営業ツールが使われない理由と定着させる実践的アプローチ

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/414分で読めます

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営業ツールが使われない問題と本記事の目的

多くの企業が悩む営業ツールの定着問題。結論は、営業ツールが使われないのは、ツール導入前の営業プロセス整理と目的設定が不十分だからであり、プロセスを可視化・標準化してから段階的にツールを導入すれば定着率は劇的に向上するということです。

SFA(営業支援システム) とは、営業活動の可視化・効率化を支援するシステムです。顧客情報、商談進捗、活動履歴などを一元管理します。また、CRM(顧客関係管理) は、顧客との関係を長期的に管理し、顧客満足度向上や売上拡大を目指すシステムで、SFAと統合されることが多いです。

しかし、高額なSFA/CRMツールを導入しても、現場が使わないという問題は深刻です。2025年10月の調査によると、SFA/CRMへの即時入力を「毎回すぐに入力している」営業担当者は40.2%のみで、約6割がリアルタイム入力を実施していません。つまり、ツールは導入されているものの、実際には活用されていない現状があるのです。

この記事で分かること

  • 営業がSFA/CRMツールを使わない具体的な理由
  • ツール定着失敗の根本原因とよくある誤解
  • ツール導入前に行うべき営業プロセス整理の進め方
  • 段階的にツールを定着させる実践的なアプローチ
  • 現場が自発的にツールを使いたくなる状態を作る方法

本記事では、ツール導入前のプロセス整理の重要性と、段階的な定着アプローチを具体的に解説します。

営業がツールを使わない主な理由

営業がSFA/CRMツールを使わない理由は、入力負荷の大きさ、効果不明、監視感、UI/UX問題など多岐にわたります。

2025年の調査によると、BtoB中小企業の新規開拓で「ほぼ手動で行っている」企業は全体の42.0%、紹介を主力とする企業では61.5%に達しています。つまり、ツールを導入しても、実際には手作業で営業活動を行っている企業が半数近く存在するのです。

また、2025年10月の調査では、SFA管理職の48.6%が「営業会議の数値確認」を主な用途としており、受動的な確認用途が中心で営業活動の効果向上に直結する活用は限定的であることが分かっています。つまり、ツールが「営業の武器」ではなく「管理のための道具」として位置づけられているのです。

入力負荷と業務効率の低下

ツール入力が業務負荷になっている現状は深刻です。

2025年の統計によると、45%の営業担当者はツールの多さに負担を感じています。入力項目が多すぎる、入力タイミングが不明確、入力する価値が実感できないといった問題が、営業担当者の負担を増やしているのです。

特に、複数のツールを使い分ける必要がある環境では、「どのツールに何を入力すべきか」が分からず、結果として入力が後回しにされがちです。また、入力しても「誰も見ていない」「何のために入力しているのか分からない」という状況では、営業担当者のモチベーションは下がる一方です。

導入目的の不明確さ

「何のために入力するのか」が不明確なことが、ツール定着を阻む大きな要因となっています。

導入目的が「管理強化」や「上からの指示」だけでは、現場の協力が得られません。営業自身にとってのメリット(商談管理の効率化、受注確度の向上など)が見えないと、ツールは定着しないのです。

例えば、「上司がデータを見るため」だけにツールに入力するという状況では、営業担当者は「自分のためではなく、管理のために時間を使わされている」と感じてしまいます。このような状況では、ツールへの入力は「やらされ仕事」となり、最低限の入力しか行われなくなるのは当然と言えます。

監視ツールとしての認識

ツールが「監視」の道具と受け止められることで、反発が生まれる問題も深刻です。

「上司に見られるのが嫌」「管理されている感じがする」といった心理的抵抗は、ツール定着の大きな障害となります。特に、日報や活動記録を細かく入力させられることで、「常に監視されている」という感覚を持つ営業担当者は少なくありません。

この問題を解決するには、ツールを「監視ツール」ではなく「営業の武器」として位置づけ直すことが重要です。つまり、ツールを使うことで営業担当者自身の成果が上がる、商談管理が楽になる、といったメリットを実感できる状態を作ることが不可欠なのです。

