場当たり的なチャネル運用が成果を阻む理由
多くの方が悩むインサイドセールスのチャネル設計。結論は、チャネル種類を並べるだけでなく、顧客フェーズに応じた使い分けとMA/SFAへの実装までセットで設計することで初めて成果につながります。
インサイドセールスとは、電話・メール・Web・オンライン会議など非対面の手段で見込み顧客との接点構築や商談設定を行う営業手法です。本記事では、このインサイドセールスにおけるチャネル設計について解説します(無線LANのチャネル設計とは異なります)。
電話・メール・Webなど複数チャネルを使っているのに、思うような成果が出ない——そんな課題を抱えていませんか。ある調査によると、インサイドセールスの課題として「SFA/CRM記録が曖昧」と回答した企業は23.4%、「スキルの属人化」は20.2%にのぼります(immedio調査、2025年)。
この記事で分かること
- インサイドセールスにおけるチャネルの定義と主要な種類
- 顧客フェーズに応じたチャネルの使い分け方
- マルチチャネル運用とデータ連携の実践ポイント
- MA/SFAへのチャネル設計の実装方法
ISにおけるチャネルの定義と主要な種類
インサイドセールスで使うチャネルは、電話・メール・Webサイト・セミナー・ウェビナーなど多岐にわたります。チャネル設計とは、これらの顧客接点の役割分担とKPIを定義し、購買ファネルに沿った導線を構築することを指します。
各チャネルにはそれぞれ特性があります。電話は即時性と双方向性に優れ、メールは情報を整理して伝達でき、Webサイトは24時間対応が可能です。重要なのは、これらを単独で使うのではなく、顧客の状況に応じて組み合わせることです。
商談獲得チャネルの利用率データ
2025年のPRIZMAリサーチ調査(n=1,000)によると、インサイドセールスの商談獲得チャネル利用率は以下のように拮抗しています(民間調査データのため参考値としてご覧ください)。
| チャネル | 利用率 |
|---|---|
| メールマーケティング | 34.8% |
| Webサイト資料請求 | 34.7% |
| 対面セミナー | 34.5% |
| 展示会 | 30.1% |
| ウェビナー | 28.2% |
このデータからわかるのは、特定のチャネルが圧倒的に優れているわけではなく、複数チャネルを組み合わせて活用している企業が多いということです。
顧客フェーズに応じたチャネル使い分けの設計方法
顧客フェーズに応じたチャネル設計は、認知→興味→検討→商談の各段階で最適なアプローチ経路を選択することです。リードナーチャリングとは、見込み顧客をスコアリングやMAツールで段階的に育成し、商談化可能な状態まで導くプロセスを指します。
よくある失敗パターンは、電話・メール・Webなど複数チャネルを使っているものの、各チャネルが独立して運用され、データも分断されているケースです。この状態では効果測定や改善ができず、場当たり的な運用に終始してしまいます。
2025年のimmedio調査(n=202)によると、インサイドセールスの平均追客回数は5.1回(過去最高を更新)とされています。ただし、この数値は業種・商材により大きく変動するため、自社に適した回数は検証が必要です。
【比較表】顧客フェーズ別チャネル活用マトリクス
| フェーズ | 主なチャネル | 目的 | KPI例 |
|---|---|---|---|
| 認知 | SEO・広告・SNS | 潜在顧客への接触 | インプレッション数・流入数 |
| 興味 | ホワイトペーパー・ウェビナー | リード獲得 | 資料DL数・申込数 |
| 検討 | メール・電話 | ナーチャリング | 開封率・通話率 |
| 商談 | オンライン会議・訪問 | 商談設定 | 商談化率・商談数 |
| 成約後 | メール・電話 | フォローアップ | 継続率・追加提案数 |
ファネル設計とチャネルの役割分担
ファネル全体を設計する際は、SEO→ホワイトペーパー→ウェビナー→インサイドセールス→商談という導線を意識します。各段階でどのチャネルが主役を担うかを明確にすることで、リソースの最適配分が可能になります。
