営業効率化が今、強く求められている理由
営業業務の効率化で成功するには、営業効率化の成功は、施策を実行するだけでなく、MA/SFA実装と運用定着化の体制整備を同時に進めることで実現する。
営業効率化とは、営業プロセスの自動化と可視化を通じて、営業担当者の生産性を向上させ、より質の高い商談機会を創出することです。
FNN調査(2025年)によると、38.5%の企業が「営業プロセスが属人化している」と回答しています(調査対象の詳細は不明)。また、2025年調査では、BtoB中小企業全体で42.0%が新規開拓を「ほぼ手動で行っている」という結果も報告されています(中小企業に限定したデータで、業界偏在の可能性あり)。
属人化とは、営業プロセスが共通の型を持たず、個人の経験や勘に頼って営業を進めている状態を指します。このような状態では、担当者によって成果にばらつきが生じ、組織としての営業力が安定しません。
この記事で分かること
- 営業効率化の定義と期待できる効果
- 営業効率化の主要施策と比較ポイント
- ツール導入だけでは効率化できない理由
- MA/SFA実装・運用定着化のチェックリスト
- 効率化を成功させるためのポイント
営業効率化とは|定義と目的を整理する
営業効率化の目的は、単なる時間短縮ではなく、商談の質向上も含まれます。
FNN調査(2025年)によると、営業効率化の期待効果として「営業の効率が向上すること」が55.7%、「商談の質が向上すること」が44.3%、「見込み顧客の興味・関心が可視化されること」が42.0%と回答されています。
効率化によって営業担当者の事務作業時間を削減できれば、その分を商談準備や顧客フォローに充てることができます。結果として、商談の質が向上し、受注率の改善につながります。
SFA(Sales Force Automation) とは、営業活動を支援・自動化するツールです。案件管理、商談履歴、売上予測などを一元管理できます。
CRM(Customer Relationship Management) とは、顧客関係管理システムです。顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング活動を支援します。
営業効率化と営業改善の違い
営業効率化と営業改善は混同されやすい概念ですが、焦点が異なります。
営業効率化は、プロセスの改善・自動化に焦点を当てます。無駄な作業を削減し、同じ工数でより多くの成果を出せるようにすることが目的です。
営業改善は、スキル向上・戦略変更など、より広い範囲をカバーします。営業手法の見直しや、ターゲット市場の変更なども含まれます。
本記事では、プロセス改善・自動化を中心とした「営業効率化」に焦点を当てて解説します。
営業効率化の主要施策を比較する
営業効率化の施策は複数あり、自社の課題に応じて選択することが重要です。
FNN調査(2025年)によると、31.2%の企業が営業コンテンツを未活用、活用している企業でも約4割が「十分活用できていない」と回答しています。せっかくツールを導入しても、活用できなければ効果は限定的です。
また、ワンマーケティング「BtoB購買プロセス白書2025」(バイヤー600名対象)によると、高価格帯BtoB取引では54%が検討から契約まで「半年以上」かかり、平均関与人数は低価格帯で5.6人、中価格帯で14.4人、高価格帯で18.3人に達します(サンプル規模が限定的で、業界や企業規模による差が大きい可能性あり)。複雑な商談プロセスへの対応が求められています。
【比較表】営業効率化施策別・特性比較表
| 施策 | 主な効果 | 導入難易度 | 効果が出るまでの期間 | 適した企業 |
|---|---|---|---|---|
| 営業プロセス見直し | 無駄削減・標準化 | 中 | 中期 | 属人化が進んでいる企業 |
| SFA/CRM導入 | 案件可視化・履歴管理 | 高 | 中長期 | 商談数が多い企業 |
| MA導入 | リード育成・自動化 | 高 | 中長期 | リード数が多い企業 |
| 事務作業削減 | 工数削減 | 低 | 短期 | 事務作業負荷が高い企業 |
| 部門間連携強化 | 情報共有・引継効率化 | 中 | 中期 | マーケ・IS・営業の連携が弱い企業 |
営業プロセスの見直しによる効率化
営業プロセスの見直しは、ツール導入の前提となる重要な施策です。
2025年調査によると、紹介を主力とする企業では61.5%が新規開拓を「ほぼ手動」で実施しています(全体平均の42.0%より+19.5ポイント高い)。紹介依存の営業スタイルでは、デジタルツールの活用が遅れる傾向にあります。
プロセス見直しのステップは以下の通りです。
- 現状の営業プロセスを可視化する
- 各ステップの所要時間と担当者を洗い出す
- 無駄な作業・重複作業を特定する
- 標準プロセスを設計する
- ツール導入の対象範囲を決定する
SFA/CRMツールの活用による効率化
SFA/CRMツールは、営業活動の可視化と標準化を実現する中核的なツールです。
主な活用シーンは以下の通りです。
- 案件管理: 商談の進捗状況を一元管理し、フォロー漏れを防止
- 商談履歴: 顧客とのやり取りを記録し、引継ぎを効率化
- 売上予測: パイプラインから受注見込みを可視化
