BtoB企業でオウンドメディアを立ち上げたものの、「PVは伸びているのに問い合わせが増えない」「記事を量産しても商談につながらない」と悩んでいませんか?
BtoBオウンドメディアは、記事公開だけでなく、MA/SFAと連携したリード獲得〜商談化の一気通貫プロセスを構築することで成果を出せます。本記事では、成功事例の分析とMA/SFA連携の具体的な実装方法を通じて、オウンドメディアを商談創出システムとして機能させる運営方法を解説します。
BtoBオウンドメディアがPV増でも商談につながらない理由
BtoBオウンドメディアを運営する多くの企業が、「記事を公開してPVを増やせば良い」と考え、リード獲得後の商談化プロセスやMA/SFA連携を設計せずにスタートしてしまいます。これが、PVは伸びても商談につながらない根本的な原因です。
営業関連サービス企業74サイトを分析した2025年の調査では、**オウンドメディア経由の売上が会社売上全体の10%未満が13.6%、売上が上がっていないが14%**という結果が出ています(fact_9)。PV増加に成功したメディアでも、成果のばらつきが大きいのが現実です。
この失敗パターンに陥る企業に共通するのは、以下のような状態です:
- CTAやフォームを設置していない、または設置していても導線が弱い
- リード獲得後のスコアリングやナーチャリングの仕組みがない
- 営業部門との連携体制が構築されていないため、リードが放置される
- MA/SFAツールを導入していても、オウンドメディアと連携していない
BtoBオウンドメディアで成果を出すには、記事公開と同時に、リード獲得から商談化までの一気通貫プロセスを設計する必要があります。
BtoBオウンドメディアとは
BtoBオウンドメディアとは、企業が自社で所有・運営する情報発信メディアで、BtoB企業が専門性・実用性を重視したコンテンツで企業担当者向けに課題解決情報を提供するものです。
BtoB購買担当者の68%がオンライン情報収集を望む(Forrester社2017年調査、fact_7)という調査結果が示すように、BtoB購買プロセスのデジタル化が進む中で、オウンドメディアの重要性は高まっています。
BtoBオウンドメディアは、BtoC向けメディアとは以下の点で異なります:
- 購買プロセスが長い:数ヶ月から1年以上の検討期間が一般的
- 関与者が多い:複数の部門や役職者が意思決定に関わる
- 専門性が求められる:業界特有の課題や専門用語への理解が必要
これらの特性により、BtoBオウンドメディアでは、単なるPV獲得ではなく、長期的なリード育成と商談化プロセスの構築が不可欠です。
BtoBオウンドメディアの3つの役割
BtoBオウンドメディアは、以下の3つの役割を果たします:
1. リード獲得
課題解決型コンテンツを通じて、自社のターゲットとなる企業担当者を集客します。SEO最適化された記事により、検索エンジンから継続的にリードを獲得できます。
2. リード育成(リードナーチャリング)
リードナーチャリングとは、見込み客(リード)を育成し、購買意欲を高めて商談・受注に繋げるプロセスです。継続的な情報提供により、リードの課題認識を深め、自社ソリューションへの関心を高めます。
3. 信頼構築とブランド認知
専門性の高いコンテンツを発信することで、業界内での認知度と信頼性を向上させます。これにより、比較検討時に優位なポジションを確保できます。
BtoBオウンドメディアの成功事例
BtoBオウンドメディアで成果を出している企業の事例を紹介します。
OfferBox(2025年)
HR Tech企業のOfferBoxは、オウンドメディアを活用して売上前年比21.6%増を実現しました(fact_1)。採用担当者向けの実用的なコンテンツを継続的に発信し、リード獲得と育成を強化した結果です。
BOXIL(2025年)
SaaS比較サイトBOXILは、商談化率が他チャネル比3倍以上という成果を達成しました。記事掲載後2ヶ月で、全体のコンバージョンの20%をBOXILが占めるまでに成長しています(fact_2)。質の高い比較検討層リードを獲得できたことが成功要因です。
Nyle(2023年)
マーケティング支援企業Nyleは、過去3年で資料ダウンロード34倍、受注額9倍を実現しました。PVは1.2倍、セッションは1.3倍と控えめな成長ですが、リード育成とMA/SFA連携により高い商談化率を実現しています(fact_3)。継続的な更新、トピッククラスターSEO、ウェビナー連携が成功要因です。
Sansan「営業DX Hand Book」(2025年)
Sansanの営業DX Hand Bookは、月間記事12.8本を公開し、**CV獲得記事割合47.4%**という高い成約率を達成しています(fact_6)。SFA/CRM関連記事の網羅とCTA最適化により、質の高いリード獲得に成功しています。
