法人営業の基本と成功戦略:個人営業との違いと実践ノウハウ

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

法人営業の基本を知りたいあなたへ

B2B企業の営業担当者として働き始めたものの、「法人営業と個人営業はどう違うのか?」「どんなスキルが必要なのか?」「どのようにアプローチすればいいのか?」と悩んでいませんか?

法人営業は、企業や団体を対象にした営業活動(BtoB営業)で、個人営業とは意思決定プロセス、商談期間、必要なスキルが大きく異なります。複数の意思決定者が関与し、長期的な関係構築が求められる一方、1件あたりの取引金額が大きく、年収も個人営業より高い傾向があります。

この記事では、法人営業の基本、個人営業との違い、必要なスキル、実践ステップ、年収・キャリアパスまで詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 法人営業は企業を対象にした営業で、複数の意思決定者が関与し、商談期間が長期化するのが特徴
  • 7,134名の調査によると、信頼獲得、傾聴力、説明力、判断力、共感力の5つが必須スキル
  • 顧客が抱える課題を見つけ出し、解決策を提案する力が求められる(顧客自身が課題を明確化できていない場合が多い)
  • 法人営業の平均年収は約475万円で、個人営業より数十万円高い傾向(2024年データ)
  • SFA・CRM・MAツールを活用することで業務効率化と定型業務の自動化が可能

1. 法人営業とは:BtoB営業の基礎知識

まず、法人営業の定義と役割、特徴、2024年の最新トレンドについて整理します。

(1) 法人営業の定義と役割

法人営業とは、企業や団体を対象に営業活動を行う職種で、Business to Business(BtoB)とも呼ばれます。

法人営業の主な役割:

  • 課題解決: 企業が抱える課題を見つけ出し、自社の製品・サービスで解決策を提案
  • 長期的な関係構築: 単発の取引ではなく、継続的な取引関係を築く
  • 価値提供: 顧客企業のビジネス成長を支援し、パートナーとして信頼される

法人営業では、顧客自身が課題を明確化できていない場合が多いため、課題を引き出し、解決策を提案する力が求められます。

(2) 法人営業の特徴(複数人の意思決定、長期商談、継続取引重視)

法人営業には、個人営業と異なる3つの特徴があります。

1. 複数人の意思決定:

  • 決裁プロセスには、担当者、部門長、経営層など複数の意思決定者が関与
  • 全員の合意を得る必要があり、営業プロセスが複雑化

2. 長期商談:

  • 1件あたりの取引金額が大きいため、決裁に時間がかかる
  • 数ヶ月から1年以上かかるケースもある
  • 短期的な成果が出にくく、長期的な視点が必要

3. 継続取引重視:

  • 単発の取引ではなく、継続的な取引関係を築くことが重要
  • 既存顧客との関係を維持し、リピート受注・追加受注を獲得

これらの特徴により、法人営業では長期的な関係構築スキルと忍耐強さが求められます。

(3) 2024年の法人営業トレンド

2024年の法人営業市場には、以下のようなトレンドがあります。

HubSpotによる営業意識調査2024:

  • HubSpotが2024年2月に「日本の営業に関する意識・実態調査2024」(第5回)を発表
  • 営業トレンドと実態を明らかにし、法人営業の最新動向を把握

新設法人と倒産の動向:

  • 2024年は新設法人が過去最高を記録する一方、倒産も11年ぶりに1万件超
  • 顧客の財務状況を慎重に見極める必要がある

インサイドセールス・フィールドセールスの需要増:

  • 特にSaaS営業やクラウドサービス分野で採用が活発化
  • 非対面営業(インサイドセールス)と対面営業(フィールドセールス)の組み合わせが主流に

2. 法人営業と個人営業の違い

法人営業と個人営業は、意思決定プロセス、商談期間、取引金額などが大きく異なります。

(1) 意思決定プロセスの違い(複数の関係者 vs 個人の決裁者)

法人営業:

  • 複数の意思決定者: 担当者、部門長、経営層など複数の関係者が関与
  • 稟議プロセス: 社内の稟議を通して承認を得る必要がある
  • 合意形成: 全員の合意を得るため、説得力のある提案が必要

個人営業:

  • 個人の決裁者: 購入者本人が決裁権を持つ
  • その場で意思決定: 商談の場で即座に購入を決定できる
  • シンプルなプロセス: 稟議や社内承認が不要

法人営業では、複数の意思決定者それぞれの関心事や懸念点を理解し、対応する必要があります。

(2) 商談期間の違い(長期的アプローチ vs 短期的クロージング)

