CRMでできることとは?機能と活用メリットを徹底解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/26

CRMを導入したいけれど、具体的に何ができるのか分からない

BtoB企業において、顧客情報の管理や営業活動の効率化は常に課題となっています。「CRMという言葉は聞くけれど、具体的に何ができるのか」「導入するとどのような業務改善につながるのか」という疑問を持つ担当者は多いのではないでしょうか。

2024年の調査によると、世界のCRM市場は656億ドル(約9.8兆円)に達し、2024〜2030年の年平均成長率は13.9%と予測されています。日本国内でも2022年度に2,174億円規模で前年度比17.0%の成長を記録し、クラウド型CRMの普及が加速しています。

この記事では、CRMでできることを7つの基本機能に分けて解説し、業務別の活用例や導入メリット・注意点を具体的にご紹介します。

この記事のポイント:

  • CRMには顧客情報管理、商談管理、営業活動管理、リード抽出、データ分析、メール配信、問い合わせ管理の7つの基本機能がある
  • 営業・マーケティング・カスタマーサクセスの各部門で活用できる
  • 導入メリットは顧客情報の一元化、部署間情報共有、業務効率化、顧客満足度向上、戦略立案の5つ
  • 効果実感には時間がかかるため、継続的なPDCAサイクルが必要
  • 既存顧客への施策に注力することで、比較的早期に効果を実感できる

1. CRMでできることを知る前に

(1) なぜCRMが重要視されているのか?

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報や行動履歴を管理し、顧客との良好な関係を構築・促進するための戦略およびシステムです。

CRMが重要視される背景には、以下のような要因があります。

顧客情報の増加と複雑化: 営業活動が多様化する中で、顧客との接点も増加しています。メール、電話、Web問い合わせ、展示会など、複数のチャネルで収集される顧客情報を一元管理する必要性が高まっています。

営業の属人化防止: 担当者個人が顧客情報を管理していると、異動や退職時に情報が失われるリスクがあります。CRMにより組織全体で顧客情報を共有することで、このリスクを軽減できます。

データに基づく意思決定: 勘や経験だけでなく、データに基づいた営業・マーケティング戦略の立案が求められるようになっています。

(2) CRM導入を検討する前の課題整理

CRM導入を検討する際は、自社の課題を整理することが重要です。

よくある課題:

  • 顧客情報がExcelや個人のメモに分散している
  • 担当者間で顧客対応の履歴が共有されていない
  • 営業活動の進捗状況が見えにくい
  • 失注案件の分析ができていない
  • マーケティング施策の効果測定ができていない

これらの課題のうち、自社にとって優先度の高いものを明確にしてからCRMを選定することで、導入後の活用がスムーズになります。

2. CRMとは何か?基本概念と役割

(1) CRM(顧客関係管理)の定義

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。顧客情報を一元管理し、顧客との関係を強化することで、顧客満足度の向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す取り組みです。

CRMシステムは、この取り組みを支援するためのツールであり、顧客データベースを中心に、営業支援、マーケティング支援、カスタマーサポートなどの機能を提供します。

(2) SFA・MAとの違いと連携メリット

CRMと混同されやすいツールに、SFAとMAがあります。

SFA(Sales Force Automation): 営業支援システムの略で、営業活動の効率化に特化したツールです。商談管理、訪問計画、日報管理などの機能を持ちます。CRMの一部として提供されることも多いです。

MA(Marketing Automation): マーケティングオートメーションの略で、マーケティング活動の自動化に特化したツールです。メール配信の自動化、リードスコアリング、Web行動トラッキングなどの機能を持ちます。

連携のメリット: CRM・SFA・MAを連携させることで、マーケティングで獲得したリードを営業に引き渡し、営業活動の結果をCRMに蓄積し、その情報をもとに次のマーケティング施策を立案するという一連のサイクルが実現できます。

(3) クラウド型・オンプレミス型の特徴

クラウド型CRM: インターネット経由で利用するCRMシステムです。

  • メリット: 初期投資が少ない、すぐに利用開始できる、バージョンアップが自動
  • デメリット: 月額・年額のランニングコストが発生、カスタマイズに制限がある場合も

オンプレミス型CRM: 自社サーバーに構築するCRMシステムです。

  • メリット: カスタマイズ性が高い、データを社内で管理できる
  • デメリット: 初期投資が大きい、運用・保守の人員が必要

日本国内では、クラウド型CRMがオンプレミス型を逆転し、主流となってきています。

3. CRMの主な機能とできること(7つの基本機能)

(1) 顧客情報管理:一元管理とリアルタイム共有

できること:

  • 顧客の基本情報(会社名、担当者名、連絡先など)を一元管理
  • 商談履歴、問い合わせ履歴、購入履歴を紐づけて管理
  • PCやモバイルデバイスから速やかにアクセス
  • 部署をまたいだ情報共有

