商談化率が上がらない企業に共通する課題
多くの人が見落としがちですが、商談化率は、リード品質向上とインサイドセールス強化に加えて、MA/SFA連携による自動フォロー・スコアリング基盤を構築することで、再現性高く向上させることができます。
リードは獲得できているのに商談につながらない、フォローが属人化して漏れが発生している——こうした課題を抱える企業は少なくありません。
この記事で分かること
- 商談化率の定義・計算式と業界別・リードソース別の平均値
- 商談化率が低い主な原因と改善の方向性
- リードスコアリングや初回接触スピード改善など具体的な施策
- MA/SFA連携による自動フォロー・スコアリング基盤の構築方法
BtoBマーケティング実態調査によると、マーケティング施策の投資対効果として受注金額まで追っている企業は全体の30.2%に留まります。つまり、約7割の企業が商談化率を正確に把握できておらず、改善のPDCAを回せていない状況です。
商談化率改善は「もっと頑張る」という精神論では解決しません。再現性のある仕組みとして、MA/SFA連携による自動化基盤を構築することが重要です。
商談化率とは|定義・計算式・業界別平均値
商談化率とは、アプローチしたリードのうち、商談(初回面談など)まで進んだ割合を指します。この指標を把握することで、リード獲得から商談創出までのプロセスの効率性を測定できます。
商談化率の定義(分母・分子を何とするか)は企業やツールごとに異なるため、業界平均と比較する際は自社の定義を明確にしておく必要があります。
商談化率の計算式
商談化率の計算方法は以下のとおりです。
商談化率(%)= 商談数 ÷ アプローチ数(またはリード数) × 100
例えば、1か月間でリード100件を獲得し、そのうち25件が商談に至った場合、商談化率は25%となります。
業界別・リードソース別の平均値
商談化率の業界平均は民間調査が中心であり、公的統計は存在しません。以下は2025年の調査に基づく目安です。
業界別の商談化率平均(2025年Aporo調査)
| 業界 | 商談化率の目安 |
|---|---|
| BtoB全体 | 20〜30% |
| エンタープライズSaaS | 25〜35% |
| SMB向けSaaS | 35〜45% |
| 製造業 | 15〜25% |
リードソース別の商談化率目安(2025年Aporo調査)
| リードソース | 商談化率の目安 |
|---|---|
| インバウンドリード | 35〜40% |
| アウトバウンド/コールドリード | 10〜15% |
| 展示会・セミナー経由 | 25〜30% |
また、2025年のferret One調査(日本のマーケター330名対象)では、広告経由リードの商談化率は「11〜20%」と答えた企業が31.3%で最多でした。ただし、これは自己申告ベースの調査であり、業種や商材単価により大きく変動します。
自社の商談化率がこれらの目安と比較してどの位置にあるかを把握することが、改善の第一歩となります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング施策で獲得し、一定のスコアや条件を満たした見込み顧客のことで、インサイドセールスへの引き渡し対象となります。SQL(Sales Qualified Lead) は、インサイドセールスや営業が商談の可能性を認定した見込み顧客を指します。
商談化率が低い主な原因
商談化率が低い原因は、大きく分けて「リード品質とタイミングの課題」「リードフォローの属人化」の2つに整理できます。これらの原因を放置したまま「もっと架電しよう」「もっとメールを送ろう」と精神論で対応しても、根本的な改善にはつながりません。
2025年8月に実施された調査(118人対象)によると、商談化率50%以上の高い企業では66.1%がリードの優先順位付けを実施しています。一方で、多くの企業はリードの優先順位付けができておらず、すべてのリードに同じ対応をしてしまっているのが現状です。
また、CPAが低下した企業のうち60%がリードの質(商談化率や成約率)も低下したと回答した調査結果があります(2025年調査、n=145)。リード数だけを追いかけると、ニーズが薄い・決裁権がないリードが増え、商談化率が下がるリスクがあります。
よくある失敗パターンとして、商談化率が低い原因を分析して「もっと頑張ろう」で終わり、実際のリードフォロー自動化・スコアリング基盤の構築を後回しにするケースがあります。このアプローチでは、結局属人化したまま改善が進みません。
リード品質とタイミングの課題
リード品質が低い、または初回接触が遅いという課題は、商談化率を下げる大きな要因です。
前述の調査では、商談化率50%以上の高い企業では約半数が当日中〜2日以内にリードへ初回接触を実施しています。初回接触が遅れるほど、リードの関心が薄れ、競合他社に先を越されるリスクが高まります。
リードスコアリングとは、リードの属性や行動データに基づいて購買意欲を点数化し、優先順位付けを行う手法です。スコアリングを活用することで、有望なリードに対して迅速にアプローチできるようになります。
リードフォローの属人化
フォローが特定の担当者に依存している場合、その担当者が忙しいときや不在のときにフォロー漏れが発生します。
MA/SFAを導入していても、自動フォロー・スコアリングが機能していないケースは多くみられます。ツールを導入しただけで満足し、自動化の設定やスコアリングルールの運用が放置されているのです。
この属人化を解消するには、MA/SFA連携による自動フォロー基盤を構築し、担当者に依存しない仕組みを作ることが必要です。
商談化率を上げる具体的な方法
商談化率を上げるには、リードスコアリングの活用、初回接触スピードの改善、チャネル別の商談化率可視化と投資集中が効果的です。
2025年のAporo解説によると、適切なスコアリングモデルを導入した企業では商談化率が平均で20〜30%向上したと報告されています。ただし、すべての企業で同等の効果が得られるとは限らず、既存プロセスや商材により効果は変動します。