法人営業:

  • 長期的アプローチ: 数ヶ月から1年以上かかるケースが多い
  • 関係構築重視: 複数回の商談を通じて信頼関係を築く
  • 忍耐強さが必要: 短期的な成果が出にくいため、長期的な視点が求められる

個人営業:

  • 短期的クロージング: 1回の商談で契約が決まることも多い
  • 即座の成果: 短期間で成果が見えやすい

法人営業では、1回の営業で契約が決まることは少なく、長期的な関係構築スキルが必要です。

(3) 取引金額と報酬の違い

法人営業:

  • 大きな取引金額: 数百万円から数億円規模の取引も珍しくない
  • 高い年収: 平均年収は約475万円で、個人営業より数十万円高い傾向(2024年データ)
  • 成果報酬: 1件あたりの取引金額が大きいため、成果に応じた報酬が期待できる

個人営業:

  • 小さな取引金額: 数千円から数十万円程度が一般的
  • 個人営業の平均年収: 法人営業より数十万円低い傾向

ただし、法人営業は決裁プロセスが長期化するため、短期的な成果が出にくい点には注意が必要です。

3. 法人営業に必要なスキルと能力

法人営業で成功するためには、特定のスキルと能力が求められます。

(1) 信頼獲得、傾聴力、説明力、判断力、共感力(7,134名調査より)

株式会社セレブリックスが7,134名を対象に実施した調査によると、法人営業に必須のスキルは以下の5つです:

1. 信頼獲得(Trust Building):

  • 顧客との長期的な関係構築の基盤
  • 誠実さ、約束の履行、専門知識の提示により信頼を得る

2. 傾聴力(Active Listening):

  • 顧客の話を注意深く聞き、潜在的なニーズや課題を引き出す
  • 表面的な要望だけでなく、本質的な課題を理解する

3. 説明力:

  • 複雑な製品・サービスを分かりやすく説明する
  • 顧客のメリットを明確に伝える

4. 判断力:

  • 顧客の状況を正しく判断し、適切な提案を行う
  • 優先順位をつけ、効率的に営業活動を進める

5. 共感力:

  • 顧客の立場に立ち、課題や悩みに共感する
  • 顧客のビジネス成長を真剣に考える姿勢

これらのスキルは、法人営業の成功に直結する重要な要素です。

(2) 仮説立案力とヒアリング力

顧客が抱える課題を見つけ出すためには、仮説立案力とヒアリング力が必要です。

仮説立案力:

  • 限られた情報から顧客の課題や解決策について仮説を立てる
  • 顧客の業界動向、企業規模、ビジネスモデルから潜在的な課題を推測

ヒアリング力:

  • 仮説を検証するために、効果的な質問を投げかける
  • 顧客自身が気づいていない課題を引き出す

顧客が課題を明確化できていない場合が多い:

  • 法人営業では、顧客が「何が問題か」を明確に理解していないケースが多い
  • 営業担当者が課題を引き出し、解決策を提案する必要がある

(3) 論理的思考力と課題解決力

論理的思考力:

  • 顧客の課題を整理し、因果関係を明確にする
  • データや事実に基づいた提案を行う

課題解決力:

  • 顧客の課題に対して、具体的な解決策を提示する
  • 自社の製品・サービスをどう活用すれば課題が解決できるかを明確に示す

これらのスキルにより、顧客にとって「価値あるパートナー」として認識されます。

(4) SFA・CRM・MAツールの活用能力

現代の法人営業では、ITツールの活用が不可欠です。

SFA(Sales Force Automation):

  • 営業活動を支援するシステムで、繰り返し業務や定型業務を自動化
  • 商談履歴、顧客情報、営業進捗を一元管理

CRM(Customer Relationship Management):

  • 顧客関係管理システムで、顧客情報を一元管理し営業活動を最適化
  • 過去の取引履歴、コミュニケーション履歴を記録

MA(Marketing Automation):

  • マーケティング活動を自動化するツールで、見込み顧客の育成を支援
  • リードスコアリングにより、優先順位をつけて効率的にアプローチ

これらのツールを活用することで、業務効率化と定型業務の自動化が可能になります。

4. 法人営業の実践ステップと新規開拓手法

法人営業の実践ステップと、新規開拓の主要手法について解説します。

(1) 法人営業の5つの実践ステップ

法人営業は、以下の5つのステップで進めるのが一般的です。

ステップ1: ターゲット選定:

  • 自社の製品・サービスが役立つ可能性が高い企業をリストアップ
  • 業種、企業規模、地域、ニーズなどで絞り込む

ステップ2: アプローチ:

  • 電話、メール、問い合わせフォーム、訪問などでファーストコンタクト
  • ターゲットを明確にし、営業リストに沿って的確なタイミングでアプローチすることが重要

ステップ3: ヒアリング:

  • 顧客の課題、ニーズ、予算、決裁プロセスを把握
  • 仮説立案力を活かし、潜在的な課題を引き出す

ステップ4: 提案:

  • 顧客の課題に対して、具体的な解決策を提示
  • 自社の製品・サービスのメリットを明確に伝える

ステップ5: クロージング:

  • 契約条件を調整し、クロージング
  • 契約後も継続的にフォローアップし、長期的な関係を構築

(2) 新規開拓の主要手法12選

法人営業の新規開拓には、以下のような手法があります(詳細は「法人営業の新規開拓方法12選!成功させる5つのコツを徹底解説 - GENIEE's library」を参照)。

主要な新規開拓手法:

  1. テレアポ(電話営業): 電話で直接アプローチ
  2. メール営業: 一斉送信で効率的にアプローチ
  3. フォーム営業: 問い合わせフォーム経由でアプローチ
  4. 飛び込み営業: 直接訪問してアプローチ
  5. 展示会・セミナー: イベントで見込み客と接触
  6. ウェビナー: オンラインセミナーでリード獲得
  7. 紹介営業: 既存顧客や取引先からの紹介
  8. SNS営業: LinkedIn等のSNSでアプローチ
  9. Web広告: リスティング広告、ディスプレイ広告でリード獲得
  10. コンテンツマーケティング: SEO対策、オウンドメディアでリード獲得
  11. パートナー連携: 他社と協力してリード獲得
  12. リファラル営業: 顧客紹介プログラムでリード獲得

これらの手法を組み合わせ、自社に合った新規開拓戦略を構築することが重要です。

(3) ターゲット選定と営業リストの作成

ターゲット選定と営業リストの作成は、新規開拓の成功を左右する重要なステップです。

ターゲット選定のポイント:

  • 業種: 自社の製品・サービスが役立つ可能性が高い業種
  • 企業規模: 従業員数、売上高、資本金などで絞り込む
  • 地域: 対応可能な地域に限定
  • ニーズ: Webサイトやニュースから、潜在的なニーズを推測

営業リストの作成:

  • SFA・CRMツールで営業リストを管理
  • 企業データベース、業界団体名簿、Webサイトなどから情報を収集
  • 優先順位をつけ、効率的にアプローチ

(4) 組織営業(インサイドセールス・フィールドセールス連携)

現代の法人営業では、インサイドセールスとフィールドセールスを連携させる「組織営業」が主流になっています。

インサイドセールス:

  • 電話やメール、オンライン会議などを活用した非対面の営業手法
  • リード獲得、商談設定、既存顧客フォローなどを担当
  • 地理的制約がなく、効率的にアプローチ可能

フィールドセールス:

  • 顧客先を訪問して対面で行う従来型の営業手法
  • 商談のクロージング、重要な意思決定者との面談などを担当
  • 信頼関係構築に有効

インサイドセールス・フィールドセールス連携のメリット:

  • インサイドセールスがリードを獲得・育成し、商談設定
  • フィールドセールスが訪問してクロージング
  • 役割分担により、営業効率が向上

5. 法人営業の年収とキャリアパス

法人営業の年収とキャリアパスについて、最新データを基に解説します。

(1) 法人営業の平均年収(約475万円、2024年データ)

求人ボックスの2024年データによると、法人営業の平均年収は約475万円です。

年収の特徴:

  • 日本の平均より高い: 法人営業の平均年収は、日本の平均年収より高い水準
  • 個人営業より数十万円高い: 1件あたりの取引金額が大きいため、個人営業より報酬が高い傾向
  • 成果報酬: 成果に応じた報酬(インセンティブ)が期待できる

年収の幅:

  • 経験や実績により、年収の幅は大きい
  • トップセールスは年収1,000万円以上も可能

ただし、決裁プロセスが長期化するため、短期的な成果が出にくく、忍耐強さが求められます。

(2) キャリアパスと成長機会

法人営業のキャリアパスには、以下のような選択肢があります。

営業マネージャー:

  • チームをマネジメントし、目標達成を支援
  • メンバー育成、戦略立案などを担当

営業企画・マーケティング:

  • 営業戦略の立案、マーケティング施策の実行
  • データ分析、市場調査などを担当

営業コンサルタント:

  • 営業ノウハウを活かし、他社の営業改善をサポート

起業・独立:

  • 法人営業のスキルを活かし、自分のビジネスを立ち上げ

法人営業の経験は、幅広いキャリアパスにつながります。

(3) 未経験から法人営業への転職

未経験から法人営業への転職は可能です。

未経験者が注意すべきポイント:

  • 業界研究: 顧客の業界や企業について事前に研究
  • 基本的なビジネスマナー: 敬語、名刺交換、商談マナーを習得
  • 学習意欲: SFA・CRM・MAツールの使い方を学ぶ意欲

未経験者向けのサポート:

  • 多くの企業は、未経験者向けの研修プログラムを提供
  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実践的なスキルを習得

法人営業は、未経験からでもスキルを身につけることができ、キャリアアップの機会が豊富です。

6. まとめ:法人営業で成功するためのポイント

法人営業は、企業を対象にした営業活動で、個人営業とは意思決定プロセス、商談期間、必要なスキルが大きく異なります。

法人営業で成功するためのポイント:

  • 信頼獲得、傾聴力、説明力、判断力、共感力の5つのスキルを磨く: 7,134名の調査に基づく必須スキル
  • 仮説立案力とヒアリング力を活かす: 顧客が抱える課題を見つけ出し、解決策を提案
  • 長期的な視点を持つ: 決裁プロセスが長期化するため、忍耐強く関係を構築
  • SFA・CRM・MAツールを活用: 業務効率化と定型業務の自動化
  • 組織営業を実践: インサイドセールスとフィールドセールスを連携させる

法人営業のキャリア:

  • 平均年収は約475万円で、個人営業より数十万円高い(2024年データ)
  • 営業マネージャー、営業企画、営業コンサルタント、起業など、幅広いキャリアパスがある
  • 未経験からでも、研修プログラムやOJTでスキルを習得可能

次のアクション:

  • 法人営業に必要なスキル(信頼獲得、傾聴力、説明力、判断力、共感力)を意識的に磨く
  • 顧客の業界研究・企業研究を実施し、仮説立案力を高める
  • SFA・CRM・MAツールの使い方を学び、業務効率化を図る
  • 営業マネージャーや先輩営業からフィードバックを受け、継続的に成長する

法人営業は、長期的な視点と顧客志向のスキルがあれば、未経験からでも成功できる職種です。この記事を参考に、法人営業のキャリアを築いていきましょう。

※この記事は2024年時点の情報です。年収データや市場動向は変更される可能性があるため、最新情報をご確認ください。

よくある質問

Q1法人営業と個人営業の違いは何ですか?

A1法人営業は企業を対象にした営業で、複数の意思決定者が関与するため商談期間が長く、1件あたりの取引金額が大きいのが特徴です。個人営業は決裁者に直接商談できるため、その場で意思決定が可能ですが、取引金額は小さい傾向があります。報酬は法人営業の方が数十万円高い傾向です。

Q2法人営業に必要なスキルは何ですか?

A27,134名の調査によると、信頼獲得、傾聴力、説明力、判断力、共感力の5つが必須スキルです。また、顧客が抱える課題を見つけ出す仮説立案力、ヒアリング力、論理的思考力も重要です。顧客自身が課題を明確化できていない場合が多いため、課題を引き出し解決策を提案する力が求められます。

Q3法人営業の年収はどれくらいですか?

A32024年のデータでは、法人営業の平均年収は約475万円で、日本の平均年収より高い水準です。個人営業と比べて数十万円高い傾向があります。1件あたりの取引金額が大きいため、成果に応じた報酬が期待できます。

Q4未経験から法人営業に転職することは可能ですか?

A4はい、可能です。多くの企業は未経験者向けの研修プログラムを提供しており、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実践的なスキルを習得できます。顧客の業界研究、基本的なビジネスマナー、SFA・CRM・MAツールの使い方を学ぶ意欲があれば、未経験からでも法人営業として成功できます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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