注意点:これらの事例は自己申告ベースのため第三者検証がありません。自社での再検証を推奨します。
成功事例に共通するポイント
上記の成功事例に共通する要素は以下の通りです:
- 継続的な更新体制:安定した発信体制と継続的な更新が成功の鍵
- データドリブンな改善:数字をきちんと見て改善を繰り返す
- ターゲット明確化:ペルソナを明確化し、課題解決型コンテンツを提供
- MA/SFA連携:営業部門と連携して行動ベースでスコアリングし、貢献度を可視化
成功事例はあくまで参考です。自社の市場規模、ターゲット、リソースに合わせた設計が必要です。
BtoBオウンドメディアの基本的な運営ステップ
BtoBオウンドメディアを立ち上げる基本的なステップを解説します。
BtoB企業のPV目安は、立ち上げ期(6ヶ月以内)で月間3,000~5,000PV、成長期(1年経過時)で月間10,000~30,000PV、安定期(1年以降)で月間50,000~100,000PVが一般的です(fact_10)。ただし、業界により変動が大きいため、自社の市場規模を考慮した目標設定が重要です。
以下のチェックリストを活用して、立ち上げを進めましょう。
BtoBオウンドメディア立ち上げチェックリスト
目的設定フェーズ
- オウンドメディアの目的を明確化(リード獲得/ブランド認知向上/既存顧客育成)
- KPIを設定(PV数/CV数/商談化率/受注数)
- 効果測定の期間を設定(最低6ヶ月〜1年の長期スパン)
ペルソナ・コンテンツ戦略フェーズ
- ターゲットペルソナを設計(役職/業種/課題/情報収集方法)
- ペルソナの課題に応じたコンテンツテーマを設定
- トピッククラスター戦略でSEO最適化を計画
- 継続的な記事制作体制を構築(ライター/編集者の確保)
MA/SFA連携フェーズ
- CTA(資料ダウンロード/ホワイトペーパー/ウェビナー)を設計
- リード獲得フォームを最適化(項目数削減/入力補助)
- MA/SFAでスコアリング基準を設計(行動履歴+属性)
- ナーチャリングワークフロー(メール配信/ウェビナー招待)を構築
- 営業部門への引き渡し基準を明確化(スコア閾値/行動履歴)
運営体制フェーズ
- 定期的な効果測定とレビュー体制を構築(週次/月次)
- データドリブンな改善サイクルを確立
- 営業部門との連携体制を構築(定例ミーティング等)
目的設定とKPI設計
オウンドメディアの目的を明確化し、適切なKPIを設定します。
目的例
- リード獲得:月間100件のリード獲得
- ブランド認知向上:業界内での認知度向上、検索順位上昇
- 既存顧客の育成:アップセル・クロスセルの機会創出
KPI例
- PV数:月間10,000〜30,000PV(成長期目安)
- CV数:月間50〜100件(資料ダウンロード、問い合わせ)
- 商談化率:CV数に対する商談化の割合
- 受注数:オウンドメディア経由の受注件数
重要な注意点:短期間で成果を期待するのは誤りです。最低6ヶ月から1年の長期スパンで効果測定が必要です。自社の状況に応じた現実的な目標を設定しましょう。
ペルソナ設計とコンテンツ戦略
ターゲットペルソナを明確化し、コンテンツ戦略を立てます。
ペルソナ設計
- 役職:マーケティング部長、営業部長、IS責任者等
- 業種:HR Tech、SaaS、製造業等
- 課題:リード獲得不足、営業効率化、DX推進等
- 情報収集方法:検索エンジン、業界メディア、SNS等
コンテンツ戦略
ペルソナの課題に応じたテーマを設定し、トピッククラスター(関連するトピックをグループ化し、内部リンクで結ぶSEO戦略)を活用します。
注意点:PV数は伸びたが問い合わせが増えない場合、ターゲット設定の曖昧さが原因です。ペルソナを再度見直し、課題解決型コンテンツに注力しましょう。
MA/SFAと連携したリード獲得〜商談化プロセスの構築
BtoBオウンドメディアで成果を出すには、記事公開だけでなく、MA/SFAと連携したリード獲得〜商談化の一気通貫プロセスを構築することが不可欠です。
実際の成功事例を見てみましょう。StockSunのコンサル事例では、フリーランスエンジニア派遣企業で月間問い合わせ100件UPを実現しました(fact_4)。また、地域キーワードを活用した別の事例では、年間PV40万→90万、CV2倍という成果を達成しています(fact_5)。これらの成功要因は、被リンク営業やコンテンツ改善に加え、MA/SFA連携によるリード育成の仕組み化にあります。
以下の比較表で、運用体制の選択肢を確認しましょう。
オウンドメディア運用体制比較表
| 項目 | 内製化 | 外注(一部) | 外注(全面) |
