商談は増えているのに、受注率が伸びない...
BtoB企業の営業担当者の多くが、受注率の向上に課題を抱えています。「商談件数は増えているのに成約に至らない」「何が悪いのか分からない」「受注プロセスを改善したいが、どこから手をつければいいか」といった悩みは珍しくありません。
実は、受注率向上には、見込み客の選別、顧客視点でのベネフィット訴求、営業組織の分業化などの体系的な改善が必要です。この記事では、BtoB営業における受注プロセスと、成約率を高める具体的な方法を解説します。
この記事のポイント:
- 受注とは顧客から注文を受けること。BtoBビジネスでは契約獲得を意味する
- 受注率は「受注件数 ÷ 商談件数 × 100」で算出され、業界平均は約20%
- 受注率向上にはBANTフレームワーク(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)で見込み客を選別
- 顧客は製品の機能ではなく「自社にどんなメリットがあるか」を知りたい
- 受注管理システムのコストは初期費用0円〜3万円、月額数千円〜3万円が目安
1. 受注とは?BtoB営業における意味と重要性
まず、受注の定義と、受注率の基本を確認しましょう。
(1) 受注の定義と契約獲得
受注とは、顧客から注文を受けることを意味します。BtoBビジネスでは、商談を経て契約を獲得することを受注と呼びます。
受注の定義:
- 顧客から注文を受けること
- BtoBビジネスでは契約獲得を意味する
- 営業活動の最終目標
受注は営業活動の成果指標として重視されており、受注率を高めることが営業組織の最優先課題の一つです。
(2) 受注率の計算方法(受注件数 ÷ 商談件数 × 100)
受注率(成約率)は、商談件数に対する受注件数の割合です。
受注率の計算方法:
受注率(%) = (受注件数 ÷ 商談件数) × 100
計算例:
- 商談件数: 100件
- 受注件数: 20件
- 受注率: (20件 ÷ 100件) × 100 = 20%
受注率を測定することで、営業活動の効率性を評価できます。
(参考: Innovation「受注率とは?受注率を上げる7つの方法とトークで使える3つのテクニックをご紹介!」)
(3) 業界平均の受注率(約20%)
受注率の業界平均は約20%程度と言われています。
受注率の目安:
- 業界平均: 約20%
- 業種や商材により異なる
- 自社の受注率と比較し、改善の余地を判断
例えば、自社の受注率が10%の場合、業界平均の20%に向けて改善の余地があります。
2. BtoB営業の受注プロセス:リードから受注まで
BtoB営業の受注プロセスは、4つのステップで構成されます。
(1) ステップ1:リードジェネレーション(見込み客獲得)
最初のステップは、見込み客(リード)を獲得することです。
リードジェネレーションの手法:
- Webマーケティング(SEO、リスティング広告、コンテンツマーケティング)
- 展示会・セミナー
- SNSマーケティング
- テレアポ・飛び込み営業
マーケティング部門がリードを獲得し、営業部門に引き渡す分業体制が一般的です。
(2) ステップ2:リードナーチャリング(育成)
次に、獲得したリードを育成します。
リードナーチャリングの手法:
- メールマーケティング(ステップメール、ニュースレター)
- インサイドセールスによる電話・メールでのフォロー
- ウェビナー・セミナーへの招待
- 事例紹介・ホワイトペーパー提供
リードの関心度を高め、商談可能な状態にします。
(3) ステップ3:商談・クロージング
商談を実施し、受注に向けてクロージングします。
商談のポイント:
- BANTフレームワークで受注確度を測る(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)
- 顧客の課題をヒアリングし、ベネフィットを訴求
- 競合との差別化を明確にする(USP: 独自の価値提案)
- 決裁者を早期に特定し、巻き込む
商談の質が受注率に直結します。
(4) ステップ4:受注・契約締結
最後に、契約を締結し、受注が確定します。
受注後のプロセス:
- 契約書の締結
- 受注管理システムへの登録
- 納品・サービス提供の準備
- 請求書の発行
受注管理システムを導入することで、受注から出荷・請求までを一元管理し、作業の自動化・省力化が可能です。
3. 受注率(成約率)を高める7つの方法
受注率を高める7つの具体的な方法を解説します。
(1) 方法1:BANTフレームワークで見込み客を選別
受注率向上には、見込み客の選別が重要です。BANTフレームワークで受注確度の高い案件を見極めます。
BANTフレームワーク:
- B (Budget): 予算はあるか?
