シリーズC段階の営業組織設計|分業体制とMA/SFA標準化を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/169分で読めます

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シリーズC段階の営業組織課題と本記事の目的

シリーズC段階のスタートアップが持続的成長を実現するには、資金調達だけでなく、調達後の営業組織設計(分業体制の確立、MA/SFAによるプロセス標準化、部門間連携)を早期に整備することが成功の鍵です。これが本記事の結論です。

シリーズCとは、PMF(プロダクトマーケットフィット)確認後の市場シェア拡大・海外進出フェーズを指し、累計調達額20-100億円規模が目安とされています。

この記事で分かること

  • シリーズC段階の資金調達環境と調達額の相場感
  • シリーズC企業が整備すべき営業組織体制の基本方針
  • 成長フェーズ別の営業課題と具体的な対応策
  • MA/SFAを活用した営業プロセス標準化のチェックポイント

2025年上半期の国内スタートアップ資金調達総額は3,399億円(JIC Research集計)で、前年同期の3,253億円から+4%と横ばいの状況です。資金調達環境が厳格化する中、ARR成長実績が投資判断の必須条件となっており、営業組織の整備度合いが持続的成長を左右する重要な要素となっています。

レイトステージとは、シリーズC以降の成長後期フェーズを指し、IPO準備や国際展開、買収に注力する段階です。

シリーズC段階の資金調達環境と調達額の相場感

シリーズC段階の調達額は業種により大きく異なり、AI・深テック系では大型調達事例がある一方、BtoB SaaSでは比較的堅実な規模が実態です。

2025年の調達事例を見ると、製造業AI「CADDi」がシリーズCエクステンションで91億円を調達し累計257億円を超えています。また、ペロブスカイト太陽電池「エネコートテクノロジーズ」がシリーズCで63億円を調達し累計80億円超え、食BtoB「まん福ホールディングス」がシリーズCで総額約35億円を調達しグループ連結売上約110億円へ成長しています。

一方、BtoB SaaS企業のシリーズC調達額は10億円〜11.4億円の事例が報告されています(2025年4月)。シリーズC=大型調達(91億円級)というイメージがありますが、これはAI・深テック系の上位事例であり、BtoB SaaSでは10億円前後が実態として多いといえます。

シリーズCエクステンションとは、シリーズCラウンドの追加調達のことで、同一バリュエーションまたは上昇で既存投資家・新規投資家から資金調達を行うものです。

なお、これらの調達額データはPRリリースを中心とした自己申告値であり、上位事例に偏るサンプルバイアスがある点に注意が必要です。

業種別の調達事例と規模感

業種別に見ると、調達額の規模感は以下のように整理できます。

  • AI・深テック系: 91億円級の大型調達事例あり(CADDi)
  • クリーンテック: 63億円規模(エネコートテクノロジーズ)
  • BtoB食品流通: 35億円規模(まん福ホールディングス)
  • BtoB SaaS: 10億円前後が実態

調達額の規模は重要ですが、それ以上に調達後の営業組織整備が成長を左右します。大型調達を実現しても、組織基盤が未整備のままではキャッシュ枯渇に至るリスクがあります。

シリーズC企業の営業組織設計の基本方針

「優秀な営業を採用すれば売上は伸びる」と考え、営業プロセスの標準化やツール整備を後回しにすることは、典型的な失敗パターンです。この考え方では、属人的な営業から脱却できず、組織としてスケールできなくなります。

シリーズC段階では、個人の営業力に依存するのではなく、分業体制の確立と営業プロセスの標準化を優先すべきです。

CAC(顧客獲得単価) とは、1顧客を獲得するためにかかるマーケティング・営業コストのことです。CAC回収期間を適切な範囲内に収めることが、持続的な成長の前提となります。

営業組織体制・人員規模の具体的な公的統計は存在しないため、数値で目安を断定することは避けますが、成長フェーズに応じた分業体制(IS/FS/CS)の確立と役割定義が最優先事項です。

分業体制の確立と役割定義

シリーズC段階の営業組織では、マーケティング、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)、カスタマーサクセス(CS)の分業体制を確立することが重要です。

各役割の主な責任範囲は以下の通りです。

  • マーケティング: リード獲得、認知拡大、コンテンツ制作
  • インサイドセールス: リード育成、商談設定、初期ヒアリング
  • フィールドセールス: 商談対応、提案、クロージング
  • カスタマーサクセス: オンボーディング、継続利用支援、アップセル

分業体制を確立する際は、各部門間の引き継ぎルールとKPI連携を明確にすることで、情報の断絶を防ぎます。

成長フェーズ別の営業課題と対応策

シリーズA、B、Cの各フェーズでは、直面する営業課題と求められる対応策が異なります。自社の現在地を把握し、フェーズに応じた施策を講じることが重要です。

【比較表】成長フェーズ別営業組織課題・対応策比較表

フェーズ 主な課題 求められる対応策 営業組織の焦点
シリーズA PMF検証、初期顧客獲得 創業者営業、仮説検証の繰り返し 顧客理解の深化
シリーズB 営業組織の立ち上げ、再現性確保 分業体制の構築、営業プロセス設計 勝ちパターンの確立
シリーズC 組織スケール、属人性排除 MA/SFA導入、プロセス標準化、KPI連携 組織としての拡張性
シリーズC以降 IPO準備、ガバナンス強化 部門間連携強化、データ駆動型意思決定 経営品質の向上