顧客情報管理はCRMの最も基本的な機能です。分散していた顧客情報を一箇所に集約することで、担当者が変わっても過去のやり取りを確認でき、スムーズな顧客対応が可能になります。

(2) 商談管理:進捗状況と確度の可視化

できること:

  • 商談の進捗状況をステージ別に管理(初回商談、提案、見積、交渉、受注など)
  • 商談ごとの確度(成約確率)を設定
  • 失注案件の分析と改善点の抽出
  • 売上予測の精度向上

商談管理により、営業マネージャーはチーム全体の案件状況を把握でき、個別案件へのアドバイスや支援が行いやすくなります。

(3) 営業活動管理:日報・ToDo・スケジュール

できること:

  • 営業活動の日報・週報を記録
  • ToDoリストとスケジュール管理
  • 訪問件数、電話件数などの活動量を可視化
  • チームの活動状況を共有

営業活動を記録することで、成果を出している担当者の行動パターンを分析し、チーム全体の営業力向上につなげることができます。

(4) リード抽出・セグメンテーション

できること:

  • 複数条件を組み合わせてリードを抽出(業種、規模、エリア、興味関心など)
  • 特定条件に合致する見込み客に効率的にアプローチ
  • リードスコアリング(見込み度の数値化)
  • ターゲットリストの作成

リード抽出機能により、優先度の高い見込み客を効率的に選定し、営業リソースを集中させることができます。

(5) データ分析・レポート機能

できること:

  • 売上分析(顧客別、商品別、担当者別など)
  • 商談の勝率・失注率分析
  • 営業活動量と成果の相関分析
  • ダッシュボードによる可視化
  • AI活用による売上予測(対応ツールの場合)

データ分析機能により、勘や経験に頼らない、データに基づいた意思決定が可能になります。

(6) メール配信とコミュニケーション管理

できること:

  • 顧客セグメント別のメール一括配信
  • 開封率、クリック率の追跡
  • メールテンプレートの管理
  • 送受信履歴の記録

メール配信機能により、顧客とのコミュニケーションを効率化し、その効果を測定することができます。

(7) 問い合わせ・サポート業務管理

できること:

  • 問い合わせ内容と対応履歴の記録
  • 対応ステータス(未対応、対応中、完了)の管理
  • 担当者へのエスカレーション
  • 対応品質の分析

問い合わせ管理機能により、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ適切に対応でき、顧客満足度の向上につながります。

4. 業務別CRM活用例(営業・マーケティング・CS)

(1) 営業部門:案件管理と営業効率化

活用シーン:

  • 商談の進捗を一覧で確認し、停滞している案件を早期に発見
  • 過去の商談履歴を参照しながら、顧客に最適な提案を準備
  • 失注案件を分析し、競合との差別化ポイントを明確化
  • 売上予測の精度を高め、目標達成に向けた行動計画を立案

期待される効果:

  • 営業の属人化防止と引き継ぎの円滑化
  • 案件の取りこぼし防止
  • データに基づく営業戦略の立案

(2) マーケティング部門:リード育成と効果測定

活用シーン:

  • Web問い合わせや展示会で獲得したリードを一元管理
  • リードスコアリングにより、営業に引き渡すタイミングを判断
  • メール配信の効果(開封率、クリック率)を測定し、施策を改善
  • 営業成約率との連携で、施策のROIを算出

期待される効果:

  • マーケティング施策の効果測定と改善
  • 営業部門への質の高いリード供給
  • マーケティングと営業の連携強化

(3) カスタマーサクセス部門:顧客満足度向上

活用シーン:

  • 顧客からの問い合わせ履歴を確認し、適切なサポートを提供
  • 契約更新時期が近い顧客をリストアップし、先回りしてフォロー
  • 解約リスクのある顧客を早期に発見し、対策を講じる
  • 顧客の利用状況を分析し、アップセル・クロスセルの機会を発見

期待される効果:

  • 顧客満足度の向上と解約率の低減
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化
  • 顧客の声を製品・サービス改善に活用

5. CRM導入によるメリットと注意点

(1) 5つの主要メリット:一元化・情報共有・効率化・満足度向上・戦略立案

メリット1: 顧客管理の一元化 分散していた顧客情報を一箇所に集約し、必要な情報にすぐアクセスできるようになります。

メリット2: 部署間情報共有 営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、複数部署で顧客情報を共有できます。

メリット3: 業務効率化 手作業で行っていたデータ入力や集計作業を自動化し、本来の業務に集中できます。

メリット4: 顧客満足度向上 顧客の履歴を把握した上で対応することで、顧客満足度の向上につながります。

メリット5: 戦略立案の根拠 蓄積されたデータを分析し、データに基づいた経営・営業戦略の立案が可能になります。

(2) 導入時の注意点:コスト・業務フロー整備・セキュリティ

コストに関する注意点: CRM導入・運用にはコストが発生します。初期費用だけでなく、月額費用、カスタマイズ費用、教育費用なども考慮する必要があります。

業務フロー整備の手間: 既存の業務プロセスを見直し、CRMに合わせた業務フローを整備する必要があります。この作業には一定の時間と労力がかかります。

セキュリティ対策: システム上で顧客情報を一元管理するため、セキュリティ対策とデータ保護が極めて重要です。アクセス権限の設定、データバックアップ、不正アクセス対策などを検討する必要があります。

