ISチーム構築で多くの企業が直面する課題
多くの方が悩むISチーム構築。結論は、ISチーム構築は人員配置や役割分担だけでなく、SFA/MAを活用したデータ基盤の整備とプロセスの標準化をセットで進めることで、属人化を防ぎ組織として再現性のある成果を出せます。
インサイドセールスとは、電話やWeb会議で見込み客と接触し、リードの選別・育成を担う内勤営業です。フィールドセールスへの商談設定が主な役割となります。
ある調査によると、RevOps導入前のBtoB SaaS業界では、リード商談化率10-15%、受注率5-10%が平均とされています(民間調査ベースのため、サンプル規模や調査条件の詳細は不明)。この数値を見ると、多くの企業でまだ改善の余地があることがわかります。
「ISチームを立ち上げたいが、どこから手をつけるべきかわからない」「1-2名体制から拡大したいが、属人的な運用から脱却できない」という課題を抱える企業は少なくありません。
この記事で分かること
- SDR・BDRの役割の違いと自社に合った体制の選び方
- ISチーム構築の基本ステップと適切なチーム規模
- SFA/MAを活用したデータ基盤整備の方法
- マーケティング・FSとの連携設計とSLAの考え方
この記事は、SaaS・IT企業のインサイドセールス責任者・営業企画担当者(従業員50-300名、シリーズA〜B段階)を対象としています。
SDR・BDRの役割理解と体制設計の基本
ISチーム構築の前提として、SDRとBDRの違いを理解し、自社に合った体制を選択することが重要です。
SDR(Sales Development Representative) とは、インバウンドリード対応型のインサイドセールスです。マーケティングからの問い合わせやイベント参加者へのアプローチを担当します。
BDR(Business Development Representative) とは、新規開拓型のインサイドセールスです。ターゲット企業へ計画的にアプローチし、新規リード創出を担当します。
SDRはSMB(中小企業)、BDRはエンタープライズ(大規模企業)が主なターゲットとなる傾向にあります。ただし、SDRとBDRを両方同時に立ち上げる必要はありません。自社のマーケティング施策や営業戦略に応じて、どちらを優先するか見極めることが大切です。
インバウンドリードが十分に獲得できている場合はSDR優先、新規開拓が必要な場合はBDR優先が一般的なアプローチです。
【比較表】SDR・BDRの役割・KPI比較
| 項目 | SDR | BDR |
|---|---|---|
| 役割 | インバウンドリード対応 | 新規開拓・アウトバウンド |
| 主なターゲット | SMB(中小企業) | エンタープライズ(大企業) |
| リードソース | マーケティング施策 | ターゲットリスト |
| 主なKPI | 商談化数、商談化率 | 新規リード獲得数、接触率 |
| 難易度 | 中程度 | 高い |
| 適した企業フェーズ | インバウンドが安定している企業 | 新規市場開拓が必要な企業 |
| マーケとの連携 | 密接(リード引き渡し) | 独立性高い |
ISチーム構築の基本ステップ
ISチーム構築は、目的・KPI設定→業務フロー整備→ツール導入・オペレーション標準化→検証・改善の流れで進めることが推奨されます。
BtoB中小企業ではISチームは3-5名スタートが相場とされています。また、商談設定から受注まで平均1-2週間程度のリードタイムが一般的です。
ここで注意すべきは、「まず人を採用してから考える」「ツールは後から整備すればいい」というアプローチは誤りです。データ基盤やプロセス設計を後回しにした結果、属人的な運用が定着してしまい、拡大期に苦労するケースが多く見られます。
採用と並行して、あるいは採用前に、以下の項目を整備しておくことをお勧めします。
- ISチームのミッションと目標KPIの明確化
- リード対応フローと引き渡し基準の設計
- SFA/MAへのデータ入力ルール
- マーケティング・FSとの連携方法
立ち上げ期のチーム規模と役割設計
立ち上げ期は小規模から始めて段階的に拡大するアプローチが推奨されます。3-5名スタートが相場であり、商談設定から受注まで平均1-2週間のサイクルを回しながら、プロセスを改善していきます。
初期段階では、メンバー全員がSDR的な役割を担い、業務フローを標準化することに注力します。属人的なノウハウをチーム全体で共有できる仕組みを先に作ることで、拡大期にスムーズにスケールできます。
SFA・MAを活用したデータ基盤の整備
ISチーム構築において、SFA/MAを活用したデータ基盤の整備は属人化を防ぐための重要なステップです。ツール導入の目的は「使うこと」ではなく「データを蓄積し、組織として活用できる基盤を作ること」です。