以下のチェックリストを活用して、自社の改善ポイントを確認してください。
【チェックリスト】商談化率改善チェックリスト
- 自社の商談化率を定義し、数値を把握している
- 業界・リードソース別の平均値と比較している
- リードスコアリングを導入している
- スコアリング基準を定期的に見直している
- 高スコアリードを優先的にフォローする運用ルールがある
- リード獲得から初回接触までの時間を計測している
- 当日中〜2日以内の初回接触を目標にしている
- チャネル別の商談化率を可視化している
- 低商談化率チャネルのテコ入れまたは停止を検討している
- 高商談化率チャネルへの投資集中を行っている
- MAツールで自動フォローメールを設定している
- SFAでリードステータスを一元管理している
- MA/SFA間のデータ連携が自動化されている
- MQL→SQL→商談の各段階の転換率を計測している
- フォロー漏れを検知するアラート機能がある
- 担当者不在時の自動フォロー体制がある
- 商談化率の目標値を設定している
- 週次または月次で商談化率をレビューしている
- 改善施策の効果検証を行っている
- 成功パターンを他のチャネルに横展開している
リードスコアリングの活用
リードスコアリングを活用することで、有望なリードに優先的にアプローチできるようになります。
スコアリングの基準としては、企業規模や業種などの属性情報に加え、Webサイトの閲覧履歴、資料ダウンロード、メール開封・クリックなどの行動データを組み合わせるのが一般的です。
一定スコア以上のリードのみインサイドセールスが架電する運用にすると、架電数は減りますが、商談化率は向上する傾向があります。これにより、インサイドセールスの工数を有望なリードに集中させることができます。
MQLとして認定されたリードをインサイドセールスに引き渡し、商談の可能性を確認してSQLに昇格させる——この流れを明確にすることで、マーケティングと営業の連携がスムーズになります。
初回接触スピードの改善
初回接触スピードの改善は、商談化率向上に直結する施策です。
前述のとおり、商談化率50%以上の企業では約半数が当日中〜2日以内にリードへ初回接触を実施しています。リードが資料請求や問い合わせをした直後は、課題意識が最も高まっているタイミングです。このタイミングを逃さずにアプローチすることで、商談化率の向上が期待できます。
初回接触を迅速化するには、リード獲得時の自動通知設定、インサイドセールスの即時対応体制、優先度の高いリードの自動振り分けなどが有効です。
MA/SFA連携による自動フォロー・スコアリング基盤の構築
MA/SFA連携による自動化基盤を構築することで、属人化を解消し、再現性のある商談化率向上を実現できます。これは本記事の核心となる提案です。
特定ツールの推奨は避けますが、一般的なMA/SFA連携の考え方として、以下のフローを参考にしてください。
【フロー図】MA/SFA連携リードフォローフロー
flowchart TD
A[リード獲得] --> B[MAでスコアリング]
B --> C{スコア判定}
C -->|高スコア| D[MQL認定]
C -->|低スコア| E[ナーチャリング継続]
E --> B
D --> F[SFAにリード連携]
F --> G[インサイドセールスがフォロー]
G --> H{商談可能性}
H -->|あり| I[SQL認定]
H -->|なし| J[MAに差し戻し]
J --> E
I --> K[商談設定]
K --> L[フィールドセールスへ引き継ぎ]
リードフォローの自動化フロー
リード獲得からMQL→SQL→商談までの自動化フローを構築することで、人手に依存しない安定した商談創出が可能になります。
リード獲得フェーズ: Webサイトからの資料請求、問い合わせ、展示会での名刺交換などで獲得したリードをMAに登録します。
スコアリングフェーズ: MAでリードの属性情報と行動データに基づいてスコアを自動計算します。スコアが一定以上になったリードをMQL(Marketing Qualified Lead)として認定します。
インサイドセールスフォローフェーズ: MQL認定されたリードはSFAに自動連携され、インサイドセールスに通知されます。インサイドセールスは当日中〜2日以内を目標に初回接触を行い、商談の可能性を確認します。
SQL認定・商談化フェーズ: 商談の可能性があると判断されたリードはSQL(Sales Qualified Lead)として認定され、商談が設定されます。商談はフィールドセールスに引き継がれます。
ナーチャリング継続フェーズ: スコアが低い、または商談可能性がないと判断されたリードは、MAに差し戻してナーチャリング(育成)を継続します。メールマガジンやセミナー案内などで関係を維持し、将来的な商談化を目指します。
この一連のフローを自動化することで、フォロー漏れを防ぎ、担当者の工数を有望なリードへの対応に集中させることができます。
まとめ:商談化率向上は自動化基盤構築がカギ
商談化率を向上させるためには、まず自社の現状を正確に把握することが重要です。BtoB全体の商談化率平均は20〜30%とされていますが、業界やリードソースによって大きく異なります。
改善施策としては、リードスコアリングによる優先順位付け、初回接触スピードの改善、チャネル別の商談化率可視化と投資集中が効果的です。適切なスコアリングモデルを導入した企業では商談化率の向上が報告されていますが、効果は既存プロセスや商材により変動します。
本記事のチェックリストを活用して、自社の改善ポイントを確認してください。また、MA/SFA連携リードフォローフローを参考に、自動化基盤の構築を検討することをおすすめします。
商談化率は、リード品質向上とインサイドセールス強化に加えて、MA/SFA連携による自動フォロー・スコアリング基盤を構築することで、再現性高く向上させることができます。「もっと頑張る」という精神論ではなく、仕組みとして商談化率向上を実現していきましょう。
