システム営業で成果を出すために必要な「両輪」とは
先に答えを言うと、システム営業で成果を出すには、顧客の業務課題を深く理解するヒアリング力と、開発部門と連携して実現可能な提案を作り上げる調整力の両方が不可欠です。
「技術的な知識が足りなくて顧客提案に自信が持てない」「開発部門とのコミュニケーションがうまくいかない」といった課題を感じているシステム営業担当者の方は多いのではないでしょうか。
実は、システム営業で成果を上げるには、技術知識だけでも、営業スキルだけでも不十分です。顧客の業務を深く理解し、その課題を開発部門と連携して実現可能な形に落とし込む「両輪」を回すことが、成約と顧客満足度の向上につながります。
この記事で分かること
- システム営業の定義と一般的な営業との違い
- システム営業の種類と自社に合った選び方
- 成果を出すために必要なスキル(ヒアリング力・調整力)
- 商談を成功させるための具体的な準備とポイント
システム営業とは:定義と一般的な営業との違い
システム営業とは、システム開発・SIer企業において、顧客の業務課題をヒアリングし、システム開発プロジェクトの提案・受注を担当する職種です。一般的な営業と異なり、技術的な知識を活かしながら顧客と開発部門の橋渡しをする役割を担います。
日本の営業職人口は2023年時点で約810万人(2008年の約870万人から減少傾向)とされ、BtoB中心の製造・IT業界ではインサイドセールス需要が増加しています(転職メディアによる推計値)。
近年、システム営業の役割は単なる「調整役」から「課題解決の主役」へと進化しています。顧客の経営課題を理解した上で、最適なシステムソリューションを提案できる人材が求められるようになってきました。
システム営業の役割と業務範囲
システム営業が担う業務は多岐にわたります。
- 顧客のシステム課題ヒアリング: 現状の業務フローや課題を把握し、システム化の要件を整理
- 提案書・見積書の作成: 開発部門と連携し、技術的に実現可能な提案を作成
- 開発部門との調整: 顧客の要望と開発リソース・技術的制約のバランスを調整
- 契約交渉・クロージング: 価格・スケジュール・契約条件の交渉
- 受注後のプロジェクト支援: プロジェクト開始後も顧客との窓口として関与
SFA(Sales Force Automation) とは、営業活動を支援・自動化するシステムです。商談管理やパイプライン管理に活用され、属人化を解消して生産性向上につなげることができます。
システム営業の種類と特徴
システム営業にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や向いている場面が異なります。自社の事業モデルや顧客特性に合わせて、最適な営業スタイルを選ぶことが重要です。
【比較表】システム営業の種類と特徴比較
| 営業タイプ | 特徴 | 向いている場面 | 必要なスキル |
|---|---|---|---|
| アカウント営業 | 特定顧客を深耕し、継続的な関係を構築 | 大口顧客との長期取引 | 顧客業界の深い理解、関係構築力 |
| インサイト営業 | 顧客の潜在課題を発掘し、提案型で関係構築 | 新規開拓・課題が顕在化していない顧客 | 仮説構築力、プレゼン力 |
| インサイドセールス | 電話・メール・オンラインで社内完結 | リード獲得・初期アプローチ | 効率的なコミュニケーション、ツール活用力 |
| フィールドセールス | 顧客先訪問による対面営業 | 高単価案件・複雑な要件定義 | ヒアリング力、提案力 |
| ソリューション営業 | 顧客の課題に対する総合的な解決策を提案 | パッケージではなく個別開発 | 技術理解、問題解決力 |
アカウント営業とは、顧客深耕型の営業手法です。顧客のビジネスを熟知し、課題仮説と解決策を継続的に提示します。
インサイト営業とは、顧客の課題仮説を営業側から提示し、プロ視点での提案を行う高度な関係構築型営業です。
インサイドセールスとは、電話・メール・オンラインを活用した社内完結型の営業手法です。訪問不要で効率化が可能です。
自社に合った営業スタイルの選び方
企業規模や扱うシステムの特性によって、最適な営業スタイルは異なります。
近年、IT業界ではTHE MODELと呼ばれる営業プロセスの分業化が進んでいます。THE MODELとは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが連携する分業型営業プロセスです。
自社の規模やリソース、ターゲット顧客の特性を踏まえて、単一の営業スタイルにこだわらず、複数を組み合わせることも有効です。
システム営業に必要なスキルと知識
システム営業で成果を出すためには、技術知識だけでなく、顧客の業務課題を理解し提案に落とし込む力が必要です。
