SaaSインサイドセールス構築ガイド|THE MODEL実装から商談創出まで

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1412分で読めます

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SaaS企業でインサイドセールスが不可欠な理由

SaaSインサイドセールスの成功は、役割理解だけでなく、MA/SFA設定からTHE MODEL連携ルール(リードスコアリング、引き継ぎ基準、入力項目設計)の実装まで完了させることで実現する——本記事ではこの結論を詳しく解説します。

インサイドセールス(IS) とは、電話・メール・Web会議などの非対面チャネルを活用し、見込み顧客の育成から商談創出までを担当する営業手法・組織です。

日本企業のインサイドセールス導入率は40.6%に達し、2019年の11.6%から約3.5倍に増加しています(HubSpot Japan「日本の営業に関する意識・実態調査2024」)。業種別にみると、インサイドセールス採用業種はSaaS/IT企業が32.4%で最多であり、次いで人材サービス18.7%と続きます(同調査)。国内SaaS市場は2025年に約1.2兆円規模に成長する見通し(IDC Japan「国内SaaS市場予測」)であり、SaaS企業にとってインサイドセールスの構築は競争優位の源泉となっています。

この記事では、従業員50〜300名程度のSaaS企業を主な対象として、インサイドセールス組織の立ち上げからTHE MODEL型分業制の実装までを解説します。

この記事で分かること

  • SaaS企業におけるインサイドセールスの役割と重要性
  • THE MODEL型分業制の基本構造と連携ポイント
  • インサイドセールス組織立ち上げの実践ステップ
  • MA/SFAを活用したリードスコアリングと引き継ぎ基準の設計方法
  • 内製化とBPO活用の判断基準

インサイドセールスの役割とフィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスは、役割・活動領域・KPIが明確に異なります。この違いを理解することが、効果的な分業体制構築の第一歩です。

フィールドセールス(FS) とは、対面での商談・提案・クロージングを担当する外勤営業です。インサイドセールスが創出した商談を引き継ぐケースが多いです。

インサイドセールスはフィールドセールスの約半分のコストで4倍のプロスペクトをカバーできるとされています(Salesforce「セールス最新事情」より。ただしグローバルデータであり、日本市場単独の数値ではない点に注意が必要です)。

インサイドセールスは単なる「テレアポ部隊」ではありません。リードの育成・精査から商談創出までを担う戦略的な役割であり、マーケティングとフィールドセールスをつなぐ重要なポジションです。

| 項目 | インサイドセールス | フィールドセールス | |------|--------------------|--------------------|| | 活動形態 | 非対面(電話・メール・Web会議) | 対面(訪問・商談) | | 主な役割 | リード育成・商談創出 | 商談・提案・クロージング | | 担当範囲 | 多数のリードを広くカバー | 有望案件を深く担当 | | 主要KPI | 商談化率・架電数・接続率 | 受注率・受注金額 |

SDRとBDRの役割分担

インサイドセールスは、対応するリードの種類によってSDRとBDRに分類されます。

SDR(Sales Development Representative) とは、インバウンドリードに対応し、商談化を目指すインサイドセールス担当者です。MAからのリードを精査・育成する役割を担います。

BDR(Business Development Representative) とは、アウトバウンドでターゲット企業に能動的にアプローチし、新規商談を創出するインサイドセールス担当者です。

役割 SDR BDR
リード種別 インバウンド(問い合わせ・資料DL等) アウトバウンド(ターゲットリスト)
主な活動 リード精査・育成・商談化 新規開拓・ターゲット企業へのアプローチ
重要スキル ヒアリング力・課題深掘り ターゲティング・提案力

どちらを優先するかは、自社のリード獲得状況によります。インバウンドリードが十分にある場合はSDRから立ち上げ、リード不足の場合はBDRによるアウトバウンド強化が有効です。

THE MODEL型分業制の基本構造と連携ポイント

THE MODEL型分業制を成功させるには、部門間の連携ルールを明確に定義し、MA/SFAで実装することが不可欠です。

The Modelとは、Salesforceが提唱した営業プロセス分業モデルです。マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスの分業により、効率化と専門性を高めます。

よくある失敗パターンは、インサイドセールス組織とTHE MODELを「構想」しただけでMA/SFA実装を後回しにするケースです。この考え方は誤りです。連携ルールが曖昧なまま現場が混乱し、結果的にExcel管理に戻って成果が出ないというケースが後を絶ちません。