ツール定着失敗の根本原因:プロセス整理の不足

ツール定着失敗の根本原因は、「営業の意識が低い」「UI/UXが悪い」といった表面的な問題ではなく、プロセス整理と目的設定が不十分なことにあります。

2025年の調査によると、MAツール活用の課題として「社内に知識を持った人がいない」が55.9-63.3%を占め、「営業部門との連携強化」が52.7%のニーズとして挙がっています。つまり、ツール導入前の組織的準備が不足しているのです。

ツールを導入すれば自動的に営業が効率化されると考えがちですが、実際にはプロセス整理と目的設定が先決です。UI/UXを改善すれば使われるようになると考える企業も多いですが、使う価値が実感できなければ、どんなに使いやすいツールでも定着しません。

誤解:現場の意識が低いから使われない

「営業の意識が低い」という決めつけは、問題の本質を見誤ります。

実際には、導入目的の不明確さや業務負荷増が主因であることがほとんどです。営業担当者は「ツールを使いたくない」のではなく、「ツールを使う価値が分からない」「入力する時間がもったいない」と感じているのです。

この問題を「現場の意識の問題」として片付けてしまうと、本質的な解決策を見失います。重要なのは、営業担当者が「このツールを使えば自分の成果が上がる」と実感できる状態を作ることです。

誤解:UI/UXを改善すれば解決する

「UI/UXを改善すれば使われる」という考え方にも限界があります。

使いやすさは重要ですが、使う価値が実感できなければ、どんなに使いやすいツールでも定着しません。例えば、入力は簡単だが「入力した情報が何に使われるか分からない」「入力しても自分の成果に繋がらない」という状況では、ツールは使われないのです。

UI/UXの改善は、ツール定着の「必要条件」ではありますが「十分条件」ではありません。まずは、「何のためにツールを使うのか」という目的を明確にし、営業担当者が価値を実感できる状態を作ることが先決なのです。

ツール導入前の営業プロセス整理の進め方

ツール導入前の営業プロセス整理は、ツール定着の成否を分ける最も重要なステップです。

2025年度の調査によると、BtoBマーケティングでROIを「受注金額」まで追跡できている企業は30.2%のみで、70%以上がExcelで効果測定を実施しています。つまり、データ管理の不備がROI測定を困難にしているのです。

ROI(投資対効果) とは、投資に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。ツール導入費用と成果(売上・効率化)の比較に用いられます。

プロセス整理では、営業プロセスの可視化、目的設定、現場との対話などが重要です。以下のチェックリストを活用して、導入前の準備を確実に進めましょう。

【チェックリスト】ツール導入前の営業プロセス整理チェックリスト

  • ツール導入の目的を明確に定義している(「管理強化」ではなく「営業成果向上」を主目的とする)
  • 現状の営業プロセスを洗い出し、可視化している
  • 標準化すべきプロセスと個人の裁量に任せる部分を分けている
  • 営業担当者が「自分にとってメリットがある」と実感できる目的を設定している
  • 現場の営業担当者と対話し、ツール導入への懸念や要望をヒアリングしている
  • 入力項目を最小限に絞り込んでいる(必須項目は5-10個程度に限定)
  • 入力タイミングと入力方法を明確にしている
  • ROI測定方法を設計している(何をもって成功とするか明確にする)
  • ツール運用の責任者とサポート体制を決めている
  • 段階的な導入計画を立てている(最初は小さく始めて拡大する)
  • 現場の成功事例を共有する仕組みを用意している
  • ツール導入の効果を定期的に測定・評価する仕組みを作っている
  • マネージャー自身がツールを使う準備をしている
  • ツールが「監視ツール」ではなく「営業の武器」であることを伝えている
  • 既存のツール(Excel、名刺管理など)との統合・移行計画を立てている

