ISマネージャーに求められる役割が変化している
ISマネージャーの最も重要な役割は、メンバーの数字管理だけでなく、マーケ・FSとの連携を仕組み化し、リード獲得から成約までの一気通貫の成果を最大化することです。これが本記事の結論です。
「ISチームを任されたが、マーケティング部門やフィールドセールスとの連携がうまくいかず、チームの成果が伸び悩んでいる」——こうした課題を抱えるISマネージャーは少なくありません。従来のISマネージャーの役割は、メンバーのコール数やアポ獲得数といった数字管理が中心でした。しかし、THE MODEL型の分業組織が一般化した現在、ISマネージャーには部門間連携の仕組みを構築し、リードの流れを最適化する役割が求められるようになっています。
この記事で分かること
- ISマネージャーの定義とTHE MODELにおける位置づけ
- ISマネージャーの主要な役割と必要スキル
- マーケ・FS連携を仕組み化するための実践方法
- 実務で使えるISマネージャーの週次チェックリスト
ISマネージャーの基本的な定義とTHE MODELにおける位置づけ
ISマネージャーとは、インサイドセールス部門の責任者を指します。チームのKPI達成、マーケティング・フィールドセールスとの連携、メンバー育成を主な役割として担います。なお、本記事でいうISは「インサイドセールス(Inside Sales)」の略称であり、「情報システム(Information Systems)」とは異なりますのでご注意ください。
THE MODELとは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが連携する分業型営業プロセスを指します。この分業体制において、ISマネージャーはマーケティングとフィールドセールスをつなぐ「橋渡し」の役割を担っています。
リードの流れとしては、まずマーケティング部門が施策を通じて獲得したリードがMQL(Marketing Qualified Lead) としてISに引き渡されます。ISがヒアリングや精査を行い、商談の見込みがあると判断したリードをSQL(Sales Qualified Lead) としてフィールドセールスに引き渡し、商談・成約へと進む流れが一般的です。
THE MODELにおけるISの役割
THE MODELの分業体制において、IS部門はマーケティングからフィールドセールスへリードを橋渡しする重要な役割を担っています。マーケティング部門が獲得した大量のリードをすべてフィールドセールスに渡すのではなく、IS部門がリードの精査・育成を行うことで、フィールドセールスが商談に集中できる体制を実現しています。
ISマネージャーは、この橋渡し機能がスムーズに機能するよう、前工程(マーケティング)と後工程(フィールドセールス)との連携を設計・管理する立場にあります。リードの引き渡し基準が曖昧だったり、部門間のコミュニケーションが不足していたりすると、リードの取りこぼしや商談化率の低下を招くため、ISマネージャーの連携調整力が組織全体の成果に直結します。
ISマネージャーの主要な役割と必要スキル
ISマネージャーの役割は、大きく3つの軸で整理できます。チームKPI達成、部門連携、メンバー育成の3つです。それぞれの役割に対応するスキルを整理すると、以下のようになります。
【比較表】ISマネージャーの役割と必要スキル一覧
| 役割カテゴリ | 具体的な役割 | 必要スキル |
|---|---|---|
| チームKPI達成 | コール数・アポ数・商談化率の管理 | 数値分析力、目標設定力 |
| チームKPI達成 | 進捗管理とボトルネック特定 | データ可視化、課題発見力 |
| 部門連携 | マーケとのリード品質フィードバック | コミュニケーション力、調整力 |
| 部門連携 | FSへのリード引き渡しルール設計 | プロセス設計力、文書化力 |
| 部門連携 | 週次の部門横断ミーティング運営 | ファシリテーション力 |
| メンバー育成 | スクリプトの標準化・改善 | 言語化力、分析力 |
| メンバー育成 | ロープレ・フィードバックの実施 | コーチング力、観察力 |
| メンバー育成 | 成功事例の共有と横展開 | ナレッジマネジメント力 |
| データ活用 | MA/SFAを活用したチーム運営 | ツール活用力、データリテラシー |
| データ活用 | AIツールを活用したリード優先度判断 | AIリテラシー |
なお、AIリテラシーについては、マネジメント職の昇進に必要なAIリテラシー保有率は2025年時点で全管理職の約40%未満であり、2026年までに70%以上への向上が推奨されているという調査結果があります(Forbes Japan、WEFのグローバルデータに基づく予測値のため、今後変動する可能性があります)。ISマネージャーにおいても、データに基づくチーム運営やAIツール活用のスキルが今後ますます重視されると考えられます。
チームKPI達成のための数字管理
ISマネージャーの基本的な役割として、チームのKPI達成に向けた数字管理があります。代表的なKPIとしては、コール数、アポ獲得数、商談化率(インサイドセールスが創出したリードのうち、フィールドセールスの商談に進んだ割合)、SQL創出数などが挙げられます。
ただし、数字の管理だけに終始すると、メンバーは「アポを取ること」がゴールになり、リードの質が低下する傾向があります。フィールドセールスから「ISから渡されたリードの質が低い」というフィードバックが頻発する場合は、商談化率やその後の成約率まで含めたKPI設計が必要です。
メンバー育成と標準化
