セールスフォースマネジメントとは?営業組織管理の基本と実践手法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

営業チームの目標達成率が安定せず、組織管理に悩んでいませんか?

営業組織を運営する中で、「トッププレイヤーは成果を出すが、チーム全体の成績が伸びない」「目標設定はしているが、達成に向けた具体的なアクションが見えない」といった課題に直面していませんか。営業成績が属人化し、再現性のある成果を上げられない企業は少なくありません。

セールスフォースマネジメント(営業組織管理)は、営業チームを体系的に管理し、継続的に成果を上げるための経営手法です。目標管理、プロセス管理、案件管理、モチベーション管理の4つの柱を軸に、データに基づいた意思決定とメンバー育成を両立させます。

この記事では、セールスフォースマネジメントの基本概念から、具体的な管理手法、KPI設定、ツール活用までを解説します。

※本記事では「Sales Force Management(営業組織管理)」の概念を扱います。Salesforce社のCRM/SFAツールについては、後述の「SFA/CRMツールの活用」セクションで触れます。

この記事のポイント:

  • セールスフォースマネジメントは営業組織を体系的に管理し、継続的に成果を上げる手法
  • 管理の4つの柱:目標管理、行動管理、案件管理、モチベーション管理
  • KPI設定は自社の営業プロセスに応じて訪問件数・受注率・案件数などを選定
  • SFA/CRMツールでデータドリブン営業を実現し、リアルタイム進捗可視化
  • 営業マネージャーには戦略設計力、組織マネジメント力、コーチング力が必要

1. セールスフォースマネジメントとは

セールスフォースマネジメントの基本概念を理解しましょう。

(1) セールスフォースマネジメントの定義

**セールスフォースマネジメント(Sales Force Management)**は、営業チームを管理し、目標達成のために営業活動を最適化する経営手法です。

具体的には、以下を実現します:

  • 目標の明確化: 営業組織全体の目標(KGI)と個人目標(KPI)を設定
  • プロセスの可視化: 営業活動のプロセスを数値化し、ボトルネックを発見・改善
  • メンバー育成: 1on1ミーティングやフィードバックを通じた成長支援
  • データ活用: 属人的判断ではなく、数値に基づいた意思決定

セールスフォースマネジメントは、「トッププレイヤーの成果を再現可能にする仕組み作り」であり、チーム全体の生産性向上を目指します。

(2) Salesforce(ツール)との違い

「セールスフォース」と聞くと、Salesforce社のCRM/SFAツールを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、本記事で扱うのは「Sales Force Management(営業組織管理)」という概念です。

Salesforce(ツール):

  • Salesforce社が提供するクラウド型CRM/SFAプラットフォーム
  • 世界トップシェア(15万社以上が導入)
  • 顧客情報管理、営業活動記録、案件管理などの機能を提供

Sales Force Management(営業組織管理):

  • 営業チームを体系的に管理する経営手法
  • 目標管理・プロセス管理・人材育成を統合したアプローチ
  • Salesforceや他のSFA/CRMツールを活用することもあるが、ツール導入だけでは完結しない

Salesforceツールは、セールスフォースマネジメントを実践するための手段の1つです。

(3) なぜ営業組織管理が重要なのか

営業組織管理が不十分だと、以下のような問題が発生します。

営業活動の属人化:

  • トッププレイヤーは成果を出すが、他のメンバーが再現できない
  • 個人のスキルや人脈に依存し、組織として成果が安定しない

目標達成プロセスの不透明化:

  • 「とにかく頑張れ」という精神論になり、具体的なアクションが見えない
  • ボトルネックが発見できず、成果が上がらない原因が不明確

メンバーのモチベーション低下:

  • フィードバックが少なく、成長実感を得られない
  • 目標達成の道筋が見えず、やる気が続かない

セールスフォースマネジメントを実践することで、再現性のある営業組織を構築し、継続的に成果を上げることが可能になります。

2. セールスフォースマネジメントの4つの管理ポイント

セールスフォースマネジメントは、4つの柱で構成されます。

(1) 目標管理(KGI・KPIの設定)

