KPI見直しの手順と実装方法|形骸化を防ぐ運用設計ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/169分で読めます

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KPI見直しが「指標変更で終わり」になる構造的原因

KPI見直しを成功させるには、指標の再設定だけでなく、MA/SFAのデータ構造への反映と現場オペレーションへの実装を一体で進めることが不可欠です。多くの企業がKPIを見直しても、その後のツール設定や運用フローへの反映が不十分なため、結局は形骸化してしまうケースが後を絶ちません。

この記事で分かること

  • KPI見直しが形骸化する構造的な原因
  • KGI・KPI・KFSの関係性と設計の考え方
  • KPI見直しが必要なサインの見極め方
  • 見直し手順と準備チェックリストの活用方法
  • MA/SFAへの実装と部門間整合性の確保方法

KPI(Key Performance Indicator) とは、重要業績評価指標のことで、KGI達成に向けた中間プロセスの進捗を測定する指標です。

シーラベル調査(2025年)によると、BtoBサービスサイト運用で約4割が「うまくいっていない」と回答しており、製造業では6割弱に達しています。この背景には、KPIを設定しても運用・レビュー体制が整備されていないことが挙げられます。

KPI見直しを「新しい指標を決めて終わり」にしてしまい、MA/SFAの設定変更や現場の運用フローが追随しない——これは典型的な失敗パターンです。本記事では、この問題を解決するための具体的な手順と実装方法を解説します。

KGI・KPI・KFSの関係性を再整理する

KPI見直しを効果的に行うためには、まずKGI・KPI・KFSの関係性を正しく理解する必要があります。これらは階層構造になっており、上位から逆算して設計することが重要です。

KGI(Key Goal Indicator) とは、重要目標達成指標のことで、最終的な事業目標(売上高・利益率等)を示す指標です。KFS/CSF(Key Factors for Success) とは、重要成功要因のことで、目標達成に不可欠な成功基盤となる要素を指します。

KGIから逆算してKFSを特定し、KFSを測定可能にしたものがKPIという関係にあります。この階層構造を理解せずにKPIだけを変更しても、KGI達成には結びつきません。

KGIから逆算するKPI設計の考え方

KPI設計は、最終目標から逆算して行います。具体的には以下の流れで設計します。

  1. KGI設定: 年間売上目標(例:10億円)
  2. KFS特定: 商談数の確保、受注率の向上
  3. KPI設計: 月間商談数、MQL数、リード数、各施策のCVR

SMART基準(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限付き)に沿ってKPIを設計することで、形骸化を防ぎやすくなります。

KPI見直しが必要なサイン・タイミングの見極め

KPIは一度設定して終わりではなく、定期的に見直す必要があります。どのような状況でKPI見直しが必要かを把握することで、適切なタイミングで対応できます。

BtoB購買プロセス白書2025(バイヤー600名対象)によると、BtoB購買プロセスで85%が商談前に候補選定を済ませています。この事実は、リード数中心のKPIだけでは不十分であり、認知段階から商談化・受注までの一連のプロセスを測定するKPIが重要であることを示しています。

また、経済産業省DX銘柄2025分析レポートによると、DX銘柄企業は全取り組みにKPIを設定し、非DX企業と比較して2倍以上の進捗を達成しています(自己申告ベースのため過大評価の可能性に注意)。

【比較表】KPI見直しパターン別アクション表(原因×対処法)

見直し原因 具体的なサイン 対処法 優先度
数値達成しても成果なし KPI達成率100%超でも売上未達 KGIとの連動性を再検証
現場がKPIを意識しない 週報・日報にKPI記載なし 可視化とレビュー体制整備
環境変化への未対応 市場・競合状況の大幅変化 KFS・KPIの全面再設計
データ取得困難 測定に手作業が多い MA/SFA設定の見直し
部門間で定義が異なる MQL/SQL定義の不統一 部門間での定義合意
行動変容に繋がらない KPI推移と行動の乖離 行動指標への分解

形骸化KPIを見抜くチェックポイント

以下のような兆候が見られる場合、KPIが形骸化している可能性があります。

  • 現場メンバーがKPIの数値を即答できない
  • KPIは追っているが、具体的な改善行動に結びついていない
  • 月次レビューでKPIが議題にならない
  • KPI達成率は高いが、KGI(売上等)は未達
  • 部門間でKPIの定義が異なる

KPI見直しの手順と準備チェックリスト

KPI見直しは以下の手順で進めます。準備段階で確認すべき項目をチェックリストで整理し、抜け漏れを防ぎましょう。

  1. 現状分析: 現行KPIの達成状況と課題を可視化
  2. 課題特定: KGIとの乖離原因を特定
  3. 新KPI設計: SMART基準に沿った新指標の設計
  4. 実装計画: MA/SFAへの反映計画策定
  5. 運用開始: レビュー体制の構築と運用開始

【チェックリスト】KPI見直し準備チェックリスト(現状診断・データ整備・運用設計の3軸)

現状診断

  • 現行KPIの一覧は整理されているか
  • KPI達成率の推移データは取得できているか
  • KGI(売上・受注等)との相関は検証されているか
  • 各KPIの測定方法は明文化されているか
  • 形骸化しているKPIは特定されているか

