Marketoが難しいと感じる原因を整理する
ずばり、Marketoが難しいと感じる原因は機能の複雑さだけでなく、運用設計や社内体制の問題にあることが多く、ツール設定と運用ルール整備を一体で進めることで活用を軌道に乗せることができます。
Marketo(マルケト) とは、Adobe社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。世界6,000社以上で導入されており、BtoBマーケティングにおいて広く活用されています。
しかし、導入しても活用が進まないという声は少なくありません。Adobe Marketo Engage運用実態調査(2025年11月実施)によると、従業員2,001名以上の大企業においても、マーケティング活動に必要な主要データがSFA/CRMと連携されている連携率はわずか18%に留まっています。大企業であってもデータ連携・活用が進んでいない現状があるのです。
この記事で分かること
- Marketoが難しいと言われる主な理由(機能面・データ連携面・組織面)
- 研修やトレーニングだけでは活用が進まない本質的な理由
- 自社のMarketo活用が進まない原因を特定するチェックリスト
- 課題別の解決アプローチと実践方法
Marketoが難しいと言われる主な理由
Marketoが難しいと言われる理由は、大きく分けて「機能面」「データ連携面」「組織体制面」の3つに整理できます。
データ負債とは、システムの複雑化やM&Aによる基幹システムの乱立などにより、データ連携・活用が困難になっている状態を指します。特に大企業では、この問題がMA活用の障壁となっていることが多いです。
Adobe Marketo Engage運用実態調査(2025年11月実施)では、現場リーダー層の約6割(58%)がデータ整形などの定型業務(守り)に時間を割いており、本来注力すべき企画・分析業務にリソースを回せていないことが明らかになっています。
また、アドビの調査(2025年9月発表)によると、日本のマーケターの54%は「ある程度の理解はあるものの、インサイトは手作業でサイロ化されており、遅延がある」と認識しています。ツールの機能を理解していても、実務で活かせていない状況が浮き彫りになっています。
機能の多さと設定の複雑さ
Marketoは機能が豊富で設定の自由度が高いため、他のMAツールと比較して習得に時間がかかる傾向があります。キャンペーン設計、スコアリング、メール配信、レポーティングなど、多岐にわたる機能を使いこなすには一定の学習期間が必要です。
ただし、機能の複雑さだけがMarketoが難しいと感じる原因ではありません。後述するように、データ連携や組織体制の問題が本質的な課題であるケースが多いです。
データ連携・運用体制の未整備
SFA/CRM連携とは、営業支援システム(SFA)や顧客関係管理(CRM)とMAツールをデータ連携させ、顧客情報を一元管理する仕組みを指します。この連携が整っていないと、Marketoで取得したリード情報や行動データを営業活動に活かすことができません。
前述のとおり、大企業でもSFA/CRM連携率は18%に留まっています。また、現場リーダー層の約6割が定型業務に追われて企画・分析に時間を割けない状況にあります。ツールの機能以前に、データ連携や運用体制の整備が進んでいないことが、活用の妨げになっているのです。
研修やトレーニングだけでは活用が進まない理由
Marketoの機能を学習すれば活用できるようになるという考え方は誤りです。 運用設計や社内体制が整っていないと、学んだ知識を活かせずに形骸化してしまいます。
MOps(Marketing Operations) とは、マーケティング運用業務の標準化・自動化を担う組織機能です。MA活用の効率化に重要な役割を果たしますが、日本企業ではこの機能が未整備のケースが多く見られます。
アドビの調査(2025年9月発表)によると、日本のマーケターの約8割がコンテンツのチャネル別パフォーマンス把握に課題を感じており、うち27%は「どのチャネルが有効か全く把握できていない」と回答しています。これは、機能を知っていても実行・分析できていない状態を示しています。
よくある失敗パターンとして、研修やトレーニングに投資しても成果が出ないケースがあります。 その背景には、以下のような問題が潜んでいることが多いです。
- 運用ルールが明文化されておらず、担当者によって使い方がバラバラ
- データ連携が不十分で、Marketoに必要な情報が入っていない
- 分析・改善のPDCAを回す体制がなく、施策が一回きりで終わる
- 経営層や営業部門との連携がなく、Marketoの成果が事業に反映されない
インサイトが手作業でサイロ化している状態では、いくら機能を学んでも知識を活かすことはできません。
Marketo活用が進まない原因を特定する