営業組織の目標を明確に設定します。

KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標):

  • ビジネスの最終的な目標数値
  • 例: 年間売上10億円、新規顧客獲得100社、受注率20%向上

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標):

  • KGI達成のための中間目標を定量評価
  • 例: 月間訪問件数50件、商談化率30%、平均受注期間3ヶ月以内

目標設定のポイント:

  • 明確な数値目標を設定し、月次・週次・日次で細かく管理
  • KGIから逆算してKPIを設定することで、今やるべきことが明確になる
  • チーム全体と個人の目標を連動させ、責任の所在を明確化

目標管理により、「何を達成すべきか」が全員に共有され、営業活動の方向性が統一されます。

(2) 行動管理(プロセスマネジメント)

営業活動のプロセスを数値化し、ボトルネックを発見・改善します。

プロセスマネジメントの内容:

  • 営業活動の可視化: 訪問件数・架電件数・提案書作成件数などを記録
  • ボトルネックの発見: どのプロセスで案件が止まっているかを分析
  • 改善アクションの実施: プロセスごとに課題を特定し、解決策を実行

具体例:

  • 「商談化率が低い」→ 初回訪問時のヒアリング内容を見直す
  • 「受注期間が長い」→ 提案から見積提出までの期間を短縮する施策を検討

プロセスマネジメントにより、「なぜ成果が上がらないのか」が可視化され、具体的な改善策を講じることができます。

(3) 案件管理(パイプライン管理)

営業案件の進捗を管理し、適切なタイミングでフォローアップします。

パイプライン管理の要素:

  • 案件フェーズの定義: 初回接触→ヒアリング→提案→見積提出→クロージング
  • 案件ごとの進捗確認: どのフェーズにどれだけの案件があるかを可視化
  • 優先順位の設定: 成約見込み度・予想受注金額に応じて注力案件を決定

具体的な管理方法:

  • SFA/CRMツールで案件をステージ管理(見込み客・商談中・クロージング等)
  • 週次ミーティングで案件レビューを実施し、次のアクションを確認
  • 案件が停滞している場合は早期にフォローアップ

パイプライン管理により、「どの案件に注力すべきか」が明確になり、営業リソースを最適配分できます。

(4) モチベーション管理(1on1・フィードバック)

メンバーのモチベーションを維持し、成長を支援します。

モチベーション管理の手法:

  • 1on1ミーティング: 週次または隔週で実施し、目標進捗とキャリア両面をフォロー
  • 定期的なフィードバック: 成功体験を共有し、課題に対する具体的なアドバイスを提供
  • セールスイネーブルメント: トッププレイヤーの知識・プロセスを体系化し、チーム全体に展開

注意点:

  • トッププレイヤーが優秀なマネージャーになるとは限らない
  • メンバー育成とチーム成果最大化にフォーカスする必要がある

モチベーション管理により、メンバーが「成長実感」と「目標達成への道筋」を得ることができ、離職率低下と生産性向上につながります。

3. 営業KPIの設定と活用方法

KPIを適切に設定・活用することで、営業活動の改善が加速します。

(1) KPIとKGIの違い

混同されがちなKPIとKGIの違いを整理しましょう。

KGI(Key Goal Indicator):

  • ビジネスの最終的な目標数値
  • 例: 年間売上10億円、営業利益率15%、顧客満足度90%

KPI(Key Performance Indicator):

  • KGI達成のための中間目標を定量評価
  • 例: 月間訪問件数50件、商談化率30%、平均受注期間3ヶ月以内

関係性:

  • KGIから逆算してKPIを設定
  • 複数のKPIを達成することでKGIに到達

KGIとKPIを明確に区別し、目標達成のプロセスを可視化することが重要です。

(2) 具体的なKPI項目例(訪問件数・受注率・案件数)

営業KPIとして設定される主な項目は以下の通りです。

活動量KPI(インプット指標):

  • 訪問件数(月間・週間)
  • 架電件数
  • 提案書作成件数
  • 商談件数

成果KPI(アウトプット指標):