成功のためには、構想段階から「どのようにMA/SFAで実装するか」を具体的に設計することが重要です。

マーケティングからインサイドセールスへの引き継ぎ基準

マーケティングからインサイドセールスへの引き継ぎは、リードスコアリングによって定義します。

リードスコアリングでは、以下のような要素をポイント化し、一定のスコアに達したリードをISに引き継ぎます。

  • 属性スコア: 業種、従業員規模、役職、部門
  • 行動スコア: 資料ダウンロード、セミナー参加、価格ページ閲覧、問い合わせ

スコアリングの基準は業界・商材によって大きく異なります。自社の過去データを分析し、商談化しやすいリードの特徴を把握したうえで設計することが重要です。

インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎ基準

商談化率とは、リードや架電から商談に転換した割合であり、インサイドセールスの主要KPIの一つです。

インサイドセールス導入企業の商談化率は平均20-30%台で、未導入企業の10%未満と比較して大幅に向上するという調査結果があります(BRIDGE「インサイドセールスKPI設計ガイド」)。ただし、この数値は業界・商材・リードソースによって大きく異なるため、自社の状況に合わせた目標設定が重要です。

商談化の定義は企業によって異なりますが、一般的には以下の条件を満たした場合に「商談」として引き継ぎます。

  • BANT情報(予算・決裁者・ニーズ・時期)の確認
  • 顧客の課題・ニーズの明確化
  • 次回アクション(訪問日程等)の確定

インサイドセールス組織立ち上げの実践ステップ

インサイドセールス組織の立ち上げは、体制構築からMA/SFA設定、運用ルール策定までを一気通貫で行うことが成功の鍵です。

立ち上げにあたっては、以下のチェックリストを活用して漏れなく準備を進めてください。

【チェックリスト】SaaSインサイドセールス立ち上げ実装チェックリスト

  • IS組織のミッション・役割を明文化している
  • SDR/BDRの役割分担を決定している
  • IS責任者をアサインしている
  • ISメンバーの採用・配置が完了している
  • マーケ→IS引き継ぎ基準(MQL定義)を合意している
  • IS→FS引き継ぎ基準(SQL/商談化定義)を合意している
  • リードスコアリングルールを設計している
  • MAでスコアリング設定を実装している
  • SFAで商談ステージを設定している
  • SFA入力必須項目を最小限に設定している
  • IS→FS引き継ぎ時の入力項目を定義している
  • 自動アサインルールを設定している
  • KPIダッシュボードを構築している
  • 週次の定例会議体を設定している
  • トークスクリプト(初回架電用)を用意している
  • メールテンプレート(フォロー用)を用意している
  • 運用ルールを明文化・共有している
  • ISメンバー向けトレーニングを実施している
  • 立ち上げ後の振り返りスケジュールを設定している
  • KPI未達時の改善プロセスを定義している

内製化とBPO活用の判断基準

インサイドセールスを内製で立ち上げるか、BPO(外部委託)を活用するかは、リソース・スキル・予算を総合的に判断して決定します。

判断軸 内製化が向いている場合 BPO活用が向いている場合
社内リソース IS経験者が在籍している IS経験者がいない
予算 人件費を長期で投資できる 初期投資を抑えたい
商材の複雑さ 高度な商材知識が必要 標準的な説明で対応可能
スピード 時間をかけて育成できる 早期に成果を出したい
将来計画 コア機能として内製化したい まずは検証・実験したい

一概にどちらが良いとは言えません。立ち上げ初期はBPOで知見を蓄積し、徐々に内製化するハイブリッド型も有効な選択肢です。

THE MODEL連携ルールの設計と実装方法

THE MODEL連携ルールは、MA/SFAで実装して初めて機能します。ツール設定を後回しにせず、設計段階から実装方法を具体化しましょう。

以下のテンプレートを参考に、自社の連携ルールを設計してください。

【比較表】THE MODEL連携ルール設計テンプレート(マーケ→IS→FS引き継ぎ基準)

連携ポイント 定義・基準 実装方法(MA/SFA)
MQL定義(マーケ→IS) スコア50点以上 MAでスコアリング設定、閾値超えで自動通知
MQL属性条件 従業員50名以上、IT/SaaS業種 MA属性フィールドでフィルタリング
MQL行動条件 資料DL+価格ページ閲覧 MAで行動スコア加算ルールを設定
IS→FS引き継ぎ基準 BANT確認済み+次回訪問日確定 SFA商談ステージ「商談化」で管理
IS入力必須項目 企業名、担当者名、課題、予算感、検討時期 SFAで必須項目設定
商談ステージ定義 1.初回接触→2.ニーズ確認→3.商談化→4.提案→5.交渉→6.受注/失注 SFAパイプラインで設定
引き継ぎ時の通知 IS→FS担当者へSlack/メール通知 SFA自動化ルールで設定
データ連携頻度 リアルタイム同期 MA-SFA連携設定