|---|---|---|---|
| 費用 | 人件費のみ(月30〜100万円) | 月10〜50万円 | 月50〜200万円 |
| メリット | ・自社ノウハウ蓄積 ・柔軟な対応が可能 ・長期的なコスト削減 |
・専門性とスピードを両立 ・自社リソースを最小化 ・コア業務に集中可能 |
・専門性が高い ・短期間で成果が出やすい ・運用負荷ゼロ |
| デメリット | ・専門知識の習得に時間 ・リソース確保が困難 ・成果が出るまで時間がかかる |
・外注先との調整コスト ・ノウハウが部分的にしか蓄積されない |
・コストが高い ・自社にノウハウが蓄積されない ・外注先依存のリスク |
| 向いている企業 | ・長期的な投資が可能 ・専門人材を確保できる ・年商10億円以上 |
・スタートアップ〜中小企業 ・年商1〜10億円 ・専門人材が不足 |
・大企業 ・年商50億円以上 ・短期間で成果を求める |
| MA/SFA連携 | ・自社で設計・運用 ・営業部門との連携が密 |
・外注先と協力して設計 ・運用は自社 |
・外注先が一括設計・運用 ・自社は結果確認のみ |
運用体制は、自社のリソース、予算、目標期間に応じて選択します。重要なのは、どの体制を選んでも、MA/SFA連携とリード育成の仕組み化を同時に進めることです。
リード獲得の仕組み化
記事からのリード獲得を仕組み化するには、CTA(Call To Action)(行動喚起。記事末尾などに配置し、読者に資料ダウンロードや問い合わせなどの行動を促す要素)を適切に配置します。
CTA設置のポイント
- 記事末尾:読了後に自然に誘導
- 記事中:関連性の高い箇所に設置
- サイドバー:全記事で常時表示
リードマグネット設計
- ホワイトペーパー:業界トレンド、課題解決ガイド
- 資料ダウンロード:製品カタログ、導入事例集
- ウェビナー:専門家による解説セミナー
フォーム最適化
簡素なフォームやホワイトペーパーの増加で導線を強化します。項目数を削減し(必須項目は3〜5個)、入力補助(住所自動入力等)を活用することで、離脱率を下げます。
MA/SFAでのスコアリングとナーチャリング
MA/SFAを活用して、リードの優先順位付けと育成を実施します。
スコアリング
スコアリングとは、リードの行動履歴や属性に基づいて購買意欲の高さを点数化し、優先順位を付ける手法です。
- 行動履歴:記事閲覧(+5点)、資料ダウンロード(+20点)、メール開封(+10点)、ウェビナー参加(+30点)
- 属性:役職(部長以上+20点)、企業規模(従業員100名以上+15点)、業種(ターゲット業種+10点)
営業部門と連携して行動ベースでスコアリングし、貢献度を可視化することが重要です。
ナーチャリング(リード育成)
- メール配信:定期的なニュースレター、課題解決コンテンツの提供
- ウェビナー招待:専門家による解説セミナーで関心を高める
- リターゲティング広告:サイト訪問者に広告を配信
ウェビナー連携によるリード育成を実施することで、購買意欲を段階的に高めます。
営業部門への引き渡し基準
- スコア閾値:100点以上のリードを営業に引き渡し
- 行動履歴:資料ダウンロード+ウェビナー参加など、複数の行動が確認できたリード
- タイミング:スコア到達後24時間以内に営業フォロー
営業部門との連携体制を構築し、定例ミーティングでリードの質と量を確認しましょう。
まとめ|MA/SFA連携でリード獲得から商談化まで一気通貫
BtoBオウンドメディアは、記事公開だけでなく、MA/SFAと連携したリード獲得〜商談化の一気通貫プロセスを構築することで成果を出せます。
本記事で解説した主要なポイントを振り返りましょう:
- 成功事例の共通点:継続的な更新体制、データドリブンな改善、ターゲット明確化、MA/SFA連携
- 基本的な運営ステップ:目的設定→ペルソナ設計→コンテンツ戦略→運営体制構築→効果測定
- MA/SFA連携の重要性:リード獲得→スコアリング→ナーチャリング→商談化の一気通貫プロセス
「記事公開だけで自動的に成果が出る」と考えるのは危険です。最低6ヶ月から1年の長期スパンで取り組み、継続的な改善を繰り返すことが成功の鍵です。
次のアクション
- チェックリストを活用した立ち上げ:本記事のチェックリストを基に、目的設定からMA/SFA連携までを段階的に実施
- 運用体制の選択:比較表を参考に、自社のリソースと予算に応じた運用体制を検討
- MA/SFA設定支援の検討:専門知識が不足する場合は、外部パートナーの活用も視野に入れる
BtoBオウンドメディアは、正しく設計・運用すれば、継続的にリードを獲得し商談化できる強力な資産になります。長期的な視点で取り組みましょう。