SLA(サービスレベルアグリーメント) とは、マーケティングと営業間でリード引き渡し基準や対応期限を合意した取り決めです。マーケティングからインサイドセールスへのリード引き渡しタイミングや、インサイドセールスからフィールドセールスへの商談化基準を明文化することで、部門間の連携がスムーズになります。
マルチチャネル運用とデータ連携の実践ポイント
複数チャネルを効果的に運用するには、データの一元管理が不可欠です。国内ビジネス・アナリティクス市場は2024年度7,830億円(前年比115.9%増)と成長を続けており、データ統合ソリューションの発達でチャネル横断の効果測定基盤が強化されています(MIC Research、2024年)。
RevOps(レベニューオペレーション) とは、マーケティング・インサイドセールス・営業のプロセス標準化とデータ共有を推進し、収益最大化を図る組織運営手法です。2025年現在、RevOps導入でマーケ・IS・営業のプロセス標準化が加速する傾向がみられます。
PwC調査(2024年、n=1,076)によると、データ流通プラットフォームの利用率は42%が「利用または検討中」と回答しており、チャネル横断データ連携の基盤として増加傾向にあります。
チャネル横断でのKPI設定と効果測定
チャネルごとの成果を統合的に測定するには、共通のKPI設定が重要です。しかし、PwC調査(2024年、n=874)によると、データマネタイゼーションの実現率は製造業で20.0%、金融で15.2%と低調です。チャネル横断データ活用の障壁として、社内プロセスの煩雑さや経営理解不足が挙げられています。
共通KPIを設定する際は、リード数・商談化率・受注率など、ファネル全体を通じた指標を採用することで、チャネルごとの貢献度を可視化できます。
MA/SFAへのチャネル設計実装と運用定着
設計したチャネル戦略をMA/SFAに実装し、運用を定着させることが成果への最終ステップです。前述のimmedio調査では、SFA/CRM記録が曖昧な企業が23.4%、スキル属人化が20.2%という課題が報告されています。これらの課題を解決するには、入力項目の最小化と運用ルールの明確化が鍵となります。
ツール導入だけで満足し、運用設計を怠ると、データ連携が進まず形骸化するケースがよくあります。MA・SFA・CRM連携で全社データを一元化し、共通KPIで効果測定する仕組みを構築することが重要です。
【チェックリスト】ISチャネル設計セルフチェックリスト
- 自社で利用する主要チャネルを洗い出している
- 各チャネルの役割とKPIを定義している
- 顧客フェーズごとのチャネル使い分けを設計している
- マーケティングとISの間でSLA(リード引き渡し基準)を設定している
- ISとフィールドセールスの間で商談化基準を明文化している
- MA/SFAにチャネル情報を記録する項目を設けている
- チャネル横断のKPIダッシュボードを構築している
- データ入力ルールを最小限かつ明確に定めている
- 週次・月次でチャネル別効果を振り返る仕組みがある
- 運用担当者への教育・オンボーディングを実施している
運用定着で陥りがちな失敗パターン
運用が形骸化する主な原因は、入力項目が多すぎる、入力の価値が現場に伝わっていない、振り返りの仕組みがないといった点です。チャネルが独立して運用され、データも分断されている状態では、効果測定や改善ができず、場当たり的な運用から脱却できません。
定着させるためには、現場の負荷を最小限に抑えつつ、入力データが実際の意思決定に活用される「成功体験」を早期に作ることが重要です。
まとめ:成果につながるISチャネル設計の要点
本記事では、インサイドセールスにおけるチャネル設計の基本から、MA/SFA実装と運用定着までを解説しました。
要点を整理すると、以下のようになります。
- チャネルは単独ではなく、顧客フェーズに応じて組み合わせて活用する
- マーケティング・IS・営業間でSLAを設定し、リード引き渡し基準を明確にする
- MA/SFAにチャネル情報を記録し、共通KPIで効果測定する
- 入力項目を最小限にし、運用ルールを明文化することで定着を図る
前述のチェックリストを活用し、自社の現状を確認することから始めてみてください。
インサイドセールスのチャネル設計は、チャネル種類を並べるだけでなく、顧客フェーズに応じた使い分けとMA/SFAへの実装までセットで設計することで初めて成果につながります。
