MAツールを導入してもデータが分断される理由
MAツールを導入したにもかかわらず、データが分断されたままで成果が出ていないという課題を抱える企業は少なくありません。最も重要なのは、MAのAPI連携は標準機能だけでは自社の業務フローに合わないケースが多く、本当に成果を出すには実装まで伴走できるパートナーの支援が有効であるという点です。
この記事で分かること
- MA API連携の基本的な仕組みと連携可能なツールの種類
- API連携で実現できる効果と具体的な成功事例
- 標準連携の限界とカスタム開発の検討基準
- API連携プロジェクトを成功させるためのチェックポイント
よくある失敗パターンとして、「APIがあるから簡単に繋がる」と思い込み、標準連携を試みるものの、自社独自の業務フローやデータ構造に合わず、結局データが分断されたまま放置してしまうケースがあります。データ分断の具体的な症状としては、部門間での手動転記作業、CRMとMAへの二重入力、リード情報の更新遅延などが挙げられます。
この記事では、API連携の基本から実践的なポイントまで解説し、自社に最適な連携方法を判断できるようになることを目指します。
MA API連携の基本的な仕組み
API連携とは、異なるソフトウェア間でHTTPリクエスト/レスポンスによりデータを自動交換・同期させる仕組みです。MAツールにおいては、CRM(顧客関係管理) システムやSFA(営業支援システム) との間でリード情報や商談データを自動的にやり取りすることが可能になります。
多くのMAツールはRESTful APIと呼ばれるWeb標準の方式を採用しており、これはHTTPメソッドを使用したシンプルで拡張性の高いAPI設計方式です。技術的な詳細を深く理解する必要はありませんが、「外部システムとデータをやり取りするための窓口がAPIである」という基本概念を把握しておくことが重要です。
MAと連携可能なツールの種類
MAツールと連携できるツールは多岐にわたります。あるiPaaSサービスでは700種類以上のアプリとAPI連携が可能であり、不動産業界向けMAとの連携を2026年1月に発表するなど、連携先は拡大を続けています。
主要な連携パターンは以下の3つです。
- CRM連携: 顧客情報の一元管理、リードから商談への進捗追跡
- SFA連携: 営業活動データとマーケティングデータの統合、リード情報の自動同期
- Web解析ツール連携: Webサイト行動データとMAデータの紐付け、リードスコアリングの精度向上
リードスコアリングとは、見込み顧客の購買意欲や成約可能性を数値化し、優先順位をつける手法です。Web解析データと連携することで、より精度の高いスコアリングが可能になります。
API連携で実現できる効果と成功事例
API連携により、マーケティング部門と営業部門のデータが一元化され、リード獲得から商談化までの流れを可視化できるようになります。具体的な成果事例として、Marketo EngineとSalesforceを連携した企業では商談獲得件数が約1.8倍に向上したという報告があります。
また、HubSpotを導入した企業では問い合わせ数が従来比3倍、受注額3倍以上を達成した事例もあります。さらに、SREホールディングスではMAツール導入により問い合わせ数が半年で2.5倍に増加したとされています。
ただし、これらの数値はツールベンダーが公開している事例であり、導入環境や運用方法によって成果は大きく異なる点に留意が必要です。
業務効率化の実例
API連携による業務効率化の具体例も報告されています。明治安田生命では、AIエージェント(MA関連API連携含む)の導入により、営業職3万6000人を対象に訪問準備・報告作業時間を従来比30%削減したとされています。
ブランディアでは、API連携により手作業で行っていたメール4種を完全自動化し、企画・分析に充てる時間を確保できるようになりました。また、KDDIの「議事録パックン」は、CRM・外部ツール連携により1回あたり平均20分の時間削減を実現しています。
これらの事例から、API連携は単なるデータ同期だけでなく、日常業務の自動化・効率化にも大きく寄与することが分かります。
MAツールと連携先ツールの組み合わせ
主要なMAツールごとの連携先を整理すると、それぞれ標準で対応しているツールと、追加設定やカスタム開発が必要なツールがあります。
【比較表】MAツール連携先ツール比較表