シリーズC段階の典型的な課題は、組織基盤が未整備のままスケールを急いだ結果、キャッシュ枯渇に至るパターンです。営業プロセスの標準化とツール整備を早期に行うことで、このリスクを回避できます。

シリーズC段階のMA/SFA活用と営業プロセス標準化

シリーズC段階では、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)を活用した営業プロセスの標準化が不可欠です。データ駆動型の営業体制へシフトし、属人的な判断から脱却することが求められます。

以下のチェックリストを活用して、自社の営業組織整備状況を確認してください。

【チェックリスト】シリーズC営業組織整備チェックリスト

  • 分業体制(マーケ/IS/FS/CS)の役割と責任範囲を明文化している
  • リードの定義とスコアリング基準を設定している
  • 商談ステージの定義と移行条件を明確にしている
  • MA/SFAツールを導入し、データ入力ルールを整備している
  • MQL→SQL→商談化のKPI連携を設計している
  • 部門間の引き継ぎルールと情報共有フローを確立している
  • 営業パイプラインの可視化と定期レビュー体制を構築している
  • 営業トークスクリプトと提案資料のテンプレートを整備している
  • 新人オンボーディングプログラムを設計している
  • CAC回収期間と顧客LTVの測定体制を構築している
  • 週次/月次の営業レビュー会議のアジェンダを標準化している
  • 勝敗分析の仕組みを導入し、知見を蓄積している
  • 営業組織のKPIを経営レベルで定期的にモニタリングしている
  • 営業担当者の評価基準とキャリアパスを設定している
  • データ駆動型の意思決定を支える分析基盤を整備している

特定のMA/SFAツールの選定については、自社の規模や業務フローに合わせた検討が必要です。

部門間連携とKPI設計

部門間連携を強化するためには、MQL(Marketing Qualified Lead)からSQL(Sales Qualified Lead)、そして商談化に至るKPI連携を設計することが重要です。

具体的には、以下のような連携ポイントを整理します。

  • マーケ→IS: MQL数、リードスコア基準、引き渡しタイミング
  • IS→FS: SQL数、商談設定率、引き継ぎ情報の標準化
  • FS→CS: 成約情報、顧客期待値、オンボーディング要件

各部門が共通のKPIを意識し、情報を共有することで、顧客体験の一貫性を保ちながら営業効率を高めることができます。

まとめ:シリーズC段階で営業組織を成功させるために

本記事では、シリーズC段階のスタートアップが直面する営業組織の課題と、具体的な対応策について解説しました。

重要なポイントを整理すると、以下の通りです。

  • シリーズC段階の調達額は業種により10億円〜91億円と幅広いが、調達額より営業組織の整備度合いが成長を左右する
  • 「優秀な営業を採用すれば売上は伸びる」という考え方は誤りであり、プロセス標準化とツール整備が先決
  • 分業体制(IS/FS/CS)の確立と役割定義を最優先で進める
  • MA/SFAを活用し、データ駆動型の営業体制へシフトする
  • 部門間のKPI連携を設計し、情報の断絶を防ぐ

2025年上半期の国内スタートアップ資金調達総額は3,399億円で前年比横ばいと、資金調達環境は厳格化しています。この環境下では、ARR成長実績が投資判断の必須条件となっており、営業組織基盤の整備がより重要になっています。

改めて結論として、シリーズC段階のスタートアップが持続的成長を実現するには、資金調達だけでなく、調達後の営業組織設計(分業体制の確立、MA/SFAによるプロセス標準化、部門間連携)を早期に整備することが成功の鍵です。本記事のチェックリストと比較表を活用し、自社の営業組織整備を進めていただければと思います。専門家への相談も有効な選択肢の一つです。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
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よくある質問

Q1シリーズC段階の資金調達額の相場はどのくらいですか?

A1業種により大きく異なります。AI・深テック系ではCADDiの91億円など大型調達事例がありますが、BtoB SaaSでは10億円〜11.4億円が実態として報告されています。調達額より営業組織の整備度合いが成長を左右します。

Q2シリーズC段階で営業組織の人員規模はどのくらいが目安ですか?

A2公的統計は存在しないため具体的な数値は断定できません。人数より、成長フェーズに応じた分業体制(IS/FS/CS)の確立と役割定義、プロセス標準化の整備度合いが重要です。

Q3シリーズC段階で営業組織が直面する典型的な課題は何ですか?

A3属人的な営業から脱却できず組織としてスケールできないケースが多いです。営業プロセスの標準化やMA/SFA整備を後回しにした結果、組織基盤未整備のままキャッシュ枯渇に至るパターンがあります。

Q4シリーズC段階でMA/SFAを導入するメリットは何ですか?

A4営業プロセスの標準化とデータ駆動型の意思決定が可能になります。マーケ・営業・CS間のKPI連携が実現し、部門間の情報共有と連携が強化されます。属人的な判断から脱却し、組織としての再現性を高められます。

Q52025年のシリーズC資金調達環境はどのような状況ですか?

A52025年上半期の国内スタートアップ資金調達総額は3,399億円(JIC Research集計)で前年比+4%と横ばいです。環境厳格化でARR成長実績が投資判断の必須条件となっており、組織基盤の整備がより重要になっています。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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