50件に増やす」

(2) Measurable:測定可能な数値目標にする

KPIは、客観的に測定可能な数値目標にします。

測定可能な指標の例:

  • リード数、商談数、受注数
  • コンバージョン率、受注率
  • 顧客満足度(NPS)、継続率

測定困難な指標(避けるべき):

  • 「顧客の喜び」「チームの士気」

(3) Achievable:達成可能な現実的な目標にする

過去の実績や業界平均を参考に、達成可能な現実的な目標を設定します。

目標値の設定根拠:

  • 過去実績ベース:前年同期比+10%、前月比+5%など
  • 業界平均ベース:業界平均を参考に設定
  • 戦略的ストレッチ:挑戦的だが達成可能な目標

注意: 達成困難な目標は従業員の意欲低下につながる可能性があります。

※出典:Sansan「KPIとは?意味や目的、設定手順などをわかりやすく解説

(4) Relevant:KGIとの関連性を確認する

KPI達成がKGI達成につながるか、整合性を確認します。

整合性チェックの例:

  • KGI:四半期売上3,000万円
  • KPI候補1:月間リード数100件 → ✅ KGI達成に直結
  • KPI候補2:Webサイトデザイン更新回数 → ❌ KGI達成との関連性が薄い

(5) Time-bound:期限を設定する(月単位が一般的)

KPIの設定期間は、多くの場合1ヵ月や3ヵ月など月単位で設定します。KGIよりも短く設定するのが一般的です。

設定期間の目安:

  • KPI:1ヵ月、3ヵ月(月単位)
  • KGI:四半期、半期、1年(四半期〜年単位)

期間設定の注意点:

  • 短すぎると結果が不安定になる
  • 長すぎると進捗評価が難しくなる

4. 部門別・職種別のKPI設定例

(1) マーケティング部門のKPI(リード数、コンバージョン率等)

マーケティング部門では、リード獲得と育成に関するKPIを設定します。

主要KPI:

  • 月間リード数:Webサイト・展示会・ウェビナー等で獲得したリード数
  • コンバージョン率:Webサイト訪問者のうち、リードに転換した割合
  • MQL(Marketing Qualified Lead)数:マーケティング部門が育成した質の高いリード数
  • SQL(Sales Qualified Lead)数:営業部門に引き渡したリード数

具体例:

  • KGI:四半期MQL数300件
  • KPI:月間リード数1,000件、コンバージョン率3%、MQL転換率30%

(2) 営業部門のKPI(商談数、受注率、受注単価等)

営業部門では、商談化と受注に関するKPIを設定します。

主要KPI:

  • 月間商談数:新規商談の件数
  • 商談化率:リードのうち商談に進んだ割合
  • 受注率:商談のうち受注に至った割合
  • 受注単価:1件あたりの受注金額
  • 営業サイクル:初回接触から受注までの平均日数

具体例:

  • KGI:四半期売上3,000万円
  • KPI:月間商談数50件、受注率20%、受注単価100万円

※出典:Manageboard「KPI目標設定の具体例【業種別・職種別】|手順やポイントも解説」(2025年)

(3) カスタマーサクセス・サポート部門のKPI(継続率、NPS等)

カスタマーサクセス・サポート部門では、顧客満足度と継続率に関するKPIを設定します。

主要KPI:

  • 継続率(リテンション率):契約更新した顧客の割合
  • 解約率(チャーンレート):契約解約した顧客の割合
  • NPS(Net Promoter Score):顧客の推奨意向を測る指標
  • サポート対応時間:問い合わせ対応の平均時間
  • 顧客満足度(CSAT):サポート対応への満足度

具体例:

  • KGI:年間継続率95%
  • KPI:四半期NPS 60、サポート対応時間24時間以内、顧客満足度85%

(4) 開発・プロダクト部門のKPI(リリース頻度、バグ件数等)

開発・プロダクト部門では、開発スピードと品質に関するKPIを設定します。

主要KPI:

  • リリース頻度:新機能のリリース回数
  • 開発速度(ベロシティ):スプリントごとの完了タスク数
  • バグ件数:本番環境で発生したバグの件数
  • 機能利用率:リリースした機能が実際に利用された割合
  • 技術的負債の削減率:リファクタリングによる改善率

具体例:

  • KGI:年間主要機能リリース12件
  • KPI:月間リリース頻度1回、本番バグ件数5件以下、機能利用率30%以上

5. KPI運用とモニタリングのポイント

(1) 定期的な振り返りと進捗確認

KPIは設定して終わりではなく、定期的に振り返りながら成果や改善点を把握する必要があります。

振り返りの頻度:

  • 週次:進捗確認、短期的な調整
  • 月次:KPI達成度評価、改善策の検討
  • 四半期:KGI達成度評価、KPIの見直し

(2) 形骸化させないシンプルな設計

シンプルで誰が見ても一目で理解できるKPIを設定することが重要です。

シンプルなKPI設計のポイント:

  • KPI数は3〜5個程度に絞る
  • 測定が容易な指標を選ぶ
  • ダッシュボードで可視化する

注意: 追うべき指標が多すぎたり分かりにくいと、従業員の意欲低下につながる可能性があります。

(3) 目標未達時の軌道修正と目標見直し

目標到達が困難な場合は、固執せず軌道修正して目標を見直す必要があります。

見直しのタイミング:

  • 外部環境の変化(市場・競合・規制等)
  • 内部リソースの変化(人員・予算等)
  • KPIとKGIの整合性が取れていない

(4) KPI管理ツールの活用

KPI管理ツール(BIツール、ダッシュボードツール等)を活用することで、効率的に運用できます。

主な機能:

  • リアルタイムでのKPI可視化
  • 自動レポート作成
  • アラート通知

注意: ツールの機能や料金は変更の可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。

(5) MBO・OKRとの使い分け

多くの企業が、MBO、OKR、KPIなど複数の目標管理手法を組み合わせて活用しています。

MBO(Management by Objectives): 組織と個人の目標を連動させる目標管理制度です。個人の業績評価に活用されることが多いです。

OKR(Objectives and Key Results): 目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)を合わせて管理するフレームワークです。挑戦的な目標設定が特徴です。

KPI: 目標達成の進捗を測定する指標です。MBOやOKRと組み合わせて活用されます。

※出典:カオナビ「KPIとは? 意味や指標の具体例、設定方法、KGIとの違いを簡単に

6. まとめ:形骸化させないKPI運用に向けて

KPI(重要業績評価指標)は、最終目標達成の進捗を測定するための中間的な指標です。SMART原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)に基づいて設定し、シンプルで誰が見ても理解できる指標を選ぶことが重要です。

マーケティング、営業、カスタマーサクセス、開発など、部門ごとに適したKPIがあります。定期的に振り返りながら進捗を確認し、目標未達時は軌道修正して柔軟に対応しましょう。

次のアクション:

  • 自社のKGI(最終目標)を明確にする
  • KGI達成に必要なKSF(重要成功要因)を特定する
  • SMART原則に基づいてKPIを設定する(3〜5個程度に絞る)
  • KPIツリーを作成し、KGIとKPIの整合性を確認する
  • 定期的な振り返りの仕組みを作り、進捗を可視化する

KPI目標を効果的に設定・運用し、組織の成果最大化を目指しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。最新の目標管理手法やツールについては、各専門メディアや公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1KPIとKGIの違いは何ですか?

A1KPIは目標達成の過程を評価する中間的な指標、KGIは最終的な結果を評価する目標指標です。KPIの達成を重ねることでKGI達成を目指す相互関係にあります。設定期間もKPIは月単位、KGIは四半期〜年単位と異なります。

Q2効果的なKPI設定の基本原則は何ですか?

A2SMARTの法則が基本です。Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(KGIとの関連性)、Time-bound(期限設定)の5つの基準を満たすKPIを設定します。

Q3KPI目標の設定期間はどれくらいが適切ですか?

A3多くの場合、1ヵ月や3ヵ月など月単位で設定します。KGIよりも短く設定し、定期的に振り返りながら進捗を確認します。期間が短すぎると結果が不安定になり、長すぎると進捗評価が難しくなります。

Q4KPIが形骸化しないようにするにはどうすればいいですか?

A4シンプルで誰が見ても一目で理解できるKPIを設定し、定期的に振り返りながら成果や改善点を把握することが重要です。目標到達が困難な場合は固執せず軌道修正して目標を見直す柔軟性も必要です。

Q5MBO、OKR、KPIの違いと使い分けは何ですか?

A5MBOは組織と個人の目標を連動させる目標管理制度、OKRは目標と主要な成果を合わせて管理するフレームワーク、KPIは目標達成の進捗を測定する指標です。多くの企業がこれらを組み合わせて活用しています。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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