自社のMarketo活用が進まない原因を特定するためには、「機能理解」「データ連携」「運用設計」「組織体制」の4つの観点から現状を確認することが重要です。以下のチェックリストを活用して、自社の課題を洗い出してみてください。
【チェックリスト】Marketo活用が進まない原因チェックリスト
- Marketoの基本操作(キャンペーン作成、メール配信等)を理解しているメンバーがいる
- Marketoの設定・運用マニュアルが整備されている
- 定期的にMarketoの勉強会・情報共有を実施している
- SFA/CRMとのデータ連携が設計どおりに機能している
- Marketoに取り込むべきデータ項目が明確に定義されている
- データクレンジング(重複排除、情報更新)のルールがある
- リードスコアリングの基準が明文化されている
- キャンペーン作成・承認のワークフローが決まっている
- メール配信の運用ルール(頻度、タイミング等)が整備されている
- Marketoの運用担当者が明確にアサインされている
- 運用担当者が定型業務以外(企画・分析)に時間を割ける体制がある
- 営業部門との連携フロー(リード引き渡し等)が整備されている
- 経営層にMarketo活用の成果を報告する機会がある
- 施策の効果測定・改善のPDCAサイクルが回っている
- 外部パートナーとの連携体制がある(必要に応じて)
チェックが少ない領域が、優先的に改善すべきポイントです。特に「データ連携」「運用設計」「組織体制」の項目にチェックが少ない場合、研修やトレーニングだけでは解決できない可能性が高いです。
Marketo活用を軌道に乗せるためのアプローチ
課題タイプに応じた適切なアプローチを選択することで、Marketo活用を軌道に乗せることができます。以下の比較表を参考に、自社の課題に合った施策を検討してください。
【比較表】Marketo活用課題と解決アプローチ比較表
| 課題タイプ | 主な症状 | 有効なアプローチ | 研修の効果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 機能理解不足 | 基本操作がわからない、設定方法を知らない | 研修・トレーニング、公式ドキュメント活用 | ◎ | 初期段階では有効 |
| データ連携不備 | SFA/CRMと連携できていない、データが不正確 | システム連携設計、データ整備プロジェクト | △ | 技術的な対応が必要 |
| 運用設計不在 | ルールがない、担当者ごとに運用がバラバラ | 運用ルール策定、ワークフロー整備 | △ | 業務プロセス見直しが必要 |
| 体制未整備 | 担当者が兼務、定型業務に追われる | MOps体制構築、役割分担の明確化 | × | 組織的な対応が必要 |
| 複合的な課題 | 上記が複数重なっている | 外部パートナー活用、包括的な改善プロジェクト | △ | 一体的な改善が必要 |
上記の比較表からわかるように、研修・トレーニングが有効なのは「機能理解不足」の課題に限定されます。データ連携や運用設計、組織体制の問題は、研修だけでは解決できません。
成功事例として、日本エスリード株式会社(不動産業)ではMarketo導入により成約率が3%から9%に向上したとの報告があります(Adobe公式事例)。ただし、この効果は同社固有の運用体制や業界特性によるものであり、同様の成果が得られるかは各社の状況によって大きく異なります。
重要なのは、ツール設定と運用ルール整備を一体で進めることです。機能を覚えるだけでなく、どのように使うか(運用設計)、誰が責任を持つか(体制整備)を同時に整えることで、活用を軌道に乗せることができます。
まとめ:Marketo活用は運用設計と体制整備で軌道に乗る
Marketoが難しいと感じる原因を整理すると、以下の3点に集約できます。
- 機能面: 機能が豊富で設定の自由度が高いため、習得に時間がかかる
- データ連携面: SFA/CRM連携が未整備で、必要なデータが活用できていない
- 組織体制面: 運用担当者が定型業務に追われ、企画・分析に注力できない
これらの課題に対して、研修やトレーニングだけで解決しようとするのは効果的ではありません。運用設計や社内体制が整っていないと、学んだ知識を活かせずに形骸化してしまいます。
まずは本記事のチェックリストを活用して自社の課題を特定し、優先順位をつけて改善に取り組むことをおすすめします。データ連携や運用設計、体制整備が課題の場合は、自社だけで解決が難しいこともあります。その場合は、MA設定から運用ルール策定まで一体で支援できる外部パートナーの活用も有効な選択肢です。
Marketoが難しいと感じる原因は機能の複雑さだけでなく、運用設計や社内体制の問題にあることが多く、ツール設定と運用ルール整備を一体で進めることで活用を軌道に乗せることができます。