営業プロセスの可視化と標準化

営業プロセスの可視化と標準化は、ツール導入の基盤となります。

現状の営業プロセスを洗い出し、標準化すべき部分と個人の裁量に任せる部分を分けることが重要です。例えば、「初回接触から提案までのプロセス」は標準化し、「提案内容のカスタマイズ」は個人の裁量に任せる、といった形です。

ツールに落とし込む前に、紙やホワイトボードでプロセスを整理することをお勧めします。いきなりツールに入力項目を設定するのではなく、まずは「現場がどのようなプロセスで営業活動を行っているか」を可視化し、無駄や重複を排除してから、ツールに落とし込むのです。

導入目的の明確化と現場との合意形成

「何のために入力するのか」を現場と共有することが、ツール定着の鍵となります。

「管理のため」ではなく「営業の成果を上げるため」という目的を共有することが重要です。現場の営業担当者が「自分にとってメリットがある」と実感できる目的設定が、ツール定着の第一歩なのです。

例えば、「ツールに商談情報を入力すれば、受注確度の高い案件を優先的にフォローできる」「過去の成功事例をツールで検索できるので、提案の質が上がる」といった具体的なメリットを示すことで、営業担当者の協力を得やすくなります。

段階的なSFA定着アプローチ

段階的なツール定着アプローチは、現場の抵抗を最小限に抑え、成功体験を積み重ねることで定着率を高めます。

2025年のHubSpot調査によると、日本のBtoB企業におけるインサイドセールス導入率は40.6%で、米国の80%超と比較して大きく遅れています。つまり、組織的な営業変革が遅れているのです。

インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議などを活用して非対面で営業活動を行う手法です。効率的なリード育成と商談創出が目的となります。

一方で、2025年の統計によると、CRM活用により営業生産性が34%向上し、売上が29%増加するポテンシャルがあることが示されています。適切に活用すれば大きな成果が得られるのです(ただし、複数の海外データを含む統計まとめ記事であり、日本市場への適用には注意が必要です)。

以下のフローに従って、段階的にツールを定着させましょう。

【フロー図】段階的なSFA定着フロー(3ステップ)

flowchart TD
    A[ステップ1: 最小限の機能で開始] --> B[ステップ2: 成功体験の共有と機能拡張]
    B --> C[ステップ3: 組織全体への展開と定着]
    
    A1[商談管理のみ、または顧客情報の一元管理のみ] --> A
    A2[入力項目を最小限に絞る] --> A
    A3[小規模チーム(3-5名)で試験導入] --> A
    
    B1[成功事例を社内で共有] --> B
    B2[現場の声を聞き、段階的に機能を追加] --> B
    B3[使いやすい機能から優先的に展開] --> B
    
    C1[マネージャー自身が率先してツールを使う] --> C
    C2[AI自動記録やグループウェア連携で入力負荷を軽減] --> C
    C3[定期的に効果測定を行い、改善を続ける] --> C

ステップ1:最小限の機能で開始

最小限の機能で開始することで、現場の負担を最小限に抑え、成功体験を積み重ねます。

最初は商談管理のみ、または顧客情報の一元管理のみなど、シンプルな機能から始めることをお勧めします。入力項目を最小限に絞り、現場の負担を軽減することが重要です。

例えば、最初は「顧客名」「商談状況(提案中/見積もり中/受注など)」「次回アクション」の3項目だけを入力する、といった形で始めます。これだけでも、「誰がどの案件を抱えているか」「次に何をすべきか」が可視化され、営業チーム全体で情報を共有できるようになります。

ステップ2:成功体験の共有と機能拡張

成功事例を共有し、段階的に機能を拡張することで、ツールの価値を実感してもらいます。

ツールを使って成果を上げた事例を社内で共有しましょう。例えば、「ツールで商談状況を可視化したことで、フォロー漏れが減り、受注率が上がった」といった具体的な成果を共有することで、他のメンバーもツールを使うモチベーションが高まります。

現場から「こんな機能があればもっと便利」という声が出てきたら、段階的に機能を追加します。無理にすべての機能を使わせるのではなく、現場のニーズに応じて拡張していくことが、定着率を高めるコツです。