リードスコアリングと自動アサインの設計

リードスコアリングは、属性スコアと行動スコアの組み合わせで設計します。

属性スコア例

属性 条件 スコア
従業員規模 300名以上 +20点
従業員規模 50-299名 +15点
従業員規模 50名未満 +5点
業種 SaaS/IT +15点
役職 部長以上 +20点
役職 マネージャー +10点

行動スコア例

行動 スコア
資料ダウンロード +15点
セミナー参加 +20点
価格ページ閲覧 +10点
問い合わせフォーム送信 +30点
メール開封 +5点
メールリンククリック +10点

スコアリング基準は自社の商材・顧客特性に合わせてカスタマイズが必要です。導入後もデータを分析し、定期的に基準を見直すことが重要です。

自動アサインでは、スコアが閾値を超えたリードを担当ISに自動で割り当てます。地域・業種・担当者のキャパシティなどを考慮したルールを設計しましょう。

SFA入力項目と商談ステージの設計

SFA入力項目は、最小限からスタートし、運用が安定してから段階的に拡充することを推奨します。

IS段階での入力必須項目(例)

  • 企業名
  • 担当者名・役職
  • 課題・ニーズ
  • 予算感
  • 検討時期
  • 次回アクション

入力項目を増やしすぎると、入力率が下がり、結果としてデータの質も低下します。「あれもこれも」と項目を追加するのではなく、本当に必要な情報に絞ることが定着の鍵です。

商談ステージは、自社の営業プロセスに合わせて定義します。ステージ間の移行条件を明確にし、ISとFSで認識を揃えておくことが重要です。

まとめ:SaaSインサイドセールス成功は実装完了がカギ

本記事では、SaaS企業におけるインサイドセールス構築について解説しました。

本記事のポイント

  • 日本企業のIS導入率は40.6%に達し、SaaS/IT企業が最も多く採用している(32.4%)
  • インサイドセールスはテレアポではなく、リード育成・商談創出を担う戦略的役割
  • THE MODEL成功の鍵は、構想だけでなくMA/SFA実装まで完了させること
  • リードスコアリングと引き継ぎ基準を明確に定義し、ツールで実装する
  • 内製化とBPO活用は、リソース・スキル・予算を総合的に判断して決定する

SaaSインサイドセールスの成功は、役割理解だけでなく、MA/SFA設定からTHE MODEL連携ルールの実装まで完了させることで実現します。本記事のチェックリストとテンプレートを活用し、構想で終わらせず実装・運用まで完遂させてください。

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よくある質問

Q1インサイドセールスとテレアポの違いは何ですか?

A1テレアポは架電によるアポイント獲得が主目的ですが、インサイドセールスはリードの育成・精査から商談創出までを担う戦略的な役割です。単なる架電部隊ではなく、マーケティングとフィールドセールスをつなぐ重要なポジションとして、BANT情報の確認や顧客課題の深掘りまで行います。

Q2インサイドセールスを導入するとどのくらい商談化率が上がりますか?

A2インサイドセールス導入企業の商談化率は平均20-30%台で、未導入企業の10%未満と比較して大幅に向上するという調査結果があります(BRIDGE調査)。ただし業界・商材・リードソースにより数値は大きく異なるため、自社の状況に合わせた目標設定が重要です。

Q3SaaS企業でインサイドセールスが多く採用されている理由は何ですか?

A3インサイドセールス採用業種はSaaS/IT企業が32.4%で最多です(HubSpot Japan調査)。SaaSは月額課金モデルで顧客数の拡大が重要であり、効率的なリード育成と商談創出が求められるため、非対面で多数のリードをカバーできるインサイドセールスとの相性が良いとされています。

Q4インサイドセールス組織は内製化すべきですかBPO活用すべきですか?

A4一概にどちらが良いとは言えません。社内にIS経験者がいるか、予算・リソースの状況、商材の複雑さなどを総合的に判断して決定します。立ち上げ初期はBPOで知見を蓄積し、徐々に内製化するハイブリッド型も有効な選択肢です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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