MA活用が進まない企業の現状と本記事の目的
実はMA活用の成功は、導入だけでなくMA/SFA設定から専用ツール開発まで一気通貫で実装することで実現する。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。リード育成、スコアリング、メール配信などを自動化し、マーケティング業務の効率化を実現します。
国内のMA市場は急速に成長しており、全企業の導入率は1.5%(9,444社/626,003社)、上場企業では14.6%(562社/3,850社)に達しています(2023年5月、株式会社Nexal調査)。上場企業の導入率は毎年2%上昇しており、デジタル変革需要が継続しています。市場規模も2021年約600億円から2026年865億円へと成長が予測されています(矢野経済研究所)。
しかし、MAツールを導入したものの、ステップメール配信程度で終わっており、リード育成やスコアリング、MA/SFA連携などの高度な活用ができず、投資対効果が見えないという企業が少なくありません。導入業界別シェアを見ると、情報通信・広告・マスコミが31%、製造業(機械含む)が17.9%、卸売・小売業が11.7%を占めています(2023年Nexal調査)。
この記事で分かること
- MA(マーケティングオートメーション)の基本機能と導入メリット
- 業界別のMA活用成功事例(IT、製造、小売等)
- MA導入後の失敗事例と共通パターン
- MA活用を成功させるための実装と運用体制の構築方法
- よくある失敗パターンと一気通貫の実装支援の必要性
MA(マーケティングオートメーション)とは|基本機能と導入メリット
MAとは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールで、リード育成、スコアリング、メール配信などを自動化することで、マーケティング業務の効率化と商談化率向上を実現するものです。
MAツールは、見込み顧客(リード)の獲得から育成、商談化までのプロセスを一元管理し、適切なタイミングで適切なコンテンツを配信することで、マーケティングROIの最大化を支援します。従来は手作業で行っていたメール配信、リード管理、効果測定などの業務を自動化することで、マーケティング担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。
MAの主要機能|リード育成・スコアリング・メール自動化
MAの主要機能は、リード育成、スコアリング、メール自動化の3つで、これらを組み合わせることで効率的なマーケティング活動を実現します。
リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)を育成し、購買意欲を高めて商談・受注に繋げるプロセスを指します。MAツールを活用することで、リードの行動履歴や属性情報に基づいて、適切なタイミングで適切なコンテンツ(メール、ホワイトペーパー、ウェビナー案内など)を自動配信し、段階的にエンゲージメントを高めることができます。
リードスコアリングとは、リードの行動履歴や属性情報に基づいて点数を付け、商談化の可能性が高いリードを自動的に抽出する機能です。Webサイト訪問、資料ダウンロード、メール開封などのアクションに点数を設定し、一定のスコアに達したリードを営業部門にパスすることで、効率的な営業活動を実現します。
ステップメールとは、あらかじめ設定したシナリオに基づいて、段階的にメールを自動配信する機能です。例えば、資料ダウンロード後に関連事例を送信、メール開封後にウェビナー案内を送信など、リードの状態に応じた適切なコンテンツを配信することで、効率的にナーチャリングを進めることができます。
MA導入のメリット|業務効率化と商談化率向上
MA導入の最大のメリットは、業務効率化と商談化率向上で、手作業で行っていたマーケティング業務を自動化することで、より戦略的な業務に集中できるようになります。
グローバル調査では、自動化リードナーチャリングで有望リード451%増加が可能という結果が報告されています(2025年、Thunderbit調査レポート)。ただし、この調査はグローバル統計であり、日本BtoB市場では異なる可能性があるため参考値として扱う必要があります。また、スキルギャップ(専門知識不足)が成功阻害要因のトップで、80%のマーケターがトレーニング不足を課題と指摘しており、導入だけでなく運用体制の構築が不可欠であることが分かります。
MA導入により、メール配信工数の削減、リード管理の一元化、効果測定の自動化などが実現し、マーケティング担当者の業務負担が大幅に軽減されます。また、リードスコアリングにより商談化の可能性が高いリードを優先的にフォローアップすることで、商談化率の向上が期待できます。
業界別のMA活用成功事例(IT、製造、小売等)
業界別のMA活用成功事例を見ると、IT業界では業務効率化、製造業ではリードスコアリング、小売業では匿名来訪者追跡が重視される傾向があります。
