PardotとMarketoの違い|選定で失敗しないために押さえるべきポイント
ずばりPardotとMarketoの選定は、機能や価格の比較だけでなく、自社の既存システム環境と運用体制を踏まえた総合判断が重要であり、導入後のSFA連携設計まで見据えて検討することで、ツールが形骸化するリスクを避けられます。
Pardot(Marketing Cloud Account Engagement) とは、Salesforce社が提供するBtoB向けMAツールです。Salesforce CRMとのシームレスな連携が特徴です。
Adobe Marketo Engageとは、Adobe社が提供するMAツールです。大規模データ処理と高度なパーソナライズが特徴です。
日本のBtoB中心のMAツール導入率は約30%(2024年時点)とされています(推計値であり、厳密な公的統計は存在しないため、目安として扱ってください)。MAツールの導入が進む一方で、「導入したが活用できていない」という課題を抱える企業も少なくありません。
この記事で分かること
- PardotとMarketoの設計思想とターゲットの違い
- 主要機能の比較(リード管理、スコアリング、メール、レポート)
- 価格・料金体系の比較
- 自社に適したツールを選ぶためのチェックリスト
- 導入後の運用定着に向けたSFA連携フロー
PardotとMarketoの設計思想とターゲットの違い
PardotとMarketoは、根本的な設計思想とターゲット企業が異なります。Pardotは「Salesforce連携・営業連携・シンプル運用」を志向し、Marketoは「大規模データ処理・AI活用・高度なパーソナライズ」を志向しています。
国内MAツールシェアでは、Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)が13.4%で3位、Marketo(Adobe Marketo Engage)が7.5%で4位となっています(2026年1月時点の調査。調査機関によって数値に幅があります)。
Marketoは139ヵ国22,000社以上が導入するグローバルプラットフォームです(グローバル全体の数値であり、日本市場に限定した数値ではありません)。
Pardot(Account Engagement)の特徴
Pardotは、Salesforce CRMとの連携を前提に設計されています。営業部門との連携を重視し、シンプルな運用で成果を出したい企業に適しています。
Pardotが適している企業
- Salesforce CRMを既に導入している
- 営業組織が主体となってリードを管理したい
- シンプルな運用から始めたい
- 中堅規模のBtoB企業
Adobe Marketo Engageの特徴
ABM(アカウントベースドマーケティング) とは、個別アカウント(企業)を対象にしたターゲティング手法です。Marketoが対応する高度機能の一つです。
Marketoは、大規模データ処理と高度なパーソナライズを前提に設計されています。複雑なスコアリングやマルチチャネルシナリオを実現したい企業に適しています。
Marketoが適している企業
- 大規模なリードデータを扱う
- ABMを本格的に実施したい
- AI活用による高精度スコアリングを求めている
- BtoB・BtoC両対応が必要
主要機能の比較|リード管理・スコアリング・メール・レポート
両ツールの主要機能を比較すると、PardotとMarketoを機能の数や価格だけで比較し、自社のSFA環境や運用リソースを考慮せずに選定すると、導入後に連携がうまくいかずツールが形骸化するリスクがあります。これは典型的な失敗パターンです。
リードスコアリングとは、見込み顧客の行動・属性に基づいて優先度を数値化し、営業への引き渡し判断に活用する手法です。BtoB企業でスコアリング機能を活用した場合、営業成約率が平均20~30%向上する傾向が見られます(特定の調査・事例に基づく傾向であり、すべての企業に当てはまるわけではありません)。
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動のことです。
以下のチェックリストを活用して、自社に適したMAツールを選定してください。
【チェックリスト】MAツール選定チェックリスト
- 現在使用しているSFA/CRMを確認した(Salesforce/その他)
- 管理対象のリード数を把握した
- MAツール運用の担当者・体制を決めた
- マーケティング部門と営業部門の連携ルールを検討した
- スコアリングで実現したいことを明確にした(シンプル運用/高度なAI活用)
- ABM(アカウントベースドマーケティング)の必要性を検討した
- メール配信の規模・頻度を見積もった
- マルチチャネル対応の必要性を検討した
- レポート・分析で必要な項目を洗い出した
- 予算(初期費用+月額費用)を確認した
- 導入後のサポート体制を確認した
- 既存ツールとの連携(API)要件を確認した
- 運用定着のためのKPIを設定した
- 導入スケジュールを検討した
- 見積もりを複数社から取得した
リード管理・スコアリング機能の比較
Pardotはシンプルで運用しやすいスコアリングが特徴です。行動スコア・属性スコアを組み合わせた設計で、営業への引き渡し条件をマーケティング・営業の両部門で共有しやすい仕組みになっています。Salesforceの商談フェーズと連携させた運用が可能です。
