HubSpotとMarketoの違いを検討する背景と本記事の目的
HubSpotとMarketoの違いとは何か。HubSpotとMarketoの選定は、機能・価格比較だけでなく、自社の営業プロセスへの適合性とSFA/CRM連携の実装設計を見据えて行うことで、導入後の活用率と成果向上につながります。
MAツール(マーケティングオートメーション) とは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までを自動化・効率化するマーケティングツールです。BtoB企業にとって、MAツールは営業効率化の要となる存在であり、HubSpotとMarketoは国内でも高いシェアを持つ代表的なツールとして知られています。
2026年のMazrica調べによると、国内MAツールシェアはHubSpot Marketing Hubが20.3%で2位、Adobe Marketo Engageが7.5%で4位となっています。また、Bow-Now調べのドメイン検出数ランキングでは、HubSpotが2,244社、Marketo(Adobe Marketo Engage)が711社と報告されています。
この記事で分かること
- HubSpotとMarketoの基本的な特徴と強みの違い
- 機能・価格・適合企業の比較に基づく選定基準
- MAツール選定でよくある失敗パターンと回避方法
- 導入後の運用設計まで見据えた選定チェックリスト
- 両ツールの導入事例に見る成功のポイント
本記事では、機能一覧や料金表の比較だけでなく、導入後のSFA/CRM連携設計や運用体制構築を見据えた選定の考え方を解説します。自社の営業プロセスやマーケティング体制に適したMAツールを選ぶための判断材料として活用してください。
HubSpotとMarketoの基本情報と特徴
両ツールの基本的な違いは、HubSpotがCRM一体型でスモールスタートに強い点、Marketoが高度なスコアリングとABM機能に強みを持つ点にあります。
導入実績としては、HubSpotは世界258,000社以上(135カ国)で導入されており、Marketoは国内1,600社以上、世界5,000社以上で導入されています。どちらも豊富な実績を持つMAツールですが、その特徴は大きく異なります。
HubSpotの特徴|CRM一体型でスモールスタートに強い
HubSpotの最大の強みは、CRM統合が標準装備されている点です。CRM統合とは、顧客管理システムとMAツールを連携し、顧客データを一元管理する仕組みを指します。HubSpotでは追加の連携作業なしに、リード情報から商談、顧客管理までを一つのプラットフォームで完結できます。
また、HubSpotは無料プランから利用を開始できるため、初期投資を抑えながらMAツールを導入したい企業に適しています。操作画面も直感的で、専任担当者がいない中小企業でも比較的運用しやすいと言われています。
HubSpotが適している企業の傾向としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 従業員50〜300名規模でMAツールを初めて導入する企業
- 専任のマーケティング担当者を置けない組織体制
- CRMとMAを統合して運用したい企業
- 段階的に機能を拡張していきたいケース
Marketoの特徴|高度なスコアリングとABMに強み
Marketoの強みは、高度なリードスコアリング機能とABM(Account-Based Marketing) への対応力にあります。
リードスコアリングとは、見込み顧客の行動・属性に基づいて優先度をスコア化し、営業連携の判断材料とする機能です。Marketoでは、複雑なスコアリングロジックを柔軟にカスタマイズでき、大量のリードデータを効率的に処理できます。
ABM(Account-Based Marketing) とは、特定の企業をターゲットにしたカスタマイズ施策を展開するマーケティング手法を指します。Marketoは、このABM施策を高度にサポートする機能を備えており、大企業のBtoBマーケティングで採用されるケースが多いです。
一方で、Marketoは専任担当者が必要とされる傾向があります。機能が豊富な分、設定や運用には一定のスキルが求められるため、少人数での運用には不向きな面があります。また、MarketoはCRMを搭載していないため、Salesforce等の外部CRMとの連携が必須となります。
Marketoが適している企業の傾向は以下の通りです。
- 従業員300名以上で専任マーケティングチームがある企業
- 高度なリードスコアリングやABM施策を実施したい企業
- 大規模なリードデータを処理する必要がある企業
- すでにSalesforce等のCRMを導入済みの企業
HubSpot vs Marketo|機能・価格・適合企業の比較表