MA導入業界別シェアは情報通信・広告・マスコミが31%、製造業(機械含む)が17.9%、卸売・小売業が11.7%となっており(2023年Nexal調査)、業界によって活用のポイントが異なることが分かります。製造・IT業界ではリードスコアリングを優先し、小売業では匿名来訪者追跡から開始するのが実務の相場感とされています。
IT業界のMA活用事例
IT業界のMA活用事例では、メルマガ送信工数の削減、アポ獲得率の向上、サイト流入数・CV数の増加などの成果が報告されています。
ティネクト株式会社(IT業界)は、ツールベンダーの事例としてメルマガ送信工数10時間/月削減を達成しています(BowNow MA導入事例)。また、株式会社LIG(IT業界)は、MA導入1週間でアポ獲得率5.6%アップを達成しています(同事例)。さらに、MAツールの導入により、CRMツールと情報を統合した一元的な顧客管理でサイト流入数が3倍、CV数が5倍に増加した事例も報告されています(HubSpot Marketing Hub導入事例)。
ただし、これらはツールベンダーの事例であり、成果が最大限強調されている可能性があります。また、ダッシュボード導入・月次チェック・四半期目標見直しなどの運用体制整備を同時に実施した結果であることに注意が必要です。個社差が大きいため、自社でのPoC(概念実証)が推奨されます。
製造業・小売業のMA活用ポイント
製造業・小売業のMA活用ポイントは、業界特性に応じた機能の優先順位付けで、製造業ではリードスコアリング、小売業では匿名来訪者追跡が重視されます。
製造業では、検討期間が長く、複数の意思決定者が関与するため、リードスコアリングによる優先度判定が重要になります。Webサイト訪問、資料ダウンロード、ウェビナー参加などの行動履歴を総合的に評価し、商談化の可能性が高いリードを営業部門にパスすることで、効率的な営業活動を実現します。
小売業では、匿名のWeb来訪者を追跡し、行動履歴に基づいてセグメント化することで、適切なコンテンツを配信するアプローチが有効とされています。初回訪問時は匿名でも、資料ダウンロードやお問い合わせで個人情報を取得した後、過去の行動履歴を紐付けることで、よりパーソナライズされたマーケティング施策を実施できます。
MA導入後の失敗事例と共通パターン
MA導入後の失敗事例の共通パターンは、「MAツールを導入すれば自動的に成果が出る」という誤解に基づく、設定・運用体制の構築不足です。
グローバル調査では、スキルギャップ(専門知識不足)が成功阻害要因のトップで、80%のマーケターがトレーニング不足を課題と指摘しています(2025年、Thunderbit調査レポート、グローバル統計参考値)。リードリストの質を軽視し配信数だけを重視する、部門間連携(マーケティング→営業)が不十分でデータサイロ化する、即時効果を期待して検証を怠り早期放棄するなどの失敗パターンが頻出します。
配信リスト500件で開封率20%の場合、実際読まれるのは100件程度で商談化が極めて限定的という相場感があります。失敗企業では開封率・クリック率の低下が共通課題として言及されており、成功阻害のスキル・リソース不足が多くを占めるという傾向が見られます。
よくある失敗パターン|ステップメール止まり・連携不足・リソース不足
よくある失敗パターンは、ステップメール配信のみで終わり高度な活用ができない、MA/SFA連携不足でデータサイロ化、スキル・リソース不足の3つです。
失敗パターン1: ステップメール配信のみで終わり、リード育成やスコアリングを使いこなせない
MAツールを導入したものの、ステップメール配信の設定だけで終わってしまい、リードナーチャリング、リードスコアリング、MA/SFA連携などの高度な機能を活用できていないケースです。ステップメールは重要な機能ですが、それだけでは十分な成果を出すことは難しく、リードの行動履歴に基づいたスコアリングや、営業部門との連携が不可欠です。
失敗パターン2: MA/SFA連携が不十分でデータサイロ化
MAツールとSFA(営業支援ツール)の連携が不十分で、マーケティング部門と営業部門でデータが分断されているケースです。リードの行動履歴がMAに蓄積されているものの、営業部門がSFAでしか情報を確認できず、適切なタイミングでフォローアップできないという問題が発生します。部門間連携フローを明確化し、データを一元管理する体制の構築が必要です。
失敗パターン3: スキル・リソース不足で運用が停滞
グローバル調査では、80%のマーケターがトレーニング不足を課題と指摘しており、スキル・リソース不足が成功阻害要因のトップとなっています。MAツールは多機能であるがゆえに、使いこなすには専門知識が必要です。導入後の運用体制を整備せず、担当者が他の業務と兼務している場合、十分な時間を割くことができず、結果的にMAの活用が進まないという状況に陥ります。
MA活用を成功させるための実装と運用体制
MA活用を成功させるためには、MA/SFA設定から専用ツール開発まで一気通貫で実装し、運用体制を整備することが不可欠です。