データ整備

  • MA/SFAでの測定可否は確認済みか
  • データの取得頻度は十分か(リアルタイム/日次/週次)
  • 自動集計の仕組みは構築されているか
  • ダッシュボードでの可視化は設計されているか
  • データの信頼性は担保されているか

運用設計

  • レビュー頻度は決定しているか(週次/月次/四半期)
  • レビュー参加者は明確か
  • KPI未達時のアクション基準は設定されているか
  • 部門間でKPI定義は統一されているか
  • KPI変更時の承認フローは整備されているか

現状のKPI達成状況を可視化する方法

見直しの前提として、現状のKPI達成状況を正確に把握することが重要です。以下の方法で可視化を進めてください。

  • ダッシュボード構築: MA/SFAのレポート機能やBIツールを活用し、リアルタイムで数値を追跡
  • 定量データの収集: 過去6〜12ヶ月分のKPI推移を一覧化
  • 定性情報の統合: 営業担当者へのヒアリングで数値に表れない課題を把握
  • 相関分析: KPIとKGI(売上・受注)の相関を検証

MA/SFAへの実装と部門間整合性の確保

KPI見直しで最も重要なのは、新しい指標をMA/SFAに実装し、現場のオペレーションに反映させることです。ここを怠ると、せっかく設計したKPIが形骸化します。

オプロ調査(2025年)によると、BtoBサブスクビジネスの大企業ターゲット割合が2023年の11%から2025年に25%へ上昇しています。このようなターゲット変化に応じて、KPIも見直す必要があります。

OCI(オファーコンバージョン指標) とは、資料請求等のオファーから営業成果に寄せたコンバージョン指標のことで、リード数だけでなく質を重視したKPI設計に活用されます。

マーケと営業でKPIを連動させる設計

マーケティングKPIと営業KPIを連動させることで、部門間の整合性を確保できます。

  • リード数MQL数SQL数商談数受注数

この流れで指標を連動させ、各ステージの転換率をKPIとして設定します。部門間でMQL/SQLの定義を統一し、引き渡し基準を明確化することが重要です。

MA/SFAへの実装時は以下のポイントを確認してください。

  • レポート設定が新KPIに対応しているか
  • ダッシュボードが更新されているか
  • 自動通知・アラート設定が適切か
  • 部門横断でデータが参照できるか

まとめ:指標変更から運用実装まで一気通貫で進める

KPI見直しを成功させるには、指標の再設定だけでなく、MA/SFAのデータ構造への反映と現場オペレーションへの実装を一体で進めることが不可欠です。

本記事の要点を整理します。

  1. KGI・KPI・KFSの階層構造を理解する: KGIから逆算してKPIを設計
  2. 見直しが必要なサインを見極める: 形骸化の兆候を早期に発見
  3. チェックリストで準備を整える: 現状診断・データ整備・運用設計の3軸で確認
  4. MA/SFAへの実装を怠らない: 指標変更で終わらせず、ツール設定と運用フローに反映
  5. 部門間でKPIを連動させる: MQL/SQLの定義統一と引き渡し基準の明確化

経済産業省DX銘柄2025分析レポートが示すように、DX銘柄企業は全取り組みにKPIを設定し、非DX企業と比較して2倍以上の進捗を達成しています。KPIを設定し、適切に運用することで、確実に成果に繋げることができます。

次のアクションとして、以下を実施してください。

  1. 本記事のチェックリストで現状のKPI運用を点検する
  2. 形骸化しているKPIがあれば、原因を特定する
  3. MA/SFAへの実装計画を策定し、部門間で合意を取る

KPI見直しは「指標を変えて終わり」ではありません。運用実装まで一気通貫で進めることで、初めて成果に繋がります。

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よくある質問

Q1KPI見直しはどのくらいの頻度で行うべきですか?

A1短期(週次・月次)でKPI進捗を確認し、中長期(四半期・半期)でKPI自体の妥当性を評価する2段階レビューが有効です。事業環境や戦略が変化した場合は、定期サイクルに関わらず見直しを検討すべきです。

Q2KPIとKGI、KFSの違いは何ですか?

A2KGIは最終的な事業目標(売上高・利益率等)、KFSは目標達成に不可欠な成功要因、KPIはKGI達成に向けた中間プロセスの進捗を測定する指標です。KGIから逆算してKFSを特定し、KFSを測定可能にしたものがKPIという階層関係にあります。

Q3KPIが形骸化する原因は何ですか?

A3主な原因は、KPIを設定しても運用・レビュー体制を整備しないこと、リード数等の「見えやすいKPI」だけを追い商談化・受注に繋がらないこと、指標変更後にMA/SFAの設定や現場オペレーションへの反映を怠ることです。

Q4BtoB企業で重視すべきKPIは何ですか?

A4BtoB購買プロセスでは85%が商談前に候補選定済みという調査結果があり(BtoB購買プロセス白書2025、バイヤー600名対象)、リード数だけでなく認知段階から商談化・受注までの一連のプロセスを測定するKPIが重要です。MQL数、SQL数、商談化率、受注率などを連動させて設計することが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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