MarketoはAIを活用した高精度スコアリングに強みがあります。行動・属性・購買履歴など多次元のデータを使った予測モデルが組めます。ABMに対応したアカウント単位のスコアリング・インテント分析など、高度なスコアリングが可能です。
メール・レポート機能の比較
PardotはSalesforce連携を前提としたシンプルなメール配信が特徴です。Salesforceのキャンペーン・商談情報と紐づいたターゲティングが可能で、営業担当別のフォロー配信など営業連携型のメール施策に強みがあります。
Marketoは大規模・高頻度の配信と高度なパーソナライズが特徴です。Web、広告、イベントなど他チャネルと連動したマルチチャネルキャンペーン設計が可能で、複雑なジャーニー設計にも対応できます。
価格・料金体系の比較
両ツールの価格体系は大きく異なります。Pardotは明確な料金プランを公開しており、Marketoは要見積もり制です。
Pardotの料金プラン(2025-2026年時点、日本市場、税込ベース)
| プラン | 月額(税込) |
|---|---|
| Growth | 150,000〜165,000円 |
| Plus | 300,000〜330,000円 |
| Advanced | 480,000〜528,000円 |
| Premium | 1,800,000〜1,980,000円 |
※価格は参考値であり、企業の利用規模や契約条件により異なります。
Marketoの料金体系
Marketoは要見積もり制であり、1万件リード規模では年間約200万円が目安とされています(相場であり、企業規模やカスタマイズ内容により大きく変動します)。
価格に関する注意点
- 価格情報は要見積もり制が多く、リード数・PV数により実際のコストは大きく変動します
- Salesforceユーザーの場合、Pardotが割安感があるとされています
- 導入費用・コンサルティング費用・サポート費用は別途必要になることが一般的です
見積もりは必ず複数社から取得し、自社の要件に合った提案を比較検討することをおすすめします。
導入後の運用定着|SFA連携フローの設計
MAツールの選定は、導入がゴールではありません。導入後の運用定着が成否を分けます。運用体制の設計とSFA連携フローの整備が不十分だと、ツールが形骸化するリスクがあります。
以下のフローを参考に、MA導入後のSFA連携を設計してください。
【フロー図】MA導入後のSFA連携フロー
flowchart TD
A[MAツール導入] --> B[リード獲得]
B --> C[スコアリング設定]
C --> D{スコア判定}
D -->|基準到達| E[MQL認定]
D -->|基準未満| F[ナーチャリング継続]
F --> C
E --> G[SFAへ自動連携]
G --> H[営業通知]
H --> I{営業確認}
I -->|SQL認定| J[商談開始]
I -->|差し戻し| K[マーケへフィードバック]
K --> F
J --> L{商談結果}
L -->|成約| M[顧客化]
L -->|失注| N[失注理由記録]
N --> O[マーケへフィードバック]
O --> P[スコアリング改善]
P --> C
subgraph MA領域
B
C
D
E
F
K
P
end
subgraph SFA領域
G
H
I
J
L
M
N
O
end
運用定着のためのチェックポイント
運用定着のためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
営業部門との連携ルール
- MQL(マーケティング基準でのリード)の定義と引き渡し条件を明確にする
- 営業からのフィードバック(差し戻し・失注理由)を収集する仕組みを作る
- 定期的なマーケティング・営業間のレビュー会議を設定する
入力ルールの整備
- 必須入力項目と任意入力項目を明確にする
- 入力タイミング(商談後○日以内など)を決める
- データクレンジングのルールを設定する
KPI設計
- MQL数、SQL数、商談化率、成約率などを定期的にモニタリングする
- スコアリングの精度を検証し、継続的に改善する
まとめ:自社に適したMAツールを選ぶために
PardotとMarketoの選定は、機能や価格の比較だけでなく、自社の既存システム環境と運用体制を踏まえた総合判断が重要です。導入後のSFA連携設計まで見据えて検討することで、ツールが形骸化するリスクを避けられます。
本記事のポイント
- Pardotは「Salesforce連携・営業連携・シンプル運用」に強み
- Marketoは「大規模データ処理・AI活用・高度なパーソナライズ」に強み
- 機能や価格だけでなく、自社のSFA環境と運用リソースを考慮して選定する
- 導入後の運用定着が成否を分けるため、SFA連携フローを事前に設計する
「MAツール選定チェックリスト」を活用して自社の要件を整理し、「MA導入後のSFA連携フロー」を参考に運用体制を検討してみてください。
次のステップとして、以下のアクションをおすすめします。
- 自社のSFA環境(Salesforce/その他)を確認する
- 運用担当者・体制を検討する
- 複数社から見積もりを取得し、比較検討する
PardotとMarketoの選定は、機能や価格の比較だけでなく、自社の既存システム環境と運用体制を踏まえた総合判断が重要であり、導入後のSFA連携設計まで見据えて検討することで、ツールが形骸化するリスクを避けられます。