目的明確化、KPI設定、部門間連携フロー構築、運用マニュアル作成など、導入前の準備段階から実装・運用までを一貫して対応することで、MAの活用が成功する確率が高まります。自社リソースが不足している場合は、専門家支援の検討も有効な選択肢です。
【チェックリスト】MA活用度診断チェックリスト
以下のチェックリストで、自社のMA活用度を診断してください。
- MA導入の目的とKPIが明確に定義されている
- MA/SFAの連携設定が完了している
- リードスコアリング基準が設定されている
- リードナーチャリングの自動化シナリオが設計されている
- ステップメール以外の機能(スコアリング、セグメント配信等)を活用している
- 部門間連携フロー(マーケティング→営業)が明確化されている
- リード情報がMA/SFA間で同期されている
- MA運用の専任担当者がアサインされている
- MA運用マニュアルが作成されている
- 定期的なレビュー会議(月次・四半期)が設定されている
- ダッシュボードで効果を可視化している
- PDCAサイクルが設計されている(改善サイクルの継続)
- リードリストの質を定期的に確認している
- メール開封率・クリック率を測定し改善している
- 商談化率を測定し目標と比較している
【比較表】自社運用 vs 専門家支援 比較表
自社運用と専門家支援の違いを以下の表で比較します。
| 項目 | 自社運用 | 専門家支援 |
|---|---|---|
| MA/SFA設定 | 設定方法を学習しながら進める、連携不足のリスク | 実装経験豊富、連携設定まで一気通貫 |
| 実装リソース | 社内リソースを割く必要があり、人手不足が課題 | 専門チームが実装、社内リソースを圧迫しない |
| 専用ツール開発 | 対応不可、または外部委託が必要 | フルスクラッチで専用ツール開発可能 |
| 運用体制構築 | マニュアル作成から開始、定着まで時間がかかる | 運用マニュアルと定着支援まで含む |
| 成果達成までの期間 | 試行錯誤により長期化しやすい | 実装経験により短期間で成果 |
| コスト | 初期費用は抑えられるが、長期的には人件費が膨らむ | 初期投資は必要だが、成果までの時間短縮 |
| 成功確率 | スキル・リソース不足で中途半端に終わるリスクが高い | 一気通貫の実装で成功確率が高まる |
MA/SFA設定と部門間連携の構築
MA/SFA設定と部門間連携の構築は、MA活用成功のための基盤であり、リードスコアリング基準の設定、自動化シナリオ設計、部門間連携フローの明確化が重要です。
リードスコアリングでは、リードの行動履歴(サイト訪問、資料ダウンロード、メール開封など)と属性情報(役職、企業規模、業種など)に基づいて点数を付け、商談化の可能性が高いリードを自動的に抽出します。スコアリング基準を設定し、一定のスコアに達したリードを営業にパスするルールを明確化することで、効率的な営業活動を実現します。
リードナーチャリングの自動化シナリオ設計では、見込み顧客(リード)を育成し、購買意欲を高めて商談・受注に繋げるプロセスを構築します。MAツールを活用し、リードの状態に応じた適切なコンテンツを配信することで、効率的にナーチャリングを進めます。例えば、資料ダウンロード後に関連事例を送信、メール開封後にウェビナー案内を送信など、段階的にエンゲージメントを高める流れを作ります。
部門間連携の構築では、マーケティング部門が獲得したリードを営業部門にスムーズに引き継ぐフローを明確化します。リードのスコアや行動履歴をSFAに共有し、営業担当者が優先順位を付けてアプローチできる環境を整えます。定期的に会議を開き、リードの質や商談化率を共有し、改善策を協議することが重要です。一気通貫での実装支援により、これらの設定・運用体制を短期間で構築することが可能になります。
まとめ|MA活用成功の鍵は一気通貫の実装
この記事では、MA活用の成功事例と失敗パターンを解説しました。
記事の要点
- MA(マーケティングオートメーション)はリード育成、スコアリング、メール自動化などの機能を持つ
- 業界別の成功事例では、IT業界で業務効率化、製造業でリードスコアリング、小売業で匿名来訪者追跡が重視される
- 失敗事例の共通パターンは、ステップメール止まり、MA/SFA連携不足、スキル・リソース不足
- MA活用成功のためには、MA/SFA設定から専用ツール開発まで一気通貫で実装し、運用体制を整備することが不可欠
MA活用の成功は、導入だけでなくMA/SFA設定から専用ツール開発まで一気通貫で実装することで実現する。これが本記事の結論です。
次のアクション
まず現状のMA活用度をチェックリストで診断し、不足している項目を洗い出してください。MA/SFA連携設定、リードスコアリング基準、部門間連携フローなど、不足している項目を優先順位を付けて改善します。
企業規模・業種により適切なアプローチは異なります。自社リソースが限られている場合は、専門家への相談も選択肢として検討してください。一気通貫の実装支援により、成果達成までの期間を短縮し、成功確率を高めることができます。