よくある失敗パターンとして、技術知識だけを身につけようとして顧客の業務課題に踏み込まないケースがあります。しかし、これでは顧客の本質的なニーズを捉えた提案ができず、成約率が上がりません。技術知識は「手段」であり、顧客の課題解決が「目的」であることを忘れないようにしましょう。
2025年の調査によると、営業担当・責任者の生成AI活用率は28.9%(認知は85.5%)で、認知と活用にギャップがあるとされています。AI活用による提案資料生成の自動化などが進む中、営業担当者には「コミュニケーター」としての役割がより求められるようになっています。
顧客の業務課題を深掘りするヒアリング力
顧客の業務課題を深掘りするヒアリング力は、システム営業の核となるスキルです。
表面的な要望をそのまま受け取るのではなく、「なぜそれが必要なのか」「その先に何を実現したいのか」を掘り下げることで、本質的な課題が見えてきます。
効果的なヒアリングのポイントは以下の通りです。
- 顧客の業界・競合環境を事前に調査しておく
- オープンクエスチョンで顧客に語ってもらう
- 「なぜ」を繰り返し、課題の根本原因を探る
- 顧客の言葉を言い換えて確認し、認識のズレを防ぐ
開発部門と連携するための調整力
開発部門と連携するための調整力は、提案の実現可能性を左右する重要なスキルです。
よくある失敗パターンとして、開発部門との連携を後回しにして営業単独で提案を進めてしまうケースがあります。これでは、技術的に実現困難な提案をしてしまったり、工数見積もりが甘くなったりするリスクがあります。
効果的な連携のポイントは以下の通りです。
- 提案の初期段階から開発部門を巻き込む
- 顧客の業務課題を開発メンバーにも共有する
- 技術的な制約や工数感を早めに確認する
- 開発部門の意見を提案に反映し、実現可能性を高める
営業とエンジニアは分業すべきという固定観念を持つ方もいますが、実際は両者の連携と相互理解が成約率向上の鍵です。
商談の流れと提案成功のポイント
商談を成功させるには、事前準備からクロージングまでの各段階で押さえるべきポイントがあります。
あるシステム開発会社では、マッチングサービスを活用して紹介7件中5件を受注し、成約率70%を達成した事例があります(単社事例のため、業界平均を示すものではありません)。この事例でも、顧客課題の深い理解と開発部門との連携が成功の要因として挙げられています。
【チェックリスト】システム営業商談準備チェックリスト
- 顧客企業の業界動向・競合環境を調査した
- 顧客企業の経営課題・事業戦略を把握した
- 顧客担当者の役職・決裁権限を確認した
- 顧客の現行システム環境を把握した
- 想定される課題・ニーズの仮説を立てた
- 類似案件の事例・実績を整理した
- 開発部門に概要を共有し、技術的な実現性を確認した
- 概算の工数・スケジュール感を開発部門と擦り合わせた
- 提案書のドラフトを作成した
- 想定Q&Aを準備した
- 次のアクション(見積もり提出、追加ヒアリング等)を想定した
- 商談のゴール(何を合意するか)を明確にした
事前準備で差がつくポイント
商談の成否は、事前準備の質で大きく左右されます。
特に重要なのは、顧客の業界・競合・経営課題に関する情報収集と、それに基づく課題仮説の構築です。「御社ではこのような課題があるのではないか」という仮説を持って商談に臨むことで、ヒアリングの質が高まり、顧客からの信頼を得やすくなります。
また、開発部門との事前すり合わせも欠かせません。技術的な実現性や概算工数を確認しておくことで、顧客からの質問にもスムーズに回答でき、提案の説得力が増します。
まとめ:顧客理解と開発連携の両輪でシステム営業を成功させる
本記事では、システム営業の仕事内容から成果を出すためのスキル、商談成功のポイントまでを解説しました。
ポイントの整理
- システム営業は、顧客と開発部門の橋渡し役として、課題解決の主役を担う
- 営業スタイルには複数の種類があり、自社の特性に合わせて選択・組み合わせる
- 技術知識だけでなく、顧客の業務課題を深掘りするヒアリング力が重要
- 開発部門との連携を初期段階から行い、実現可能な提案を作り上げる
- 商談前の事前準備(業界調査・課題仮説・開発部門との擦り合わせ)が成功の鍵
明日から取り組めるアクション
- 次回の商談前に、顧客業界の最新動向を調査してみる
- 提案書を作成する前に、開発部門に概要を共有して意見をもらう
- 本記事のチェックリストを使って、商談準備の抜け漏れを確認する
システム営業で成果を出すには、顧客の業務課題を深く理解するヒアリング力と、開発部門と連携して実現可能な提案を作り上げる調整力の両方が不可欠です。この「両輪」を意識して、日々の営業活動に取り組んでみてください。