| MAツール | CRM標準連携 | SFA連携 | Web解析連携 | iPaaS対応 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| HubSpot | Salesforce, Zoho | 標準機能内蔵 | Google Analytics | Zapier, Make | 無料プランあり |
| Marketo Engage | Salesforce | Salesforce経由 | Adobe Analytics | 多数対応 | エンタープライズ向け |
| Pardot | Salesforce | Salesforce統合 | Google Analytics | 限定的 | Salesforceユーザー向け |
| SATORI | 各種CRM | API連携 | Google Analytics | Zapier対応 | 国産ツール |
| Kairos3 | Salesforce, kintone | API連携 | 対応 | 限定的 | 中小企業向け |
※各ツールの連携機能は随時更新されるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。特定ツールの推奨は行っておらず、自社の既存システム構成に合わせた選定が重要です。
標準連携で対応できる範囲はツールによって異なります。自社で使用しているCRM/SFAとの連携可否、必要なデータ項目の同期可否を事前に確認することをお勧めします。
API連携プロジェクトを成功させるポイント
API連携プロジェクトで最も注意すべきは、「APIがあるから簡単に繋がる」という誤解です。実際には、データ形式の違い、API呼び出し回数の上限、認証方式の複雑さなど、技術的な制約が存在します。これらを事前に把握せずに進めると、想定外の追加コストや期間延長が発生しがちです。
以下のチェックリストを活用し、プロジェクト開始前に必要な確認を行ってください。
【チェックリスト】API連携プロジェクト開始前チェックリスト
- 連携するシステム間のデータ項目対応表を作成した
- 各システムのAPI仕様書を入手・確認した
- API呼び出し回数の上限を確認した
- 認証方式(OAuth、APIキー等)を確認した
- データ同期のタイミング(リアルタイム/バッチ)を決定した
- 既存データの移行計画を策定した
- エラー発生時のリカバリ手順を定義した
- テスト環境を用意した
- 社内の技術担当者をアサインした
- 外部パートナーの支援要否を判断した
- プロジェクトのスケジュールを関係者と共有した
- 連携後の運用担当者を決定した
標準連携の限界とカスタム開発の検討基準
標準APIで対応できないケースは以下のような場合です。
- 自社独自のデータ構造や項目が多い
- 複数システムを跨ぐ複雑なデータフローが必要
- 標準の同期タイミングでは業務要件を満たせない
- API呼び出し回数の上限に抵触する
このような場合、iPaaS(Integration Platform as a Service)の活用やカスタム開発が選択肢となります。iPaaSはノーコード/ローコードで連携設定が可能なサービスで、700種類以上のアプリと連携できるものもあります。
カスタム開発は初期コストがかかりますが、自社の業務フローに完全に合わせた連携が実現できます。判断の目安として、標準連携で要件の8割以上を満たせるならiPaaS、それ以下ならカスタム開発を検討するとよいでしょう。
まとめ:データ分断を解消し成果につなげるために
本記事では、MA API連携の基本的な仕組みから、成功事例、プロジェクトを成功させるためのポイントまでを解説しました。
重要なポイントを整理すると、以下の3点に集約されます。
- API連携によりCRM/SFAとの間でリード情報を自動同期でき、データ分断を解消できる
- 商談獲得件数の向上や業務効率化など、具体的な成果を上げている企業事例がある
- 標準連携だけでは自社の業務フローに合わないケースも多く、事前の要件確認が重要
「APIがあれば簡単に繋がる」という誤解を捨て、自社のデータ構造や業務フローを踏まえた連携設計を行うことが成功の鍵です。標準連携で対応できない複雑な要件がある場合は、実装まで伴走できるパートナーの支援を検討することで、データ分断を解消し成果につなげることが可能になります。
まずは自社の連携要件を整理し、既存システムとMAツールのAPI仕様を確認するところから始めてみてください。