ここでは両ツールの機能・価格・適合企業を一覧で比較し、選定の判断材料を整理します。なお、価格情報は2026年時点のものであり、契約規模やカスタマイズにより変動する可能性があります。
【比較表】HubSpot vs Marketo 機能・価格・適合企業比較
| 比較項目 | HubSpot | Marketo |
|---|---|---|
| 主な強み | CRM一体型、直感的なUI、スモールスタート可能 | 高度なスコアリング、ABM機能、大規模データ処理 |
| CRM機能 | 標準装備(追加連携不要) | 非搭載(Salesforce等との連携必須) |
| リードスコアリング | 基本機能あり | 高度なカスタマイズ可能 |
| ABM対応 | 一部対応 | 高度な対応 |
| 価格帯 | 無料〜月額96,000円〜 | 年間約200万円〜 |
| 初期費用目安 | 無料プランあり | 導入支援費用が別途必要なケースが多い |
| 運用体制 | 兼任担当でも運用可能 | 専任担当者が必要な傾向 |
| 適合企業規模 | 50〜300名規模の中小企業 | 300名以上の大企業 |
| 国内シェア(2026年) | 20.3%(2位) | 7.5%(4位) |
| 世界導入実績 | 258,000社以上(135カ国) | 5,000社以上 |
※市場シェアデータは民間調査会社(Mazrica)の独自調査であり、定義により数値が異なる場合があります。
日本国内のBtoB向けMAツール相場は、初期費用10-30万円、月額4-15万円とされています(2026年時点)。HubSpotは相場同等〜やや高めのポジション、Marketoは高額ポジションに位置しています。
価格帯の違いと予算別の選び方
価格帯の違いは、MAツール選定において重要な判断基準の一つです。
HubSpotの価格体系は、無料プラン、Starter月額2,400円〜/1シート、Professional月額96,000円〜となっています。無料プランから始めて、成長に応じてプランをアップグレードできる柔軟性があります。
一方、Marketoは年間約200万円〜(1万件リード規模)からのスタートとなります。初期投資が大きい分、高度な機能をフル活用できる体制が整っている企業に適しています。
予算別の選び方の目安は以下の通りです。
- 年間予算50万円未満: HubSpotの無料プラン〜Starterプランでスモールスタート
- 年間予算50〜150万円: HubSpot Professionalプランで本格運用
- 年間予算200万円以上: Marketoを含めた比較検討が可能。ただし運用体制の整備が前提
なお、これらの価格は契約規模・カスタマイズにより大きく変動する可能性があるため、実際の導入検討時には各ベンダーから見積もりを取得することを推奨します。
MAツール選定でよくある失敗パターン
ここでは、MAツール選定における典型的な失敗パターンを紹介します。機能一覧や料金表を見比べるだけで選定し、導入後のSFA/CRM連携設計や運用体制構築を後回しにして、結局使いこなせずROIが出ないという失敗は、多くの企業で見られるパターンです。
よくある失敗パターン
- 機能の多さだけで選定する: 高機能なツールを導入したが、運用リソースが足りず機能の大半を使いこなせない
- 価格だけで選定する: 安価なプランを選んだが、必要な機能が不足して後から追加費用が発生
- シェア1位=自社に最適と考える: 市場シェアが高いツールを選んだが、自社の業種・規模に適合しなかった
- 導入後の運用設計を後回しにする: ツール選定に時間をかけたが、運用体制やSFA連携の設計が不十分で活用が進まない
こうした失敗を避けるためには、「どの機能が自社に必要か」「自社の運用体制で運用できるか」「既存システム(SFA/CRM)との連携はどうするか」を選定段階で検討することが重要です。
失敗例:機能の多さで選んだ結果使いこなせない
具体的な失敗例として、「高機能なツールを少人数で導入して運用が回らなくなるケース」があります。
たとえば、高度なスコアリング機能やABM機能を求めてMarketoを導入したものの、マーケティング担当者が1〜2名しかおらず、設定や運用に手が回らないというケースです。Marketoは機能が豊富な分、初期設定やシナリオ構築に工数がかかるため、専任担当者がいない組織では活用率が低下しやすい傾向があります。
また、「導入すれば自動的に成果が出る」という誤解も失敗の原因となります。MAツールはあくまで「仕組み」であり、成果を出すためには継続的なコンテンツ作成、シナリオ改善、営業との連携が必要です。
失敗を避けるためのポイントは以下の通りです。
- 導入前に「誰が運用するか」を明確にする
- 自社の運用リソースに見合ったツールを選ぶ
