リード獲得設計で成果が出ない理由—施策選定だけでは不十分
リード獲得設計の答えは明確で、施策選定だけでなく、MA/SFAと連動したデータ管理・リードスコアリング・ナーチャリングまで一気通貫で設計することが重要です。
リードとは、自社の商品やサービスに関心を持ち、何らかの接点を持った見込み客を指します。BtoBマーケティングで最も重視されるKPIは「新規リード獲得数」で32.1%と最多であり、次いで「受注率」11.1%、「ウェブサイト訪問件数」「コンバージョン率」が各7.9%と続きます(サンプル数190名。業界・企業規模により変動)。多くの企業がリード獲得に注力していることがわかります。
しかし、BtoB企業経営者の約48.6%が獲得リードの「質」に満足していないという調査結果があります(「あまりそう思わない」38.4%+「全くそう思わない」10.3%)。リードの量を追いかけるだけでは成果につながらず、獲得後の管理・育成まで見据えた設計が求められています。
この記事で分かること
- リード獲得設計の基本フレームワークとファネル構造
- ターゲット設定・ペルソナ設計でリードの質を高める方法
- 施策別の特徴比較と選定基準
- MA/SFA連携によるリード活用の仕組み
- リード獲得設計チェックリスト
リード獲得設計の基本概念とファネル設計
リード獲得設計の基本は、ファネル構造を理解し、各フェーズでの転換率を意識した設計を行うことです。見込み客を獲得してから商談・受注に至るまでの流れを可視化し、どこでリードが離脱しているかを把握することが出発点となります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング施策で獲得し、一定条件を満たした見込み顧客で、インサイドセールスがフォローする対象です。SQL(Sales Qualified Lead) は、課題・予算・導入時期などを確認し、商談可能と判断された見込み顧客を指します。
スコアリングとは、リードの属性情報や行動履歴に点数をつけ、ホットリードを抽出する手法です。カスタマージャーニーは、見込み客が認知から購入決定までたどる道筋を時系列で整理したものであり、これらを組み合わせてファネル設計を行います。
リード→MQL→SQL→商談のファネル構造
ファネルの各フェーズには明確な役割があり、転換率を把握することで改善ポイントが見えてきます。一般的な参考値として、リード→MQL率は20〜30%、MQL→SQL率は30〜50%程度とされていますが、業界や商材によって大きく異なります。自社の実績を測定し、どのフェーズに課題があるかを特定することが重要です。
| フェーズ | 定義 | 役割 |
|---|---|---|
| リード | 接点を持った見込み客 | 認知・興味段階 |
| MQL | マーケ基準を満たした見込み客 | インサイドセールスの対象 |
| SQL | 商談可能と判断された見込み客 | フィールドセールスの対象 |
| 商談 | 具体的な提案・交渉段階 | クロージング段階 |
ターゲット設定とペルソナ設計—リード獲得の質を高める起点
リード獲得の質を高める起点は、ターゲット設定とペルソナ設計にあります。リード獲得改善のために取り組みたいことの1位は「ターゲットの見直し」で36.6%、2位「データ分析の強化」24.7%、3位「コンテンツ/セミナー内容見直し」22.6%という調査結果があります(n=93、複数回答)。
また、BtoB企業のマーケティング課題として「顧客理解の不足」33.0%、「リード獲得施策」27.6%が上位に挙げられています。ターゲットが曖昧なままリード獲得施策を実施すると、商談化しにくいリードが大量に集まってしまう結果になりかねません。
ペルソナ設計では、以下の要素を明確にすることが推奨されます。
- 業種・業界: どの業界の企業をターゲットにするか
- 企業規模: 従業員数、売上規模の目安
- 役職・部門: 意思決定者か、情報収集担当者か
- 課題・ペイン: どのような課題を抱えているか
- 購買検討段階: 情報収集段階か、比較検討段階か
リード獲得施策の選び方と特徴比較
自社に適したリード獲得施策を選ぶには、各施策の特徴とコスト・効果のバランスを理解することが重要です。マーケティング施策の目標CPAは「5,000円〜10,000円未満」が最多で21.8%、次いで「10,000円〜15,000円未満」が15.3%という調査結果があります。ただし、CPAは業種・商材・施策によって大きく変動するため、自社実績との比較が欠かせません。
【比較表】リード獲得施策別特徴比較表
| 施策名 | 特徴 | CPA目安 | 向いている企業・目的 |
|---|---|---|---|
| Web広告(リスティング・ディスプレイ) | 即効性が高く、ターゲティングが細かく設定可能 | 5,000〜15,000円程度(業種により変動) | 短期でリードを増やしたい企業 |
| SNS運用・SNS広告 | 認知拡大に強み、BtoBでもLinkedInやX活用が進む | 運用コスト+広告費で変動 | ブランド認知を高めたい企業 |