- A (Authority): 決裁権を持つ人と商談できているか?
- N (Needs): 顧客のニーズと自社製品がマッチしているか?
- T (Timeframe): 導入時期はいつか?
BANTが揃っている案件に注力することで、受注率が向上します。
(2) 方法2:営業組織の分業化(マーケ・IS・FS)
営業組織を分業化することで、営業担当者が商談に集中できます。
営業組織の分業化:
- マーケティング: リード獲得(Web施策、展示会等)
- インサイドセールス (IS): リード育成、アポイント獲得
- フィールドセールス (FS): 商談、クロージング
分業化により、フィールドセールスは受注確度の高い商談に集中できるため、受注率が向上します。
(3) 方法3:顧客視点でのベネフィット訴求
顧客は製品の機能ではなく「自社にどんなメリットがあるか」を知りたいため、顧客視点でのベネフィット訴求が重要です。
ベネフィット訴求の例:
- 製品アピール(NG): 「当社の製品は高性能です」
- ベネフィット訴求(OK): 「この製品により、御社の業務時間を30%削減できます」
顧客の課題を深く理解し、自社製品がどう解決するかを明確に伝えることが重要です。
(参考: 顧問バンク「受注率を上げる体制強化方法や商談のテクニック」)
(4) 方法4:決裁者の早期特定
決裁権のない担当者との商談は時間の無駄になるため、早期に決裁者を特定する必要があります。
決裁者を特定する質問例:
- 「この案件の決裁者はどなたですか?」
- 「ご決定にあたり、他に関与される方はいらっしゃいますか?」
- 「承認プロセスを教えていただけますか?」
初回商談で決裁者を特定し、決裁者を巻き込んだ商談を進めることが受注率向上の鍵です。
(5) 方法5:USP(独自の価値提案)の明確化
2025年のトレンドとして、USP(独自の価値提案)の明確化が重要視されています。
USPの明確化:
- 競合と比較して、自社製品の独自性は何か?
- 顧客が他社ではなく、自社を選ぶ理由は何か?
- 価格、機能、サポート、導入実績など、強みを具体化
USPを明確にすることで、競合との差別化ができ、受注率が向上します。
(参考: Future Search「【2025年版】新規顧客開拓の鉄則とは?トップ営業が実践する3つのポイント」)
(6) 方法6:顧客理解の深化
顧客理解を深めることで、提案の質が向上します。
顧客理解のポイント:
- 顧客の業界、事業内容、競合状況を事前に調査
- 顧客の課題、ニーズを商談でヒアリング
- 顧客の意思決定プロセスを理解
データドリブンな意思決定により、戦略的な提案活動が求められています。
(7) 方法7:失注案件の分析と共有
失注案件を分析し、営業チーム全体で共有することで、受注率の改善につながります。
失注分析の方法:
- 失注理由をヒアリング(価格、機能、サポート、タイミング等)
- 失注パターンを分類(決裁者不在、競合優位、予算不足等)
- 営業チーム全体で共有し、改善策を議論
- 改善策を次回の商談に反映
失注分析により、営業プロセスの弱点が明確になります。
4. よくある失注理由と対策
よくある失注理由と、その対策を解説します。
(1) 失注理由1:決裁権のない担当者との商談
決裁権のない担当者と商談を進めても、最終的に決裁者の判断で失注するケースが多くあります。
対策:
- 初回商談で決裁者を特定する
- 決裁者を商談に巻き込む
- 決裁者向けの資料を別途用意する
決裁者との接点を持つことが、受注率向上の重要な要素です。
(2) 失注理由2:製品アピールに終始、顧客メリットが不明確
製品の機能を説明するだけで、顧客にとってのメリットが不明確な場合、受注に至りません。
対策:
- 顧客の課題を深くヒアリングする
- 顧客視点でのベネフィットを明確に訴求
- 導入事例やROIを具体的に提示
製品の過度なアピールは逆効果で、顧客が求めているのは自社のメリットです。
(3) 失注理由3:競合との差別化不足
競合と比較して、自社製品の優位性が不明確な場合、価格勝負になり失注します。