RevOps(Revenue Operations) とは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを統合し、収益最大化を目指す運用体制です。
ある調査によると、RevOps導入企業では商談化率が平均15-20%向上し、受注率が10-15%改善した事例が報告されています(2026年TechRO調査、民間調査ベースのためサンプル規模は非公開)。ただし、効果は企業規模や業種により異なるため、参考値として捉えてください。
また、ある企業の事例では、IS/FSチーム構築で業務フロー整備とツール自動化により工数20-30%削減、商談設定から受注まで1週間短縮を実現したケースがあります(ただし、個別企業事例のため一般化には注意が必要です)。
【チェックリスト】ISチーム構築フェーズ別確認項目
- ISチームのミッション・目的が明文化されている
- 目標KPI(商談化数、商談化率等)が設定されている
- SDR/BDRのどちらを優先するか決まっている
- リード対応の業務フローが設計されている
- SFA/CRMの入力ルールが標準化されている
- マーケ→ISのリード引き渡し基準が定義されている
- IS→FSの商談引き渡し基準が定義されている
- SLAの時間目標が設定されている
- メンバーの役割分担が明確になっている
- オンボーディングプログラムがある
- トークスクリプト・対応テンプレートが整備されている
- 週次・月次のレビュー体制がある
- KPIダッシュボードが作成されている
- 商談結果のフィードバックループがある
- ナレッジ共有の仕組みがある
- 定期的なプロセス改善の機会がある
- 拡大時の採用計画がある
- 外部リソース(アウトソース)の活用方針がある
マーケティング・FSとの連携とプロセス標準化
ISチームが成果を出すためには、マーケティング部門からのリード引き渡し、フィールドセールスへの商談引き渡しを標準化することが不可欠です。
SLA(Service Level Agreement) とは、マーケティング→IS間でリード引き継ぎの時間目標等を合意した取り決めです。フォローアップの遅延を防止する効果があります。
ある調査によると、SLAでマーケティング→IS引き継ぎを標準化すると、フォローアップ遅延が30%削減されるとされています(民間調査ベースの参考値)。
また、ある企業の導入事例では、反響対応時間が平均3時間から最短2分に短縮され、成約率は4割を超え、成約の半数が失注案件の再活用であったと報告されています。このように、迅速な対応と継続的なフォローが成果につながります。
SLA設計と運用のポイント
SLAを設計する際は、以下のポイントを検討してください。
- リード対応の時間目標: MQL発生から初回接触までの目標時間を定める
- 対応責任者の明確化: 誰がどのリードに対応するかを決めておく
- フィードバックの仕組み: 商談結果をマーケティングに共有するルートを作る
- 定期レビュー: SLAの達成状況を定期的にモニタリングし、改善につなげる
SLAは策定して終わりではなく、定期的にレビューして形骸化を防ぐことが重要です。達成状況をダッシュボードで可視化し、未達の場合は原因分析と改善を行います。
まとめ|ISチーム構築成功のポイント
本記事では、ISチーム構築の基本ステップ、SDR/BDRの役割設計、データ基盤整備、部門間連携の方法を解説しました。
重要なポイントをまとめます。
- SDR/BDRは役割が異なるため、自社の状況に応じて優先順位を付ける
- BtoB中小企業では3-5名スタートが相場、小規模から段階的に拡大する
- 「人採用優先・ツール後回し」のアプローチは属人化の原因になる
- SFA/MAを活用したデータ基盤整備が属人化防止の鍵
- SLAで部門間連携を標準化し、フォローアップ遅延を防止する
RevOps導入企業では商談化率15-20%向上、受注率10-15%改善の事例があります(民間調査ベースの参考値であり、効果は企業により異なります)。
今日から取り組めるアクション:
- チェックリストで自社のISチーム構築状況を確認する
- SDR/BDRのどちらを優先するか検討する
- マーケティング・FSとのSLAを設計する
社内リソースだけでは対応が難しい場合は、ISチーム構築の設計から実装まで支援できる専門家の活用も選択肢の一つです。
ISチーム構築は人員配置や役割分担だけでなく、SFA/MAを活用したデータ基盤の整備とプロセスの標準化をセットで進めることで、属人化を防ぎ組織として再現性のある成果を出せます。