| 展示会・イベント | 対面で関係構築可能、名刺獲得数が多い | 出展費用÷獲得名刺数で算出 | 商材説明が複雑な企業 |
| コンテンツマーケティング | 長期的な資産形成、SEO効果も期待 | 制作費÷獲得数で算出 | 中長期でリード獲得基盤を作りたい企業 |
| ウェビナー・オンラインセミナー | 専門性アピール、リード情報を取得しやすい | 運営コスト÷参加者数で算出 | 専門知識を活かした集客をしたい企業 |
| ホワイトペーパー・資料ダウンロード | 見込み客の課題を把握しやすい | 制作費÷ダウンロード数で算出 | 詳細情報を求める見込み客を集めたい企業 |
施策別のCPA・商談化率の目安
広告経由で獲得したリードの商談化率は15%前後が及第点とされ、10%台後半に達すれば優秀な水準と言われています。ただし、これはあくまで参考値であり、商材の単価や検討期間、ターゲット層によって適正値は異なります。
施策選定では、以下の観点から自社に合った施策を検討することが推奨されます。
- 予算規模: 初期投資と運用コストのバランス
- リードの質: 商談化しやすいリードを獲得できるか
- 即効性: 短期で成果が必要か、中長期で育成するか
- 社内リソース: 運用・フォロー体制が整っているか
MA/SFA連携によるリード活用設計—獲得で終わらせない仕組み
リード獲得で成果を出すには、獲得後のMA/SFA連携による活用設計が不可欠です。**よくある失敗パターンとして、リード獲得施策を次々と試すものの、獲得したリードがMA/SFAで適切に管理されず、商談化・受注につながらないまま放置されるケースがあります。**このアプローチでは、施策にかけたコストが無駄になってしまいます。
受注率向上のための施策として「発信するコンテンツの見直し」50.5%、「営業部門への詳細な顧客情報の提供」34.7%、「受注率の高いチャネルでの施策強化」34.2%が挙げられています。マーケティング部門と営業部門の連携強化が、リード活用の鍵を握っています。
【チェックリスト】リード獲得設計チェックリスト
- ターゲット企業の業種・規模・部門を明確に定義した
- ペルソナの課題・ニーズ・購買検討段階を整理した
- カスタマージャーニーを可視化した
- リード獲得施策を選定し、予算配分を決めた
- リード獲得目標(件数・CPA)を設定した
- MQL基準を定義した(属性条件・行動条件)
- SQL基準を定義した(BANT条件等)
- スコアリングルールを設定した
- ナーチャリングシナリオを設計した
- MAツールでリード情報を一元管理する仕組みを整えた
- SFAへのリード連携フローを設計した
- マーケ→営業のリード引き渡し基準を合意した
- 営業からマーケへのフィードバックループを設けた
- ファネル各段階の転換率を測定する仕組みを整えた
- 定期的なKPIレビュー会議を設定した
リードスコアリングとナーチャリング設計
スコアリングは、リードの優先順位付けに有効な手法です。属性スコア(企業規模、役職、業種など)と行動スコア(資料ダウンロード、セミナー参加、ページ閲覧など)を組み合わせて設計します。
スコアリング基準の設計例として、以下のような観点があります。
- 属性スコア: ターゲット企業規模に合致(+10点)、決裁者層(+15点)
- 行動スコア: 資料ダウンロード(+5点)、価格ページ閲覧(+10点)、問い合わせ(+20点)
- 減点要素: 一定期間アクションなし(-5点/月)
ナーチャリングでは、リードの検討段階に応じたコンテンツを配信し、購買意欲を育成します。メール配信の開封率やクリック率を見ながら、シナリオを調整していくことが重要です。
マーケ・営業間のリード引き渡し設計
MQLからSQLへの引き渡し基準は、マーケティング部門と営業部門で合意しておくことが不可欠です。基準が曖昧だと、「マーケから渡されたリードの質が低い」「営業がフォローしてくれない」といった部門間の摩擦が生じやすくなります。
引き渡し設計のポイントは以下の通りです。
- MQL→SQL基準の明文化: スコア閾値、BANT確認項目などを定義
- 引き渡しタイミング: リアルタイム連携か、日次連携か
- 営業からのフィードバック: 商談結果、リードの質に関する評価を定期的に回収
- 基準の見直しサイクル: 月次または四半期でMQL/SQL基準を調整
まとめ|リード獲得設計を成功させるための要点
リード獲得設計で成果を出すには、施策選定だけでなく、ターゲット・ペルソナ設計、ファネル設計、MA/SFA連携、スコアリング・ナーチャリングまで一気通貫で設計することが重要です。施策を次々と試すだけでは、獲得したリードが活用されないまま放置されてしまいます。
本記事で紹介したリード獲得設計チェックリストを活用し、自社の設計状況を確認してみてください。ファネル各段階の転換率を測定し、課題のあるポイントを特定することで、改善の優先順位が見えてきます。
リード獲得の量と質を両立させるためには、MA/SFAと連動したデータ管理・リードスコアリング・ナーチャリングまで一気通貫で設計することが成功の鍵です。