対策:
- USP(独自の価値提案)を明確化
- 競合比較表を用意し、強みを具体的に示す
- 導入実績、サポート体制など、機能以外の強みも訴求
競合との差別化を明確にすることで、価格競争を避けられます。
(4) 対策:失注分析の実施と営業チーム全体での共有
失注理由を分析し、営業チーム全体で共有することが、最も効果的な対策です。
失注分析の実施:
- 失注案件の理由をすべて記録
- 失注パターンを分析(決裁者不在、競合優位、予算不足等)
- 営業会議で共有し、改善策を議論
- 改善策を営業プロセスに反映
失注分析により、営業組織全体の受注率が向上します。
5. 受注管理の効率化:受注管理システムとSFA活用
受注管理を効率化するためのシステム活用を解説します。
(1) 受注管理システムの機能と導入メリット
受注管理システムとは、受注から出荷・請求までの一連の業務を効率的に管理・運用するシステムです。
受注管理システムの主な機能:
- 受注情報の登録・管理
- 在庫管理との連携
- 出荷指示・納品書発行
- 請求書発行
- 売上管理・レポート
導入メリット:
- 作業の自動化・省力化
- ヒューマンエラーの削減
- リアルタイムでの受注状況把握
- 顧客対応の迅速化
受注管理システムを導入することで、業務効率が大幅に向上します。
(参考: BOXIL「受注管理システム比較26選!選び方や導入メリット・おすすめサービス」)
(2) コストの目安(初期費用0円〜3万円、月額数千円〜3万円)
受注管理システムのコストの目安は以下の通りです。
コストの目安:
- 初期費用: 0円〜3万円
- 月額費用: 数千円〜3万円
クラウド型の受注管理システムは、初期費用が低く、月額数千円から始められるため、中小企業でも導入しやすくなっています。
※コストは執筆時点(2024年11月)の情報です。最新情報は各社公式サイトで確認してください。
(3) SFAによる受注予測とパイプライン管理
SFA(営業支援システム)を活用することで、受注予測とパイプライン管理が可能になります。
SFAの活用:
- 受注予測: 商談の進捗状況から受注見込みを予測
- パイプライン管理: 商談の各ステージを可視化し、ボトルネックを特定
- 営業活動の記録: 商談履歴、顧客情報を一元管理
SFAにより、データドリブンな営業活動が可能になります。
(4) Web-EDI・BtoB受発注システムの活用
BtoBの受発注業務を効率化する方法として、Web-EDIやBtoB受発注システムの導入があります。
Web-EDI・BtoB受発注システム:
- Web上で企業間の取引データを交換
- 従来のFAX・電話を置き換える
- 受注情報の自動取り込み、在庫連携
導入メリット:
- 受発注業務のデジタル化
- 入力ミスの削減
- リードタイムの短縮
(参考: ecbeing「受発注業務のフローと効率化を実現する4つの方法!具体的な手法も含めて解説!」)
6. まとめ:受注率を高めるために
受注率を高めるには、見込み客の選別(BANTフレームワーク)、顧客視点でのベネフィット訴求、営業組織の分業化など、体系的な改善が必要です。
受注率の業界平均は約20%程度です。自社の受注率と比較し、改善の余地を判断しましょう。
次のアクション:
- 自社の受注率を計算し、業界平均(約20%)と比較する
- BANTフレームワークで見込み客を選別し、受注確度の高い案件に注力
- 顧客の課題をヒアリングし、ベネフィットを明確に訴求
- 失注案件を分析し、営業チーム全体で共有
- 受注管理システムやSFAを導入し、業務効率化とデータドリブンな営業活動を実現
体系的な改善により、受注率を向上させ、売上拡大を実現しましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。受注管理システムの仕様・料金は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトで確認してください。
