マーケティング顧問の活用が注目される背景と本記事の目的
実はマーケティング顧問の選定では、戦略立案能力だけでなく、MA/SFA連携や施策実行まで伴走できる実装力と、社内への定着支援まで見据えた支援範囲を確認することが、投資を成果につなげる鍵となります。
近年、企業のマーケティング予算は増加傾向にあります。2026年に広告・マーケティング予算を増加予定の企業は38.5%(前年比+6.2%)という調査結果があります(ad:tech tokyo参加企業Webアンケート、回答111名と少数のためサンプルには偏りがある可能性があります)。また、日本のWEBマーケティングフリーランス市場規模は2022年約1兆5,578億円から2030年約3兆7,465億円へ、年間成長率11.6%で拡大すると予測されています(2024年時点の市場予測)。
こうした背景から、マーケティングの専門知識を持つ外部人材へのニーズが高まっています。しかし、戦略提案だけで終わってしまい、施策が社内で実行されない、定着しないという課題を抱える企業も少なくありません。
この記事で分かること
- マーケティング顧問の定義と、コンサルティングとの違い
- 顧問が担う具体的な支援業務と活用すべき企業の特徴
- 費用相場と報酬体系の種類
- 成果につなげる顧問選定のポイントとチェックリスト
マーケティング顧問とは何か:定義・役割・コンサルとの違い
マーケティング顧問とは、企業のマーケティング戦略や施策を支援する外部専門家です。戦略立案から実行支援まで伴走することが特徴であり、一時的なプロジェクト支援ではなく継続的な関与を前提とするケースが多いです。
マーケティング顧問の基本的な役割
マーケティング顧問が担う主な役割は、以下の領域に分類されます。
戦略立案: 市場分析、ターゲット設定、マーケティング戦略の策定を支援します。自社の強みと市場機会を踏まえた方向性を示すことが求められます。
施策設計・実行支援: コンテンツマーケティング、リード獲得施策、広告運用などの具体的な施策を設計し、実行までサポートします。
ツール導入支援: MA(マーケティングオートメーション) は、見込み客の獲得・育成を自動化するツールで、顧問支援でよく導入提案されます。MAの選定から初期設定、運用定着まで支援するケースが一般的です。
組織体制構築: インサイドセールスは、電話やメールを中心とした非対面の営業活動を指します。マーケ顧問が組織強化を支援することが多く、マーケティングと営業の連携体制構築も重要な役割となります。
マーケティングコンサルティングとの違い
マーケティング顧問とコンサルティングの最も大きな違いは、支援の継続性と実行への関与度です。
伴走型支援とは、戦略提案だけでなく、施策実行・効果測定・改善まで継続的に寄り添う支援スタイルを指します。
コンサルティングは、戦略立案やレポート納品で完結することが多いのに対し、マーケティング顧問は月次・週次で定期的にミーティングを行い、施策の進捗確認や課題解決を継続的に支援します。
広告代理店との違いとしては、代理店は広告運用という特定領域に特化する傾向があるのに対し、顧問は戦略から組織体制まで幅広く関与する点が挙げられます。
マーケティング顧問の主な支援業務と活用場面
マーケティング顧問の支援業務は、戦略立案からツール導入、組織構築まで多岐にわたります。自社の課題に応じて、どの領域の支援が必要かを明確にしておくことが重要です。
戦略立案から実行支援までの支援領域
顧問が関与できる業務範囲を具体的に示すと、以下のようになります。
- マーケティング戦略の策定: ターゲット市場の選定、ポジショニング、KPI設計
- リード獲得施策の設計: コンテンツマーケティング、SEO、ウェビナー、展示会活用
- MA導入・運用支援: ツール選定、シナリオ設計、リードスコアリングの構築
- インサイドセールス組織の立ち上げ: 人員配置、スクリプト作成、SFAとの連携設計
- マーケティングと営業の連携体制構築: MQL/SQLの定義、引き継ぎプロセスの設計
顧問によって得意領域は異なるため、自社の課題に合った専門性を持つ人材を選ぶことがポイントです。
マーケティング顧問が有効な企業の特徴
以下のような状況にある企業では、マーケティング顧問の活用が効果的と考えられます。
- 社内にマーケティング専門人材がいない: 経営者やセールス担当がマーケティングを兼務しており、専門知識が不足している
- MAやSFAを導入したが活用できていない: ツールは入れたものの、運用が属人化している、成果につながっていない
- マーケティング施策の成果が見えない: 施策を打っているが、何が効いているのか分からず、改善の方向性が定まらない
- マーケと営業の連携がうまくいかない: リードを獲得しても営業が動かない、商談化率が低いといった課題がある