- 活動分析: 営業担当者の活動量と成果を分析
ただし、ツールを導入するだけでは効果は限定的です。運用定着の仕組みを同時に構築することが重要です。
ツール導入だけでは効率化できない理由
よくある失敗パターンは、営業効率化の施策(営業プロセス見直し、ツール導入等)を実行するだけで満足し、MA/SFA設定や部門間のデータ連携、運用定着化の仕組み構築を後回しにしてしまうケースです。この考え方は誤りです。
結果的にツールが形骸化して、Excel管理や属人的な営業に戻ってしまう企業が少なくありません。
前述の通り、31.2%の企業が営業コンテンツを未活用、活用している企業でも約4割が「十分活用できていない」という調査結果があります。ツールを導入しても、運用定着の仕組みがなければ「空箱」になってしまいます。
形骸化を防ぐ運用ルールの設計
ツールの形骸化を防ぐには、運用ルールの設計が不可欠です。
入力ルール
- いつ入力するか(商談後24時間以内など)
- 何を入力するか(必須項目の明確化)
- 誰が入力するか(担当者の明確化)
活用ルール
- 誰がどのデータを見るか
- どの会議でどのレポートを使うか
- どの指標をKPIとして追うか
振り返りサイクル
- 週次・月次でどのような振り返りを行うか
- 入力漏れ・活用度をどうチェックするか
- 改善点をどのように反映するか
マーケティングとの部門間連携
MA(Marketing Automation) とは、マーケティング活動を自動化するツールです。リード獲得・育成を効率化し、見込み客の行動履歴を追跡できます。
営業効率化を成功させるには、マーケティング×インサイドセールス×営業の部門間連携が重要です。
インプレス調査(2025年1月)によると、2025年度にWeb広告予算を増額予定の企業が約6割、リード獲得効果を評価する企業が55.8%となっています。マーケティング部門がリード獲得に注力する中、営業部門との連携がますます重要になっています。
部門間連携のポイントは以下の通りです。
- リードの定義(MQL/SQL)を共通化する
- 引き継ぎ条件とタイミングを明確にする
- フィードバックの仕組みを構築する
- 共通KPIを設定する
MA/SFA実装・運用定着化チェックリスト
MA/SFA導入を成功させるには、実装から運用定着まで体系的に進めることが重要です。
以下のチェックリストをコピーして、自社の状況確認にご活用ください。
【チェックリスト】MA/SFA実装・運用定着化チェックリスト
- 導入目的と期待効果を明文化している
- 対象業務の範囲を明確にしている
- 成功を測るKPIを設定している
- プロジェクトオーナーを任命している
- 導入スケジュールを策定している
- 必要なフィールド項目を設計している
- 入力必須項目と任意項目を区別している
- フェーズ定義を統一している
- 商談確度の判定基準を明確にしている
- ワークフロー(自動化ルール)を設計している
- リードスコアリングのルールを設計している
- MQL/SQLの定義を部門間で合意している
- 入力ルール(タイミング・担当者)を決定している
- 活用ミーティング(週次/月次)を設定している
- KPIモニタリングの仕組みを構築している
- 入力漏れチェックの仕組みを構築している
- 改善サイクル(PDCA)の運用ルールを決定している
- マーケティング部門との連携ルールを設計している
- インサイドセールスとの引き継ぎルールを設計している
- 営業からマーケへのフィードバック体制を構築している
導入前の準備チェック
ツール導入前に以下を確認しておくことで、導入後の手戻りを防げます。
- 目的設定: 何のために導入するのか、期待する効果は何か
- KPI定義: 成功をどのように測定するか
- 対象業務: どの業務範囲をカバーするか
- データ移行: 既存データをどのように移行するか
- トレーニング: 担当者への教育をどのように行うか
運用定着のためのチェック
導入後は、以下の観点で定着状況を確認します。
- 入力率: 商談情報が適切に入力されているか
- 活用度: データが意思決定に活用されているか
- 部門連携: マーケ・IS・営業間でデータが共有されているか
- 改善サイクル: 定期的に振り返りと改善が行われているか
まとめ|営業効率化を成功させるポイント
本記事では、営業業務を効率化するための具体的な方法を解説しました。
重要なポイントを振り返ります。
- 営業効率化の目的: 単なる時間短縮ではなく、商談の質向上も含まれる
- 主要施策の選択: 自社の課題に応じて、プロセス見直し・ツール導入・部門連携を組み合わせる
- 形骸化の防止: 入力ルール・活用ルール・振り返りサイクルを設計する
- 部門間連携: マーケティング×インサイドセールス×営業の連携を強化する
- 運用定着: チェックリストを活用して体系的に進める
「ツールを導入すれば効率化できる」という考え方では成果が出ません。営業効率化の成功は、施策を実行するだけでなく、MA/SFA実装と運用定着化の体制整備を同時に進めることで実現します。
自社だけでの実装・運用定着が難しい場合は、専門家の支援を活用することで、設計から定着まで一貫したプロセスを構築できます。