- 段階的に機能を拡張できるツール(HubSpotなど)を検討する
- 導入後の運用計画を事前に策定する
MAツール選定チェックリストと導入後の運用設計
MAツールの選定を成功させるためには、機能・価格の比較だけでなく、自社の状況に照らし合わせた総合的な判断が必要です。以下のチェックリストを活用して、選定の抜け漏れを防いでください。
【チェックリスト】MAツール選定チェックリスト
- 自社のマーケティング課題と導入目的を明文化した
- 必要な機能を優先度順にリストアップした
- 年間予算(初期費用+ランニングコスト)を確定した
- 運用担当者(専任or兼任)を決定した
- 担当者のスキルレベルを把握した
- 既存のCRM/SFAシステムとの連携要件を整理した
- 連携に必要な追加開発・費用を見積もった
- リード数の現状と今後の増加見込みを把握した
- 必要なスコアリングの複雑さを検討した
- ABM施策の必要性を検討した
- 無料トライアルやデモで操作感を確認した
- ベンダーのサポート体制を確認した
- 導入後の運用計画(最初の3ヶ月のアクション)を策定した
- 効果測定のKPIを設定した
- 社内の関係者(営業部門等)との合意を得た
導入事例に見る成功のポイントとして、HubSpot導入企業(IT企業)ではリード管理強化により営業効率30%向上という成果が報告されています。また、Marketo導入企業(BtoB IT企業)ではスコアリング活用でホットリード営業連携を実現し、成約率25%向上という成果が報告されています。
これらの成功事例に共通するのは、「ツールの機能を活かすための運用体制」と「営業部門との連携設計」が事前に整備されていた点です。ただし、成功事例はバイアスがかかりやすく、再現性は企業規模・業種・運用体制に依存する点には注意が必要です。
導入事例に見る成功のポイント
両ツールの導入事例から、成功要因を分析します。
HubSpot導入事例(IT企業)
あるIT企業では、HubSpotを導入してリード管理を強化した結果、営業効率が30%向上したと報告されています。成功のポイントは以下の点でした。
- CRM機能を活用してリード情報を一元管理
- 営業部門とマーケティング部門の情報共有を円滑化
- 段階的に機能を拡張し、運用負荷を分散
Marketo導入事例(BtoB IT企業)
別のBtoB IT企業では、Marketoのスコアリング機能を活用してホットリードへの営業連携を効率化し、成約率が25%向上したと報告されています。ホットリードとは、購買意欲が高く、営業アプローチの優先度が高い見込み顧客を指します。
成功のポイントは以下の点でした。
- 詳細なスコアリングロジックを設計し、優先度の高いリードを可視化
- 営業部門との連携ルールを明確化(スコア〇点以上で営業パス等)
- 専任担当者を配置し、継続的なシナリオ改善を実施
これらの事例から分かるのは、MAツールの選定だけでなく、「導入後にどう活用するか」の設計が成果を左右するということです。SFA/CRM連携の実装設計、営業部門との連携ルール、継続的な改善体制を事前に検討しておくことが重要です。
なお、これらの導入事例は成功事例が中心であり、すべての企業で同様の成果が得られるとは限りません。再現性は企業規模・業種・運用体制に依存する点をご理解ください。
まとめ:HubSpotとMarketoの選定は運用設計まで見据えて判断する
本記事では、HubSpotとMarketoの違いを機能・価格・適合企業の観点から比較し、MAツール選定の判断基準を解説しました。
本記事のポイント
- HubSpotの強み: CRM一体型、無料プランからのスモールスタート、直感的な操作性。50〜300名規模の中小企業に適合しやすい
- Marketoの強み: 高度なリードスコアリング、ABM機能、大規模データ処理。300名以上の大企業で専任担当者がいる場合に適合
- 価格差: HubSpotは無料〜月額96,000円〜、Marketoは年間約200万円〜
- 失敗パターン: 機能比較だけで選定し、導入後のSFA/CRM連携設計や運用体制構築を後回しにすると、使いこなせずROIが出ない
- 成功のポイント: 自社の営業プロセスへの適合性、運用体制、SFA/CRM連携の実装設計を事前に検討する
MAツールの選定において重要なのは、「機能が豊富かどうか」ではなく、「自社の運用体制で活用できるかどうか」です。本記事で紹介したチェックリストを活用し、自社の状況に照らし合わせた選定を行ってください。
HubSpotとMarketoの選定は、機能・価格比較だけでなく、自社の営業プロセスへの適合性とSFA/CRM連携の実装設計を見据えて行うことで、導入後の活用率と成果向上につながります。まずは自社の課題と目的を整理し、どちらのツールが適合するかを検討することから始めてみてはいかがでしょうか。