こうした課題を抱える場合、外部専門家の知見と実行支援を活用することで改善が期待できます。
マーケティング顧問の費用相場と報酬体系
費用相場は支援内容や専門性によって幅があり、一概には言えません。民間の求人データや顧問紹介サービスのデータを参考値として紹介します。
民間求人データによると、WEBマーケティング顧問の月額相場は60万円〜70万円が目安で、高スキル人材では月額130万円以上になることもあります(Freelance Hub求人データ、2024年6月)。
また、企業直請け案件中心で上流DX・戦略支援を行う顧問紹介サービスでは、平均月単価が201万円というデータもあります(デジタル人材バンク)。ただし、これは上流の戦略支援が中心であり、すべての顧問に当てはまるわけではありません。
費用は個別交渉によって変動することが一般的であり、支援範囲や稼働時間によって調整されるケースが多いです。
月額固定型・プロジェクト型・成果連動型の違い
報酬体系には主に3つのパターンがあります。
月額固定型: 毎月一定額を支払い、継続的な支援を受ける形態です。稼働時間や支援内容が安定しており、長期的な伴走を想定する場合に適しています。予算が見通しやすい反面、成果に関わらず費用が発生します。
プロジェクト型: 特定のプロジェクト(MA導入、戦略策定など)に対して一括で報酬を支払う形態です。ゴールが明確な場合に適しており、期間と成果物が定義されます。
成果連動型: 獲得リード数や商談化数などの成果指標に連動して報酬が決まる形態です。成果が出なければ費用を抑えられる一方、成果定義や計測方法の合意が必要です。
自社の予算と期待する成果に応じて、適切な報酬体系を選ぶことが重要です。
成果につなげるマーケティング顧問の選び方
顧問選定で成果を出すためには、戦略提案能力だけでなく、実行支援の体制と社内への定着支援まで確認することが不可欠です。
マーケティング顧問を「アドバイスをもらう存在」として捉え、戦略提案の質だけで選んでしまうのはよくある失敗パターンです。提案内容がどれだけ優れていても、実行支援・社内定着の体制がなければ、提案が社内で活かされず顧問費用が無駄になるリスクがあります。
以下のチェックリストを活用して、実行・定着支援の観点から顧問を評価してください。
【チェックリスト】マーケティング顧問選定チェックリスト(実行・定着支援の観点)
- 戦略提案だけでなく、施策実行まで支援する体制があるか
- MA/SFAなどのツール導入・活用の実績があるか
- 自社と同じ業界・規模の企業での支援経験があるか
- 定期的なミーティング頻度と報告体制が明確か
- 施策の効果測定・改善サイクルを回す仕組みがあるか
- 社内担当者への引き継ぎ・教育支援を行えるか
- 契約終了後も社内で運用できる状態を目指しているか
- マーケティングと営業の連携設計の知見があるか
- 報酬体系と成果指標が明確に定義されているか
- 過去の支援事例と成果を具体的に説明できるか
- 自社の課題を理解し、優先順位をつけた提案ができるか
- コミュニケーションスタイルが自社に合っているか
戦略提案だけでなく実行・定着まで確認すべき理由
顧問選定で実行・定着支援を重視すべき理由は、戦略と実行の間にギャップが生じやすいためです。
優れた戦略提案を受けても、社内に実行するリソースやノウハウがなければ、提案は絵に描いた餅になります。特にMA/SFAの導入・活用は、ツールを入れただけでは成果が出ず、運用プロセスの設計と社内への定着が不可欠です。
顧問の役割は、提案して終わりではなく、社内で施策が回り続ける状態をつくることにあります。契約期間中だけでなく、契約終了後も自社で運用できる体制を目指す顧問を選ぶことが、投資対効果を高めるポイントです。
まとめ:マーケティング顧問を成果につなげるために
マーケティング顧問は、社内にマーケティング専門人材がいない企業や、MAを導入したが活用できていない企業にとって、有効な選択肢となります。
費用相場は支援内容や専門性によって幅があり、民間求人データでは月額60万円〜70万円が目安とされています。報酬体系には月額固定型、プロジェクト型、成果連動型があり、自社の予算と目的に応じて選ぶことが重要です。
顧問選定においては、戦略提案能力だけでなく、実行支援の体制と社内への定着支援まで確認することが成果につながる鍵です。「アドバイスをもらう存在」として戦略提案の質だけで選んでしまうと、提案が活かされないリスクがあります。本記事で紹介したチェックリストを活用し、自社の課題解決に伴走してくれる顧問を見つけてください。
マーケティング顧問の選定では、戦略立案能力だけでなく、MA/SFA連携や施策実行まで伴走できる実装力と、社内への定着支援まで見据えた支援範囲を確認することが、投資を成果につなげる鍵となります。