IS組織の成果を安定させるためには、属人化を防ぎ、再現性のある営業プロセスを構築することが重要です。ISマネージャーは、トップパフォーマーのノウハウを言語化し、コールスクリプトの標準化やロープレの定期実施を通じてチーム全体のスキル底上げを図ります。
具体的な育成手法としては、週次のロープレ会、成功コールの録音共有、スクリプトのバージョン管理などが効果的です。また、成功事例を共有する場を設けることで、メンバー同士の学び合いを促進できます。
マーケ・FS連携を仕組み化するための実践方法
ISマネージャーにとって最も重要な役割は、マーケティング部門・フィールドセールス部門との連携を仕組み化することです。「ISマネージャーはメンバーのアポ数・商談数を管理すれば良い」と考え、マーケ・FSとの連携を後回しにしてしまうケースは、よくある失敗パターンです。この考え方では、リードの質や商談化率が上がらず、チーム全体の成果が頭打ちになります。
部門連携が機能していないと、マーケティングから渡されるリードの質に対する不満、フィールドセールスからの「商談化しにくいリードばかり」というクレーム、IS側の「良いリードが来ない」という声が交錯し、部門間の溝が深まる悪循環に陥ります。ISマネージャーは、この連携を仕組みとして設計し、定常的に回す責任を担っています。
週次の部門横断ミーティングの設計
マーケ・IS・FSの連携を機能させるためには、週次の部門横断ミーティングを設けることが効果的です。参加者はマーケティング担当者、ISマネージャー、フィールドセールスマネージャーの3者が基本となります。
アジェンダの目安としては、以下の構成が考えられます。
- リードの量と質のレビュー(10分):今週のMQL数、SQL転換率、リード品質に関するフィードバック
- 商談進捗の共有(10分):FSからのSQL評価、成約・失注の傾向
- 課題と改善策の議論(10分):リード定義の見直し、コンテンツ要望など
- 来週のアクション確認(5分):施策連携、引き渡しルールの調整
このミーティングを通じて、各部門がサイロ化せず、同じ目標に向かって連携できる体制を構築します。
リード引き渡しルールの明文化
MQLからSQLへの引き渡し条件を明文化することは、部門連携の基盤となります。「どのような条件を満たしたリードをMQLとするか」「ISがSQLとしてFSに渡す基準は何か」を部門間で合意し、文書化しておくことで、認識のズレを防ぎます。
明文化すべき項目の例としては、以下が挙げられます。
- MQLの定義(スコアリング基準、対象属性、行動条件)
- SQLの定義(BANT条件の確認度合い、商談可能性の判断基準)
- 引き渡し方法(SFAへの入力項目、ステータス変更ルール)
- フィードバックルール(SQLの評価をISにどう返すか)
これらのルールを文書化し、定期的に見直すことで、連携の質を継続的に改善できます。
ISマネージャーの週次チェックリストとKPI設計
ISマネージャーが毎週確認すべき項目をチェックリストとして整理しました。KPI設計は「チーム目標」「個人目標」「部門連携目標」の3層で整理することで、数字管理と連携の両面をカバーできます。
【チェックリスト】ISマネージャー 週次チェックリスト
- 今週のMQL流入数を確認した
- MQL→SQL転換率を確認した
- SQL→商談化率(FSへの引き渡し後)を確認した
- チーム全体のコール数・アポ数を集計した
- メンバー別のパフォーマンス差異を確認した
- ボトルネックとなっている工程を特定した
- マーケティングチームにリード品質のフィードバックを行った
- FSチームからSQLの評価フィードバックを受け取った
- 部門横断ミーティングのアジェンダを準備した
- 部門横断ミーティングを実施し、議事録を共有した
- 成功事例をチームに共有した
- ロープレまたはスクリプト改善の機会を設けた
- MA/SFAのデータを確認し、リード対応漏れがないか確認した
- 来週の目標とアクションをチームに伝達した
- 個別メンバーとの1on1を実施した(必要に応じて)
MA/SFAを活用したデータドリブン運営
ISマネージャーがデータに基づくチーム運営を行うためには、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)の活用が欠かせません。特定のツールを推奨するものではありませんが、以下のようなデータ活用が効果的です。
- リードスコアリングによる優先順位付け
- 対応ステータスの可視化と対応漏れ防止
- 商談化率・成約率のトレンド分析
- マーケティング施策別のリード品質比較
こうしたデータを活用することで、属人的な判断を減らし、再現性のあるチーム運営が可能になります。
まとめ:ISマネージャーは部門連携の仕組み化で成果を出す
本記事では、ISマネージャーの役割と実践方法について解説しました。要点を整理します。
- ISマネージャーは、インサイドセールス部門の責任者としてチームKPI達成、部門連携、メンバー育成を担う
- THE MODEL型組織において、ISはマーケティングとフィールドセールスをつなぐ橋渡し役である
- 数字管理だけでなく、マーケ・FSとの連携を仕組み化することが成果向上の鍵となる
- 週次の部門横断ミーティングやリード引き渡しルールの明文化で、連携の仕組みを構築する
- MA/SFAを活用したデータドリブン運営で、属人化を解消し再現性を高める
ISマネージャーの最も重要な役割は、メンバーの数字管理だけでなく、マーケ・FSとの連携を仕組み化し、リード獲得から成約までの一気通貫の成果を最大化することです。まずは本記事の週次チェックリストを活用し、自身のマネジメント業務を点検することから始めてみてください。