(3) 効果実感までの期間と継続的改善

CRMを導入してもすぐに利益が出るわけではありません。効果を実感するまでには、継続的なPDCAサイクルの実施が必要です。

早期に効果を実感するポイント:

  • 既存顧客への施策に注力する(新規獲得より効果が出やすい)
  • 優先度の高い課題に絞って活用を開始する
  • 小さな成功事例を作り、社内に共有する

導入から3〜6ヶ月程度で小さな成果を確認し、1年程度で本格的な効果測定を行うことが一般的です。

6. まとめ:企業規模・業種別のCRM活用指針

CRMは、顧客情報の一元管理から営業支援、マーケティング支援、カスタマーサポートまで、幅広い機能を持つツールです。

成功のポイント:

  • 導入前に自社の課題を明確にし、優先度の高い機能から活用を開始する
  • 営業・マーケティング・CSの各部門で活用シーンを具体化する
  • 効果が出るまでには時間がかかることを社内で共有し、継続的に取り組む
  • 既存顧客への施策に注力することで、比較的早期に効果を実感できる
  • SFA・MAとの連携を視野に入れ、将来の拡張性も考慮する

企業規模別の指針:

  • 中小企業: クラウド型CRMで小さく始め、成果を確認しながら拡張
  • 中堅企業: 営業とマーケティングの連携を強化し、リード管理を最適化
  • 大企業: 複数部門での活用、基幹システムとの連携、データ分析の高度化

次のアクション:

  • 自社の顧客管理における課題を整理する
  • 優先度の高い課題に対応できるCRM機能を確認する
  • 複数のCRMツールを比較し、自社に合ったものを選定する
  • 小規模なPoCから開始し、効果を確認しながら展開する

※この記事は2024年時点の情報に基づいています。CRMツールの機能・価格は変更される可能性があるため、最新情報は各ベンダーの公式サイトでご確認ください。

よくある質問:

Q: CRMで具体的に何ができるのか? A: CRMには顧客情報管理、商談管理、営業活動管理、リード抽出、データ分析、メール配信、問い合わせ管理の7つの基本機能があります。これらの機能により、営業・マーケティング・カスタマーサクセスの業務を効率化し、顧客との関係を強化できます。

Q: CRM導入後すぐに効果は出る? A: すぐに利益が出るわけではなく、継続的なPDCAサイクルの実施が必要です。ただし、既存顧客への施策に注力することで、比較的早期に効果を実感できることが多いです。導入から3〜6ヶ月で小さな成果を確認し、1年程度で本格的な効果測定を行うのが一般的です。

Q: CRMとSFA・MAの違いは? A: CRMは顧客関係管理全般、SFAは営業支援、MAはマーケティング自動化とそれぞれ役割が異なります。ただし、これらを連携させることで、マーケティングから営業、カスタマーサポートまで一貫した顧客対応が実現でき、シナジー効果が生まれます。

Q: 中小企業でもCRMは必要? A: 顧客数が増加し、情報の属人化が課題となっていれば導入を検討する価値があります。クラウド型CRMなら初期投資が少なく、小規模から導入できるため、中小企業でも導入しやすくなっています。まずは顧客管理の課題を整理し、必要な機能を明確にすることが重要です。

よくある質問

Q1CRMで具体的に何ができるのか?

A1CRMには顧客情報管理、商談管理、営業活動管理、リード抽出、データ分析、メール配信、問い合わせ管理の7つの基本機能があります。これらの機能により、営業・マーケティング・カスタマーサクセスの業務を効率化し、顧客との関係を強化できます。

Q2CRM導入後すぐに効果は出る?

A2すぐに利益が出るわけではなく、継続的なPDCAサイクルの実施が必要です。ただし、既存顧客への施策に注力することで、比較的早期に効果を実感できることが多いです。導入から3〜6ヶ月で小さな成果を確認し、1年程度で本格的な効果測定を行うのが一般的です。

Q3CRMとSFA・MAの違いは?

A3CRMは顧客関係管理全般、SFAは営業支援、MAはマーケティング自動化とそれぞれ役割が異なります。ただし、これらを連携させることで、マーケティングから営業、カスタマーサポートまで一貫した顧客対応が実現でき、シナジー効果が生まれます。

Q4中小企業でもCRMは必要?

A4顧客数が増加し、情報の属人化が課題となっていれば導入を検討する価値があります。クラウド型CRMなら初期投資が少なく、小規模から導入できるため、中小企業でも導入しやすくなっています。まずは顧客管理の課題を整理し、必要な機能を明確にすることが重要です。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。