ステップ3:組織全体への展開と定着

組織全体にツールを定着させるには、マネージャー自身が率先してツールを使うことが重要です。

マネージャー自身が率先してツールを使い、データに基づく意思決定の価値を示すことで、現場も「ツールを使うことが当たり前」という文化が根付きます。また、AI自動記録やグループウェア連携などの機能を活用し、入力負荷を軽減することも効果的です。

定期的に効果測定を行い、改善を続けることも忘れてはいけません。ツールは導入したら終わりではなく、継続的に使いやすくしていくことで、定着率が高まるのです。

まとめ:プロセス整理と段階的導入が定着の鍵

営業ツールが使われないのは、ツール導入前の営業プロセス整理と目的設定が不十分だからです。プロセスを可視化・標準化してから段階的にツールを導入すれば、定着率は劇的に向上します。

要点整理

  • 営業がツールを使わない理由は、入力負荷・効果不明・監視感・UI/UX問題など多岐にわたるが、根本原因はプロセス整理と目的設定の不足にある
  • 「現場の意識が低い」「UI/UXが悪い」という決めつけは問題の本質を見誤る。まずはプロセス整理と目的設定が先決
  • ツール導入前に、営業プロセスの可視化・目的の明確化・現場との合意形成を行うことが不可欠
  • 最小限の機能から始めて成功体験を積み、段階的に拡張することで定着率が高まる
  • マネージャー自身が率先してツールを使い、データに基づく意思決定の価値を示すことが組織全体への定着に繋がる

次のアクション

まずは、本記事で紹介した「ツール導入前の営業プロセス整理チェックリスト」を使って、自社の現状を確認してみましょう。そして、段階的なSFA定着フローに従って、小さく始めて成功体験を積み重ねていくことをお勧めします。

ツールは「導入すること」が目的ではなく、「営業成果を上げること」が目的です。プロセス整理と段階的導入を通じて、現場が自発的にツールを使いたくなる状態を作ることが、真の成功への道なのです。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
御社を理解して書くから、刺さる。この記事はMediaSprintで作成しました。

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よくある質問

Q1営業ツールを使わせるにはどうすればいいですか?

A1まず導入前に営業プロセスを可視化・標準化し、「何のために入力するのか」を明確にすることが最も重要です。その上で、最小限の機能から始めて成功体験を積み、段階的に拡張することで定着率が向上します。営業担当者が「自分にとってメリットがある」と実感できる目的設定を行い、マネージャー自身が率先してツールを使うことで、組織全体への定着が進みます。

Q2営業がツールに入力しない理由は何ですか?

A2入力負荷が大きい、入力する価値が実感できない、監視されている感覚がある、UI/UXが使いにくいなどの理由が挙げられます。しかし根本原因は、導入目的の不明確さとプロセス整理の不足にあります。2025年10月の調査によると、SFA/CRMへの即時入力を「毎回すぐに入力している」営業担当者は40.2%のみで、約6割がリアルタイム入力を実施していません。つまり、ツールの使い方や目的が明確でないため、入力が後回しにされているのです。

Q3SFA/CRMの定着率を上げるには何が必要ですか?

A3導入前の営業プロセス整理、目的の明確化、現場との合意形成が必須です。また、最小限の機能から始めて成功体験を積み、マネージャー自身が率先してツールを使うことで定着率が高まります。2025年の調査では、MAツール活用の課題として「社内に知識を持った人がいない」が55.9-63.3%を占め、「営業部門との連携強化」が52.7%のニーズとして挙がっています。つまり、組織的な準備と継続的なサポートが定着の鍵となるのです。

Q4CRM活用で営業成果は本当に向上しますか?

A42025年の統計によると、CRM活用により営業生産性が34%向上し、売上が29%増加するポテンシャルがあるというデータがあります(ただし、複数の海外データを含む統計まとめ記事で、日本市場への適用には注意が必要です)。ただし、これは適切に活用した場合であり、プロセス整理や目的設定が不十分なまま導入しても成果は出にくいです。まずは営業プロセスを整理し、段階的にツールを導入することで、成果に繋げることができます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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