  • 商談化率(訪問→商談への転換率)
  • 受注率(商談→受注の転換率)
  • 平均受注金額
  • 受注期間(初回接触から受注までの日数)

案件管理KPI:

  • パイプライン案件数(フェーズ別)
  • 商談進捗率(提案→見積提出の転換率等)
  • 失注理由分析(価格・機能・タイミング等)

選定基準:

  • 自社の営業プロセスに応じてカスタマイズ
  • 計測可能で、改善アクションにつながる指標を選ぶ

他社の成功事例をそのまま適用できるとは限らないため、自社の営業プロセスに合わせて設定しましょう。

(3) KPIモニタリングとデータレビュー

KPIは設定するだけでは意味がなく、定期的なモニタリングとレビューが必須です。

リアルタイムKPIモニタリング:

  • SFA/CRMツールでダッシュボードを構築
  • 日次・週次でKPIの進捗を確認
  • 目標未達の兆候を早期に発見

運用データレビューサイクル:

  • 週次ミーティングでKPIレビューを実施
  • 達成状況と課題を共有し、改善アクションを決定
  • 月次で振り返りを行い、翌月の目標を調整

注意点:

  • KPIだけに固執せず、顧客満足度や長期的な関係構築も重視
  • 数値が悪い場合は責めるのではなく、原因を分析し改善策を一緒に考える

KPIモニタリングとデータレビューを運用サイクルとして確立することが、継続的な成果向上の鍵です。

4. SFA/CRMツールの活用

セールスフォースマネジメントを実践するには、SFA/CRMツールの活用が効果的です。

(1) データドリブン営業の実現

SFA/CRMツールを使うことで、データに基づいた意思決定が可能になります。

データドリブン営業のメリット:

  • 属人的判断ではなく、数値に基づいた客観的な意思決定
  • 営業活動を自動データ化し、手動集計の手間を削減
  • 過去のデータから成功パターンを分析し、再現性を高める

具体例:

  • 「どのタイミングでフォローアップすると成約率が高いか」をデータ分析
  • 「どの業種・企業規模が成約しやすいか」を可視化し、ターゲットを絞り込む

データドリブン営業により、勘や経験だけに頼らず、再現性のある営業活動が実現します。

(2) リアルタイム進捗可視化

SFA/CRMツールで営業活動をリアルタイムに可視化できます。

リアルタイム可視化の効果:

  • 営業担当者が入力した情報を管理者がすぐに確認
  • タイムラグを解消し、迅速な意思決定が可能
  • チーム全体の進捗を一元管理し、ボトルネックを早期発見

可視化する内容:

  • 商談進捗(フェーズ別案件数)
  • KPI達成状況(訪問件数・受注率等)
  • 予想受注金額(パイプライン総額)

リアルタイム進捗可視化により、「今月の目標達成は可能か」「どの案件に注力すべきか」が即座に判断できます。

(3) 主要ツール紹介(Salesforce等)

代表的なSFA/CRMツールを紹介します。

Salesforce(Sales Cloud):

  • 世界トップシェアのクラウド型CRM/SFAプラットフォーム
  • 15万社以上が導入(Salesforce公式発表)
  • 顧客情報管理、案件管理、営業活動記録、レポート機能が充実
  • 料金: 月額3,000円〜(ユーザー数・機能により変動)

HubSpot CRM:

  • 無料プランあり(基本機能)
  • 中小企業に人気
  • マーケティング・営業・カスタマーサービスを統合管理

Zoho CRM:

  • コストパフォーマンス重視
  • 月額1,680円〜
  • AI機能搭載(営業予測・リードスコアリング)

選定ポイント:

  • 企業規模・予算・必要な機能に応じて選択
  • 無料トライアルで操作性を確認
  • 既存システム(MA・会計ソフト等)との連携可否を確認

※料金・機能は2024年時点の情報です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

5. 営業マネージャーに必要なスキル

セールスフォースマネジメントを実践するには、営業マネージャーに以下のスキルが求められます。

(1) 戦略設計力

営業組織全体の戦略を設計し、目標達成への道筋を描く能力です。

具体的なスキル:

  • 市場分析と競合調査に基づいた営業戦略の立案
  • KGI・KPIの設定とプロセス設計
  • 営業リソース(人員・予算・時間)の最適配分

戦略設計力により、「どこに注力すべきか」が明確になり、営業活動の方向性が統一されます。

(2) 組織マネジメント力

チーム全体を管理し、成果を最大化する能力です。

具体的なスキル:

  • メンバーの強み・弱みを把握し、適切な役割分担
  • プロセスマネジメントによるボトルネック発見と改善
  • データレビューサイクルの確立と運用

組織マネジメント力により、個人の成果をチーム全体の成果に統合できます。

(3) コーチング力・コミュニケーション力

メンバーを育成し、モチベーションを維持する能力です。

具体的なスキル:

  • 1on1ミーティングでの傾聴と適切なフィードバック
  • 成功体験の共有とナレッジの体系化(セールスイネーブルメント)
  • メンバーのキャリア目標に寄り添った成長支援

重要なポイント:

  • トッププレイヤーが優秀なマネージャーになるとは限らない
  • 自分が成果を出すことよりも、メンバー育成とチーム成果最大化にフォーカスする

コーチング力・コミュニケーション力により、メンバーの成長とチーム全体の生産性向上を両立できます。

6. まとめ:継続的に成果を上げる営業組織を作るために

セールスフォースマネジメントは、営業チームを体系的に管理し、継続的に成果を上げるための経営手法です。目標管理、行動管理、案件管理、モチベーション管理の4つの柱を軸に、データに基づいた意思決定とメンバー育成を両立させましょう。

セールスフォースマネジメント成功のポイント:

  • KGIから逆算してKPIを設定し、月次・週次・日次で細かく管理
  • プロセスマネジメントでボトルネックを発見し、改善アクションを実施
  • SFA/CRMツールでデータドリブン営業とリアルタイム進捗可視化を実現
  • 1on1ミーティングとフィードバックでメンバーのモチベーション維持
  • 営業マネージャーは戦略設計力・組織マネジメント力・コーチング力を磨く

次のアクション:

  • 自社の営業プロセスを整理し、KGI・KPIを設定する
  • SFA/CRMツールの無料トライアルで操作性を確認する
  • 週次KPIレビューミーティングを導入し、データレビューサイクルを確立する
  • 1on1ミーティングのスケジュールを組み、メンバーと目標進捗を共有する

セールスフォースマネジメントを実践し、再現性のある営業組織を構築しましょう。

よくある質問

Q1小規模営業組織でもセールスフォースマネジメントは必要?

A1規模に関わらず目標管理とプロセス管理は重要です。小規模組織なら、1on1ミーティングやデータレビューをシンプルに運用することから始めると効果的です。KPIも必要最小限に絞り、週次でレビューするだけでも営業活動の改善につながります。

Q2営業KPIはどのように設定すればよい?

A2自社の営業プロセスに応じて訪問件数・受注率・案件数・受注期間などを選定します。KGI(最終目標)から逆算してKPI(中間目標)を設定し、計測可能で改善アクションにつながる指標を選ぶことが重要です。他社の成功事例をそのまま適用できるとは限らないため、自社に合わせてカスタマイズしましょう。

Q31on1ミーティングはどのくらいの頻度で行うべき?

A3週次または隔週で実施するのが一般的です。メンバーの状況に応じて柔軟に調整し、目標進捗とモチベーション両面をフォローします。1回30分〜1時間程度で、メンバーの課題や成功体験を共有し、次のアクションを一緒に考えることが効果的です。

Q4営業メンバーのモチベーション管理のコツは?

A4明確な目標設定と定期的なフィードバック、成功体験の共有が重要です。トッププレイヤーの知識をチーム全体に展開するセールスイネーブルメントも効果的で、メンバーが「成長実感」を得られる仕組み作りが鍵になります。数値だけでなく、メンバーのキャリア目標にも寄り添うことが大切です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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